スペースハリアー
ジャンル | シューティングゲーム |
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対応機種 |
アーケード[AC] セガ・マークIII[MkIII] PC-6000シリーズ[PC-60/66] X68000[X68K] FM77AV[FM77AV] PC-8800シリーズ[PC-88] X1[X1] PCエンジン[PCE] ファミリーコンピュータ[FC] ゲームギア[GG] スーパー32X[32X] セガサターン[SS] プレイステーション2[PS2] S!アプリ・iアプリ |
開発元 | セガ・AM2研 |
発売元 |
セガ 各種PC移植版電波新聞社 PCE:NECアベニュー FC:タカラ |
人数 | 1人 |
メディア |
MkIII:2Mbitカセット PC-60:カセットテープ PC-66:3.5"D1枚 X68K:5"2HD1枚 FM77AV:3.5"2D2枚 PC-88:5"2D2枚 X1:5"2D2枚 PCE:4MbitHuCARD FC:2Mbitカセット 32X:16Mbitカセット SS:CD-ROM1枚 PS2:CD-ROM1枚 |
発売日 |
AC:1985年12月10日 MkIII:1986年12月21日 PC-60/661987年3月 X68K:1987年9月 FM77AV:1987年12月 PC-88:1988年7月25日 X1:1988年7月25日 PCE:1988年12月9日 FC:1989年1月6日 GG:1991年12月28日 32X:1994年12月3日 SS:1996年7月19日 PS2:2003年9月25日 VCA:2009年3月26日 |
対象年齢 | CERO:A(VCA) |
『スペースハリアー』(Space Harrier)は1985年にセガが発売したアーケードゲームである。開発者は鈴木裕。『ハングオン』に続くセガの体感ゲーム第2弾として発表された。デラックス筐体の出荷価格は166万円。
ドラゴンランドを救うために超能力者・ハリアーと善のドラゴン・ユーライアが旅立つ。
公式略称は『スペハリ』[1]。
概要
アナログスティックで主人公ハリアーを操作し、スティックに取り付けられたトリガーおよびボタンまたは筐体に設置されたボタンで弾を撃ち、全18ステージで構成される幻想的な異世界で敵や障害物などを破壊したり避けながら突き進む擬似3Dシューティングゲームである。
自ら筐体を動かして操作する『ハングオン』とは異なりアナログスティック操作に連動してダイナミックに稼動する筐体、発色数32,000色による鮮やかな画面と巨大なキャラクターを表示できる圧倒的なハードスペック、ヤマハのYM2203(OPN)にPCMによるベース、ドラムスを加えたサウンド(作曲は川口博史による)、地平の3D表現・多重スクロール・高速スクロールなどの高い技術など、ゲームの技術進化を率先して取り入れている。
アーケード版が登場して以来、多くのパソコンやコンシューマー機器用ソフトとして移植された。
余談
- AMショーでの発表までは自機が戦闘機だったが、ハードウェア機能の制約から自機キャラクタは表示パターンを削ってでも大きく表現したほうがいいと判断され、宙を浮く人間(超能力戦士)に変更された。アーケード版では自機キャラクタを一部反転させて使用しており、ハリアーが画面右に寄ると、本来右脇に抱えているブラスターを瞬時に左脇へ持ちかえる。
- 敵や障害物の多くは1万点、障害物の一部は5千点という大雑把な得点設定だったが、17面ボスで出現する岩は1つ10万点だったため、ハイスコアを狙う際にはここが最大のポイントだった。
- ボスとして登場するIDAは当時の開発部長の名前より命名された。以後、『ファンタジーゾーン』などにも登場することになった。
- 敵の出現パターンは常に一定で、敵弾は100%自機を狙ってくるため、常に動いていれば当たらない。パターンさえ覚えてしまえば全ステージクリアはそれほど難しくはない。
- 当時の3Dシューティングゲームの様式を確立した作品である。「アタックアニマル学園」(ポニー・キャニオン)や「コズミックイプシロン」(アスミック)など、いわゆる「スペハリ系」擬似3Dシューティングゲームが当時盛んにリリースされた。
- メインBGMには歌詞が付けられている。開発スタッフが会社の飲み会で演奏するために用意したもので、以下は公開されたその一部。
夢をはぐくんだ 空をあおぎながら ハートを包み込む 街に別れを告げる
ああ 幾万光年の果て 時が離れていても
ああ 明日の二人の愛は 宇宙の闇を超える
Move in a sky Shooting a shot
