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ドンキーコング64

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ドンキーコング64
Donkey Kong 64
ジャンル アクションアドベンチャー
対応機種 NINTENDO 64[N64]
Wii Uバーチャルコンソール[VC]
開発元 レア
発売元 任天堂
プロデューサー 宮本茂
ディレクター ジョージ・アンドレアス
プログラマー クリス・サザーランド[1]
音楽 グラント・カークホープ
美術 マーク・スティーブンソン
シリーズ ドンキーコングシリーズ
人数 本編:1人
対戦:2-4人
メディア [N64]カセット
発売日 NINTENDO 64
アメリカ合衆国の旗 1999年11月22日
欧州連合の旗 1999年12月6日
日本の旗 1999年12月10日
Wii Uバーチャルコンソール
日本の旗 2015年4月2日
対象年齢 CEROA(全年齢対象)
ESRBE(6歳以上)
デバイス 起動にはメモリー拡張パックが必要
売上本数 日本の旗 110万本[2]
世界の旗 527万本[3]
その他 振動パック対応
ワイドTV対応
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ドンキーコング64』(DONKEY KONG 64)はレア社が開発し、任天堂が発売したNINTENDO 64用のゲームソフトプラットフォーム・ゲーム)。ドンキーコングシリーズの1作であり、シリーズ初の3D作品である。1999年11月22日に北米で、同年12月6日に欧州で、同年12月10日に日本で発売された。

プレイヤーはゴリラのドンキーコングを操作し、それぞれテーマ別に特徴のあるステージを探索してアイテムを集めたり、捕らえられた仲間を助け出し、宿敵キングクルールを倒すことを目的とする。

助け出した仲間たちも操作可能であり、ドンキーコングを含めて、それぞれが固有の特殊能力を持つ5匹のキャラクター(コング)を適宜切り替えながら、ステージ探索やミニゲーム、パズルをクリアしてバナナやコインといった収集物を集めていく。また、マルチプレイでは最大4人まで参加可能なミニゲームで遊ぶことができる。

概要

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本作の開発は『スーパードンキーコングシリーズ』(1994年 - 1996年)の後、3年の開発期間で1997年から開始された。同社の『バンジョーとカズーイの大冒険』シリーズの制作スタッフからも多くの人材を迎え、16人のチームで1999年に完成して、11月に北米で、12月に全世界で発売された。本作はNINTENDO 64の「メモリー拡張パック」を必要とする最初のゲームだった。マーケティングでは広告・懸賞・全国ツアーと2200万ドルが費やされた。

本作は全世界で高い評価を受け、1999年のホリデーシーズンにおいて任天堂のトップセラーとなり、2004年までに230万本が販売された。1999年のE3ゲーム批評家賞のベストプラットフォームゲーム賞をはじめ、各雑誌のゲーム賞でも複数の賞やノミネートを受けた。批評においては異例の容量の大きさとプレイ時間の長さが賞賛されたが、カメラ操作の悪さやアイテム収集に力点が置かれたこと、また繰り返させる手法など批判もあった。

レア社の前作『バンジョーとカズーイの大冒険』(1998年)とゲームスタイルやビジュアルも似ている点を挙げる意見もあった。『スーパードンキーコング』シリーズの革新的な影響には及ばないが、それでもNINTENDO 64において最高の3Dアクションの1つだと評される。

本作はレア社が2002年にMicrosoftに買収される前の最後のドンキーコングシリーズ作品となった。後の回顧的なレビューにおける賛否は様々であり、批評家によってはレア社作品の特徴であった収集系アドベンチャーの退屈さを象徴した作品と評すものもある。起動時オープニングの「モンキーラップ(DKラップ)」は最悪のゲーム音楽として挙げられることがあるが、十数年後に人気が急浮上した。2015年に任天堂のWii Uバーチャルコンソールで再リリースされた。

ゲーム内容

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『ドンキーコング64』はプレイヤーがドンキーコングとその仲間たちになってDKアイランドという島を探索し、アイテムを集めてミニゲームやパズルを解き進めていく3Dアクション・アドベンチャーゲームである[4][5]。プレイヤーはドンキーコングを操作して、囚われた仲間たちを救出しながらキングクルールの目的を阻止するためにゲーム世界内を冒険する[5]

ゲーム内ではパズルといったミニゲームをクリアしながら通常とゴールデンの2種類のバナナを収集していく。通常のバナナは操作可能キャラクターごとに色が異なり、一定数集めるとステージごとにバナナメダルが与えられ、また各ステージのボスに挑む際に必要となる。そしてゴールデンバナナは新しいステージにアクセスするために一定数ごとに必要となる[6]

パズルゲームのほとんどはシンプルであり、アイテムの並び替えやスイッチやタイルの操作、トランプゲームの神経衰弱のような絵合わせゲームなどがある。ミニゲームにはレースやトロッコに乗ったり、キャラクターを撃ち出すバズーカバレルを操作していくものなどがある。プレイヤーは新しい武器や能力のロックを解除するためにバナナコインや収集物を集める必要がある。他のレア社のゲームのように、プレイヤーはしばしば破壊不可能なオブジェクトに行く手を阻まれたり、深い穴や急な坂道などそれ以上先に進むことができないエリアに遭遇することがあるが、これを乗り越えるために新しい能力を取得する必要がある[5]

