常盤堂雷おこし本舗

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株式会社常盤堂雷おこし本舗
Tokiwado Kaminariokoshi Honpo co.,ltd.
常盤堂雷おこし本舗本店
常盤堂雷おこし本舗本店
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
111-0032
東京都台東区浅草3丁目6-1
雷5656会館地下1階[1]
北緯35度43分0.1秒 東経139度47分45.8秒 / 北緯35.716694度 東経139.796056度 / 35.716694; 139.796056座標: 北緯35度43分0.1秒 東経139度47分45.8秒 / 北緯35.716694度 東経139.796056度 / 35.716694; 139.796056
本店所在地 111-0032
東京都台東区浅草1丁目3-2[2]
北緯35度42分40.1秒 東経139度47分46.2秒 / 北緯35.711139度 東経139.796167度 / 35.711139; 139.796167
設立 1950年1月10日[1]
(創業江戸時代末期[1][3][4]ないし1924年大正13年〉[5]
業種 食料品
法人番号 8010501013310 ウィキデータを編集
事業内容 雷おこし人形焼などの和菓子の販売、飲食業[1]
代表者 穂刈久米一(代表取締役社長[1]
資本金 6500万円[1]
純利益 ▲2億5044万2000円(2020年09月30日時点)[6]
総資産 39億8122万7000円(2020年09月30日時点)[6]
外部リンク tokiwado.tokyo ウィキデータを編集
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株式会社常盤堂雷おこし本舗(ときわどうかみなりおこしほんぽ、: Tokiwado Kaminariokoshi Honpo co.,ltd.)は、東京都台東区浅草に本社を置く製菓業者である[5][7]雷おこしの製造・販売を主軸とする[3][4][5]

概要[編集]

穂刈恒一の胸像群馬県渋川市小野上支所)

雷おこしは1795年寛政7年)、焼失した雷門の再建をきっかけに露天商が売り始めたのが発祥とされており、その系譜を受け継いだのが同社であると報じられている[3][4]。同時期に歌川広重が描いた錦絵には「常盤堂」の名が登場しているとも報じられている[4][8]第二次世界大戦によって店と資料が焼失したため詳しい歴史は分からないとしているが[9]2009年平成21年)における報道では「創業250年」[4]2012年(平成24年)における報道では「創業は200年以上前」[3]との紹介がなされているほか、1924年大正13年)創業であるとの報道もある[5]。初代社長の穂刈恒一は元々雷おこしの原料となる「おこし種」を取り扱う下請け業者であったが、戦後に穂刈家として経営に参画するようになった[9]。現本店の位置に店を構えたのは1892年明治25年)のことで[8][10]、現在の株式会社に組織を変更したのは1950年昭和25年)である[5]1967年(昭和42年)から東京都内の百貨店に販売網を広げ、1972年(昭和47年)には埼玉県大宮市(現さいたま市西区三橋)に工場を建設した[5]。かつては群馬県安中市や埼玉県桶川市にも工場があったほか[3][9]、初代穂刈恒一が社長であった頃に「雷おこし」を同社の登録商標としていた時期がある[4]

昭和40年から50年代にかけて事業の多角化を開始[5]。海外進出としてマレーシアタイ王国華僑資本の合弁法人設立、シンガポールに全額出資子会社設立、大韓民国の製菓業者に雷おこしの製造技術を供与するなどしたほか[5]、外食産業として八重洲うどん店を出店[5]、雷おこしの焙煎技術を利用してハト麦茶の製造販売に参入[5]、観光事業として大道芸水芸など浅草ゆかりの芸を披露するホール「雷5656(ゴロゴロ)会館」を開設するなどした[5][11]

