せんだいメディアテーク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
せんだいメディアテーク
sendai mediatheque
SendaiMediatheque.jpg
2005年6月撮影
情報
旧名称 仙台市民図書館
用途 図書館ギャラリーイベントスペース・ミニシアター
旧用途 図書館
設計者 伊東豊雄
構造設計者 佐々木睦朗
施工 熊谷組竹中工務店安藤建設橋本JV
建築主 仙台市
管理運営 仙台市市民文化事業団
指定管理者
構造形式 S造、一部RC造
敷地面積 3,948.72 m2[1]
建築面積 2,933.12 m2[1]
延床面積 21,682.15 m2[1]
階数 地上7階(+棟屋1階)
地下2階[1]
高さ 36.49 m[1]
駐車台数 64台
着工 1997年平成9年)12月17日
竣工 2000年(平成12年)8月10日
開館開所 2001年(平成13年)1月26日
所在地 980-0821
宮城県仙台市青葉区春日町2-1
位置 北緯38度15分55.7秒
東経140度51分56秒
座標: 北緯38度15分55.7秒 東経140度51分56秒
備考 工事費:約130億円[1]
テンプレートを表示

せんだいメディアテーク略称:smt)は、仙台市都心部定禅寺通り沿いにある仙台市の複合文化施設。仙台市教育委員会が管轄している。公式な略称は「smt」だが、市民は「メディアテーク」と略する。

仙台市民図書館ギャラリーイベントスペース・ミニシアターなどからなり、仙台の文化受容の中心のみならず、アート関連の中心となっている。

建築家伊東豊雄の代表作品。特に構造の特殊性が注目され、海外からの観光客が多い。

2013年4月現在の館長は、鷲田清一

概要[編集]

「メディアテーク」はフランス語médiathèqueフランス語発音: [medjatɛk] )に由来し、「メディアを収める」あるいは「視聴覚資料室」を意味している。smtでは、書籍に加えてビデオDVDCDCD-ROMなどの映像音楽をはじめとする多様な表現媒体を収集・保管している。それを、来館者へ直接提供する図書館映画館機能の他、ウェブページでの提供や、視聴覚障害者に対するバリアフリー事業なども行い、市民の文化受容に供している。

館内には「メディアテーク」機能の他に、ギャラリースタジオミニシアター、そして、1階のオープンスクウェアがあり、美術音楽映画生涯学習などの文化活動も活発となっている。特にオープンスクウェアでは、展覧会ジャズクラシック音楽などのライブ、映画上映、地元テレビ局公開収録SENDAI光のページェントの際の関連イベント、そして、定禅寺ストリートジャズフェスティバル in 仙台の際には南側のガラスが全て開かれてアートイベントが開かれるなど、多様な集客装置として利用されている。このような仙台のアート関連の発信地・集客マグネットとしての機能のため、周囲にアート関連の店や民間企業も集まりだしている。

また、建築物としての美しさから、仙台のファッション誌COLORなど)やテレビ番組・映画などのロケ地となることも多い。

このようなsmtは、仙台の祭りや催事が多数開催される定禅寺通に面し、定禅寺通の機能をさらに飛躍的に向上させ、市当局のいう「学都仙台」「楽都仙台」を大いに発展させた。

なお、smtは建築物としても評価が高い。伊東豊雄の代表作となっているこの建築は、6枚の床(プレート)と、揺れる海草のような形状の13本のチューブと呼ばれる鉄骨独立シャフトのみの単純な構造によって、地下2階、地上7階の空間のすべてが作られている。これは、「柱」によって建てられる旧来の日本家屋と建築思想が同じであるが、はない。工事は三次元曲面の加工技術を持つ気仙沼市高橋工業が担当した[† 1]。また、全面がガラス張りであり、支柱のスケルトン構造が外から直接見ることができ、一方、中からもケヤキ並木の定禅寺通を見渡せ、中と外との一体感がある。このような構造とデザインの優秀さのため、建築関係者をはじめとして、世界各国からカメラ片手に訪れる人を建物周辺で見ることが出来る。フランスル・モンド紙において「伊東豊雄のsmtで有名な仙台[2]」と記述された例もあり、海外ではsmtが仙台の顔の1つともなっている[3]

建築[編集]

経緯[編集]

1962年(昭和37年)10月開館の仙台市民図書館(所在地:西公園)が老朽化したためその代替と、従来より設置要望のあった公立の美術ギャラリーなどその他の文化活動の振興に供するために、仙台市の政令指定都市移行および市制100周年にあたる1989年平成元年)に県芸術協会が陳情したことを端緒に新文化施設が計画された。設置場所は、仙台市営バス・定禅寺通車庫の跡地、および、仙台観光株式会社から買い取った隣接地のパチンコタイガー春日町店[† 2][4]の跡地である。