ドンキーコングの仲間は救出すると操作可能になる[7]。5体のキャラクターはゲームの進行によって固有能力をクランキーコングから購入でき、さらにコングバレルを使ってさらに強力な能力を獲得できる。さらにキャラクターはそれぞれ個性的な武器や楽器を使用する。単純に敵を倒すだけではなく、それらを使用することで初めて進めるようになるエリアも存在する。

特殊能力はコントローラーのボタンの数より多いため、一部は発動に複数のボタンを組み合わせる必要がある。ボタンにはカメラアングルの変更、スナイパーモード、写真モードに切り替えるものがある。オプションのハードウェアサポートにはワイドスクリーンモードと振動パックが含まれる[8]

ストーリー

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クレムリン軍団の王・キングクルールドンキーコングたちへの復讐をするため、新兵器「ブラストマティック」でDKアイランドをまるごと破壊しようと企む[4][6]。ところが手下の操縦ミスで巨大な移動要塞が岩に激突し、要塞に搭載していたブラストマティックが破損してしまう。そこでキングクルールはドンキーの仲間達をさらい、「ゴールデンバナナ」を各地に隠すことで修理の時間を稼ぐ事にした。仲間がさらわれた事に気づいたドンキーは、仲間を探し出してクルールを倒すためにクレムリン軍の本拠地へ向かう。

キャラクター

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ザ・コングクルー

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操作可能なコングたち。それぞれ性能が異なり、同じアクションを使っても移動力が異なる上、攻撃面においてもそれぞれのコングは得意とするアクションが違う。

ドンキーコング
声 - グラント・カークホープ
本作の主人公で、最初から使えるコング。能力は平均的だが力は強い。特に走りながらのローリングアタックや、立ち止まって攻撃した時のハンドスラップが強い。特定のレバーを引く「ゴリラハンド」が使える。武器はライフルのような形をした「ココナッツ・キャノン」を使える。
ディディーコング
声 - クリス・サザーランド
行動が素早く、尻尾が長いので攻撃範囲も広いが、パワーは多少劣る。走りながらの横トンボ返りや、高い跳躍を活かした攻撃が得意。助走をつけて頭突きする事で壁のスイッチや特定の壁を破壊する「ディディータックル」が使える。
ランキーコング
声 - ケヴィン・ベイリス
攻撃は伸びる手を使った物が大半で、リーチが長くその場で直接殴る攻撃が得意。逆立ちする事で急な坂を上れる「ハンドウォーク」が使える。
タイニーコング
声 - ケヴィン・ベイリス
直接攻撃は的確な打撃を行うため強力。頭のツインテールを利用してホバリングを行う「くるくるパラシュート」が使える。
チャンキーコング
声 - ケヴィン・ベイリス
ドンキー以上の巨体で、パワーは強いが行動は鈍く扱いづらい。攻撃は手数やスピードで勝負する。丸い岩を持ち上げる事ができる他、一部の壁や木箱などを破壊する溜め技「パンチパンチ」が使える。

コングファミリー

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ファンキーコング
声 - ケヴィン・ベイリス
武器商人として登場し、飛び道具の武器を販売する。
キャンディーコング
声 - ケヴィン・ベイリス
今回は楽器店を開いており、画面内の敵を全滅させる楽器を販売する。
リンクリーコング
教師前作の後死亡して幽霊になったが、引き続きコング達のサポートを続ける。各ステージ入口でヒントを与える。
クランキーコング
リンクリーの夫。ラボに篭もりの発明を行っている。自ら発明した薬を販売しており、新しいアクションの習得が可能。さらにバナナメダルを15個集めて彼のところに持っていくとミニゲームを遊べる。

アイテム

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バナナ
ボスステージの扉を開けるのに必要なアイテム。各ステージに5色計500本が置かれている。自キャラの色と違う色のバナナは取れない。
バナナコイン
DKアイランドの通貨。自キャラの色と違う色のコインは取れない。
設計図
カスプラットを倒すと手に入る。スナイドに渡す事で効果を発揮する。各キャラごとに8枚ある。
ゴールデンバナナ
各ステージに5体の操作キャラごとに5つずつ設置されている[5]。一定数持っていないと先へ進めない。N64マークが描かれたラベルが貼られている。

