バランスオブゲーム

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バランスオブゲーム
第44回宝塚記念パドック(2003年6月29日)
欧字表記 Balance of Game[1]
品種 サラブレッド[1]
性別 [1]
毛色 鹿毛[1]
生誕 1999年4月22日(25歳)[1]
登録日 2001年4月26日
抹消日 2006年12月22日
フサイチコンコルド[1]
ホールオブフェーム[1]
母の父 アレミロード[1]
生国 日本の旗 日本北海道浦河町[1]
生産者 ヤマダファーム[1]
馬主 薗部博之[1]
調教師 宗像義忠美浦[1]
競走成績
生涯成績 29戦8勝[1]
獲得賞金 6億1768万5000円[1]
勝ち鞍
GII 弥生賞 2002年
GII セントライト記念 2002年
GII 毎日王冠 2003年
GII 中山記念 2005年・2006年
GII オールカマー 2006年
GIII 新潟2歳S 2001年
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バランスオブゲーム(欧字名:Balance of Game1999年4月22日 - )は、日本競走馬種牡馬[1]。主な勝ち鞍に2001年新潟2歳ステークス2002年弥生賞セントライト記念2003年毎日王冠2005年中山記念2006年の中山記念、オールカマー主戦騎手田中勝春

中央競馬におけるGII競走6勝は、歴代最多記録となっている[2]

経歴[編集]

1999年のセレクトセールで、競馬ゲーム『ダービースタリオン』の開発者である薗部博之によって、競り合いの末870万円で落札された。競った相手とみられる人物は岡田繁幸で、薗部に売却交渉を持ちかけてきたという[3]

2001年8月12日新潟競馬の新馬戦でデビュー。1番人気に応えて勝利する。続く新潟2歳ステークスレコードタイムを記録して優勝。2戦目にして重賞初勝利となった[4]。レース後、骨膜炎を発症していたことから休養が与えられた。

休養後は12月のGI朝日杯フューチュリティステークスに出走し(結果は4着)、レース後再び休養を経て翌2002年3月、皐月賞トライアル弥生賞に出走。同レースを逃げ切って優勝した[5]。その後、GIの皐月賞東京優駿ではそれぞれ8着、7着に敗れた。東京優駿の後は夏期休養が与えられ、復帰戦となった菊花賞トライアルのセントライト記念を優勝。続く菊花賞は5着に敗れ[6]、この年の競走を終えた。

2003年の初戦はアメリカジョッキークラブカップの予定であったがレースの数日前に顔面を負傷したため陣営は出走を回避し、中山記念に出走。このレースで2着になったのを皮切りに日経賞2着、金鯱賞4着と堅実な成績を収めた。宝塚記念で11着に敗れて前半シーズンを終え、後半シーズンは毎日王冠から始動しレコードタイムで優勝した。この頃から陣営はバランスオブゲームに1800mを超えるレースでは詰めが甘くなるという傾向を感じ取っており、次のレースには天皇賞(秋)ではなくマイルチャンピオンシップが選ばれた(結果は4着)。

2004年の初戦には大阪杯が選ばれ、4着になった。レース振りから前半シーズンの目標には1600mの安田記念が選ばれ、3着に好走。8月には札幌記念に出走し2着になった。その後天皇賞(秋)、マイルチャンピオンシップでは9着、8着に敗れ、この年は勝利を挙げることができないまま競走を終えた[7]

2005年は初戦の中山記念で久々の勝利を飾る。この年は他のレースでも好走はしたものの勝利を挙げることができなかった。2006年フェブラリーステークスを目標に初めてのダート戦となる根岸ステークスに出走したが11着に敗れ、計画は撤回された。次のレースには中山記念が選ばれ、逃げ切って優勝。グレード制導入以後初の中山記念連覇を達成した。続く安田記念では17着に敗れたが、宝塚記念では得意の渋った馬場で逃げて3着に粘った。夏期休養を挟み、秋初戦はオールカマーに出走。好位から抜け出して、日本記録となるGII6勝目を挙げた[2]。次走には15回目のGI挑戦となる天皇賞(秋)が選ばれたが、レース直前の調教後に左前浅屈腱不全断裂を発症[8]。競走能力を喪失し、競走馬を引退した[9]

引退後[編集]

引退後は種牡馬となり、アロースタッドで繋養される。2012年に種牡馬を引退、苫小牧市のノーザンホースパークで乗馬となる[10]。 2021年現在は、乗馬クラブクレイン竜ヶ崎で現役の乗馬である[11]

主な産駒[編集]

競走成績[編集]

競走日 競馬場 競走名 距離(馬場)


