停車 (鉄道)

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鉄道における停車(ていしゃ)とは、鉄道車両運転中に何らかの理由で停止することを言う。

狭義では等において旅客の乗降などを行うことを意味するが、広義では運転停車など列車が停止するすべての場合を含める。本項では鉄道における停車をダイヤグラム(以下、ダイヤと略)や鉄道運転業務の観点から見たものについて記述する。

目次

[編集] 停車の取り扱い

運転規則上、停車している車両に乗務員が乗務している場合を「列車の停車」、乗務していない場合は「車両の停車」として取り扱っている(新交通システムなどでの無人自動運転を除く)。

[編集] 主な目的

鉄道においては、主として以下に挙げる行為を目的として停車を行う。特に駅や信号場において客扱いや荷扱いを行わないものは運転停車と称する。

[編集] 列車の停車時間

旅客列車の場合、基本的には列車種別や車両のドア数、また大都市の駅では乗降人員ホームと出入口の構造(階段の位置など)、線路配線および平面交差支障時分などの様々な制約や条件を考慮して停車時分を設定する。このため明確な基準は無いものの、小規模の駅では短い場合15秒程度、長距離列車や乗降客が集中する駅では60秒から90秒程度である。またワンマン運転を行う場合は、運賃の収受や定期券の確認に時間がかかり、停車時間が延びやすい。客扱いの他、列車交換や待避・増解結・乗務員交代・機関車交換・給炭や給水等を行う場合には停車時間が長くなる[1]。また路線が変わったりしてダイヤの基準となる列車が変わる場合、路線境界の始終点駅で時刻調整をするために10 - 20分程度停車することもある。

貨物列車の場合には、荷役を行なう貨物駅の構造や、入換作業の有無に大きく左右される。貨車の連結と解放を同時に行う場合は停車時間が長くなるが、貨車の解放のみだと5分程度で済むことがある。また着発線荷役方式 (E&S) を採用している貨物駅では、貨車の連結・解放作業なしでコンテナの荷役作業が可能である。この場合、15 - 20分程度の停車時間を要する。

[編集] 停車駅の選定

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[編集] 旅客列車の停車方式

[編集] 交互発着

1面のホームに(待避線がある等の理由で)2線ないしそれ以上ある場合、列車の待避などを行わない場合にも列車を複数の番線に交互に停車させる方式である。ホームの片方に列車が停車している状態でも後続の列車が入線できるため、列車の運転間隔を狭めることができる。ラッシュ時など列車本数が多い時間帯、乗降客の集中などで停車時間が延びるターミナル駅や、単線区間で停車時間を確保しながら運行間隔を短くするときに用いられる。

[編集] 緩急接続

1つの鉄道路線に停車駅・速度の異なる列車(主に普通列車と快速列車・優等列車)が走っている場合、待避駅において待ち合わせを行う列車と追い越しを行う列車それぞれの間で相互に乗り換えられるようにすることを緩急接続という。特に同一ホーム(島式ホーム)で乗り換えられる場合を指す場合が多い。

専門的には前者の列車を「緩行」、後者を「急行」と呼び、それらが「接続」することから「緩急接続」と呼ぶ。「緩急結合」「相互接続」とも呼ばれる。アナウンスでは「待ち合わせ」「各駅停車に連絡(接続)」などと案内する場合が多い。また、待避駅を通過して追越を行う場合にその前後の駅に停車し、待避駅以外の通過駅から上位種別の列車への乗換の利便を図ることを「準緩急接続」と呼ぶ場合もある(例:南海本線羽衣駅は急行停車駅であるものの待避設備がないため、通勤時間帯には同駅前後の浜寺公園駅または高石駅で通過待ちを行う代わりに羽衣駅で急行から普通またはその逆の接続を行っている)。

また、急行電車が特急電車と待避駅において待ち合わせを行う「急急接続」もある(例:南海本線岸和田駅では昼間時に区間急行は空港特急「ラピート」と、空港急行は特急「サザン」または全車自由席特急と接続。京急本線京急川崎駅では下りエアポート急行快特と接続)。

