かしま号

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Cedream (会話 | 投稿記録) による 2016年2月22日 (月) 14:05個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎歴史)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

かしま号(かしまごう)は、東京駅茨城県鹿嶋市及び神栖市潮来市を結ぶ高速バス路線である。

鹿島地域の中心・鹿島セントラルホテルと高速バス

概要

JRバス関東
JRバス関東
京成バス
京成バス
関東鉄道
関東鉄道
廃止になったJR特急「あやめ」(2005年11月)
廃止になったJR特急「あやめ」(2005年11月)

東京駅と鹿嶋市及び神栖市・潮来市を結ぶ高速路線バスである。1989年の運行開始以降鉄道並行路線でありながら低廉な運賃、速達性、使いやすい経路設定や車両の居住性などから人気が高くなり、本数も多くなかった東日本旅客鉄道特急列車「あやめ」からの乗客もかしま号に移行し(*その後、あやめ号は減便され、2015年3月には廃止になった)、高速バス路線としては日本有数の高頻度運行路線に成長した。

鹿島側沿線は鹿島臨海工業地帯水郷筑波国定公園であり、出張、通勤、通学から観光さらには茨城県立カシマサッカースタジアムでのサッカー観戦まで多種多様な需要に支えられており、定期乗車券まで発売されているほどである。鹿島地域の鉄道路線(JR鹿島線・鹿島臨海鉄道)は交通系ICカードエリア外であるが、本路線は高速バス路線として2013年3月31日にPASMOを導入し、全国交通系ICカード10種類に対応している。(一部の臨時バス、ミッドナイトかしま号、カシマサッカースタジアム直行臨時バスを除く。)

運行会社

運行ルート

東京駅の乗車場所は八重洲南口1番のりば、降車場所は日本橋口である。

宇宙通信センター経由
東京駅 - 水郷潮来 - 鹿島セントラルホテル - 鹿島製鉄所 - 鹿島宇宙通信センター - 鹿嶋市役所 - 鹿島神宮 - 鹿島神宮駅
アントラーズクラブハウス経由
東京駅 - 水郷潮来 - 鹿島セントラルホテル - 鹿島製鉄所 - 鹿島アントラーズクラブハウス - 鹿嶋市役所 - 鹿島神宮 - 鹿島神宮駅
カシマサッカースタジアム発着便
東京駅 - 水郷潮来 - 鹿島セントラルホテル - 鹿島製鉄所 - 鹿島宇宙通信センター - 鹿嶋市役所 - 鹿島神宮 - 鹿島神宮駅 - カシマサッカースタジアム(下り便)
東京駅 - 水郷潮来 - 鹿島神宮駅 - カシマサッカースタジアム(上り便)
東京駅 - カシマサッカースタジアム(臨時直行便・上り便のみ)※カシマサッカースタジアムでのJリーグ試合開催日に運行
※カシマサッカースタジアムでのJリーグ試合開催日には座席指定制の直行便も運行されるが、かしま号とは別系統扱いでスタジアムの乗降場所も異なる。
鹿島セントラルホテル発着便
東京駅 - 水郷潮来 - 鹿島セントラルホテル

停留所一覧

停留所名 所在地 宇宙通信センター経由 クラブハウス経由 スタジアム発着 セントラルホテル発着
東京駅 東京都千代田区
水郷潮来バスターミナル 茨城県潮来市
鹿島セントラルホテル 茨城県神栖市
鹿島製鉄所 茨城県鹿嶋市
鹿島宇宙通信センター
鹿島アントラーズクラブハウス
鹿嶋市役所
鹿島神宮
鹿島神宮駅
カシマサッカースタジアム
凡例
  • 停留所 … ●:停車(上下便停車)、▼:下り便のみ停車、∥:経由せず

