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テンジクネズミ形類

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テンジクネズミ形類
カピバラ
カピバラ Hydrochoerus hydrochaeris
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 齧歯目 Rodentia
亜目 : ヤマアラシ形亜目 Hystricomorpha
下目 : ヤマアラシ顎下目 Hystricognathi
階級なし : テンジクネズミ形類 Caviomorpha
学名
Caviomorpha Wood, 1955[1][2]
和名
テンジクネズミ型類[3]
テンジクネズミ形類[4]

テンジクネズミ形類またはテンジクネズミ型類(テンジクネズミがたるい・テンジクネズミけいるい、Caviomorpha)は齧歯目ヤマアラシ形亜目の一系統群。新世界ヤマアラシ顎類の全てが含まれる。化石記録と分子系統解析の両方から支持されるクレードである。かつては齧歯目からは独立した分類群とされていたが、現在は齧歯目の一系統群であるとコンセンサスが得られている。絶滅したオオフチア科英語版や現生のチンチラネズミフチアモルモットカピバラビスカーチャツコツコアグーチパカパラカナ英語版アメリカトゲネズミアメリカヤマアラシデグーなどが含まれる[5]

起源

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Neoreomys

南アメリカ最初の齧歯類の化石は、Cachiyacuy contamanensisC. kummeliCanaanimys maquiensis3つの分類群が知られる。またEobranisamys sp. (Dasyproctidae) と Eospina sp.の歯の化石が見つかっており、これは始新世漸新世のSanta Rosa 動物相でも見つかっている。漸新世後期までに、全ての上科とほとんどの科の化石記録が現れる。

この時は既に南アメリカ大陸は全ての大陸から孤立していたが、孤立した南アメリカ大陸にどのように齧歯類が到達したかについては様々な説が提唱されてきた、ほとんどの説で、齧歯類の小さなグループが、マングローブまたは流木の上に乗り、海域を横切って移動したことが想定されている。

最も一般的な説では、テンジクネズミ形類全ての祖先が、当時は現在よりも狭かった大西洋を渡りアフリカからやってきたとされる[6][7]。これは分子系統解析からも裏付けられており、フィオミス形類Phiomorpha)(厳密にはデバネズミ科Bathyergidae)、アフリカイワネズミ科Petromuridae)、ヨシネズミ科Thryonomyidae))はテンジクネズミ形類の姉妹群とされる。実際、ラオスイワネズミが発見されるまで、現生のヤマアラシ顎下目の科は南アメリカとアフリカまたはアフリカを含む分布範囲(ヤマアラシ科)に限定されている。新世界ザルも同じ時期にアフリカから南アメリアに渡ったと考えられる[8]

テンジクネズミ形類は漸新世初期にカリブ海諸島バハマや大アンティル島に分布を広げた[9] 。 これはまた別の渡航拡散と考えられるが[10][11]、陸橋の形成によるとする説もある[9]

多様性

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テンジクネズミ形類は南アメリカに到達後に爆発的に多様化した。アメリカ有袋類など齧歯類に似たニッチにいる他の種に生存競争で勝っていった。主として植物食という特徴は保持したまま、サイズはラット大のアメリカトゲネズミEchimyidae)からバイソン大のPhoberomysまで多様した。

生態型としては、ツコツコなどの穴を掘るホリネズミのような型、アメリカヤマアラシや一部のアメリカトゲネズミなどの樹上型、マーラなどの走行型、カピバラヌートリアなどの水生型がある[5]。 生息地は、草原 (マーラ)、高山 (チンチラチンチラネズミ)、森端 (オマキヤマアラシ英語版)、密な熱帯林 (パカアクシ英語版) などである。

多くのテンジクネズミ形類の種はアメリカ大陸間大交差以降に中央アメリカに渡ったが、メキシコ北部以北に自然定着できたのはカナダヤマアラシのみである。(他、絶滅したカピバラ Neochoerus pinckneyi もこの「偉業」を成し遂げた)。 ヌートリアは北米に導入された外来種であることが証明されている。

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科の和名は川田ほか (2018) [12]による。

分子系統解析により分類にいくらかの変更が提案されていることに留意。パカラナ科Dinomyidae)は現在はテンジクネズミ上科Chinchilloidea)ではなくチンチラ上科Chinchilloidea)に属すと考えられている。チンチラネズミ科Abrocomidae)はデグー上科Octodontoidea)に属す可能性がある。カピバラテンジクネズミ科に含まれる。

脚注

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  1. ^ Albert E. Wood, “A Revised Classification of the Rodents,” Journal of Mammalogy, Volume 36, No. 2, American Society of Mammalogists, 1955, Pages 165–187.
  2. ^ Mckenna & Bell 1997, p. 191.
  3. ^ 冨田幸光『新版 絶滅哺乳類図鑑』伊藤丙雄・岡本泰子イラスト、丸善出版、2011年、127頁
  4. ^ エドウィン H. コルバート、マイケル モラレス、イーライ C. ミンコフ 「第24章 齧歯類とウサギ類」『コルバート 脊椎動物の進化 原著第5版』田隅本生訳、築地書館、2004年、359-372頁。
  5. ^ a b Vassallo & Antenucci 2015.
  6. ^ Lavocat 1969.
  7. ^ Huchon & Douzery 2001.
  8. ^ Oliveira, Felipe Bandoni de; Molina, Eder Cassola; Marroig, Gabriel, “Paleogeography of the South Atlantic: a Route for Primates and Rodents into the New World?”, South American Primates (New York, NY: Springer New York): pp. 55–68, ISBN 978-0-387-78704-6, https://doi.org/10.1007/978-0-387-78705-3_3 2022年7月11日閲覧。 
  9. ^ a b Vélez-Juarbe, J.; Martin, T.; Macphee, R. D. E.; Ortega-Ariza, D. (January 2014). “The earliest Caribbean rodents: Oligocene caviomorphs from Puerto Rico”. Journal of Vertebrate Paleontology 34 (1): 157–163. doi:10.1080/02724634.2013.789039. 
  10. ^ Hedges, S. Blair (November 1996). “Historical biogeography of West Indian vertebrates”. Annual Review of Ecology and Systematics 27 (1): 163–196. doi:10.1146/annurev.ecolsys.27.1.163. 
  11. ^ Hedges, S. Blair (2006-08-23). “Paleogrography of the Antilles and Origin of West Indian Terrestrial Vertebrates”. Annals of the Missouri Botanical Garden 93 (2): 231–244. doi:10.3417/0026-6493(2006)93[231:POTAAO]2.0.CO;2. 
  12. ^ 川田伸一郎・岩佐真宏・福井大・新宅勇太・天野雅男・下稲葉さやか・樽創・姉崎智子・横畑泰志 「世界哺乳類標準和名目録」『哺乳類科学』第58巻 別冊、日本哺乳類学会、2018年、1-53頁。
  13. ^ Fabre, Pierre-Henri; Vilstrup, Julia T.; Raghavan, Maanasa; Der Sarkissian, Clio; Willerslev, Eske; Douzery, Emmanuel J. P.; Orlando, Ludovic (July 2014). “Rodents of the Caribbean: origin and diversification of hutias unravelled by next-generation museomics”. Biology Letters 10 (7). doi:10.1098/rsbl.2014.0266. ISSN 1744-9561. PMC 4126619. PMID 25115033. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4126619/. 

参考文献

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