3代目穂刈久米一が社長に就任した1996年(平成8年)には経営が悪化していたことから体制の立て直しを実施[3]。安中市と桶川市の工場を閉鎖し大宮工場に一本化したほか、硬い雷おこしが敬遠されるようになったことから時代に合わせて雷おこしを柔らかくする商品開発を行う[3]。従来の雷おこしは米粉100%で製造されていたが、米粉を50%に抑え、残り50%を小麦粉デンプンにしたことで雷おこしに「フワッとした」感じを出すこと[3]、また水飴の量を減らして硬さと甘さを抑え上品な味付けにすること[9]に成功した。これにより同社の雷おこしは「他社と比較して柔らかく、年配客に人気」であるとの評価がある[12]。また、この商品開発に対しては先代の職人と激しく対立したとも報じられている[3]

2000年代後期に入り、もんじゃ焼きピーナッツ抹茶チョコレート和三盆などを利用・モチーフとした雷おこしを開発している[13]。工場がさいたま市にあることから、さいたま市誕生10周年記念イベントの際にはマスコットキャラクター「つなが竜ヌゥ」をかたどった人形焼を製造したことがある[14]2003年(平成15年)時点で約100種の雷おこしを販売していると報じられている[8]

沿革[編集]

常盤堂の雷おこし。右から黒砂糖白砂糖海苔抹茶味。
  • 江戸時代末期 - 雷門前で雷おこしを売り始める。同社のルーツとされる[3][4][8][9]
  • 1892年明治25年) - 現本店の位置に店舗を構える[3][8][10]
  • 1950年昭和25年) - 株式会社常盤堂雷おこし本舗を設立[5]
  • 1954年(昭和29年) - 本店を再建。
  • 1959年(昭和34年) - 埼玉県戸田市に戸田工場を開設[5]。千住工場を移設。
  • 1961年(昭和36年) - 本社ビルを建設。
  • 1972年(昭和47年) - 埼玉県大宮市(現さいたま市西区三橋)に大宮工場を開設[5]。戸田工場から移設。
  • 1974年(昭和49年) - 「奥山茶屋」を開設。観光事業に進出。
  • 1986年(昭和61年) - 「雷5656会館」を開設[11]
  • 1988年(昭和63年) - 「浅草奥山苑」(後の「雷5656茶屋」)を開設[15]
  • 1996年平成8年) - 3代目穂刈久米一が代表取締役社長に就任[3]
  • 1999年(平成11年) - 大宮工場に生産を集約する。
  • 2014年(平成26年) - 東京ソラマチ東武百貨店内)に直営店を出店[16]

雷5656会館[編集]

雷5656会館
情報
管理運営 常盤堂雷おこし本舗
階数 地下1階、地上6階
駐車台数 大型6台
開館開所 1986年5月
所在地 111-0032
東京都台東区浅草3丁目6-1
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雷5656会館(かみなりごろごろかいかん)は、浅草3丁目にある常盤堂雷おこし本舗の自社ビル。1986年5月に同社の直営店舗として開館し、現在に至る。建物の外観は三社祭の本社神輿をイメージしてデザインされた[17]

1階は観光バスが最大6台駐車できる駐車場、2階は売店フロアとなっている。3階、4階にはかつて団体旅行客向けのレストランがあったが、新型コロナの世界的流行により観光客が激減したことをきっかけに閉鎖され、2022年に雷おこしの製造工程の見学、及びオリジナルの雷おこしの製造体験ができる施設「浅草工房」が開設された[18]

5階と6階に配置されたときわホールは325座席(5階286席・6階39席)[19]を備える貸しホールであり、M-1グランプリ東京予選2回戦の会場にもなっている。2006年から2015年まではよしもと浅草花月の会場としても利用されていた[17]