運行回数

  • 1日82往復(各社が1日27往復ずつと関鉄が深夜便と鹿島セントラルホテル始発1便を担当)。
    • 東京駅 - 鹿島セントラルホテル:1日9.5往復(東京駅発7:30~15:30、鹿島セントラルホテル発10:00~19:00 1時間間隔)。
    • 東京駅 - 鹿島神宮駅(鹿島宇宙通信センター経由):下り54本・上り52本(概ね10分~40分間隔)。
    • 東京駅 - 鹿島神宮駅(鹿島アントラーズクラブハウス経由):下り10本・上り12本(東京駅発8:00~17:00、鹿島神宮駅発8:00~19:00 1時間間隔)。
    • 東京駅 - カシマサッカースタジアム:1日8往復。
    • 東京駅 - 鹿島神宮駅(深夜便「ミッドナイトかしま号」、鹿島宇宙通信センター経由):下り1本(東京駅発23:40)
  • 上り便の鹿島神宮駅始発は4:55(カシマサッカースタジアム始発4:50)、下り便の東京駅発最終便は22:50、深夜便は23:40である(2013年8月1日現在)。

歴史

1989年4月4日に運行開始。当時は1日4往復あったJR特急列車「あやめ」との競合を避けるように隙間時間帯を中心に6往復運行していた。運行開始当時においても鉄道普通運賃より安く[1]、しかも渋滞がなければ速達性においても申し分なかったことから利用者が急増し、続行便や臨時便を多数設定しないとさばき切れないほどの盛況になった。

ほどなく18往復に増発したが、これによって鉄道からの乗客の転移が見られるようになり、さらに乗客が増加することになった。また、住友金属工業(現・新日鐵住金)を筆頭とする鹿島コンビナートの各社への出張客や神栖町・波崎町(当時)方面からの出迎え・見送り需要などで鹿島セントラルホテルバス停に利用客が集中し、事実上当地区の重要な乗り継ぎターミナルと化していった(後刻にはさき号が追加開業)。同様に水郷潮来バスターミナルも2002年に停留所が現在地に移転し、大規模な駐車場が設置されたことにより、周辺地域からのパーク&ライドでの利用者が非常に多くなり、私設の駐車場まで整備されるほどである。週末などはバス停に乗車待ちの行列ができるほど利用者が多い。

後に鹿島アントラーズクラブハウス経由の便も設定された。この18往復という設定は、おおむね1時間に1 - 2便程度の運行頻度であるが、到底需要の増加に対応することはできず、1991年5月の連休中には臨時便が定期便の3倍前後も設定される事態になった。

あまりにも続行便が多いため、関東鉄道・京成電鉄では貸切車をかき集めて臨時便に仕立てるだけでなく、将来定期便が増便されることを見越して高速車を新車で多数導入したほどである。予備車となっていたミドルデッカーの国鉄専用型式・スーパーハイデッカーや貸切車まで動員していた。「つくば号」では続行便・臨時便の設定も限界に近い状態であったが、「かしま号」では京成電鉄(当時)も加わった3社共同運行であったため、続行便手配においても対応しやすい面はあった。その後36往復に増便された結果、1994年12月3日改正で「あやめ」はわずか1往復に削減された(「あやめ」は2015年3月13日に定期運行を終了した)。

その後も数次にわたって増便された結果、2007年11月16日のダイヤ改正では開業当時の約15倍弱の本数である87往復となっており、ドル箱路線だった「つくば号」が首都圏新都市鉄道つくばエクスプレスの影響で減便となって以降、東京駅発の高速バスでは最も便数と利用者数が多いドル箱路線となっている。

カシマサッカースタジアムにおいて、鹿島アントラーズの主催試合が行われる際には、試合開始6時間前から2時間前までの鹿島神宮駅行きの便がすべてカシマサッカースタジアムまで延伸される。状況によって臨時便も多数設定され、試合後の上り便では東京駅直行の臨時便が運行される。なお、2011年3月6日より、鹿島アントラーズの主催試合開催日に限り、東京駅 - カシマサッカースタジアム間の直行高速バス(座席指定制)が運行を開始しているが、こちらはあくまで別系統の扱いとなる(運賃も乗降場所も異なる)ため、「かしま号」の乗車券類は使用できない。