タル

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タッグバレル
このタルに入ると操作可能なキャラを変更できる[9][10]
バズーカバレル
旧称「タル大砲」。入ると空中に飛ばされる。自動発射式と手動発射式の2種類が存在。
コングバレル
バレルに描かれたコングが入ると、時間と共にクリスタルココナッツを消費する強力なアクションを行える。
  • ドンキー:「ストロングDK」。無敵状態になる。敵はもちろん溶岩などの地形のダメージも受けなくなる。体当たりにダメージ判定はない。
  • ディディー:「バレルジェット」。ジェットパックを背中に装備して空を飛べる。飛行中も武器が使用可能。解除方法は他のコングと異なり着地である。
  • ランキー:「ハンドスプリント」。スピードが格段に速いハンドウォークが可能。
  • タイニー:「ミクロコング」。体が小さくなり、小さな穴や隙間を通り抜けられるようになる。
  • チャンキー:「グレートチャンキー」。巨大化する。ザコ敵なら触れただけでも倒せる。更に大きな丸い岩を持ち上げたり、通常では登れない太い木に登れたりする。
アニマルコンテナ
描かれているアニマルに変身して操作できる[11]。ドンキーはランビ、ランキーはエンガードに変身可能。またアニマルの描かれた壁を破壊出来る。
ランビ
サイ。ドンキーから変身できる。操作性に難はあるがを使った攻撃や障害物の破壊は強力で、一切のダメージを受けない。
エンガード
カジキ。ランキーから変身できる。泳ぎが速くなりで邪魔な障害物を壊せる。敵は倒せないが一切のダメージを受けない。

パッド

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ワープパッド
同一エリア内をワープ移動できるパッド[9][10]。1-5の数字が書いてあり、同じ数字のパッドの間をワープ出来る。
コングパッド
パッドに描かれたコングが上に乗ると、それぞれに対応した効果が現れる。
  • ドンキー:「バレルブラスト」。上空のバズーカバレルコースに行き、アイテムを入手可能。
  • ディディー:「スプリングテール」。尻尾で大ジャンプできる。
  • ランキー:「ランキーバルーン」。身体が膨らみ。一定時間風船のように浮かび上がれる。
  • タイニー:「タイニーワープ」。無条件に利用できるワープパッド。
  • チャンキー:「ゴリラゴーン」。身体が透明になり、特定の仕掛けの回避・隠しアイテムの使用が可能。

本編以外の収録ゲーム

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ランビ・アリーナ

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フェアリーを6匹集め、かつ「アドベンチャー」でランビに変身していると、メインメニューの「ミステリー」から遊べる様になるゲーム。サイのランビを操作して、スタジアム内に次々出現するノーティを倒していき、60秒間にどれだけスコアを稼げるかを競う。

エンガード・アリーナ

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フェアリーを6匹集め、かつ「アドベンチャー」でエンガードに変身していると、メインメニューの「ミステリー」から遊べる様になるゲーム。カジキのエンガードを操作して、入り組んだプールに多数配置されているDKスターをくぐっていき、60秒間にどれだけスコアを稼げるかを競う。

JETPAC

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初期のレア作品の復刻版『JETPAC[5]。クランキーのラボで遊べる。レーザーを発射し宇宙人と戦いながらアイテムを集める。5000点以上稼ぐと、レアコインが手に入る。また、フェアリーを6匹集めてレアコインを手に入れると、メインメニューの「ミステリー」からいつでも遊べるようになる。

DKアーケード

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ドンキーコングの元祖作品『ドンキーコング』の復刻[5]。マッド・ファクトリー内に置いてあり、1周目をクリアするとゴールデンバナナが、2周目をクリアするとN64コインが手に入る。周回ごとに難易度は上がる。フェアリーを6匹集めてN64コインを手に入れると、メインメニューの「ミステリー」からいつでも遊べる様になる。

コングバトル

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2-4人で対戦可能なマルチモード。プレイするには「アドベンチャー」でクラウンを1個以上手に入れる必要がある。使用するコング・対戦ルール・ステージを決定した上で、フィールド上で互いに攻撃して勝敗を決定する。各ゲームにはいくつかのサブ設定があり、時間やスコアを調整することができる[8]

バトルアリーナ

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本編でも使われた狭い円形のステージでプレイヤー同士が戦い合い、武器や爆発物を使って相手を場外に落とすこと目的とする[5]。ここではランニングアタックが不可能な代わりに防御が可能で、防御中は相手の通常の攻撃を受けないが、防御中を表す半透明のスイカが時間と共に小さくなっていき、これが消えると防御は効かなくなる(時間経過で回復)。2人対戦に限り本編で登場した敵がランダムに登場して戦いに参加する。

モンキースマッシュ

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箱庭型のデスマッチスタイルのミニゲームで、最大4人のプレイヤーが競い合い、本編に登場する投射武器を使って自分のライフをすべて失う前に、他のプレイヤーを打倒するものである[5]。用意された3種類のオリジナルステージを使用する。