オッズ
(人気)
着順 タイム
(上り3F)
着差 騎手 斤量
[kg]
1着馬(2着馬) 馬体重
[kg]
2001.08.12 新潟 2歳新馬 芝1000m(良) 13 1 1 002.50(1人) 01着 R0:56.3(32.9) -0.1 0田中勝春 53 (ソルジェンテ) 456
0000.09.02 新潟 新潟2歳S GIII 芝1400m(良) 10 3 3 019.70(5人) 01着 R1:21.7(35.4) -0.3 0木幡初広 54 (スターエルドラード) 454
0000.12.09 中山 朝日杯FS GI 芝1600m(良) 16 7 14 010.40(4人) 04着 R1:34.1(35.4) -0.3 0木幡初広 55 アドマイヤドン 468
2002.03.03 中山 弥生賞 GII 芝2000m(良) 11 4 4 013.40(4人) 01着 R2:02.0(34.6) -0.1 0田中勝春 56 ローマンエンパイア 464
0000.04.14 中山 皐月賞 GI 芝2000m(良) 18 1 1 015.20(7人) 08着 R1:59.3(36.3) -0.8 0田中勝春 57 ノーリーズン 460
0000.05.26 東京 東京優駿 GI 芝2400m(良) 18 7 15 030.1(10人) 07着 R2:26.9(36.2) -0.7 0田中勝春 57 タニノギムレット 458
0000.09.15 新潟 セントライト記念 GII 芝2200m(良) 17 6 12 003.90(2人) 01着 R2:12.9(34.6) -0.2 0田中勝春 56 アドマイヤマックス 458
0000.10.20 京都 菊花賞 GI 芝3000m(良) 18 8 16 014.10(6人) 05着 R3:06.5(35.7) -0.6 0田中勝春 57 ヒシミラクル 454
2003.03.02 中山 中山記念 GII 芝1800m(重) 12 7 9 008.00(4人) 02着 R1:47.9(36.0) -0.3 0田中勝春 57 ローエングリン 478
0000.03.29 中山 日経賞 GII 芝2500m(良) 10 4 4 002.00(1人) 02着 R2:31.5(36.1) -0.2 0木幡初広 57 イングランディーレ 476
0000.05.31 中京 金鯱賞 GII 芝2000m(稍) 14 6 10 004.30(2人) 04着 R1:59.2(35.5) -0.3 0田中勝春 58 タップダンスシチー 472
0000.06.29 阪神 宝塚記念 GI 芝2200m(良) 17 6 12 067.3(11人) 11着 R2:13.5(38.2) -1.5 0武幸四郎 58 ヒシミラクル 460
0000.10.12 東京 毎日王冠 GII 芝1800m(稍) 11 6 7 015.70(5人) 01着 R1:45.7(34.6) -0.4 0田中勝春 58 (トーホウシデン ) 468
0000.11.23 京都 マイルCS GI 芝1600m(良) 18 5 10 006.90(4人) 04着 R1:33.6(34.6) -0.3 0田中勝春 57 デュランダル 472
2004.04.04 阪神 産経大阪杯 GII 芝2000m(稍) 11 8 11 005.90(2人) 04着 R1:59.9(35.6) -0.3 0田中勝春 58 ネオユニヴァース 478
0000.06.06 東京 安田記念 GI 芝1600m(稍) 18 8 16 009.00(5人) 03着 R1:32.8(34.9) -0.2 0田中勝春 58 ツルマルボーイ 472
0000.08.22 札幌 札幌記念 GII 芝2000m(良) 11 3 3 003.30(2人) 02着 R2:00.5(36.0) -0.1 0田中勝春 57 ファインモーション 478
0000.10.31 東京 天皇賞(秋) GI 芝2000m(稍) 17 8 15 013.90(8人) 09着 R2:00.5(36.0) -1.6 0田中勝春 58 ゼンノロブロイ 470
0000.11.21 京都 マイルCS GI 芝1600m(良) 16 5 9 032.40(8人) 08着 R1:34.0(35.2) -1.0 0田中勝春 57 デュランダル 470
2005.02.27 中山 中山記念 GII 芝1800m(良) 14 7 11 007.60(4人) 01着 R1:46.5(34.8) -0.1 0田中勝春 58 カンパニー 478
0000.06.05 東京 安田記念 GI 芝1600m(良) 18 4 8 019.2(12人) 07着 R1:32.8(34.9) -0.5 0田中勝春 58 アサクサデンエン 470
0000.10.09 東京 毎日王冠 GII 芝1800m(稍) 17 3 6 009.20(5人) 04着 R1:47.0(33.7) -0.5 0田中勝春 58 サンライズペガサス 470
0000.10.30 東京 天皇賞(秋) GI 芝2000m(良) 18 8 18 082.9(16人) 11着 R2:00.7(33.8) -0.6 0田中勝春 58 ヘヴンリーロマンス 470
0000.11.20 京都 マイルCS GI 芝1600m(良) 17 5 9 114.7(13人) 05着 R1:32.4(35.0) -0.3 0木幡初広 57 ハットトリック 476
2006.01.29 東京 根岸S GIII ダ1400m(良) 16 6 11 018.50(8人) 11着 R1:24.6(37.3) -0.9 0木幡初広 58 リミットレスビッド 488
0000.02.27 中山 中山記念 GII 芝1800m(重) 12 5 6 015.40(6人) 01着 R1:48.9(35.6) -0.8 0田中勝春 59 ダイワメジャー 484
0000.06.04 東京 安田記念 GI 芝1600m(良) 18 6 12 022.90(9人) 17着 R1:35.4(37.1) -2.8 0田中勝春 58 ブリッシュラック 474
0000.06.25 京都 宝塚記念 GI 芝2200m(稍) 13 8 13 066.80(9人) 03着 R2:13.8(36.6) -0.8 0田中勝春 58 ディープインパクト 468
0000.09.24 中山 オールカマー GII 芝2200m(良) 15 3 5 005.50(4人) 01着 R2:12.1(35.6) -0.0 0田中勝春 58 コスモバルク 474
  • タイム欄のRはレコード勝ちを示す。

