鬼神伝

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鬼神伝
著者 高田崇史
イラスト 村上豊
発行日 鬼の巻:2004年1月30日
神の巻:2004年4月27日
発行元 講談社
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 鬼・神の巻:四六変型
龍の巻:新書判
ページ数 鬼の巻:352
神の巻:298
龍の巻:312
次作 鬼神伝 龍の巻
2010年10月6日
公式サイト ミステリーランド特集ページ
コード #書誌情報参照
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鬼神伝』(おにがみでん)は、高田崇史による日本冒険小説

2004年講談社ノベルズレーベル 講談社ミステリーランドから『鬼の巻』と『神の巻』が刊行された。内容としてはジュブナイル向けに執筆されている。

アニメ映画化され、2011年ゴールデンウィークに公開された。また、2010年10月に原作の続編『鬼神伝 龍の巻』を講談社ノベルスから書き下ろし100冊として刊行されている。

あらすじ[編集]

鬼と人とが激しい戦いを繰り広げていた平安時代へタイムスリップしてしまった内気な中学生の少年・天童 純の物語。なぜ鬼は節分の日に豆をぶつけられるのか、なぜ鬼は桃太郎に退治されなければならなかったのか…を、作者の歴史考察を交えながら物語が展開される。

『鬼神伝 龍の巻』は『神の巻』の後、高校生となった純が鎌倉時代へタイムスリップして新たな活躍をする物語となっている。

登場人物[編集]

天童 純(てんどう じゅん)
京都市の中学校に3カ月前に転校してきた少年。父親が転勤を繰り返しており、友達と馴染めずにいるばかりか家庭内でも両親から八つ当たりに叱られるなど不遇な思いで過ごす事が多い。生まれた時から胸に赤紫色のがある。
密教僧・源雲に平安時代へ飛ばされ、鬼と戦う使命を負い、オロチを甦らせる。鬼との戦いへ向かう最中に鬼の子・水葉と出会い、彼女の仲間から自分が素戔嗚尊の血を継ぐ、正統な鬼の子孫であり、民のほとんども鬼の血を継ぐ者であると聞かされ、鬼と共に貴族たちと戦う道を選ぶ。
鬼の巻の終盤で、自分は平安時代から飛ばされて、現世の両親の許で暮らしていることが明らかとなる。
大和の雄龍霊(やまとのおろち)
貴族によって封印されていたが、純によって解放される。普段は肩の上に乗るサイズだが、純が草薙剣を手に入れると、八つの頭を持つ巨大なに変身する。
劇場版では大友克洋デザインコンセプトを担当しており、原作中の描写とは大きく異なる。

貴族とその仲間[編集]

源雲(げんうん)
京都にある古刹・不仁王寺(ふにおうじ)の密教時空を超えることができる能力を持つ。純を平安時代へ飛ばし、人に悪さをする鬼を退治するよう命じる。
源頼光(みなもとの らいこう)
平安京を警護する武士源満仲の長子。帝釈天を天令招換し自身に乗り移らさせる。
藤原基良(ふじわらの もとよし)
右大臣。太政大臣・藤原房盛の次男。朝廷の実質的な支配者。
藤原房盛(ふじわらの ふさもり)
太政大臣。基良の父親。
多治比麻呂(たじひの まろ)
中納言。何者かに惨殺される。
大伴宿禰(おおともの すくね)
大納言。目つきが鋭く大柄な体格。
渡辺綱(わたなべの つな)・金太(きんた)・季武(すえたけ)・貞光(さだみつ)
頼光の部下。源雲が四天王を召喚し乗り移らさせる。綱が毘沙門天に、金太は増長天に、貞光は持国天に、季武は広目天になる。映画版では頼光と同年代の少年。

鬼とその仲間[編集]

