ゴースト/ニューヨークの幻
![]() |
![]() |
ゴースト/ニューヨークの幻 | |
---|---|
Ghost | |
![]() | |
監督 | ジェリー・ザッカー |
脚本 | ブルース・ジョエル・ルービン |
製作 | リサ・ウィンスタイン |
製作総指揮 | スティーヴン=チャールズ・ジャッフェ |
出演者 |
パトリック・スウェイジ デミ・ムーア ウーピー・ゴールドバーグ |
音楽 | モーリス・ジャール |
主題歌 | ライチャス・ブラザーズ「アンチェインド・メロディ」 |
撮影 | アダム・グリーンバーグ |
編集 | ウォルター・マーチ |
配給 |
![]() ![]() |
公開 |
![]() ![]() |
上映時間 | 128分 |
製作国 |
![]() |
言語 | 英語 |
製作費 | $22,000,000[2] |
興行収入 |
![]() ![]() ![]() |
配給収入 |
![]() |
『ゴースト/ニューヨークの幻』(原題:Ghost)は、1990年のアメリカ映画。恋愛映画。
2005年から放送されていたテレビドラマの『ゴースト 〜天国からのささやき』とは無関係である。
概要
[編集]ロマンス、コメディ、ファンタジー、ホラーといったいくつかのジャンルに含まれる。愛する人が幽霊となって目の前に現れるというアイデアは、この映画のメガヒットで多くの亜流映画・小説を生む。
ウーピー・ゴールドバーグがアカデミー助演女優賞を受賞し、作品自体もアカデミー作品賞、編集賞、作曲賞にノミネートされたが、『ダンス・ウィズ・ウルブズ』という強豪の存在のため他はアカデミー脚本賞(ブルース・ジョエル・ルービン)を受賞するにとどまった。
主題歌は、ライチャス・ブラザーズの「アンチェインド・メロディ」(もともとは、1955年の映画『Unchained』(日本未公開)の主題歌だった。作曲はアレックス・ノース)。
監督は『裸の銃を持つ男』や『フライングハイ』などのコメディを得意とするジェリー・ザッカー。母のシャルロッテ・ザッカーを銀行の受付役、妹のスーザン・ブレスラウをサムの同僚のスーザン役で登場させている。1995年にもシリアス路線で『トゥルーナイト』を監督した。
また、脚本のブルース・ジョエル・ルービンの母親も小切手を受け取る慈善団体の教会のシスター役で登場している。
ストーリー
[編集]ニューヨークの銀行に勤める温厚で誠実な銀行員サム・ウィートは、陶芸家として成功しつつある恋人モリー・ジェンセンと順調に交際を重ね、同僚で友人のカール・ブルーナーとも良好な関係を維持しながら順調に仕事をこなし、平穏な日々を送っていた。
ある日、サムは職場でコンピュータ内の口座データに異変を発見した。カールが手伝おうとしたが、サムはそれを断り残業して調べていく。
後日、サムとモリーが「マクベス」を観劇しての帰り道、モリーがサムに自分の心を打ち明けた。「貴方と結婚したい」。今まで、彼女が避けていた問題だったのでサムは驚く。悩むサムに、モリーはなぜ「愛してる」と言葉にしてくれないのかと問い詰める。「愛してる……」とモリーが言うと、サムは必ず「Ditto」(同じく)と答えていた。
しかし、突然暗がりから一人の暴漢がサムに襲い掛かった。サムと暴漢は揉み合いになり、暴漢は拳銃を発砲した後に逃走を図る。暴漢を追いかけるも取り逃がしたサムがモリーのもとに戻ると、モリーは血まみれの自分を抱いていた。サムは死んでゴーストになってしまったのだ。
ゴーストになったサムはモリーの側に居続けるが、彼女からはサムが見えず、サムの声もモリーには届かない。サムの死後、モリーとの距離を縮めようとするカールをモリーは拒むが、気分転換のための散歩は承諾する。だが、留守中のモリーのアパートに一人の男が侵入して来た。その男の顔を見てサムは驚愕する。侵入してきた男は自分を殺した暴漢だったのだ。サムは男に殴りかかるが、拳は当たらず空を切るばかり。そこにモリーが帰ってきてしまう。サムは危険を知らせようと必死に呼びかけるが彼女は気付かない。そのまま知らずに暴漢の男に狙われそうになるモリーだったが、咄嗟にサムはモリーの飼い猫のフロイドをけしかけ、何とか暴漢を追い出すことに成功する。
