平野耕太

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平野耕太
2005年のアニメエキスポにて
本名 平野 耕太
生誕 (1973-07-14) 1973年7月14日(50歳)
東京都足立区
国籍 日本
職業 漫画家
活動期間 199?年 -
ジャンル 青年漫画
代表作HELLSING
ドリフターズ
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平野 耕太(ひらの こうた、1973年7月14日 - )は、日本漫画家東京都足立区出身。主にアクションかギャグ、どちらかを区切って取り扱った作品が多い。

来歴

高校時代は漫画研究部の部長を務め、その後、専門学校東京デザイナー学院アニメーション科に入学し、中退。同校の漫画研究会に所属し、在学中に『COMICパピポ』(フランス書院)に掲載された『COYOTE』でデビュー。一時ゲーム会社に勤めていたものの数日(1週間以内)で退社しており、本人曰く「忘れたい出来事」と作品中で語っている。

デビューから暫くは成人向け漫画を執筆していたが、既にその頃からストーリー展開やギャグ部分に独特の雰囲気が存在していた。その後、一般雑誌に転向し『コミックガム』にて、同人誌に全てを賭けるオタク達の野望と狂気を描いた『大同人物語』でカルト的な人気を得るが、連載中断のまま未完となった。また1997年には『ファミ通PS』で『進め!!聖学電脳研究部』を連載、掲載雑誌の方向性をしばしば逸脱したゲーム紹介やストーリーの脱線などで話題を集めたが、出版関連の騒動から近年の角川書店版発売まで単行本が余り出回らなかった(角川書店版の後書きで騒動の顛末が書かれている)。1998年より『ヤングキングアワーズ』にて国教会カトリックのヴァンパイアハンターおよびナチスの吸血鬼軍団による三つ巴の戦いを描く『HELLSING』を連載、同作は10年近い長期連載へと至る人気作となり、漫画家としての知名度を確立する事になった。

2009年に『HELLSING』を完結させ、新たに各時代の武士軍人達が異世界で戦う『ドリフターズ』の執筆を開始した。

作風

作品中ではナチスが登場することも多く、デビュー作の『COYOTE』ではレジスタンスとナチス・ドイツを髣髴とさせる軍事国家との戦いが描かれ、『HELLSING』では物語のキーとなる形でナチスが登場する。なお、ナチスの軍服の作画には苦労するらしく[要出典]「あんな描きにくい奴ら死ねばいいんですよ!」「ナチはヘドが出るほど描き過ぎた」と語っている。

ベタを多用し陰影を強調した画、特異なデッサン・ポーズ、そして芝居がかった大仰な台詞回しが特徴である。この独特の修辞法は佐藤大輔の小説やウィンストン・チャーチルの演説などから影響を受けているとされる。また、前者の描画法は日本国内では珍しいが、アメコミでの一般的なデフォルメに近い形式である。

ギャグシーンなどでゲーム、漫画、アニメ、映画、音楽などの話題が唐突に登場したり、ギャグシーンの背景としてペンギン村風の光景(山や雲などに笑顔)が描かれることも多い。

平野の趣味から[要出典]、登場人物は男女を問わず手袋眼鏡を着用しているキャラクターが多い。巨乳メガネ、ネコ(女役)になる美少年が大好き。特に眼鏡キャラには偏愛があり、『天空の城ラピュタ』の登場人物であるムスカ大佐が自身の精神世界で最上位に来ると『アニメージュ』で語ったことがある。『HELLSING』や『ドリフターズ』の単行本巻末には恒例として、自身の趣味を全開にした近況、ブラックジョーク、ヤクザ映画などのパロディ、または筆の向くままの奇声など書かれるコーナーが掲載されている。

成年漫画誌時代は、支離滅裂なまま指定のページ数の終了を迎えてしまい、時折、コマの外に「なにこれ」「もう僕にも何が何だか…」と自ら書くこともあった。

しばしばコマの外にアシスタント募集の旨を綴った文が見られた。最初のうちはごく普通の告知であったが、回を重ねるごとに徐々に必死さが増していき、ついには懇願しているかのようなものになっていった[1]。因みに現在のアシスタントは専門学校時代の同級生3名とのこと。

近況漫画に出てくる2人のうちツッコミを担当している方が、親友で漫画家の山田秋太郎である。

人物

ジャパン・エキスポでのパフォーマンス(2008年)

長編作品ではシリアスな物語を基本とする一方で、上述の通り「ネタに走った」内容の作風で描く場面や短編・エッセイ風作品も多く、単行本の後書き・巻末コメントや公式サイトなどプライベートな部分ではこうした混沌とした傾向がより強く押し出されている。ただしこうした発言はあくまでオタクが定型文的に用いるネタであり、掲示板などの質問に対して真摯に答えたり、ネット上の煽りに強く憤るなどする人物である。