Dreaming a moon and you get a living again
コンシューマ移植
セガを代表するゲームとして後述するパソコンも含めて数多くの機種に移植がなされている。
- セガ・マークIII/マスターシステム版(1986年12月21日)
- ゴールドカートリッジの10作目。当時のゲーム誌『Beep』[要出典]でも「横スクロールのシューティングになるのではないか」などと移植の難しさを心配されたが、「初の大容量2メガROMカートリッジの採用と背景機能をフルに駆使してキャラクターを表現する(本来は動かない背景画像を、別パターンの背景画像を何枚も用意して動いている様に見せる)」という、マークIII版の制作者である中裕司のアイデアによってアーケード版と同じ3Dシューティングとして制作された。
- スプライトのような透過処理ができないためにキャラクター表示の周りに四角い枠が付いている。
- 裏技で自機の戦闘機への変更・サウンドテスト・難易度の変更も可能になっている。
- サウンドはPSG音源のみで、マスターシステムのFM音源には対応していない。
- ハリアーのボイスはPSGサンプリングによって再現されているが、ボイス出力時にはサウンドが停止する。
- 一部のステージでは、敵キャラクターの出現パターンがアーケード版とは異なる。
- アーケード版と比較して、地平の3D表現の一部(高低差表現)と背景画像はカットされている。
- アーケード版にない要素として、メインタイトル表示時とゲームオーバー時のオリジナルサウンドが追加されている。
- オリジナルの最終ボス「HAYA-OH」が登場する。ちなみに「HAYA-OH」の名は当時の社長の中山隼雄に由来する。名前の由来については、当時のゲーム雑誌「Beep」の記事[要出典]で制作者が「イヤな上司の名前をつけた」と発言している。発売当時のTVCMではアーケード版のBGMを流していた。
- PCエンジン版(1988年12月9日)
- NECアベニューよりHuCARDで発売。アーケード版ではなくX68000版をベースにしており、PCエンジン版への移植は電波新聞社でFM-7への移植ソフトを多く手がけた紅林俊彦が行った。[2]。
- ファミリーコンピュータ版(1989年1月6日)
- タカラより発売。アーケード版ではなくセガマークIII版をベースにしており、最終ボスに「HAYA-OH」が登場し、タイトル表示時とゲームオーバー時のオリジナルサウンドも移植されている。
- 全体的にキャラクターが小さく、一部のBGMやボスキャラクター・ハリアーのボイスがカットされているなどの変更点はあるものの、ファミコンのハード性能を活かした移植がなされている。
- ゲームギア版(1991年12月28日)
- マークIII版をベースに、ほとんどのキャラクターの外見や名前が差し替えられている。最終ボスは「HAYA-OH」。全12ステージで、パスワードコンティニュー制。
- マークIII版でカットされていた、ハリアーの位置による地平線の上下移動が再現されている。
- スーパー32X版(1994年12月3日)
- フルフレーム表示(60fps)を実現させるため、画面の上下がカットされている。アーケード版と遜色のない再現がされているが、影の半透明処理が省略されている。移植は有限会社ゲームのるつぼが担当した。
- 『SEGA AGES VOL.2 スペースハリアー』(1996年7月19日)
- セガサターン版。アーケード版をほぼ忠実に移植している。同シリーズのアウトランと同様に、初期ロットには白いセガサターンでは正常に動作しないバグがある。移植は有限会社ゲームのるつぼが担当した。
- 『シェンムー 一章 横須賀』(1999年12月29日)/『シェンムーII』(2001年9月6日)
- ドリームキャスト用ソフト。本編内のゲームセンターで遊べるミニゲームの一つとして『スペースハリアー』が登場。BGMの音色がアーケード版とは違っている。『シェンムー 一章 横須賀』では画面右下にゲーム中の時間が表示される。これも移植担当は有限会社ゲームのるつぼ。
- 『鈴木裕ゲームワークス Vol.1』(2001年12月1日)ISBN 4-7572-0889-8
- アスペクトより出たゲームクリエイター鈴木裕の自伝。書籍に『ハングオン』、『スペースハリアー』、『アウトラン』、『アフターバーナーII』、『パワードリフト』が収録されたドリームキャスト用ゲームソフトが付いている。『パワードリフト』を除けば『シェンムー』に収録されたものと同一。
- 『セガエイジス2500シリーズ VOL.4 スペースハリアー』(2003年9月25日)