この建築設計競技(コンペ)の際、審査委員長に任命された磯崎新より、単なる図書館ギャラリーの複合体だけではなく、本のみならず映像・音楽などあらゆるメディアの収蔵・閲覧・鑑賞を可能とする「メディアテーク」にするという提案がなされた。

  • 1989年平成元年):県芸術協会が美術館建設の陳情書を提出
  • 1992年(平成4年):定禅寺通交通局跡地に新市民ギャラリーを建設する方針が決定
  • 1997年(平成9年):建設工事着工
  • 2000年(平成12年):建築竣工
  • 2001年(平成13年):せんだいメディアテーク・仙台市民図書館開館

特徴[編集]

チューブと床からなるせんだいメディアテークの構造

現代のビルディングの構造は、その多くがラーメン構造という柱・梁からなる構造形式によって構成されている。それは、前世紀の初頭にミース・ファン・デル・ローエによって提示された「ユニヴァーサル・スペース」、すなわち均質な柱と梁の構造体からなる建物内にあらゆる機能を内包することができるという概念と、ル・コルビュジエによって提示された「ドミノシステム」、すなわち柱と床、上下の階にアクセスするための階段という建築にとって必要最低限の構成要素にまで構造形式を還元する概念との延長上にある構造形式である。

伊東豊雄は、こうしたラーメン構造の建築の均質性を打破する新しい建築のあり方を提示した。通常のラーメン構造ではできるだけ等間隔に建てられる四角い柱を、スパイラルを描くたくさんの細い鉄柱に分解することで「すけすけの柱の内部」(チューブ)を作り出し、それらをできるだけ不規則に配置することで不均質な場としての内部空間を計画した。このチューブは床を貫通し、設備系統、エレベーターや階段、屋上からの採光や通風など、その内部が見える縦方向のコアとして機能している。

明らかにこれは「近代建築」、「ル・コルビュジェ」、「ドミノシステム」を乗り越える試みであり、「柱の概念を解体する」挑戦とも受け取れる[5]。世界の第一線級の建築家は、近代建築に対する批判的思考を経て新しい建築形式を生み出そうと試みているが、smtで実現した新しい建築のスタイルは、そうした伊東自身の発想もさることながらコンピュータにより複雑な立体物の構造計算が可能になった現代だからこそ生まれた形でもあった。伊東はこの作品以後、冒険的な構造の建築を積極的に試みるようになった。

受賞歴[編集]

各階案内[編集]

7階:スタジオ・インフォメーション[編集]

  • せんだいメディアテーク
    • 相談デスク・受付相談カウンター
  • 美術文化ライブラリー
  • スタジオ・スタジオシアター(180席)・ホワイエ
  • ラウンジ

6階:ギャラリー4200[編集]

5階同様イベント専用のギャラリーである。

5階:ギャラリー3000[編集]

基本的にイベント専用のギャラリーである。

3・4階:仙台市民図書館[編集]

仙台市民図書館
  • 仙台市民図書館
    • 一般書・新聞・雑誌バックナンバー・参考資料・郷土資料

2階:せんだいメディアテーク[編集]

  • 映像音響ライブラリー
  • ボランティア・オフィス
  • 仙台市民図書館
    • 児童書・グループ閲覧室・おはなしのへや
    • 新着新聞・雑誌コーナー

1階:プラザ[編集]

せんだいメディアテーク 1階
  • オープンスクエア(可動席で300名収容可)
  • カフェ
  • ショップ(伊東豊雄関連書籍も充実)

地下1階[編集]

  • 有料駐車場
  • 管理スペース
  • 準備室

活版印刷機が動く状態で保存されている。活字は20万本保存。

地下2階[編集]

  • 保存書庫
  • 収蔵庫
  • 展示機材庫
  • 機械室

恒例のイベント[編集]

以下の他に、毎月1回、東北大学サイエンスカフェ市民大学講座)が開催されている。

施設貸出利用者数・決算[編集]

仙台市に提出された指定管理者評価シート[7]に記載されているデータでは、年間の施設貸出利用者数は公表されているものの、利用者全体の数は不明である。


2005年度[8] 2006年度[8] 2007年度[9]
施設貸出利用者数 361,172人 451,465人 386,566人
市の支出 指定管理者費用 6億3072万円 6億0394万円 5億5929万円
その他 3947万円 3386万円 3189万円
市の収入 使用料 6459万円 7209万円 7536万円
目的外使用料 416万円 368万円
その他 215万円 186万円 700万円

アクセス[編集]

地図

周辺[編集]

脚注[編集]

[ヘルプ]

注釈[編集]

  1. ^ 本来は造船会社だが、神保町シアタービルディングや気仙沼市にあるリアスアーク美術館など、造船技術を応用した建物の工事を請け負っている。
  2. ^ 1983年(昭和58年)、東北地方初の上層階が自走式立体駐車場であるパチンコ店として開店。前身は、「グランドキャバレータイガー」。

出典[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]