自画像では黒のサファリ帽を被り、黒いワイシャツネクタイを締めワッペンを沢山貼ったジャケットをまとった、太った眼鏡の男として登場する。

エピソード

  • HELLSING』で最後の大隊や十字軍がロンドンを徹底的に破壊し、イギリス人イングランド人)を虐殺する強烈なシーンを描いているが、かつて自身のサイトの日記にて「ロンドン旅行の際、たびたび不愉快な経験をしたことが原因」と述べていたことがある。
    • ホテルの従業員から差別的な扱いを受け、露天商から偽ブランド品を売りつけられ、更に食事(イギリス料理)もまずかったと述べていた。
    • 本来は観光を兼ねた取材旅行であったのが、最終的には「作品中でどうするか」など怒りながら写真を撮って回っていたという。
  • 自らが嫌う人・物に対するバッシングは非常に激しく、その容赦のない文面によってもしばしば話題を集めている。
    • 職業を「江川達也をテレビで見るたびに舌打ちをする係」としていたこともあり、冗談めかしつつも攻撃を行っている。
      • 蛭子能収についても「ついでに」と後に付け足しており、「漫画家なのに漫画が主体ではない漫画家」を嫌っているとも言われる。
    • Wiiゲームソフトファイアーエムブレム 暁の女神』を「コントローラー放り投げた」など猛烈に批判した。
    • 学生時代の同級生が、山田秋太郎など他の同窓生らを、過去の噂を交えて批判するかのようにTwitterで書き込みをした所、「学生時代絵も漫画もろくに描かなかった奴が、なぜそんなことを言えるのか」という主旨のコメントし、その同級生を強く非難した。
  • 愛郷心が強く、東京というより、より狭い規模への帰属心を大切にしている。公式サイトの掲示板で足立区が「治安が悪い」と評された時に激怒した書き込みを返した事もあった。
    • しかし、最近では「足立区はギャングの巣窟で、抜け出すにはラッパーか漫画家になるしかない」「銃を持たずに足立区にくるほうが悪い」というネタで悪評ぶりをいなしている。
  • 『HELLSING』10巻の表紙折込や『以下略』の第2話で、苗字が同じという理由で「平野綾が自分の嫁になるべき」と主張した。
  • 『HELLSING』及び『ドリフターズ』単行本の著者近影の記載によれば、趣味は「いやがらせ」と「ちんこいじり」である。

作品リスト

継続中の作品

単行本化された完結作品

収録作品「上海遊撃隊」「砂漠の用心棒」「私の足ながパトロン」「儂も若い頃は無茶したもんじゃ」「テクノ番長」「テクノ番長SS(スーパーズ)」
  • 補足
新世紀エヴァンゲリオン』のいわゆる商業アンソロジーでは、他の作家とのオムニバス短編が数点確認されている。内容はスラップスティック・ギャグの体裁に仕上がっている。

単行本未収録作品

  • ANGEL DUST(COMICパピポ 1996年(フランス書院)):『COYOTE』の続編。全10話。※出版社により原稿紛失。
  • HIANDLOW(ヤングキングアワーズ(少年画報社))〈読み切り〉
  • ガンマニアウルトラジャンプ集英社))
  • 進め!以下略(季刊少年エース増刊桃組→コンプエース(ともに角川書店))
  • 彼らの週末(月刊アフタヌーンシーズン増刊 2001年Winter号(講談社))〈読み切り〉
  • BE WILD!!(月刊少年ガンガン(スクウェア・エニックス))〈読み切り〉
  • HELLSING(快楽天 1996年10月号(ワニマガジン社)):同名の長編作品のパイロット版。〈読み切り〉※成人向け漫画
  • 無敵の魔法教師カワハラーZ(快楽天 1996年7月号(ワニマガジン社)〈読み切り〉※成人向け漫画
  • 大総統サバサバ(快楽天 1997年2月号(ワニマガジン社))〈読み切り〉※成人向け漫画
  • ブービートラップ(快楽天 1997年4月号(ワニマガジン社)〈読み切り〉
  • イカす総統天国(コミック零式 1998年Vol.6(リイド社))〈読み切り〉※成人向け漫画
  • HELLSING外伝 THE DAWN(ヤングキングアワーズ増刊号(少年画報社)不定期連載)※掲載誌の休刊に伴い休載。

挿絵

関連項目

作風だけでなく作者本人の個性から、友人である漫画家達の作品に何度かキャラクターとして登場している。

脚注

  1. ^ 『大同人物語』の連載中断時には、掲載誌の『コミックガム』誌上で、何度かアシスタントの募集が公式に行われていた。
  2. ^ 発売と同時期に公開された映画『MOON CHILD』がヴァンパイアが題材であった為、出演者のGackt(現・GACKT)から「現在、君が人間であることを感謝せよ/Gackt(Artist)」というコメントが、一時期単行本の帯に寄せられていた。

外部リンク