ルール

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サバイバル
残機制で時間は無限。倒されるたびに残機を消費し、残機ストックが尽きると脱落。最後まで生き残った人の勝ち。
スマッシュ
時間・残機共に無限。相手プレイヤーを最初に指定した回数倒した人の勝ち。
時間制
文字通りの時間制で残機は無限。時間切れになった時点で相手プレイヤーを最も多く倒していた人の勝ち。
コイン集め
時間制で残機は無限。ステージ中央に次々出現するコインを集める。時間切れになった時点でコインを最も多く持っていた人の勝ち。コインキャッチ
時間制で、残機は無限。ステージ中央に1枚のみ出現するコインを奪い合う。時間切れになった時点でコインを持っていた人の勝ち。
コインキャッチ+パッド
時間・残機共に無限。ステージ中央に1枚のみ出現するコインを奪い合い、コインを持った状態でステージの4箇所にあるパッドを踏むとスコアが加算される。最初にスコアを満たした人の勝ち。

ステージ

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ステージは各ステージにアクセスする基本エリアと、各テーマごとに分かれた7つのエリアの合計8ステージがある[4][6]。DKアイランド以外のステージは一定数以上のゴールデンバナナがないと入れない。

DKアイランド
コング達の活動の拠点となる基本エリア。ゲームは進行に関係無く毎回ここから始まる。
ジャングルガーデン
広大なジャングルを中心としたステージ。洞窟もいくつか存在し雷雨のエリアもある。ここでディディーと再会する。
アステカンウインド
砂漠地帯に散在する遺跡群が舞台。それぞれの神殿内には複雑な謎解きが用意されている。また熱砂の中に入るとダメージを受ける上、移動速度も低下する。ここでランキーとタイニーを救出できる。またキャンディーコングはこのステージから登場する。
マッドファクトリー
潰れたおもちゃ工場が舞台。ほとんどの機能が停止した今も、多くの従業員や逃げ出したロボットが徘徊する。発電機関や倉庫も探索することになる。このステージでチャンキーを救出できる。
ガリオンとうだい
薄暗い渓谷のステージ。地上、・灯台の湖・沈没船の湖の3つのエリアを行き来する。灯台の湖の水中にあるスイッチで水位を変えられる。
ひるよるウッド
ジャングルガーデンと似た雰囲気のステージだが昼夜の条件が追加されており、特定の時間でないと発生しないイベントが多い。なお昼と夜は中央の時計台で任意に変更出来る。
クリスタルどうくつ
薄暗い鍾乳洞を探検する事になる。暗く地形が見えにくい上に足場が狭い地形が多く、落ちると復帰が難しい。また巨大なクラッバがとある場所に陣取っており、定期的に鍾乳石を落としてくる。
ゾゾゾ〜キャッスル
高い崖の上に作られた不気味な古城と、雷雨が降り注ぐ周囲の庭が舞台。奈落に落ちたり緑色の酸液に触れるとその時点でアウトになる。
ハイドアウト
本拠地内部
キングクルールやクレムリン軍団の要塞内部で、本作の最終ステージ。今までのステージの集大成ともいえる構造になっており、道中には様々な仕掛けが張り巡らされている。制限時間内にブラストマティックの電源を全て切る必要があり、そのためには10個のドラム缶に入ってミニゲームをクリアする必要がある。制限時間が過ぎるとブラストマティックが発動してゲームオーバーとなり、自動的にタイトル画面に戻され、ステージの最初からやり直しになる(オプションで『ゲームをやめる』を選択した時と同様)。

開発

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1990年代半ばにリリースされた『スーパードンキーコング』シリーズで成功を収めたレア社は、次のドンキーコング作品においてもそのプレイスタイルを踏襲したが、直接的な続編とはしなかった[12]。本作の開発は同社のグレッグ・メイルズが主導し[13]、企画は『スーパードンキーコング3 謎のクレミス島』(1996年)リリース直後の1997年から始まった[14][15]。当初は磁気ディスクを用いた64DDでのリリースを想定していたが、64DD自体が開発遅延したことで最終的には断念し、カートリッジ式の開発に移行した[16]

16人のチームが3年かけて開発に参加し、後半にはさらに8人が加わった[17][18]。多くの開発者は『バンジョーとカズーイの大冒険』(1998年)や『バンジョーとカズーイの大冒険2』(2000年)を担当した同社のバンジョーチームから移行した者だった[19]。本作は『バンジョー』で用いられたゲームエンジンを使って開発が進められた[13]。レア社は当初、本作を『スーパードンキーコング』シリーズのような伝統的なリニア系(進行が直線的に展開するゲームのこと)として構想し、設計していた。NINTENDO 64はまだ新しく、社内には共通のゲームエンジンも無かった。リニアバージョンは約18ヶ月に渡って開発されたが、製品版を考慮して中断された[18]

リードアーティストのマーク・スティーブンソンは、本作のキャラクターのアニメーションモデリングは何もないところから始まったと語っている。『スーパードンキーコングシリーズ』の開発環境ではPowerAnimatorを使ってNURBサーフェスでプリレンダリングとモデリングが行われていたが、本作で必要だったリアルタイムでの3Dグラフィックのためにはポリゴンのみで行わなければならなかった。そこでチームは新しい開発ツールである「Gamegen」を使用した。ただコングたちの口の中などは、プリレンダリングされたモデルを参考にしたポリゴンモデルやテクスチャを使用した[20]