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f 会社概要” (日本語). 企業情報. 常盤堂雷おこし本舗 (2014年11月1日). 2014年11月28日閲覧。
  2. ^ 雷門本店|店舗案内”. 常盤堂雷おこし本舗. 2022年11月27日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l 水野裕司 (2012年2月27日). “成長と持続の条件(188) 雷おこしの伝統再興(200年企業)” (日本語). 日本経済新聞(朝刊) (日本経済新聞社): p. 13  - 日経テレコンにて2012年3月13日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g “雷おこし、東京・浅草―心地よい歯ごたえと風味(名品探訪)” (日本語). 日本経済新聞(朝刊) (日本経済新聞社): p. 24. (2009年5月11日)  - 日経テレコンにて2012年3月13日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n 中西理 (1985年3月5日). “常盤堂雷おこし本舗―観光、外食そして食品、多角化路線を走る” (日本語). 日経産業新聞 (日本経済新聞社): p. 18  - 日経テレコンにて2012年3月13日閲覧。
  6. ^ a b 株式会社常盤堂雷おこし本舗 第74期決算公告
  7. ^ “雷おこし食品、人形焼ラインを増設―七割を自社生産に” (日本語). 日経産業新聞 (日本経済新聞社): p. 17. (1984年11月1日)  - 日経テレコンにて2012年3月13日閲覧。
  8. ^ a b c d e 中村守孝 (2003年6月25日). “味な老舗 第36回 雷おこしの常盤堂雷おこし本舗 あぐらをかいていてはいけない。時代に合わせなくては。” (日本語). 東京新聞(朝刊、首都版) (中日新聞東京本社): p. 24  - G-Searchにて2014年11月26日閲覧。
  9. ^ a b c d e “雷おこし(台東区)好まれる食感とともに変わる伝統【東京名産ものがたり】” (日本語). 産経新聞(東京朝刊、第2東京) (産業経済新聞社): p. 25. (1997年9月17日)  - G-Searchにて2014年11月26日閲覧。
  10. ^ a b 酒井潤 (2005年5月8日). “江戸学 雷おこし たもとに入れ浅草散歩【美味にて候 八百八町を食べつくす】” (日本語). 産経新聞(東京朝刊、朝刊芸能) (産業経済新聞社): p. 19  - G-Searchにて2014年11月26日閲覧。
  11. ^ a b “雷おこしの常盤堂、浅草PRへ演芸場―その名も「雷5656」来春完成” (日本語). 日本経済新聞(地方経済面、山梨) (日本経済新聞社): p. 25. (1985年12月5日)  - 日経テレコンにて2012年3月13日閲覧。
  12. ^ 岸田幸子 (2012年12月25日). “東京土産ランキング 東京駅・羽田・スカイツリーの人気商品は(クローズアップ)” (日本語). 日本経済新聞 (日本経済新聞社). http://www.nikkei.com/article/DGXBZO49861500R21C12A2000000/ 2014年12月12日閲覧。 
  13. ^ “雷おこし(東京・台東)―「もんじゃ」「チョコ」風味も(タウンエース)” (日本語). 日本経済新聞(地方経済面、東京) (日本経済新聞社): p. 15. (2008年6月3日)  - 日経テレコンにて2012年3月13日閲覧。
  14. ^ “オリジナル菓子・酒いかが、さいたま市誕生10年記念、来月のイベントで披露” (日本語). 日本経済新聞(地方経済面、埼玉) (日本経済新聞社): p. 40. (2011年9月27日)  - 日経テレコンにて2012年3月13日閲覧。
  15. ^ 2017年2月26日閉店(雷5656会館境内別館):日本語)『「雷5656茶屋」 飲食・物販営業終了のご案内』(プレスリリース)常盤堂雷おこし本舗、2017年2月27日http://tokiwado.tokyo/information/2017/0227.html2017年7月15日閲覧 
  16. ^ 日本語)『雷おこしのお店が新しくオープンしました!』(プレスリリース)東武百貨店、2014年3月18日。 オリジナルの2014年12月5日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20141205045315/http://www.tobu-dept.jp/solamachi/cnt22782.html2016年2月24日閲覧 
  17. ^ a b 株式会社 常盤堂 雷おこし本舗〈雷5656会館〉”. on-japan.jp. 2022年11月27日閲覧。
  18. ^ 浅草初!雷おこしの製造工程を見学できる「浅草工房」をオープン。創業200年の老舗・常盤堂雷おこし本舗の挑戦”. PR TIMES (2022年7月22日). 2022年11月27日閲覧。
  19. ^ 6階・5階 ときわホール”. 常盤堂雷おこし本舗. 2022年11月27日閲覧。

外部リンク[編集]