海神(わだつみ)
龍宮の主。原作・神の巻で貴族との戦いで命を落とした事が明かされるが、純が現世に戻った時に立ち寄った「水乃葉神社」でそっくりな姿をした神主が登場する。
水葉(みずは)
純たちが鬼退治で鞍馬山へ向かう途中に、怪我をしていた鬼の少女。海神の孫娘。原作・神の巻の終盤の戦いで命を落とすが、龍の巻の現世でそっくりな少女が登場する。
海邪鬼(あまのじゃく)
海神の部下。小鬼。映画版では序盤に純を浚いに現世へ赴くが、純が源雲の結界に入ったため失敗する。
宇賀女(うかめ)、ワニ白蛇河童
海神の部下。
山神(やまつみ)
の神。高い天井に頭が付きそうなほど背が高い。
火神(かぐつち)
の神。真っ赤な着物を着た女性。
野火(のび)
火神の
火吹き男(ひふきおとこ)、荒神(こうじん)
火神の仲間。
土神(はにやま)
の神。真っ黒な岩のような男。
木神(くくのち)
の神。緑色の着物を着たスリムな男。
木霊(こだま)、来根(きつね)、熊奴(くまぬ)
木神の仲間。
モンモウ
木神の仲間の小鬼。
ダダ法師(ダダほうし)、大人(うし)
山神よりも大きい。
小野篁(おの の たかむら)
貴族。人の理不尽さに怒り、鬼の世界の主となった。
牛頭(ごず)・馬頭(めず)
篁の部下。
烏天狗(からすてんぐ)
鞍馬山の神。

阿修羅王とその仲間[編集]

阿修羅王(あしゅらおう)
天竺に住む戦いの神。迦楼羅に乗り、十二神将たちを従えて帝釈天らと戦い続ける。頼光に乗り移った帝釈天を追って都へ来る。
伐折羅大将(ばさら)・宮毘羅大将(くびら)・摩虎羅大将(まこら)
十二神将の一部。阿修羅王の部下。
荼吉尼(だきに)
人の魂を食べて生きる、天竺のキツネ。大黒天の手下。
歓喜天(かんぎてん)
の顔をした天竺の鬼神。4本の手に索条、三鈷杵法輪、剣を持つ。鼻が大蛇のように伸びる。
三面大黒(さんめんだいこく)
帝釈天の部下。大黒天毘沙門天弁財天の3つの顔を持つ。

その他[編集]

弥勒(みろく)
兜率天に閉じ込められている、世界を破滅させるほどの力を持つ破壊仏。基良らは不吉過ぎる名前を避け「三拝の一二三」(さんばいのひふみ=123を3倍すると369)と呼ぶ。
二十八部衆(にじゅうはちぶしゅう)
観音菩薩眷属
純の両親
原作では父親が会社の機嫌を伺うため転勤を繰り返しており、母親は近所付き合いに馴染む前に転居するため愚痴を言う仲間がいないとして、純や夫にあたるヒステリーな性格描写がある。ただし、純とは血縁関係は無いことが作中で明らかとなる。

書誌情報[編集]

映画[編集]

鬼神伝
監督 川崎博嗣
脚本 荒川稔久
川崎博嗣
出演者 小野賢章
音楽 宇崎竜童
主題歌 福原美穂『STARLIGHT』
製作会社 スタジオぴえろ(「鬼神伝」製作委員会)
配給 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント (日本)
公開 2011年4月29日
上映時間 98分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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原作に倣い歴史ファンタジーアドベンチャーを織り交ぜた長編アニメーション映画として制作され、2011年4月29日に東北地方を除く全国で公開された。SPEJのアニメ販売事業がアニプレックスに譲渡されて以来初めて製作を手がけたアニメーション映画である[1]

監督の川崎博嗣はフリーのアニメーターで、『スプリガン』『劇場版 NARUTO -ナルト- 大激突!幻の地底遺跡だってばよ』に次いで3作目の監督作となる。なお、本作のオロチコンセプトデザインとして大友克洋が参画しているが、川崎は『AKIRA」』作画、『最臭兵器』『スプリガン』のキャラクターデザイン・監督を経験しており、大友作品との関係を有している。