リアルタイム・グラフィックスは、『スーパードンキーコング』シリーズのような緻密なプリレンダリング・グラフィックスの再現はできない代わりに、キャラクターをより表情豊かにすることを可能にした[18]。ただ満足のいくキャラクターモデルを制作することは困難であった。このことについてスティーブンソンは「キャラクターはどの角度からも見ることができるんだ。だからアニメーションを制作してゲームに入れた時、横からなら良さそうに見えても、別の角度から見たら最悪だ!なんてことがある」と語っている[21]。また3Dゲームの黎明期であったために、ドンキーコング64のモデルはプリレンダリングの『スーパードンキーコングシリーズ』のものより常に悪く見えた、とも述べている[20]

収集要素を強く打ち出したのは『バンジョーとカズーイの大冒険』とゲームデザインの差別化を図ろうとしたレア社の共同設立社ティム・スタンパーの要望であった。ディレクターのジョージ・アンドレアスは「私はいつも彼のとこに行って『これでどうです』と言うと、彼は『ダメだ。もっとたくさんだ』と返されるんだ」と述べている[21]。当時を振り返って、アンドレアスは自制することが大事だったとし、とりわけ色分けされたバナナのシステムなどを統一したかったことを挙げている。

他にもレア社は『バンジョーとカズーイの大冒険』との差別化のために、多様な操作可能キャラクター、映画のようなセットピース、そして派手なボス戦を試みた。アンドレアスによれば、開発段階のデモンストレーションでドンキーコングの生みの親でもある宮本茂に見てもらった際、宮本はドンキーがリアルなショットガンを撃つのを見て驚愕し、最終的にゲームに反映されたココナッツ・ガンのデザインをその場でスケッチして手渡してきたという[21]。削除されたシステムの中には『バンジョーとカズーイの大冒険』からデータ転送することでボーナス解除される「Stop 'N' Swop」というものがあった[22]

メモリー拡張パックの導入

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Front and back views of a black, plastic cartridge with a red top.
『ドンキーコング64』で始めて必要となったメモリー拡張パック

本作はNINTENDO 64の「メモリー拡張パック」を必要とする最初の2つのゲームのうちの1つであった[23][4]。このアップグレードは、以前のゲームではオプション設定で高解像度グラフィックを動かせるというだけであったが、本作ではゲームのフレームレートと遠くのオブジェクトのレンダリングを改善するものであった[24]。スティーブンソンによれば、動的な照明システムにも用いられたという[25]

レア社のプログラマーであるクリス・マーロウによれば、発生したバグの解決に拡張パックが必須となったために、後から多大な費用をかけてゲームをメモリアップグレードにバンドルせざるを得なかったと語っている[26]。しかしスティーブンソンは、このマーロウの逸話を「神話」と呼び、開発の早い段階で拡張パックが必要になっていたと述べている。確かに開発終盤にはマーロウが語ったようなバグが存在したが、「拡張パックの導入はこれに対処しようとしたものではなく、解決策にもなってない」と指摘している[20] 。任天堂は、拡張パックを別売りにせずゲームとセット売りにしたことは、消費者の混乱を避けることにつながると述べていた[27]

音楽

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A blue duotone headshot photo of a white man with a short haircut in T-shirt
本ゲームの音楽を担当したグラント・カークホープ

音楽はグラント・カークホープが担当し、デヴィッド・ワイズの担当した『スーパードンキーコング』シリーズよりも『バンジョーとカズーイ』シリーズに近いものとなった[28]。しかしカークホープは、ワイズの暗い雰囲気があるトーンを保とうとし、ワイズの「Jungle Japes」のリミックス版も加えている[21]。もともと本作の音楽は『スーパードンキーコング3』で音楽を担当したエヴリン・フィッシャーの予定であった。フィッシャーに協力を求められてカークホープが参加するようになり、さらにドンキーコングの声も担当することになった[29]。ゲーム起動時に流れ、操作キャラクター達の能力を紹介する「モンキーラップ(DKラップ)」は、ジョージ・アンドレアスが発案・作詞し、カークホープが作曲と録音を、演奏はアンドレアスとクリス・サザーランドが行った[1][30]。このラップは制作サイドのお遊び的なものであったが、ゲーム発売時は大真面目に制作されたものと解されてしまった[21][1][31]。ニンテンドー・オブ・アメリカは、ファンがラップを演奏する「DKラップ」コンテストを開催した。賞品には本社への旅行も含まれていた[32]

プロモーションとリリース

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レア社はホームページ上でスクリーンショット1枚を掲載して本作を発表し、同時に『Nintendo Power』1999年1月号で報道された[33]Electronic Gaming Monthlyによれば1997年のE3の時点でゲームはデモプレイ可能な状態であったとしているが[17]IGNは1999年のイベントで初めて公開されたとしている[34]。ゲームは任天堂の1999年のスペースワールドでもデモが行われた[35]。『ドンキーコング64』はグラフィックとサウンドにおいて、コンソール機の「最高傑作」としてベストセラーになることが期待されていた[36][37]

