るーぷる仙台
るーぷる仙台(るーぷるせんだい、英: Loople Sendai)は、仙台市交通局が運行する仙台市内の観光地を循環する路線バス。「仙台市観光シティループバス」とも呼ばれる。通常の仙台市営バスの車両とは異なる、レトロ調路面電車風の特製車両(ファンタスティックバス)が用いられている。中乗り、前降り。全車で車椅子での乗降可能[1]。
車内と停留所は無料公衆無線LAN「SENDAI free Wi-Fi」のアクセスポイントになっている(日本人・外国人とも使用可能)。
概要
仙台市経済局と仙台市交通局の共同事業[2]で、1999年(平成11年)5月13日から運行が開始された。定員50人程の特製車両で基本的に運行されるが、繁忙期の通常運行や特別運行では一般の仙台市営バスに「るーぷる仙台」との横断幕を付けられた臨時便が運行されることがある。
通常運行では、仙台駅を起点に仙台市都心部と青葉山地区の観光地を繋ぎ、約70分かけて時計回りに回っており、乗客は途中にある専用のバス停で乗降する。運行時間中は、バスロケーションシステム 「どこバス仙台」で、バスの現在地を携帯電話やパソコンで知ることができる。特別運行では、仙台駅を起点にイベント会場を繋いでいる。
年間利用客数は順調に増加し、2008年(平成20年)度には仙台・宮城デスティネーションキャンペーンの効果もあって40万人/年を突破した[3]。しかし、2011年(平成23年)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の影響で半減した。その後、利用客は戻りつつある。
有効な一日乗車券(大人:620円)を提示すると割引を受けられる制度があり、るーぷる仙台の専用バス停に近接する伊達政宗関連観光施設である瑞鳳殿・仙台市博物館・青葉城資料展示館の3施設だけでも大人は合計380円引きになる。このため、割引を受けられない1回乗車券(大人:260円)で巡るより、一日乗車券の方が実質的に安上がりになるという逆転現象が起きている。
2015年(平成27年)12月6日の地下鉄東西線の開業日より、仙台市地下鉄との乗り換えの利便性を高めるためにバス停を新設したり、改称したりした。また、これまでるーぷる仙台と地下鉄の両方を一日乗り放題にするには、「るーぷる仙台一日乗車券」(大人:620円)と「仙台市地下鉄一日乗車券」(大人:平日840円、土日休620円)の2つを買う必要があったが、同日より「るーぷる仙台・地下鉄共通一日乗車券」(大人900円)が発売開始された。
なお、都心部内のみを移動するならば、路線バスのゾーン料金制「100円パッ区」がより安価である。ただし専用車両ではなく路線バスの料金制度であるため観光スポットを考慮しておらず、車両もアナウンス無しで区域外へ出ることに加え、区間の案内は停留所のみであり、観光客にとっては分かりにくいのが実情である。
通常運行
頻度
運行時間は、仙台駅前発9:00~16:00。
- 平日(8月を除く):20分間隔で運行。22便/日。
- 土・日・祝日及び8月の全日:15分間隔で運行。29便/日。
- 仙台駅発15時以降の便は仙台駅前止まり。
- 混雑時には、るーぷる専用車両以外のバスが運行する場合がある。
専用バス停
- 仙台駅前(仙台駅西口バスプール16番。北緯38度15分34.8秒 東経140度52分51秒)
- 青葉通一番町駅(北緯38度15分34.7秒 東経140度52分23.3秒)
- 晩翠草堂前(北緯38度15分32.2秒 東経140度52分9.8秒)
- 瑞鳳殿前(北緯38度15分13.4秒 東経140度52分1.4秒)
- 博物館・国際センター前(北緯38度15分28秒 東経140度51分32.7秒)
- 仙台城跡(北緯38度15分13.2秒 東経140度51分19.5秒)
- 青葉山植物園西(北緯38度15分13.3秒 東経140度50分42.3秒)
- 青葉山駅(北緯38度15分24.4秒 東経140度50分9.6秒)
- 理学部自然史標本館前(北緯38度15分27.7秒 東経140度50分14.9秒)
- 国際センター駅・宮城県美術館前(北緯38度15分43.3秒 東経140度51分21.2秒)
- 交通公園・三居沢水力発電所前(北緯38度15分56.3秒 東経140度50分35.1秒)