アパートから出て地下鉄に乗る暴漢の男をサムは追跡するが、そこで突然見知らぬ男のゴーストが縄張りを主張してサムに襲いかかる。そのゴーストは、物体に触れて動かすことが出来るサブウェイゴーストだったのだ。その場を逃れて再び暴漢の男を追跡したサムは、男のアパートを突き止める。表札に書かれていた男の名前は「ウィリー・ロペス」であった。そしてアパートを出たサムは、偶然、近くに霊媒師の看板があるのを見つけて中へ入る。そこでは胡散臭い女霊媒師のオダ=メイ・ブラウンが接客をしていた。彼女がやっていることは明らかにインチキだったため、サムがそれに茶々を入れていると、何とオダ=メイはサムの声に反応する。自分の声が彼女に聞こえていると知り驚くサム。彼女はその時初めて霊媒師としての才能を開花させたのだ[注 1]。
サムはオダ=メイを一晩中「ヘンリー8世君」[注 2]を聞かせ続けるという半ば脅迫めいたやり方で説得し、モリーに会わせる。サムしか知らないことをオダ=メイから言われたモリーは半信半疑ながら彼女の話に耳を傾ける。そしてサムは、自分を殺した犯人の名前が「ウィリー・ロペス」であることをオダ=メイを通じモリーに伝える。
モリーはオダ=メイのことをカールに相談するが、カールはオダ=メイをペテン師だと決め付け信じない。しかし、真意を確かめたいと考えるモリーを見て、カールは代わりに自分が調べる意思を彼女に伝えてウィリーのいるアパートへ向かった。
ウィリーのもとへ行くカールを心配して後をついていったサムは、到着したウィリーの部屋で自分が死んだ事件の衝撃的な真相を知ることとなった。カールは麻薬組織と交わした裏取引により、勤務先の銀行で麻薬組織から預かった400万ドルもの不当な金を架空口座に収めて資金洗浄するという不正を働いていた。だが、その不審な点に気付いたサムが架空口座の送金用コードを変更したことで麻薬組織への送金が出来ない状態となったため、カールはそのコードが書かれた手帳が入った財布をサムから盗むようウィリーに依頼していた。依頼を受けたウィリーが夜道でサムから財布を奪おうとするも、予想外に抵抗されたことで思わずサムを殺してしまったのだった。全てを知ったサムは激怒し、ウィリーと今後の相談を終えて帰宅していくカールに何度も殴りかかるも、やはりその拳は空を切るばかりで、親友の予想外な裏切りに嘆き悲しむ他なかった。
一方、モリーはオダ=メイから伝えられたことについて警察署へ相談していたが、オダ=メイはかつて詐欺の罪で複数回服役していたことを告げられ、ショックを受ける。カールは傷心のモリーに付け込むような形でキスをしようとする。それを阻止しようとサムが飛び込んだ瞬間、写真立てが倒れて二人を離すことが出来た。
物体を自在に動かせる方法を学ぶべく、サムは地下鉄へ赴きサブウェイゴーストを探し回る。再び現れたサムに激怒して追い出そうとするサブウェイゴーストだったが、一歩も引かずに教えを請おうとするサムの強い意志に根負けし、彼に物体への触れ方を教え込んだ。
続いて、送金コードが書かれた手帳を手に入れたカールの悪巧みを止めるべく、サムは再びオダ=メイの元を訪ねる。サムはオダ=メイを銀行へ向かわせると、カールが開設していた架空口座の名義人に成り済まさせ、口座を解約させる。口座に入金されていた400万ドルもの大金を手にして喜ぶオダ=メイだったが、犯罪資金を手にしていると命が危険だとサムに諭され、嫌々ながら400万ドルを慈善団体に寄付する。賞賛を送るサムに対し、オダ=メイは悪態をつきながら去っていったのだった。
同じ頃、銀行のオフィスにいたカールは、架空口座が突然解約されて400万ドルが消えてしまったことを知って慌てふためいていた。組織への送金が出来なければ殺されてしまうカールは、銀行閉店の後もオフィスに残り必死で金を探していたが、その様を可笑しく見ていたサムが起こした怪奇現象を目の当たりにして恐怖する。カールはモリーのアパートへ駆け込むと、サムについて改めてモリーに問う。オダ=メイが口座を解約する場面を偶然目撃していたモリーがその事をカールに伝えると、カールは口座の金が無くなった理由を悟って絶句する。そこに追い打ちをかけるようにサムがポルターガイスト現象を起こすが、カールはそれに逆上し、ゴーストのサムに向かってモリーをを人質として返金を要求する。送金時刻までにモリーのアパートに戻ってくる手筈を整えたカールは、金を取り戻すべく、ウィリーと共にオダ=メイが住むアパートへ向かった。オダ=メイを危機から救うべく、サムも急いで彼らの後を追う。