原作者がほとんど製作に口出さずにスタッフ側へ委ねたため[2]、スタッフ側の脚色により原作とはストーリーやキャラクター設定が大きく異なる点が多く、純が善悪の判断に苦悩し、勇気ある決意をして成長していく姿を軸に描かれている。テレビ東京の「鬼神伝 特集」によれば構想7年、『活字倶楽部』2011年春号の特集記事によれば、2004年の原作刊行時から目に付けていたとのこと。

当初は2010年10月9日公開予定であったが、同年9月に2011年春への公開延期がSPEから発表され[3]、2011年ゴールデンウィーク公開へと至った。本作の公式ウェブサイトでは東日本大震災以降、コンセプトアートに「がんばろう 日本」の毛筆メッセージを載せた画像の表示後に本来のトップページとメニューが表示されるようになった。

主要キャスティングは監督の意向で決められた[4]。なお、初日舞台挨拶や宣伝に主演の小野賢章は一切出演しなかった。映画観客動員ランキング(興行通信社)は大作に押され初登場第12位であり、トップ10圏外であった[5]

東北地方ではフォーラムシネマが上映館となるが、2011年7月2日から青森・八戸[6]でそれぞれ1週間公開され公開を終了した。また、2010年5月27日に閉館した池袋テアトルダイヤでの新作最終上映作品(かつ関東地区での最終上映)となった。

劇場公開作品にしては珍しく、サウンドトラックがいまだに発売されていない。

キャッチコピーは「守るべきは 鬼か、人か。」

2011年9月28日にSPEJからBlu-ray Disc(BDMV)とDVDビデオソフトが発売された。BD版には本編119分の「ディレクターズ・カット版」が別途収録されている。

あらすじ[編集]

登場人物[編集]

天童純
15歳の中学生。元々京都市中心部に住んでおり、7年前に父親が事故死したため母子家庭で暮らしてる。
性格はあらゆるものに対して臆病。飛び出したこどもに注意もできないなど、弱気で何かと自信が持てない日々を過ごしていた。その反動として、学校の帰りに買い食いをしてストレスを解消していた。しかし心優しい性格であり、子犬という弱い存在にサンドイッチを与えるという面もある。
意志表示をしない理由は父親の死(その死を純は無駄死にと考えていた)が原因であり、序盤で父の死による父性の喪失が描かれている。決断をできず迷い続ける面はこどもだが、相手の意向を無視し強引に行う源雲と違い、人との対話を通して答えを見つけ出そうとする大人としての面を持つ。作中通して命を賭けて戦う人々の姿を見て、源雲と決別し命を賭け戦いに挑む。
カメラ付き携帯電話を離さず、風景写真を頼光に「写メ」と説明して撮影し、終盤の現代で、頼光・水葉と3ショットしたものを眺める描写がある。
元ネタは古典に登場する鬼の首領・酒天童子かと思われる部分がある。血統について源雲からは「正統なる貴族の末裔」、海神からは「勾玉の末裔」と、それぞれ言い換えられている。
水葉
海神の孫娘。人間を強く憎み戦おうとしているが、戦いたくて戦っているわけではない。水の術を使う。
回想シーンで頼光と両想いとして頬を赤らめる描写がある。
ディレクターズカット版で、全く胸が無いことが分かる。
源雲
貴族側で鬼退治の先導を切る密教僧。「平安楽土」を願い、鬼達の戦いが激化したことで、純を平安時代に呼び寄せオロチを復活させた。
本心は琵琶湖の水とオロチを手に入れ世界征服を果たすことで、意に反する人物は次々と殺す。それらは「正義」の下で行っているもので、完全に悪役としては描かれていない。純も彼の意志を受け止めた上で、同じく意志を持つ者として戦う。最終的には鬼側と戦うが、純や素戔男尊の攻防により崩壊する。
鬼と同じく術を駆使するが、その力の源については明かされなかった。
源頼光
純や水葉と同年代の少年で平安京を警護する剣士。貴族の父と鬼側の母との間に生まれ、両親が貴族と鬼の戦いを休戦させようとした折に源雲の陰謀で戦闘に巻き込まれて死亡する。
幼少期は海神や水葉たちと過ごしていたが、10歳を過ぎた頃に鬼の暮らしから離れ、事実を知らぬまま源雲の下で仕えていた。終盤で帝釈天を天令招換し自身に乗り移らさせる。
基本的なキャラクター造形は、『劇場版 NARUTO -ナルト- 大激突!幻の地底遺跡だってばよ』に登場するテムジンの流用である。
天童功(てんどう いさお)
映画版に登場する純の父親で高校教師をしていた。7年前に踏切に飛び込んだ(自殺未遂と思われる)少女を救うために飛び込み、電車と衝突し38歳で犠牲となる。そのため純は他人のために犠牲となった父を嫌悪し、遺影を見るのを避けてきた。
その後平安時代で意識を失った純が夢の中で、小学5年生の功がいじめられていた友達を庇うため、ひ弱にもかかわらずガキ大将と決闘する姿を見て、不慮の死を遂げた真相を理解する。
勾玉一族であったのかは明らかにされなかった。
天童美咲(てんどう みさき)
映画版で登場する純の母親。京都弁で話す。幼少期の純に「お父さんのように勇気のある男になってな」と言い聞かせる。