エピソード[編集]

2004年放送のフジテレビ721・『ゲームセンター「CX」』に薗部が出演した際、「(この馬はGIでは足りないので)最多GII獲得馬になってほしい」と夢を語っており、その夢が実現された。

GI勝利こそ無いが、GIで掲示板に乗った回数は6回あった(最高着順は2004年安田記念と2006年宝塚記念の3着)。このようにGIIでの勝利および好走が多く、GIでは今ひとつの成績であることから、「GII番長[13]」と揶揄する競馬ファンもいる。田中勝春も2007年皐月賞までJRAのGIは100戦以上連敗していたため、境遇が似ていた。

血統表[編集]

バランスオブゲーム血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 ニジンスキー系
[§ 2]

フサイチコンコルド
1993 鹿毛
父の父
Caerleon
1980 鹿毛
Nijinsky Northern Dancer
Flaming Page
Foresser Round Table
Regal Gleam
父の母
バレークイーン
*Ballet Queen
1988 鹿毛
Sadler's Wells Northern Dancer
Fairy Bridge
Sun Princess *English Prince
Sunny Valley

ホールオブフェーム
1991 黒鹿毛
アレミロード
*Allez Milord
1983 鹿毛
Tom Rolfe Ribot
Pocahontas
Why Me Lord Bold Reasoning
Tomorrowland
母の母
ベルベットサッシュ
1986 鹿毛
*ディクタス
Dictus
Sanctus
Doronic
ダイナサッシュ *ノーザンテースト
*ロイヤルサッシュ
母系(F-No.) 1号族(FN:1-t) [§ 3]
5代内の近親交配 Northern Dancer4×4×5=15.63% [§ 4]
出典
  1. ^ JBISサーチ バランスオブゲーム 5代血統表2017年9月6日閲覧。
  2. ^ netkeiba.com バランスオブゲーム 5代血統表2017年9月6日閲覧。
  3. ^ JBISサーチ バランスオブゲーム 5代血統表2017年9月6日閲覧。
  4. ^ netkeiba.com バランスオブゲーム 5代血統表2017年9月6日閲覧。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o バランスオブゲーム”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2022年12月20日閲覧。
  2. ^ a b ラジオNIKKEI - 競馬実況web - GII史上最多勝6勝のバランスオブゲームが引退”. keiba.radionikkei.jp. 2022年3月29日閲覧。
  3. ^ 「杉本清の競馬談義 (199) ゲスト・ゲームデザイナー 薗部博之さん」『優駿』、日本中央競馬会、2001年11月、60頁。 
  4. ^ なお、最終的に重賞を7勝する同馬であるが、田中勝春以外の騎手が騎乗して重賞を勝ったのはこの時だけである
  5. ^ 騎乗した田中勝春曰く、レース序盤は力んで走っていたが、途中で内ラチに止まっているカラスを見て落ち着きを取り戻した。
  6. ^ 田中勝春は菊花賞について「ミスをしていなければ勝っていたレース」と回顧している。
  7. ^ なお、この年に重賞を勝っていたらドウカンヤシマの6年連続重賞勝利に並ぶ快挙を達成していたことになる。
  8. ^ ケガが発覚した直後、馬主の薗部は母校早稲田大学での講演会において、自分の生活リズムが夜型の人間だということを調教師も知っているので、普段は夕方頃に連絡が入るが朝方に電話がかかってくるのは大抵悪い知らせであること、そしてその日も朝に電話があったということなどを語った。
  9. ^ GII史上最多勝6勝のバランスオブゲームが引退”. ラジオNIKKEI. 2022年3月12日閲覧。
  10. ^ 『優駿』2013年4月号、168頁。 
  11. ^ クレイン所属の元競走馬たち:クレインおすすめ”. 乗馬クラブクレイン. 2022年3月29日閲覧。
  12. ^ マウンテンダイヤ | 競走馬データ”. netkeiba.com. 2022年3月29日閲覧。
  13. ^ 【馬じぃの継続は非力なり】GII番長の再来?”. 予想王TV@SANSPO.COM (2014年3月1日). 2022年3月29日閲覧。
  14. ^ 2014年ダイヤモンドSレース結果 - netkeiba.com 2015年2月28日閲覧
  15. ^ 2015年ダイヤモンドSレース結果 - netkeiba.com 2015年2月28日閲覧

参考文献[編集]

  • 田中直成「記憶の中の名馬 バランスオブゲーム」『週刊Gallop』2008年7月27日号 - 8月17日号、産業経済新聞社

外部リンク[編集]