フィアレス級揚陸艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
フィアレス級強襲艦
基本情報
種別 ドック型輸送揚陸艦(LPD)
運用者  イギリス海軍
建造期間 1962年 - 1964年
就役期間 1965年 - 2002年
建造数 2隻
前級 セントー級 (コマンド母艦)
次級 アルビオン級
要目
常備排水量 11,060 t
満載排水量 12,120 t(漲水時:16,950 t)
全長 158.5 m
最大幅 24.4 m
吃水 6.3 m (漲水時9.15 m)
ボイラー 2缶 (39 kgf/cm2, 454℃)
主機 蒸気タービン×2基
推進器 スクリュープロペラ×2軸
出力 22,000 shp
速力 最大21ノット
航続距離 5,000海里 (20kt巡航時)
乗員
  • 士官36名+曹士520名
  • 地上部隊380〜700名
兵装
  • Mk.9 60口径40mm単装機銃×2基
  • シーキャット短SAM発射機×4基
  • 搭載機 ヘリコプター甲板のみ
    搭載艇
    C4ISTAR CAAIS戦術情報処理装置
    レーダー
    • 994型 対空・対水上捜索用
    • 978型 航法用
    電子戦
    対抗手段
  • 電波探知装置
  • DLC 8連装デコイ発射機×2基
  • テンプレートを表示

    フィアレス級強襲艦英語: Fearless-class assault ships)は、イギリス海軍が運用していたドック型輸送揚陸艦(LPD)の艦級[1][2]

    設計[編集]

    公式にはあえて認められていないが、実質的には、アメリカ海軍ローリー級ドック型輸送揚陸艦の縮小版である[2]蒸気タービン機関を採用しており、ボイラーの蒸気性状は圧力550 lbf/in2 (39 kgf/cm2)、温度454℃であった[1]

    揚陸部隊400名(短期間であれば700名)を乗艦させることができる。また車両甲板は戦車甲板と軽車両甲板に分けられており、合計で、戦車15両とトラック27両を搭載できた[2]上陸用舟艇としては、ダビット英語版LCVP Mk.2型車両人員揚陸艇(人員35名または半トントラック1両搭載可能)4隻を、またウェルドックにはLCM(9)型機動揚陸艇チーフテン戦車2両搭載可能)4隻を搭載できた。なお艦尾甲板はヘリコプター甲板とされており、4〜6機のヘリコプターを運用できるが、ハンガーは設けられていない[1]

    なお、兵装としては当初は諸元表の通りの装備を搭載していたが、1980年代に、シーキャット発射機のうち艦後方に搭載されていた2基は撤去され、「フィアレス」ではファランクス 20mmCIWSに換装されたほか、GAM-B01 20mm単装機銃も追加装備された。また同艦ではNAUTIS-L指揮統制システムも搭載した[1]。「イントレピッド」も同様の改修を検討したものの、状態が悪かったために断念され、かわって75口径30mm連装機銃が搭載された[2]

    配備[編集]

    1976年、国防予算削減を受けて、「フィアレス」は練習艦に、また「イントレピッド」は予備役編入とされた。「イントレピッド」は、1979年から1981年にかけて、「フィアレス」が近代化改修を行った際には一時的に現役復帰したものの、その後は再度予備役編入され、アルゼンチンへの売却も取り沙汰されていた。しかしフォークランド紛争を受けて緊急で現役復帰することになった。「フィアレス」は4月6日に、また「イントレピッド」は同26日に、海兵隊第3コマンドー旅団を乗艦させて出撃している[3]

    同型艦一覧
    # 艦名 建造所 起工 進水 就役 退役 備考
    L 10 フィアレス
    HMS Fearless
    ハーランド・アンド・ウルフ 1962年
    7月25日
    1963年
    12月19日
    1965年
    11月25日
    2002年
    3月18日
    2008年、ベルギーヘント港で解体
    L 11 イントレピッド
    HMS Intrepid
    ジョン・ブラウン・アンド・カンパニー 1962年
    12月19日
    1964年
    6月25日
    1967年
    3月11日
    1999年
    8月31日
    2008年9月、解体のためリバプールへ曳航

    脚注[編集]

    1. ^ a b c d Bernard Prezelin (1990). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 1990-1991. Naval Institute Press. p. 721. ISBN 978-0870212505 
    2. ^ a b c d Robert Gardiner, ed (1996). Conway's All the World's Fighting Ships 1947-1995. Naval Institute Press. p. 534. ISBN 978-1557501325 
    3. ^ 藤木平八郎「生まれ変われるか?英揚陸作戦部隊」『世界の艦船』第479号、海人社、1994年4月、82-85頁。 

    外部リンク[編集]