- 大崎八幡宮前(北緯38度16分10.8秒 東経140度50分42.4秒)
- 二高・宮城県美術館前(北緯38度15分46.7秒 東経140度51分23.7秒)
- メディアテーク前(北緯38度15分54.7秒 東経140度51分55.9秒)
- 定禅寺通市役所前(北緯38度15分57.6秒 東経140度52分11.1秒)
- 広瀬通駅(北緯38度15分46.6秒 東経140度52分26.9秒)
運賃
- 1回(大人260円、小人130円)… どこから乗り降りしても同じ金額。
- 1日券(大人620円、小人310円)… 乗車当日乗り降り自由、乗り放題。
- るーぷる仙台・地下鉄共通一日乗車券(大人900円、小人450円)… 地下鉄南北線・東西線も乗り降り自由。
特別運行
通常コースの延長
- 大崎八幡宮方面特別運行[4]
- 通常運行コースを延長し、三居沢発電所(日本最初の水力発電所)・大崎八幡宮を回る。
- 期間:2008年10月1日~12月31日(仙台・宮城DC全期間)、2009年10月1日~12月31日(仙台・宮城【伊達な旅】キャンペーン全期間)
- 所要時間:70分(通常運行+15分)
- 2010年4月1日より、このルートが通常運行ルートとなった。
単年度企画
- 瑞鳳殿・仙台城跡金曜夜間特別運行[4]
- 1周約45分で青葉通り→瑞鳳殿→仙台城跡と回る。
- 期間:2008年10月3日~12月5日の毎週金曜日(SENDAI光のページェント前までの仙台・宮城DC期間中)
- 仙台駅前発17:20~19:00。30~40分間隔(1日4便)。
例年運行される企画
- 七夕ナイト号
- 仙台駅前と瑞鳳殿・仙台城跡とを結ぶコース
- 期間:仙台七夕期間中
- 仙台駅前発17:40~21:00、20分間隔。
- 1周約50分で青葉通と定禅寺通を巡るコース
- 期間:SENDAI光のページェント期間中
- 仙台駅前発:始発17:30。17:40~20:00の間は20分間隔。
沿革
年表
- 1999年(平成11年)
- 2001年(平成13年)3月末 - 2000年度(平成11年度)の黒字額が480万円となった[8]。
- 2003年(平成15年)
- 2004年(平成16年)
- 3月29日 - 1両増車して4両体制で運行[7]。
- 10月1日 - バスロケーションシステム「どこバス仙台」が臨時便の運行にも対応開始[9]。
- 2006年度(平成18年度)- ご当地ナンバーの「仙台ナンバー」に再登録[10]。希望番号制度を用いて一連指定番号を車番の数字と同じにする。
- 2007年(平成19年)
- 2008年(平成20年)
- 仙台・宮城DCに向けて、2008年度(平成20年度)より1両増車して5両体制とし、新制服および専属乗務員を配置[† 2]。
- 10月1日~12月31日 - 仙台・宮城デスティネーションキャンペーン(仙台・宮城DC)。期間中の乗客数は10万0457人/3ヶ月であり、前年同期の7万5865人/3ヶ月と比べて32.4%増だった[14]。
- 2009年(平成21年)
- 2010年(平成22年)4月1日 - 「交通公園・三居沢水力発電所」や「大崎八幡宮」等を回る新ルート(上記#通常コースの延長と同ルート)での運行を開始[7]。これに合わせ1両増車して6両体制での運行となる[7]。
- 2011年(平成23年)
- 3月11日14:46 - 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)発生。発災時刻以降、順次運休。
- 3月末 - 年度末に震災による運休があったものの、2010年度(平成22年度)の利用者は過去最高の約43万人にのぼった[17]。
- 4月29日 - 「震災復興キックオフデー」に合わせて運行再開。ただし、仙台城の石垣の崩落により市道仙台城跡線[† 3]が通行不可となったため、「仙台城跡」「青葉山植物園ゲート前」「理学部自然史標本館前」の各バス停は経由しない。
- 6月1日 - 仙台城方面への運行を再開。青葉城本丸会館駐車場内に「仙台城跡(臨時)」バス停を設置[18]。
- 2012年(平成24年)
