松濤

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松濤
東京都知事公館(2020年解体、現存せず)
東京都知事公館(2020年解体、現存せず)
松濤の位置(東京都区部内)
松濤
松濤
松濤の位置
北緯35度39分38.86秒 東経139度41分28.97秒 / 北緯35.6607944度 東経139.6913806度 / 35.6607944; 139.6913806
日本の旗 日本
都道府県 東京都
特別区 渋谷区
地域 渋谷地域
人口
2017年(平成29年)12月1日時点)[1]
 • 合計 3,214人
等時帯 UTC+9 (日本標準時)
郵便番号
150-0046[2]
市外局番 03[3]
ナンバープレート 品川

松濤(しょうとう)は、東京都渋谷区町名。現行行政地名は松濤一丁目および松濤二丁目。郵便番号は150-0046[2]

地理

渋谷区の南西部に位置し、町域内の多くは住宅地として利用される。東京都心を代表する高級住宅地の一つとしても知られるが、「松濤」はかつてこの地に茶園「松濤園」があったことに因み、茶園の名が町名となった珍しい例である[4]

町域は邸宅が多くを占め、Bunkamura戸栗美術館渋谷区立松濤美術館観世能楽堂(2017年GINZA SIXに移転)といった文化・芸術関係の施設も多く見られる。このため「松涛文化村ストリート」と称してのまちおこしが図られている[5]

北・東・南側は同じ渋谷区内で、北部は神山町に、東部は宇田川町に、南東部は道玄坂に、南部は円山町神泉町にそれぞれ接する。西部は山手通りを含み、目黒区駒場に接する。

地価

住宅地の地価は、2021年令和3年)1月1日公示地価によれば、松涛1-13-7の地点で184万円/m2となっている[6]

歴史

この一帯は江戸時代に中渋谷村、中豊沢村などといい、小字名として大山、大向、神山などがあった。大山には紀州徳川家下屋敷があった[4]1876年明治9年)、旧佐賀藩主鍋島家がこれを譲渡された。11代当主の鍋島直大は広大な土地に狭山茶を移植して茶園を開き、士族授産の元武士に運営を依頼し、「松濤園」と命名した[4]。茶の銘柄も「松濤」とされ、一時は東京市中に高級茶として知られた。地領近くに直大の四女・信子の嫁ぎ先の松平恆雄が居住している(後に秩父宮雍仁親王妃の勢津子が出ている。後に現在の旧東京都知事公館)。

1890年(明治23年)に東海道線が開通すると静岡茶などが流入、松濤園の茶業は振るわなくなった[4]。このため茶園は廃止され、1904年(明治37年)には鍋島家が経営する畑果樹園種蓄牧場「鍋島農場」[4] と、農務省が運営する種畜牧場渋谷支所に分かれた。

関東大震災を契機として鍋島家は屋敷地を移住者向けに分譲し、高級住宅地となる。忠犬ハチ公で知られる帝大教授の上野英三郎もここに住んでいた。1924年大正13年)、鍋島家は涌水池のあった種畜牧場の一角を児童遊園として開放し、さらに1932年昭和7年)10月にはこれを東京市に寄付。1934年(昭和9年)4月からは渋谷区によって管理されることになった[4]

この間、「松濤」は1928年(昭和3年)に住所町名として採用された[4]。湧水池のある広大な鍋島侯爵邸は太平洋戦争後の華族制度廃止により公園として整備され、現在では鍋島松濤公園となっている。

世帯数と人口

2017年(平成29年)12月1日時点の世帯数と人口は以下の通りである[1]

丁目 世帯数 人口
松濤一丁目 691世帯 1,453人
松濤二丁目 962世帯 1,761人
1,653世帯 3,214人

小・中学校の学区

区立小・中学校に通う場合、学区は以下の通りとなる[7]

丁目 番地 小学校 中学校
松濤一丁目 全域 渋谷区立神南小学校 渋谷区立松濤中学校
松濤二丁目 全域

交通

鉄道

町域内に鉄道駅はないが、京王井の頭線神泉駅が利用可能な範囲にある。

バス

  • 東急バス「東大裏」停留所
  • 東急バス「東大前」停留所

施設

関係者

出身者

居住その他ゆかりある人物

脚注

注釈

  1. ^ 松濤から円山町を介して南側に位置する南平台町に、かつて女優高峰三枝子の私邸があり、その邸宅を、高峰邸隣に居住する時の首相岸信介が総理大臣私邸兼迎賓館として借受けた。その後1964年に統一教会が岸信介と入れ替わりで入居したが、翌1965年に現在の松濤に転居した。

出典

  1. ^ a b 住民基本台帳・外国人登録による人口”. 渋谷区 (2017年12月1日). 2017年12月22日閲覧。
  2. ^ a b 郵便番号”. 日本郵便. 2019年8月30日閲覧。
  3. ^ 市外局番の一覧”. 総務省. 2017年12月22日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g 東京ふる里文庫11 東京にふる里をつくる会編『渋谷区の歴史』名著出版 昭和53年9月30日発行 p.268
  5. ^ 松涛文化村ストリート(2019年2月10日閲覧)。
  6. ^ 国土交通省地価公示・都道府県地価調査
  7. ^ 通学区域”. 渋谷区. 2017年12月22日閲覧。
  8. ^ 最寄りの家庭教会”. 世界平和統一家庭連合. 2022年10月10日閲覧。
  9. ^ a b 麻生太郎財務相がご近所に建つ「三木谷御殿」に苦虫顔の理由 NEWSポストセブン 2014年1月29日
  10. ^ a b c d e f g h i 出没 アド街ック天国 渋谷松濤 豪邸 テレビ東京 2003年9月13日
  11. ^ 「ハゲタカ外資の虚像と実像」 菊池雅志、週刊新潮2005年6月30日号~同年7月14日号
  12. ^ 池田政権の幕引きを仕切る「池田首相を支えた男」前尾繁三郎(4)政客列伝 特別編集委員・安藤俊裕 日本経済新聞 2011年12月4日

関連項目

外部リンク