自宅アパートでいつも通りに姉妹と過ごしていたオダ=メイは、一足早く到着したサムから危機が迫っていることを知らされると慌てて姉妹と共にその場から逃げ出し、間一髪でアパートの別の住人の部屋へと避難する。無人となったオダ=メイの自宅に押し入ったカールとウィリーは手分けしてオダ=メイを探し回るが、サムが起こしたポルターガイストにパニック状態になったウィリーがアパートから飛び出して車道へ出してしまい、乗用車とバスに挟まれ死亡する。彼もサムと同じくゴーストと化してしまい、サムからその事実を告げられて呆然となる。その直後、周りから地獄の使者達が恐ろしい唸り声を上げながら現れ、罪を犯したウィリーを捕えて地獄へと連れ去っていったのであった。
オダ=メイはサムと共に再びモリーのアパートへ行き、彼女にサムが殺された事件の真相と命の危機を訴えるが、オダ=メイに詐欺師の前科があったこと、銀行で不正解約をしていたことから、モリーはオダ=メイを全く信じようとしない。しかし、以前のようにモリーとサムだけしか知らないことをオダ=メイから話され、さらにサムが1セントコインをモリーの目の前で動かし「お守り」として彼女に渡したことで、今度こそモリーはゴーストとなったサムの存在とオダ=メイの霊能力を信じ、警察に通報するのだった。警察の到着を待つ中、サムから「もう1度モリーに触れたい」という願いを聞いたオダ=メイは、彼に自分の肉体を貸した。そうしてサムとモリーは再び触れ合い、再会の一時を過ごす。
しかし、警察よりも早くカールがモリーのアパートに戻ってきた。サムはオダ=メイの肉体に憑依したことで一時的に力を消耗し物体に触れることが出来ず、モリーとオダ=メイは急いでアパートの上階へ逃げる。カールは二人を追い掛け、オダ=メイに拳銃を突き付けて400万ドルを奪い返そうと迫るも、霊力が回復したサムからの反撃を受けてオダ=メイを取り逃がす。それでも諦めないカールは、次にモリーを人質にし400万ドルの返還をサムに要求する。だが、またしてもサムから反撃されたカールはモリーも取り逃がしたうえに拳銃も落としてしまう。カールは天井から吊るされていた工事用のフックを見えないサムに投げつけて部屋の窓から逃走を図るが、戻ってきたフックが真上の窓ガラスを叩き割り、その衝撃で落下してきた窓枠に割れ残っていた窓ガラスがカールの胸に刺さった。そのまま絶命してゴーストとなったカールは、サムとの束の間の再会の後、ウィリーと同様に地獄の使者達に連れ去られていった。
助かったオダ=メイとモリーにサムが安否を気遣う声を掛けると、その声はオダ=メイだけでなくモリーにも届く。その直後、心残りが無くなったサムを天国からの迎えの光が照らし出し、遂にモリーもゴーストのサムの姿を見ることが出来た。サムはモリーにそっと口付けをし、手助けしてくれた上にこれから旅立つ自分を惜しんでくれているオダ=メイにお礼と別れを告げる。そして再びモリーに向き直ると、彼女に初めて「愛している」と自分の本心を伝えた。それにモリーも感涙しながら、サムがいつも口にしていた「Ditto(同じく)」と答え、2人は無事にお互いの気持ちを確かめ合った。そしてオダ=メイとモリーに見送られながら、サムは静かに天国へと旅立って行った。
キャスト
[編集]役名 | 俳優 | 日本語吹き替え | ||
---|---|---|---|---|
ソフト版 | フジテレビ版 | テレビ朝日版 | ||
サム・ウィート | パトリック・スウェイジ | 江原正士 | 堀内賢雄 | |
モリー・ジェンセン | デミ・ムーア | 高島雅羅 | 金野恵子 | 松井菜桜子 |
オダ・メイ・ブラウン | ウーピー・ゴールドバーグ | 小宮和枝 | 今井和子 | 片岡富枝 |
カール・ブルーナー | トニー・ゴールドウィン | 大塚芳忠 | 鈴置洋孝 | 家中宏 |
ウィリー・ロペス | リック・アビレス | 牛山茂 | 福田信昭 | 西凜太朗 |
地下鉄のゴースト | ヴィンセント・スキャヴェリ | 吉水慶 | 青野武 | 水野龍司 |
緊急治療室のゴースト | フィル・リーズ | 峰恵研 | 中庸助 | 沢りつお |
ローザ・サンティアゴ | アンジェリカ・エストラーダ | 秋元千賀子 | 荘司美代子 | 秋元千賀子 |
クララ | アルメリア・マックィーン | 達依久子 | 片岡富枝 | 堀越真己 |
ルイーズ | ゲイル・ボグス | 深見梨加 | 紗ゆり | 喜田あゆ美 |
巡査部長 | スティーヴン・ルート | 有本欽隆 | 岡部政明 | 幹本雄之 |
婦警 | ローラ・ドレイク | 火野カチコ | 有馬瑞香 | 定岡小百合 |