A translucent green Nintendo 64 console with four controller ports in its front.
本体・ソフト同梱版として発売された際の緑透明の本体「ジャングル・グリーン版」。

本作のマーケティングは2200万ドルが投入された大規模なもので、これは任天堂の主要作品の一般的な予算の2倍に相当するものであった。キャンペーンではホリデーシーズンで1万館以上の映画館で流された60秒CMほか、屋外看板・印刷物・ラジオで追加広告が行われた[17]。また「The Beast Is Back(ビーストが帰ってくる)」と題されたプロモーションツアーでは任天堂のゲームを積んだトラックが全米を回り[38]、スーパーマーケットでは同シリーズとドクターペッパーがコラボした懸賞が行われた。

任天堂は初年度での250万本のセールを予測し[24]、同年末までに出荷本数を緑の半透明のNINTENDO 64同梱版100万本含む、計400万本とした(これは『ゼルダの伝説 時のオカリナ』より150万本多かった)[17]。小売業者による市場調査では本作は1999年のホリデーシーズンに販売されるコンソール機の中ではトップセールになると予想されていた[39]。当時任天堂は『マリオパーティ2』『パーフェクトダーク』『ポケモンスタジアム』などの発売を翌年に延期することを発表していたため、ホリデーシーズンにおける競合作品はほとんどなかった[11][17]

本作は1999年11月に北米地域でリリースされ[17][11]、翌12月に全世界にリリースされた[9][40]。ゲームの発売に伴い、任天堂は「ジョリー・ランチャースタイル」の緑透明のNINTENDO 64本体と拡張メモリ同梱版で、ゲームカートリッジもバナナ・イエローに着色された特別版もリリースした[17][9][8]

再リリース

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2015年4月、本作はWii Uバーチャルコンソールで再リリースされた。これはバーチャルコンソールに追加された最初のNINTENDO 64ソフトの1つであった[41][42] 。先立ってWiiバーチャルコンソールでは実装されなかったために、これは初の再リリースとなった[43][44]。Wiiバーチャルコンソールに実装されなかった理由は不明だが[44]、Nintendo World Reportは作中でプレイ可能であった『ジェットパック』のためではないか(任天堂は権利を持っていなかった)と推測している[45]

評価

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評価
集計結果
媒体結果
Metacritic90/100[46]
レビュー結果
媒体結果
オールゲーム4.5/5stars[11]
Edge8/10[47]
エレクトロニック・ゲーミング・マンスリー27/40[48]
ファミ通33/40[40]
GameFan7/10[49]
GamePro4.8/5[10]
GameSpot9/10[4]
IGN9/10[5]
NGC Magazine93%[9]
Next Generation4/5stars[7]
NintendoLifeN64: 7/10[28]
Wii U: 7/10[6]
Nintendo Power8.6/10[50]
The Cincinnati Enquirer3.5/4stars[51]
受賞
媒体受賞
E3 1999 Game Critics AwardsBest Platformer[13]
Nintendo Power Awards (1999)Best Overall Game, Best N64 Game, Best Adventure Game, Best Graphics, Best Music, Best Sound[52][53]

レビュー集計サイトのMetacriticによれば、「全般的に肯定的」とされている[46]。本作は1999年のホリデーシーズンにおけるNITENDO 64のトップセラーとなり、ライバルであるセガドリームキャストの登場に対する主要なカウンター作品となった[54]。ベストセラー作品として任天堂の「プレイヤーズ・チョイス」のゲームセレクションに加わり、次のホリデーシーズンまで高い売上が続いた[55]。2004年までに北米で230万本が販売され[56]、『CESAゲーム白書2021』の集計では日本で110万本、世界で527万本販売された[2][3]

1999年のE3の「Game Critics award for Best Platform Game」や、Nintendo Powerの「1999年度ベストオールゲーム」を含む、いくつかの年間賞を受賞した[52][53]。さらに第3回AIAS Interactive Achievement Awards(現D.I.C.E. Awards)の「Game of the Year」と「Console Game of the Year」にもノミネートされた[57]。GameProは「Editor's Choice」に選出した[10]。IGNは本作を発売時点で最大かつ最も野心的なNINTENDO 64ゲームと評したが、一方でプラットフォームとパズルデザインは『バンジョーとカズーイの大冒険』(1998年)に非常に似ているとも述べた[5]。この類似性の指摘は、他のレビューでもよく見られるものであった[9][7]

収集要素

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「相互的なエッグハント」と呼ばれたようなアイテム収集に重点を置いた点[7]と、繰り返させる手法(バックトラック)については、批判かわずかに称賛があった[23][注釈 1]。これはレア社のゲームの特徴とみなされ、本作もプレイヤーに複数のアイテム群を集めさせ、特別なエンディングを迎えさせるという「予測可能ないつも通りのこと」を踏襲していた[48]