- 2014年(平成26年)4月1日 - 消費税が5%から8%に増税されたのに伴い、従前の1回乗車:大人250円(小児130円)、一日乗車券:大人600円(小児300円)から、1回乗車:大人260円(小児130円)、一日乗車券:大人620円(小児310円)に料金が改定された[† 4][20]。また、車内での一日乗車券の販売を停止した[20]。
- 2015年(平成27年)
- 2月25日11:30 - 市道仙台城跡線[† 3]が、震災復旧工事終了により通行再開[21]。同日最終便を以って「仙台城跡(臨時)」バス停の使用終了[22]。
- 2月26日 - 市道仙台城跡線[† 3]の通行再開に伴い、同日始発より「るーぷる仙台」のルートが震災前のルートに復帰[22]。
- 9月14日 - 乗車人員延べ500万人達成[23]。
- 12月1日 - 仙台市で開催される第3回国連防災世界会議(3月14日 - 18日)に合わせ、同年3月5日より仙台城址伊達政宗公騎馬像前1ヶ所でサービス開始した「SENDAI free Wi-Fi」のアクセスポイント拡大に伴い、るーぷる仙台の車両内および停留所でも使用可能となった[24][25]。
- 12月6日 - 地下鉄東西線開業に合わせて、「るーぷる仙台・地下鉄共通一日乗車券」を発売。ICカード乗車券「icsca」による運賃支払の適用開始。「青葉山駅」のバス停を新設。一部バス停の名称を変更(「青葉通一番町」→「青葉通一番町駅」、「二高・宮城県美術館前(10番)」→「国際センター駅・宮城県美術館前」、「青葉山植物園ゲート前」→「青葉山植物園西」、「地下鉄広瀬通駅→広瀬通駅」)[26]。
画像外部リンク | |
---|---|
水玉模様陣羽織 |
年間利用客数
年度 | 車両 | 乗車人員 | |
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1999年度 | 3両 | 174,699 人 | |
2000年度 | 213,213 人 | ||
2001年度 | |||
2002年度 | 249,310 人[28] | ||
2003年度 | 246,541 人[28] | ||
2004年度 | 4両 | 265,455 人[28] | |
2005年度 | 278,759 人[28] | ||
2006年度 | |||
2007年度 | 約34万人[† 2] | ||
2008年度 | 5両 | 約42.4万人[15] | |
2009年度 | |||
2010年度 | 6両 | 435,588 人[29] | |
2011年度 | 218,128 人[29] | ||
2012年度 | 289,182 人[30] | ||
2013年度 | 329,123 人[30] | ||
2014年度 | 337,599 人[31] |
特製車両
導入年 | 車番 |
製造 | 型式 | 床 | 改造 | 画像 | 車体色 | デザイン コンセプト |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1999年 | 114 | 日 野 自 動 車 |
KC-RR1JJAA | ツー ステップ |
東 京 特 殊 車 体 |
赤 | ||
115 | 緑 | |||||||
116 | 青 | |||||||
2004年 | 920 | KK-RJ1JJHK | ワン ステップ |
黄 | ||||
2008年 | 113 | い す ゞ 自 動 車 |
PDG-LR234J2 | 岩 戸 工 業 |
黄緑 | 仙台市電 杜の都 | ||
2010年 | 112 | 茶 | ||||||
2016年 | 111 | 茄子紺 | 水玉模様陣羽織 |
- 車両前面の左右ヘッドライト結んだ線の中間にあるライトは、仙台市電の1灯式ライトを模したものである。
- 車番920以外は、車内後方に立ちスペースと円形の手すりがある。
- 車番とナンバープレートの一連指定番号の数字は一致する。
- るーぷる仙台特製車両をかたどったチョロQが存在する[32]。
- 2006年の仙台ナンバー導入に伴い、これまでの「宮城200か·xxx」がすべて「仙台230あ·xxx」(xxxは従前のナンバーと同一)に登録変更されている。
- 2008年10月頃より、臨時便用の日野・リエッセ(車番「宮城200か·352」)にも専用車両に準じた塗装が施されている(なお、2013年に希望ナンバー <仙台ナンバー> への変更が実施され、「仙台230あ·352」に変更された)。