オーランド | オージー・ブラント | 小関一 | 中庸助 | |
オーティーシャ | ヴィヴィアン・ボネル | 片岡富枝 | 好村俊子 | 水原リン |
ライル・ファーガソン | ブルース・ジャーチョウ | 城山堅 | 西村知道 | 水内清光 |
銀行の同僚 | ウィリアム・コート | 秋元羊介 | 梅津秀行 | |
ゴースト | J・クリストファー・サリヴァン | 幹本雄之 | ||
アーセニオ・ホール | 小室正幸 | 水内清光 | ||
ローズ | マルティナ・ディーグナン | 亀井芳子 | 滝沢久美子 | 佐藤しのぶ |
タクシードライバー | サイード・ファラジ | 古田信幸 |
- テレビ朝日版 - 初回放送1999年10月24日『日曜洋画劇場』※テレビ放送の際よく使用される。
音楽
[編集]- サウンドトラック - アルバムは、アカデミー作曲賞にノミネートされた。
興行収入
[編集]製作予算は22,000,000ドルで、興行収入は世界で約500,000,000ドル[2]。1991年の世界歴代興行収入上位の映画一覧で最高10位にランクインした。現在でも、ロマンス・ファンタジー映画の興行収入では、1位になっている[要出典]。
リメイク
[編集]2010年、当作品に着想を得たアジア版『ゴースト』の制作が発表された。松嶋菜々子と、韓国ドラマ『秋の童話』や『エデンの東』に主演する俳優ソン・スンホンとの共演で、2010年秋公開[6]。
舞台化
[編集]日本
[編集]『ゴースト ニューヨークの幻』と題して、砂本量脚色、吉川徹演出により2002年12月に世界初の舞台化[7]。主演は愛華みれと沢村一樹で、愛華は本作がストレートプレイ初出演、沢村は本作が舞台初出演となる[8]。
上演日程
[編集]- 東京公演 2002年12月6日 - 22日、ル・テアトル銀座
- 名古屋公演 2003年1月13日・14日、愛知厚生年金会館
- 大阪公演 2003年1月18日 - 26日、シアター・ドラマシティ
キャスト(日本)
[編集]スタッフ
[編集]- 原作:ブルース・ジョエル・ルービン
- 演出:吉川徹
- 脚色:砂本量
- 音楽:玉麻尚一
- 振付:西祐子
- 美術:堀尾幸男
- 照明:高見和義
- 音響:山本浩一
- イリュージョン:アンギュラ
- アクション:渥美博
- 衣装:宇野善子
- 特殊メイク:馮啓孝
- ヘアメイク:片山昌子
- 演出助手:小川美也子
- 舞台監督:二瓶剛雄
- 照明チーフ&ムービング:山本義徳
イギリス
[編集]『ゴースト・ザ・ミュージカル(原題:Ghost the Musical)』として、2011年7月にイギリスのピカデリー・シアターで上演。2012年4月からは、アメリカのブロードウェイ、ネダーランダー劇場にて上演されることが決定している。[9][10]
その他
[編集]脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “ゴースト ニューヨークの幻”. 映画.com. 2025年2月28日閲覧。
- ^ a b c d “Ghost (1990)” (英語). Box Office Mojo. 2010年3月30日閲覧。
- ^ “歴代ランキング - CINEMAランキング通信” (2014年9月29日). 2014年10月5日閲覧。
- ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)504頁
- ^ “BSテレ東新録吹き替え版『世界にひとつの金メダル』を演出家の高橋剛さんと詳しく!”. YouTube. 2023年6月30日閲覧。
- ^ あの名作が松嶋菜々子&ソン・スンホン共演で蘇る!アジア版『ゴースト』今秋公開
- ^ “今月のCAT[dec/2002]”. CATプロデュース. 2018年9月2日閲覧。
- ^ 内海たもつ、鶴岡英理子(編)、2003、「『ゴースト-ニューヨークの幻』 シアター・ドラマシティ 1月18日〜26日」、『宝塚ゼミ03年前期』、青弓社 ISBN 978-4-7872-7170-9 p. 128
- ^ 舞台版「ゴースト」、来年4月にブロードウェイで上演へ(ロイター通信、2011年8月24日)
- ^ 『ゴースト/ニューヨークの幻』ミュージカル、ブロードウェイ進出!「RENT」のネダーランダー劇場で(シネマトゥデイ、2011年8月24日)