緩急接続を行う場合、普通列車しか停車しない駅でも速達列車を利用しやすくなり、路線全体の駅に利便が及ぶ。その反面、速達列車の乗客が増えることで混雑したり、待合わせにより普通列車の所要時間が増えてしまう短所を持つ。そのため、通勤時間帯など利用が集中する場合は、あえて緩急接続を行わず、混雑の平均化を図る場合が多い。これを緩急分離という。

緩急分離の一種として途中駅での列車待避を行わず、列車種別に関係無く平行ダイヤに乗せてしまうこと(JR京都線の朝の大阪方面は、高槻駅から外側線(国鉄時代の通称列車線)に新快速快速、内側線(同、電車線)に普通の平行ダイヤ・快速運転は京都駅から)もあれば、逆に関西圏の私鉄の一部には速達列車が後続を走るさらに上位の速達列車を待避し、追い抜かれた列車がそのすぐ後ろを続行運転するダイヤが組まれているケースがある(近鉄南大阪線での朝ラッシュ時上り河内松原駅での準急の待避、JR神戸線神戸駅での外側線列車同士の待避など[2])。折り返し時の車両運用の都合や、乗降人員がきわめて多く乗車に時間がかかるため、その時間を利用してすぐ後ろに迫っている後続の通過列車に追い抜かせた方が合理的であるなど、ラッシュ時特有の理由によりこのような措置が取られているものである。

また類似の例として、乗換駅や複々線などで1面のホームに複数の番線が設けられている場合、列車を同時に到着・発車させ、相互に接続をとる手法もある。この例は三ノ宮駅・芦屋駅などで見られる。

さらに京王線調布駅の、京王線系統の特急・準特急と相模原線系統の急行・快速の接続や、神戸駅での夕方の姫路方面の新快速・快速相互接続などの「急急接続」や、それぞれの路線の各駅停車を接続させる「緩緩接続」(尼崎駅におけるJR東西線JR宝塚線同士の接続など)もある。これらの種類の接続は、追い抜きのためではなく、運転系統の異なる列車同士の乗客の相互乗り換えのために接続しているものである。

[編集] 千鳥停車

列車種別によって停車駅を分散させるダイヤが混雑時間帯などに採用されることがある。これを千鳥停車、または千鳥式運転という[3]。日本では阪神電気鉄道で初めて採用された[4]

多くの場合、緩急接続のため上位の列車種別の停車駅には下位の列車種別の列車は必ず停車するが、ラッシュ時にそれを行うと、より速達効果の高い上位種別列車に乗客が集中し、乗換駅での乗降時間の増大を招く。それを防ぐため、種別ごとに対象とする駅を分散させ、列車ごとの乗客数を平準化することが千鳥停車を実施する主な理由である。列車の追越もあまり行わず、複数種別の列車が走る場合でも平行ダイヤに近い形態をとることもある。代表的な事例として、西武池袋線池袋 - 所沢間が挙げられる(1998年3月 - 2001年12月までが最も多く、10種もの列車種別が存在していた)。

このような利点のある千鳥停車であるが、対象駅においては上位種別の停車駅を下位種別の列車が通過するダイヤとなるため、その路線に慣れていない利用者にとっては利用しづらく、誤乗により下車駅を通過してしまったり、所要時間が伸びてしまう危険が高い。そのため、千鳥停車の大半は混雑の激しい路線においてラッシュ時間帯限定で実施されてきたが、近年では様々な理由により全日で千鳥停車を行う鉄道事業者も一部に存在する。採用した場合には駅係員はダイヤの記憶と判断力が必要になる。

国鉄時代の東海道・山陽線では、外側快速が垂水須磨六甲道駅を通過する代わりに西ノ宮駅に停車(大阪駅発着のみ)していたが、現在は六甲道・西宮駅にはすべての快速が停車している。

[編集] 選択停車

ダイヤ作成上停車する駅・バス停を選択的に決定することを選択停車と言い、鉄道の場合には優等列車を停車するだけの規模を持った駅が近接して続いている場合などにその停車駅を固定化せず平準化させることをいう。停車駅を絞ることで各駅の利用客に配慮しながら、列車ごとの所要時間均一化を計る目的がある。別種別を立てるなど、これを制度的に採り入れてダイヤを組んだものが千鳥停車である。