- プレイステーション2版。オリジナル面やHAYA-OHが登場する。擬似3Dではないフルポリゴンの3Dゲームとしてリメイクされた。オリジナルには無いパワーアップアイテムとして、画面上の敵の一掃やボスキャラに大ダメージを与える「フラッシュボム」や「バリア」、「ロックオンレーザー」が新た登場し、BGMも大幅アレンジされ、シリーズの名物的敵キャラクターだったドムのデザインが版権上の理由から全く別のものに変更されるなどした。
- 『セガエイジス2500シリーズ VOL.20 スペースハリアーII~スペースハリアーコンプリートコレクション~』(2005年10月27日)
- プレイステーション2版。アーケード版『スペースハリアー』、セガ・マークIII版『スペースハリアー』、『スペースハリアー3D』、メガドライブ用『スペースハリアーII』のオリジナル版が完全移植された。さらに隠し要素として、ゲームギア版『スペースハリアー』、ソフトを刺さずにマスターシステムを起動したときの画面、スペースハリアー3Dをステレオグラムでプレイできるオプションまで収録している(公式サイト参照)。移植はM2が担当した。
- 携帯電話アプリ版(ぷよぷよ!セガ)
- セガの公式モバイルサイトからダウンロード可能。モバゲーに無料体験版あり。(2010年12月24日現在)
- Wii版(バーチャルコンソールアーケード、2009年3月26日)
- Wiiリモコン&ヌンチャクによる操縦桿風操作にも対応している。
パソコン移植
市販されたものの多くはマイコンソフトにより開発されている。
- PC-6001mkII(6601)版(1987年3月)
- 移植を担当したのは『タイニーゼビウス』や『グロブダー』などをPC-6001シリーズへ移植した松島徹。パソコン用に移植された同作としては最初期の作品で、かつターゲットが当時のソフトウェア市場においても盛りを過ぎた最低スペックの機種だった。このようなハードでの移植に際しプレイ感覚の再現を最優先、結果表示されるキャラクターは自機のハリアー以外は特徴の無い四角形のみで表現するというものとなったが、画面スクロールなどの処理について原作の疾走感の再現を実現している。また色については速度を稼ぐため、1プレーンしか書き換えを行っていない。テレビのにじみを利用し、ドットパターンにより実現しているため、ディスプレイによって色味が変わり、RGBディスプレイを利用した場合、モノクロの画面となる。
- X68000版(1987年9月)
- PC-6001mkII用と同じく松島徹が移植を手がけた。
- 当時としては高機能だったこの機種でもオリジナル基板との能力差は大きく、見た目よりもゲームの速度、動きを重視した移植に仕上がっている。キャラクタの影は省略され、地面の模様が市松模様からグラデーションの縞模様に変更された。オリジナルでは少しずつ上がってくる背景画像も固定された。また、コンティニューは、一定の面へ到達できなければ、その前のハードルとなる場所まで戻される形になっており、単純にコンティニューを繰り返すことによって先に進むことは出来なくなっている。
- 最終ボスはマークIII版と同じく「HAYA-OH」が登場する。キャラクタデータが整然と格納されていたためキャラクタの書き換えが容易で、実際にプレイヤーが書き換えたキャラデータが雑誌で紹介された。
- エンディングは永田英哉によるオリジナルの演出がなされている。
- FM77AV版(1987年12月)
- 8Bit機ながら、グラフィックサブシステムにもCPUのある同機の性能を発揮した移植。PCエンジン版と同じく、紅林俊彦の手による。
- 他の8Bit機移植版が見た目を割り切り実現しているのに対し、敵や弾のグラフィックは通常の形状になっている他、X68000版で再現できなかった敵の影も再現されている。
- 反面、BGMはパートが削られ、音色の再現性もあまり高くなく、一部に採譜ミスも見られる他、一部の効果音やハリアーのボイスがカットされており、ボーナスステージは別の曲に差し替えられている。BGMの担当は永田英哉。
- その為、X68000以外のPCの中ではグラフィックやキャラパターンの削減を最小限にとどめており[3]比較的健闘された出来とも言える。
- PC-8801版(1988年7月25日)
- 移植を行ったのは石田和久。[4]
- 関わりのあった呉ソフトウェア工房を経由した打診の結果、正式に受注し、開発が開始された。
- スピード感、キャラクタの大きさを重視、色表現に妥協した移植になっており、重ねあわせや、書き換えに必要なプレーン数を減らすため、キャラクタはグラフィックスを利用しているものの単色で、ショット、敵弾はテキスト画面を利用し、四角で表示され、背景も簡略化された。