- 全車バリアフリー化済み。2ステップ車では乗降リフト装置、1ステップ車はスロープ板で車椅子は乗降する[1]。
脚注
注釈
出典
- ^ a b 車いすでのご利用(仙台市交通局)
- ^ 観光シティループバス「るーぷる仙台」(国土交通省東北運輸局 自動車交通部 旅客第一課)
- ^ 車窓の杜、衰えぬ人気 「るーぷる仙台」10周年(河北新報 2009年5月13日)
- ^ a b 仙台・宮城デスティネーションキャンペーンにあわせ仙台市観光シティループバス「るーぷる仙台」の特別運行を実施します(仙台市)
- ^ 大崎八幡宮、北山五山などを巡る「るーぷる仙台特別号」を運行します!!(仙台市経済局 2004年9月21日)
- ^ "るーぷる仙台 特別号" その軌跡(私営 仙台陸上交通資料館)
- ^ a b c d e f 1 沿 革 - 仙台市交通事業のあゆみ - (PDF) (仙台市交通局「事業概要 平成26年版」)
- ^ 平成12年度 決算等審査特別委員会(第8日目) 本文(仙台市議会 2001年10月1日)
- ^ 『るーぷる仙台』運行情報がより便利になりました!(国土交通省東北整備局仙台河川国道事務所 2004年10月1日)
- ^ 「仙台」ナンバー発進(仙台市「市長のページ」)
- ^ 「るーぷる仙台」乗車200万人達成セレモニーを開催します(仙台市経済局 2007年3月14日)
- ^ 「るーぷる仙台」の新しいバス停ができます(仙台市経済局 2007年2月7日)
- ^ 平成20年度 予算等審査特別委員会(第7日目) 本文(仙台市議会 2008年3月6日)
- ^ 東北地方交通審議会答申(H17.3.24) 施策の実施状況 (PDF) (国土交通省東北地方整備局 第11回東北地方交通審議会 2008年3月13日)
- ^ a b 観光路線バスの紹介 ◎仙台市交通局 仙台市内観光は観光シティループバス「るーぷる仙台」で (PDF) (一般社団法人公営交通事業協会 会報「公営交通」第464号 2009年7月)
- ^ るーぷる仙台 乗客300万人に愛されて(河北新報 2009年9月23日)
- ^ a b c 利用者400万人突破 るーぷる仙台(河北新報 2012年9月19日)
- ^ 「るーぷる仙台」の運行を一部変更して再開します(仙台市交通局)
- ^ 平成24年9月の事業概況(報告) (PDF) (公益財団法人仙台観光コンベショ協会)
- ^ a b るーぷる仙台は平成26年4月1日から料金を変更いたしました(仙台市交通局)
- ^ 仙台城跡線が再開通 震災で崩落石垣を修復(河北新報 2015年2月26日)
- ^ a b 。「るーぷる仙台」運行ルートとダイヤを震災前に戻します(仙台市交通局 2015年2月26日)
- ^ <るーぷる仙台>乗車500万人達成(河北新報 2015年9月15日)
- ^ 国連防災世界会議に向けて仙台城跡で「SENDAI free Wi-Fi」をスタートします (PDF) (仙台市 2015年3月2日)
- ^ るーぷる仙台車内に無料Wi-Fiアクセスポイントを拡大 観光客向けのWi-Fi接続環境を整備します (PDF) (仙台市 2015年11月26日)
- ^ 「るーぷる仙台・地下鉄共通一日乗車券」を発売します(仙台市交通局)
- ^ a b <るーぷる仙台>茄子紺色の新車登場(河北新報 2016年3月16日)
- ^ a b c d 「文化遺産広域観光連携プロジェクト」調査報告書(本編) (PDF) (財団法人東北産業活性化センター 2008年3月)
- ^ a b (4) 運輸成績 (PDF) (仙台市交通局「事業概要 平成24年版」)
- ^ a b (4) 運輸成績 (PDF) (仙台市交通局「事業概要 平成26年版」)
- ^ (4) 運輸成績 (PDF) (仙台市交通局「事業概要 平成27年版」)
- ^ 名刺台紙・るーぷるチョロQ販売(仙台観光コンベンション協会)
関連項目
外部リンク
- るーぷる仙台(せんだい旅日和)
- どこバス仙台「るーぷる仙台」(仙台市交通局)
- 仙台空港アクセス鉄道(仙台CATV)
- 仙台駅から仙台市博物館へ(仙台空港アクセス線・仙台駅からるーぷる仙台への乗り換え手順の動画)