また、現在でもしばしば見られる優等列車の停車駅争奪戦を避ける意図で用いられることも見られ、主に国鉄・JRの列車本数が少ない路線で行われてきた。この例は現在伯備線エル特急やくも」(生山駅根雨駅にほぼ交互に停車)、瀬戸大橋線快速「マリンライナー」(妹尾駅早島駅にほぼ交互に停車)などでも見ることができる。同様のケースは東海道新幹線の「ひかり」(日中は名古屋駅以西各駅に停車するタイプと、静岡駅及び周辺の駅に停車するタイプが交互に運転されている)や、山陽新幹線の「のぞみ」(姫路駅福山駅新山口駅などの中規模駅で「ひかり」を補完するためにおおむね毎時1本の割合で停車)などでも見ることができる。小田急ロマンスカー近鉄大阪線特急でも選択停車が実施されている。

特定の区間において、連続するほとんどすべての駅が特急停車駅とされるケースがあり、このような区間においても隣り合う駅の連続停車をできるだけ少なくするための選択停車が導入されている。この例は常磐線特急「スーパーひたち・フレッシュひたち」(取手駅 - 土浦駅間7駅すべて、及び水戸駅 - いわき駅間19駅中15駅が特急停車駅)、内房線特急「さざなみ」(木更津駅 - 館山駅間14駅中12駅[5]が特急停車駅)などが存在する。

[編集] 臨時停車・特別停車

ある駅において通常より多くの乗降客が発生する際、本来はその駅を通過する列車を停車させることを「臨時停車」「特別停車」と称する。これは、所定の停車列車では利用者を輸送しきれない場合や特に利便性を図る必要がある場合に行われる。季節営業駅を除く臨時駅ではすべての停車列車が臨時停車扱いとなる。

「臨時停車」は特定の日・時間帯に停車させるもの、「特別停車」は特定の列車について毎日停車させるもの[6]と使い分けされることが多い。

臨時停車は主に駅に近接するサッカー場野球場公営競技施設等で試合やレース、催事が開催される場合に実施される。味の素スタジアム最寄りの飛田給駅準特急)やJRA中京競馬場最寄りの中京競馬場前駅快速特急・特急・急行)、JRA京都競馬場最寄りの淀駅快速急行)での例などが代表的である。なお飛田給と淀ではこれとは別に同駅発の臨時列車の設定もある。

著名な寺社への最寄り駅では、正月三が日初詣や大規模な祭事が開催される場合に実施されることがある(初詣臨時列車も参照)。

受験シーズンに受験会場近くの駅で行われる場合や、遠足修学旅行その他特別な催しなどの団体利用の際に学校の最寄り駅や目的地最寄り駅で停車する場合もある。 例えば、受験シーズンに京王井の頭線駒場東大前駅で臨時停車する。 修学旅行時期に通常は停車しないJR北海道の特急北斗幌別駅に停車した事例がある。 この場合は修学旅行の旅行会社担当者や学校関係者、該当生徒以外の乗降は不可能である。

突発的なものとして、緊急を要する急病人等が発生した列車を臨時に停車させる場合もあり、緊急停車と呼ばれることがある。ただしこの場合、当該列車乗務員と運行指令双方の判断による許可が必要である。また受験生などの乗り間違えから通過駅に停車させる「温情停車」が発生することがあるが、本来この様な手法はほとんどの鉄道事業者において許可されていない。また、近畿日本鉄道の場合、ノンストップ特急に誤乗した場合、次に停車する駅が非常に遠くなるため、通過駅でも特別に停車することがある。この場合は乗務員室から降車させ、客扱いはしない[要出典]

名古屋鉄道では利用者の増加により特別停車が恒常的(急行でも停車駅が列車によって異なった)となり、案内上混乱をきたすようになったため、2005年列車種別を増やした事例もあるが、2011年現在でも多くの列車に特別停車が見られる。ただし名鉄の特別停車自体は2003年改正平日ダイヤと2005年改正平日ダイヤとの比較では前者が1000回を越える回数であったのに対して、後者では列車種別を増やし、正式停車駅に格上げした駅も多数設定したこともあり、5分の1以下の204回にまで大幅に減少している。ただし2011年改正ダイヤでは特別停車が再び増加している。