- サウンドについては、オリジナル基板と同じYM-2203を使っているため、オリジナルの出力を監視するボードによって、データを吸出し、FM音源部については、ほぼ同じ音色を実現しているものの、オリジナル基板でPCMを利用しているドラムス、ベース、効果音については、一部省略、もしくはノイズポートやFM音源部に割り当てするなど代替手段で再生される為、再現性が低い。
- X1版(1988年7月25日)
- ほとんどの敵キャラクタは単色表示のグラフィックスで、地上物、背景、岩等のオブジェクトはPCGのチェッカによるタイリングを用いテキスト画面へ描画される。
- ハリアーの位置による地平線の上下移動も実装されている。
- BGMは、FM音源ボードにのみ対応し、PSGのみの環境では鳴らない。
- ディスクを逆のドライブに装着しても起動する。
- MZ-700版
- 他のパソコン用の移植と異なり、「Oh!X」誌上に投稿された一般ユーザーの製作したプログラムである。
- 雑誌へダンプリストの形で掲載され、市販される形はとられていないが、セガから正式に掲載許諾を受けており、X1で動作するように機種依存の部分を書き換えるパッチも公開された。
- テキストVRAM上にチェッカのコードを並べ文字色背景色の指定によりモザイクのような画面で実現している。解像度こそ低いものの、カラーで表現され、速度もウェイトが入れられている程である。
- ゲームオプションとしてBGM、キャラクターの陰、地形の模様の有無も選択が可能。
- 解像度の低さから全体のデータ量が少なく、ゲームの全内容がオンメモリで実現されている。
続編・関連タイトル
- 『スペースハリアー3D』(1988年2月29日)
- セガ・マークIII/マスターシステム版。周辺機器の3Dグラス(液晶シャッター式)及びFM音源対応ソフトとして登場。3Dグラスを使用して立体画面でプレイすることが必須だが、裏技を使うと3Dグラス無しでプレイ可能になる。時系列はアーケード版の10年前の物語で全14ステージで構成されており、エンディングではハリアーとユーライアの出会いが描かれている。
- 基本的なシステムはマークIII版の『スペースハリアー』と同じだが、マークIII版の『スペースハリアー』でカットされていた地平の3D表現と背景画像が本作では再現されている。
- ボーナスステージが存在せず、『スペースハリアー』のボーナスステージで演奏されるBGMがエンディングで流れる。
- 『スペースハリアーII』(1988年10月29日)
- メガドライブ版。コンシューマーオリジナルの続編で、メガドライブ本体と同時発売されたローンチタイトルである。スタートステージが選択可能で任意のステージから開始できるが、全ステージ(STAGE01-12+ボーナスステージ×2)をクリアしないと最終ステージ(STAGE13)へ到達できない。時系列はアーケード版の10年後の物語で全13ステージで構成されている。
- ハードウェア機能を駆使したアーケード版の技術がほぼ全て再現されているが、ハリアーのボイス出力時にはサウンドが停止する。
- 2006年12月2日からWiiのバーチャルコンソールで配信されている。
- 『X68000版ファンタジーゾーン:DRAGON LAND』(1989年)
- X68000版ファンタジーゾーンの隠れステージとして登場。『スペースハリアー』をモチーフとした背景や敵キャラ、ボスキャラ、BGMで構成されている。
- 『プラネットハリアーズ』(2000年)
- アーケードゲーム。二人掛けの通信筐体で、二人同時プレイが可能。4人のプレイヤーキャラから一人を選んでプレイする。連射可能なバルカンとロックオン攻撃できるミサイルの二種の主武器で戦う。裏技で自機を『ファンタジーゾーン』のオパオパにしてプレイすることも可能。
- 『スペースファンタジーゾーン』
- PCエンジンで発売される予定だった作品。『スペースハリアー』のような疑似3D画面をオパオパが飛行するもの。製作発表から4年間も発売未定が続きお蔵入りとなった。
脚注
- ^ “『SEGA AGES 2500』で甦る名作たち(前編)”. 2009年11月17日閲覧。
“SEGA AGES 2500 シリーズ Vol.20 スペースハリアーII ~スペースハリアーコンプリートコレクション~”. 2009年11月17日閲覧。 - ^ 取扱説明書のスタッフ欄を参照。
- ^ ドムを例を上げればX68k版ですらも大幅にキャラパターンを削減が多く見られている。
- ^ 燃費博士 開発者 石田和久のプロフィール(詳細編)