Next Generationはレア社がバックトラックを好む傾向を指摘した[7]GameSpotは当たり障りなく、アイテム集めが好きなプレイヤーはその繰り返しを楽しむし、そうでないプレイヤーはその面倒臭さに苛立つだろうと述べた[4]。Cincinnati Enquirerはミニゲームについて「大冒険をさらに楽しめる歓迎すべき気晴らし」であり、前世代のコンソールゲームであればそれ単独のゲームでも成り立つであろうほど優れていると賞賛した[51]。またEGMはパズルやミニゲームは初見では楽しいものだが、段々と時間制限がキツくなっていくものを繰り返し遊ぶことは、すぐに飽きてしまうと指摘している[48]

GameSpotは本作のプレイ内容の一部が「頭脳的」であるとし、後のパズルを解くために同時作業を考慮する必要があると論じた[4]。『スーパーマリオ64』『時のオカリナ』『バンジョーとカズーイ』から影響を受けた部分に慣れているレビューアからは、プレイヤーがすべきことに革新性がなく解読が面白くないと思われた[11][5]。Nintendo Lifeは後の回顧的なレビューで、オブジェクトを集めるという作業が「度を超えて」いる上にくどくどと繰り返されるものだと評した。例えばバックトラックの課題点は、プレイヤーがいつでも操作キャラクターを切り替えることができれば、減らすことができたのではないかと述べた[6][28]

ゲーム内容

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ゲームのサイズとプレイ時間の長さは頻繁に言及された[17][9][6]。基本プレイ時間は推定30時間で、IGNはレア社の『戦争と平和』と呼んだ(非常に長いことの比喩)[5]GameFanは「大きい(big)」という表現では控えめなものであり、「この冒険の中にはマストドン的なものもある」と書いた[49]AllGameとEGMのライターは、その世界内で頻繁に迷い、気が散る羽目になったと述べている[11][48]。ボス戦における工夫は際立って賞賛され、特にキングクルールとの最終決戦が挙げられたが[9][48]、一方でストーリーの結末はEGMをがっかりさせた[48]。レビューではマルチプレイモードにはほとんど娯楽性が見つからないとされる一方、5体のキャラクターによる操作の多様性は賞賛された[4][5]。一方で移動速度の遅さとカメラアングルの問題といった操作性に関してはレビューアたちを苛立たせた[11][9][4][50][48]。例えば攻撃モーション中にキャラクターは操作に反応できなくなり、接近する敵に弱かった[48]。Edgeは『バンジョーとカズーイ』の時からカメラ機能に改善がないのは許しがたいと書いている[47]

グラフィック

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グラフィックに関しては、そのクオリティのためにRAMを拡張したとしても前年の『バンジョーとカズーイ』のような同時代のゲームと比較して(仮にあったとしても)わずかに優れていると見なされただけであった[11][4][5][48]。IGNは本作は『バンジョーとカズーイ』ほど(特に水や背景が)綺麗ではないと断言し、それでも最も綺麗なゲームの1つに選ばれるのは、最初の何もないところからあとになって照明効果や豊かな質感が導入されるためではないかと推測した。レア社にはもっと大きな期待を掛け、パーティクルエフェクト(砂漠の風など)を賞賛しつつも、動的照明を使いすぎていると指摘した[5]

N64マガジンは強化されたエフェクトは装飾によく使われていたが、道を照らすミニゲームでも何らかの役割を果たしていたと指摘している[9]。フレームレートの低下や遠くの景色がボヤけるなど、メモリを増設してもグラフィックの難点は報告されたが、全体的にはグラフィックの華やかさは評価された[4][5]。GameSpotはゲーム内の環境には多様性が欠如しているとした[4]

キャラクターの個性やアニメーション、またレア社特有のユーモアの描写は評価された[11][28][49][10][5]。複数のレビューでアニメーションで表現されるキャラクターの個性が注目されていた[5][10][49]。IGNは他のレア社のゲームよりも困惑するようなものが少なく、時に面白く見えると評価した[5]。一方GameFanは、新規で加わった3体の操作キャラクターは固有能力で差別化を図っているに過ぎず、その本質はキャラクターというより目的達成のための手段(tools)であり、型抜きクッキーのようなものだと評した[49]

音楽

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音楽に関して、IGNは『バンジョーとカズーイ』ほど巧妙ではなかったが、カークホープの音楽は依然として豊富なムードを提供し[5]、設定に合っていたと評した[6]。GameSpotはサラウンドの聴覚的な手掛かりと水中での音質効果に感銘を受けた[4]。一方目立ったのはオープニングの「モンキーラップ(DKラップ)」に対する低評価[23]であり、「恥ずかしい」[9]など最悪のゲーム音楽だと批判された[5]。GameProはユーモラスだが低俗だと評した[10]。8年後にNintendo Lifeは、この曲はゲームそのものと同様に「ある者には愛され、他の者には嫌われた」と述べている[28]