JRの臨時停車は、ダイヤ改正時に1年間のうちの停車期間を予め設定するものと、各季節の臨時列車の設定時にその都度臨時停車日を設定するものの2種類がある。市販の時刻表上では、前者は「(駅名)停車は○月○日 - ○月○日」、後者は「○月○日 - ○月○日は(駅名)停車」と表現が異なっているが、2010年現在、前者に該当するものはJR北海道管内の竜飛海底駅原生花園駅釧路湿原駅のみである。

「特別停車」の対義語として「特別通過」があり、過去には名鉄などで多く見られた。名鉄では2011年改正ダイヤで、名古屋本線の特急のうち平日の朝方に笠松駅新木曽川駅のどちらかを特別通過する列車が設定されている。2008年改正ダイヤから2011年ダイヤ改正までは、快速特急・特急が朝方を除き両駅に特別停車していた。名鉄の普通列車の特別通過は2006年の河和線椋岡駅の廃止をもって消滅した。

常磐線の柏駅は特急「フレッシュひたち」の停車駅であるが、朝のラッシュ時間帯の上りの特急は通過となっている(下りは全て停車)。 混雑時間帯に上りを停車させると、乗り切れないためと思われる。

[編集] 運転停車

客扱いや荷扱いを行わない場合の停車を指す。主に小駅や信号所における列車の行き違い待避スイッチバックによる方向転換、乗務員の交代や機関車の付け替えといった運転上必要な業務を行なうためのものが多い。比較的走行距離が短い夜行列車では時間調整として行なわれる場合もある。踏切設備の都合上、通過禁止駅になっている駅では、回送列車も必ず運転停車することになる。また、車内販売商品の積み込みや食堂車への食材の積み込みのための停車、旅客列車に併結された荷物車の荷扱いのための停車についても、乗客から見ると運転停車に当たる。一般的な鉄道時刻表では通過として扱われるが、運転士が使用する携帯時刻表では停車時刻・発車時刻とも記載されている(客扱いの停車と区別するためにカッコの記号を付けている)。

なお、列車の扉が自動扉で無かった時代は、客扱いを行わない停車は多く存在しなかった。車両の扉は走行中も乗客が自由に開閉でき、停車していれば乗降が可能だったからである(20系を使用した寝台列車など一部の列車では、施錠される例もあった)。そのため昭和中期ごろまでの時刻表では、運転扱い上の理由で停車する小駅[7]や深夜に停車する駅でも、優等列車の停車時刻が掲載されていることがあった。

また、自動扉を持った車両が増えてきた時代に起こった有名な運転停車に関する事件として、1961年の「サンロクトオ」改正における特急「白鳥」をめぐり北陸本線能生駅で起こった「能生騒動」や、1982年名古屋駅で起こった寝台特急「紀伊」機関車衝突事故がある。また、運転停車から定期列車停車駅に変更した例もある。

[編集] その他の停車

信号機が停止信号を現示している場合など、信号機の手前で停止することを「機外停止」と称する。

[編集] 脚注

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  1. ^ 蒸気機関車火床整理を行う必要がある場合は最低でも5分の停車時分は確保していた。
  2. ^ 2003年11月30日までは、外側快速は芦屋駅でも待避を行っていたため、西ノ宮駅までは内側線の普通が所要時間が短かった。
  3. ^ 井上孝司 『ダイヤグラムで広がる鉄の世界: 運行を読み解く&スジを引く本』 秀和システム、2009年10月、p.94。ISBN 978-4798024127。2011年5月5日閲覧。
  4. ^ この名称の由来として、鉄道評論家川島令三は「千鳥が急に停まったり走ったりすることから千鳥式運転といわれている」という説を挙げている(川島令三 『新東京圏通勤電車事情大研究』 草思社、46ページ。)。しかし、歌舞伎の立ち回りに「千鳥」があるように、左右互い違いに進む、並ぶことをさす一般名詞としての用法が古くからある。
  5. ^ このうち佐貫町駅は臨時列車のみ停車する。
  6. ^ 近畿日本鉄道では、駅の時刻表において、「追加停車(駅)」という表現を使用している。
  7. ^ 山陽本線瀬野八区間における上りの瀬野駅や、北陸本線において電化方式の境界だった米原駅 - 田村駅SLDL牽引による交直接続を行っていた時代の田村駅などがそれにあたる。

[編集] 参考文献

[編集] 関連項目

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