  • 1989年4月4日 - 運行開始。1日6往復。
  • 1990年6月 - 1日18往復に増便。
  • 1992年1月 - 1日36往復に増便。上り便の東京駅到着場所を八重洲北口(現在の日本橋口)に変更。
  • 1993年
    • 3月 - バス停追加(鹿島宇宙通信センター)。
    • 10月 - 1日45往復に増便。
  • 1998年10月 - 1日60往復に増便。
  • 1999年10月 - 1日63往復に増便。
  • 2000年4月 - 一部便(1日10往復)を鹿島アントラーズクラブハウス経由に変更。
  • 2001年3月20日 - 鹿島セントラルホテル発着便(1日9往復)を新設。合計1日69往復となる(鹿島セントラルホテル - 鹿島神宮駅間では1日60往復に減便)。
  • 2006年3月11日 - カシマサッカースタジアム発着の直行便(水郷潮来から鹿島神宮駅へ上下とも直結。1日6往復)運行開始[2]。合計1日75往復となる。
  • 2007年11月16日 - カシマサッカースタジアム発着便が1日8往復に増便され、下り便が鹿島神宮駅まで従来経路と同じ(宇宙通信センター経由)になる(上り便は従来どおり鹿島神宮駅→水郷潮来間直結)。鹿島神宮駅発着便も増便され、合計1日87往復となる。
  • 2009年
    • 7月1日 - 鹿島バスターミナルの廃止に伴い、バス停名(「鹿島神宮」へ)および運行時刻を変更。
    • 7月11日 - カシマサッカースタジアムで試合が開催される場合、試合開始6時間前から2時間前までの鹿島神宮駅行きの便が、全てカシマサッカースタジアムまで延伸されるようになる。
  • 2011年7月15日 - 合計1日81往復に減便。さらに6枚綴り回数券の発売を終了し、4枚綴り回数券の発売を開始。
  • 2012年11月1日 - バス停名「住友金属」から「鹿島製鉄所」に変更。
  • 2013年
    • 3月31日 - SuicaPASMOのサービスを開始。相互利用サービスを実施している全国計10種類の交通系ICカードが利用可能となる[3]
    • 5月31日 - 4枚綴り回数券の販売を終了[4]
    • 6月10日 - 定期券(通勤用、通学用)を発売開始。利用開始は6月17日から。
    • 7月31日 - 4枚綴り回数券の利用を終了[5]
    • 8月1日 - 深夜便「ミッドナイトかしま号」の運行を開始。同時に鹿島セントラルホテル始発の夕方の上り便も増便[6]

車両

3社とも40~44人乗りのWC付ハイデッカーが使用されている。

一時期、関東鉄道は本来の担当営業所だけではやりくりがつかず、高速バスを担当していない他の営業所から貸切車を動員して続行便や臨時便に充てていたことがあった。現在でもカシマサッカースタジアムでのサッカー開催日や学休期間などの混雑日には各社とも他の支店・営業所から応援に来ることがある。

なお利用者が多い路線ではあるが、以前のつくば号と違いダブルデッカーでの運行は設定されていない。ただし、サッカー開催時のカシマスタジアム発着の臨時直行便(特に上り)においてはドリーム号仕様の車両などが間合い運用で使われることがある。


使用車両画像一覧

注記

  1. ^ 東京駅と鹿島神宮駅は鉄道では114.5kmで、1989年4月4日の時点での運賃は鉄道が1,800円、「かしま号」は1,700円であった。なお、この運賃は消費税転嫁分を除けば鉄道・バスとも2015年現在もほぼ変わっていない。
  2. ^ “スタジアム発、東京へ1.5時間 鹿嶋からの高速バス、11日から”. 朝日新聞 (朝日新聞社): p. 34(朝刊・東京地方版/茨城). (2006年3月9日) 
  3. ^ 【お知らせ】高速鹿島線「かしま号」でのご利用に交通系ICカードがご利用いただけます - ジェイアールバス関東(2013年3月29日付トピックス)- 同年4月6日閲覧
  4. ^ 高速鹿島線 回数乗車券の廃止について - ジェイアールバス関東(2013年4月26日付トピックス)
  5. ^ 高速鹿島線 回数乗車券の廃止について - ジェイアールバス関東(2013年4月26日付トピックス)
  6. ^ [1] - 関東鉄道(高速バス「鹿島東京線」 深夜便『ミッドナイトかしま』の運行開始について)

関連項目

外部リンク