結論

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ドンキーコング64は『スーパードンキーコング』シリーズのような革新性は欠けていたが、ホリデーシーズンに売れるようなハイクオリティなものだった、というのがコンセンサスであった[4][5][48]

Cincinnati Enquirerはゲームのスタイルについて『スーパーマリオ64』『バンジョーとカズーイの大冒険』『スターツインズ』といった他の多くのゲームを組み合わせたものとし、「ストーリーラインとグラフィック、そしていくつかのプレイ要素を置き換えれば基本的に同じゲームになる」と論じた。しかしそうであっても「やり尽くされた要素を極めることは、後に発売されるゲームのジャンルを進化させる必要な発火点になる」と述べ、本作には中毒性がありNINTENDO 64で最高峰のゲームの1つと賞賛している[51]。IGNは過大に期待させられたファンはガッカリするだろうが、本作はやることが圧倒的に多く優れた拡張性を持つプラットフォーマーであることに変わりはないと述べている[5]

一方GameFanは「本当に何も新しいものを提供しない」ことに最も失望し、その単調さと繰り返しを映画『アイズ・ワイド・シャット』に例えて「全体にわたって座り作業を強いられるが、それによる痺れを正当化できるような十分な輝きはない、大きく肥大化したプロジェクト」とし、「レアの名を冠するに値しない」と評した[49]。本作の3Dプラットフォームは発売当時には一般的なものであり、GameSpotはもしNINTENDO 64のローンチゲームとして販売されていたら、より成功しただろうと述べている[4]

他の競合作品も踏まえた上で、Daily Radarは家庭用ゲーム機においてシンプルに最高の3Dプラットフォームだったと書いている[58]。限定的だがEdgeも同じことを述べており、本作はサードパーティが任天堂の持つゲーム制作の熟達度を凌駕することに最も近づいたものであり「それなりに素晴らしい努力」であったとする。ただし任天堂が制作した『スーパーマリオ64』の自由度と柔軟性とを比べれば独創性も想像力もないものだった、と評した[47]

影響

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レア社の3D系ゲームはアイテムの収集を目的にしているという点で評判が悪く、Kotakuは2015年の記事において何百本もの色分けされたバナナを持つ「最も忌まわしき者(the worst offender)」と回顧した[19]。他の回顧的なレビューでも同意見であった[59][60][61]。Electronic Gaming Monthlyは、「『スーパーマリオ64』が3Dプラットフォームのジャンルに命を吹き込んだようにして、ドンキーコング64はそれらをすべて吸い取っていったのだった」と書き「収集マラソン系(collect-a-thon)」ゲームを作るレア社という評判を確立したと評した[62]。「バンジョーとカズーイ」のインディーズのフォロワーゲーム『A Hat in Time英語版』(2017年)の開発者は、『ドンキーコング64』が収集マラソン系アドベンチャーのジャンルを衰退させたと批難している[63][64]

Retro GamerとGame Informerは、『バンジョーとカズーイ』との類似性とジャンルを押し広げるような変化の無さを踏まえて[13]、本作の評価を賛否両論なものと振り返った[13][65]。それなりに称賛を受けたものの、その後のレア社によるNINTENDO 64ゲームは同社の過去のゲームほどの称賛を得られることはなく、精彩を欠いた売上はスタッフの流出を招いて、最終的に2002年のMicrosoft社の買収に至った[66]。結果として本作はレア社が製作した最後のドンキーコングシリーズとなり、5年後の『ドンキーコングジャングルビート』(2004年、開発は任天堂東京制作部)まで大タイトルはリリースされなかった[67]。Electronic Gaming Monthlyはゲーム発売時に、既にゲーマーたちはドリームキャストとプレイステーション2に注目しており、NINTENDO 64が終わりに近づいていた時期だったと指摘している[17]。後にIGNは、本作はニンテンドー3DSの携帯ゲーム機向けにリメイクする価値があると評価した[68]

モンキーラップ(DKラップ)」が否定的な評価を受けたことはよく知られた事実だが[69]、リリースから10年以上経ってインターネットミームとして人気が急上昇した[1]。この現象についてサザーランドは、子供の頃にゲームをプレイした人たちが、大人になってこの曲が真面目なものではなく、お遊び的なものだと気づいたからじゃないかと考察している[1]。同様にカークホープは「ABBAがそうだったように、何年もかけて流行が戻ってきたようなものだ」とコメントした[21]。モンキーラップを用いた演出は『大乱闘スマッシュブラザーズDX』(2001年)や『ドンキーコンガ』(2003年)[70]に登場した[71]。2017年、カークホープはレア社作品のオマージュとして製作された『Yooka-Laylee』に対して同様のラップを作曲した[71]

脚注

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注釈

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  1. ^ レビューにおいて収集要素とバックトラッキングについて言及したのは以下の通り。Electronic Gaming Monthly,[48] GameSpot,[4] GameFan,[49] N64 Magazine,[28] Nintendo Life,[6] Next Generation,[7] Daily Radar,[58] and AllGame.[11]

出典

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関連項目

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外部リンク

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