スタッフ[編集]

主題歌[編集]

キャスト[編集]

ロケハン[編集]

映画版で純が買い食いに寄るスーパーマーケットのモデルとなった、グルメシティ京極店

主に京都市内でスタッフがロケハンし、本編では写実的な背景描写で登場する。

プロモーション[編集]

  • 京都市交通局の市バス・地下鉄と京都バス車内にポスターが出稿された(2011年5月20日時点)。また、交通局によるイベント情報と平安京跡などロケ地解説を交えたタイアップ版のチラシも作成され、交通局窓口などで配布されている。
  • 京都国際マンガミュージアムで2011年4月19日から5月20日まで原画や背景イラストなどを展示する「鬼神伝 原画展」が開催された。
  • 2011年4月27日に、Ustream上でスタッフの川﨑(監督)・宇崎(音楽)・福原(主題歌)の3名が出演し生中継でストリーム配信するトークイベントが行われ、製作委員会側が把握した最多同時視聴者数×100円を日本赤十字社へ東日本大震災の義捐金として寄付する試みが行われた[9]。結果、同時視聴者数は362人で36200円を寄付した。[10]
  • テレビ東京が製作参画しているため、以下の放送がされている。

関連商品[編集]

脚注[編集]

  1. ^ その為にジャンルがアニメではなくて邦画という扱いとなっている。
  2. ^ “『鬼神伝』の原作者・高田崇史「テーマはぶれていません。満足しています」”. Movie Walker. (2011年4月27日). http://news.walkerplus.com/2011/0427/14/ 2011年5月19日閲覧。 
  3. ^ “SPE「鬼神伝」、来年GWに公開延期”. 文化通信. (2011年4月30日). http://www.bunkatsushin.com/news/article.aspx?id=37898 2011年5月21日閲覧。 
  4. ^ Inter FMTOKYO ANIME STREAM」2011年4月17日放送分より
  5. ^ “GW突入、興行界も好調の中『コナン』が『GANTZ』から首位奪還!『八日目の蝉』『豆富小僧』もランクイン!”. シネマトゥデイ. (2011年5月4日). http://www.cinematoday.jp/page/N0032111 2011年5月21日閲覧。 
  6. ^ SPEJ公式サイト公開劇場
  7. ^ アニプレックスも間接的ではあるが制作に加わっているものの、他のスポンサーとの兼ね合いでソニー・ミュージック名義での参加となった。
  8. ^ [1]
  9. ^ テレビ東京2011年4月 社長定例記者会見での田村明彦の発言
  10. ^ 公式サイトニュース

外部リンク[編集]