ブラウンシュヴァイク級コルベット

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ブラウンシュヴァイク級コルベット
基本情報
艦種 コルベット
就役期間 2008年 - 就役中
前級 ゲパルト級 (ミサイル艇)
準同型艦 イスラエルの旗 サール6型
次級 (最新)
要目
満載排水量 1,840トン
全長 88.75 m
最大幅 13.23 m
吃水 3.4 m
主機 MTU 20V1163 TB93
ディーゼルエンジン×2基
推進器 可変ピッチ・プロペラ×2軸
出力 19,850馬力
電源 ディーゼル発電機 (550kW)×4基
速力 26ノット
航続距離 4,000海里(15kt巡航時)
乗員 65人
兵装62口径76mm単装速射砲×1基
27mm単装機銃×2基
RAM近SAM 21連装発射機×2基
RBS-15 Mk.3 SSM連装発射機×2基
搭載機 ヘリコプター甲板のみ
(小型UAV×2機搭載可能)
C4ISTAR SEWACO-FD戦術情報処理装置
レーダーTRS-3D 3次元式
・パスファインダーST 航法式
電子戦
対抗手段
・UL-5000K電波探知妨害装置
MASSデコイ発射機×2基
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ブラウンシュヴァイク級コルベットドイツ語: Braunschweig Klasse Korvette)は、ドイツ海軍コルベットの艦級。公式の類別と同様、ジェーン海軍年鑑やアメリカ海軍協会 (USNIでもコルベットとして扱っているが、ペナント・ナンバーではフリゲートとしての艦種記号が付与されている。公称艦型はK130型[1][2]

来歴[編集]

本級は元々、ティーガー級(148型)アルバトロス級(143型)ゲパルト級(143A型)といったSボートミサイル艇)の更新用として、15隻の建造が予定されていた[2]。各社への提案要求は1998年末に発出され、2000年7月18日には、ブローム・ウント・フォス(B+V)社をリーダーとして[1]、リュールセン社(Lürssen)およびノルトゼーヴェルケ社によるコンソーシアムが選ばれた。ただし同年11月には建造数は5隻に削減され、実際の契約締結は2001年12月13日となった[2]

設計[編集]

設計面ではMEKO A-100型フリゲートをベースとしており、中央船楼型という船型も踏襲されたが、MEKO型の特徴であるモジュール設計は導入されなかった。設計上、排水量は110トン増大できる余裕が見込まれている。艦首はバルバス・バウとされた。減揺装置としては、ザクセン級フリゲート(124型)と同様、舵に減揺機能を組み込んだものとなっている[2]

主たる行動海面として想定されているバルト海北海は航空機の行動範囲内に入っている部分が多いことから、生残性を確保するため、ステルス性にも配慮されている[3]。船体や上部構造物についてはレーダー反射断面積の低減が図られており、この結果、RCSはアルバトロス級(143型)よりも小さくなった。また煙突を廃して舷側排気方式とし、赤外線放射を抑制する措置が導入された。水中放射雑音の低減も図られている[2]

設計上、エンジン1基で20ノットを、またシーステート5海況ビューフォート風力階級12の颶風のなかでも15ノットを維持することが求められた。主機としては、MTU 20V1163 TB93ディーゼルエンジン2基を搭載し、可変ピッチ・プロペラ2軸を駆動する方式とされた[4]。ただし当初設計の軸系装置には問題があり、初期建造艦2隻はこれを是正するために2008年から2011年まで稼働不能に陥ったほか、後期建造艦3隻の就役は3年遅延することになった[2]

電源としては、出力550キロワットのディーゼル発電機4基を搭載した[2]

装備[編集]

戦術情報処理装置としては、ザクセン級フリゲート(124型)の搭載機と同系列のSEWACO-FDの派生型が搭載された。これは分散処理方式を採用しており、コンソール7基とワークステーション4基、データベース2基から構成されている。リンク 11およびリンク 16による戦術データ・リンクに対応している。UHF衛星通信に加えて、SHF衛星通信への対応も検討されている。またドイツ陸軍の衛星通信装置に加えて、一般商用のインマルサットBおよびMも搭載されている[2]

バルト海での哨戒・洋上阻止任務を任務としており、対潜兵器を省く一方で、新型で長射程のRBS-15 Mk.3 艦対艦ミサイルにより強力な対水上打撃力を有している。また、沿海域においては地上からの航空脅威が想定されることから、小型の3次元レーダー戦術情報処理装置近接防空ミサイルと中口径砲により、最低限の自衛防空力を備えている。なお、62口径76mm単装速射砲は、退役するSボート(ミサイル艇)からの流用品である[2]

艦尾甲板には24×12.6メートルのヘリコプター甲板が設定されており、リンクスNFH90など、12トン級までのヘリコプターの運用に対応できる。ただし格納庫は、カムコプターS-100のような小型無人航空機(UAV)1~2機分しか設置されていない[2]

同型艦[編集]

一覧表[編集]

バッチ 艦番号 艦名 起工 進水 就役
1 F260 ブラウンシュヴァイク
Braunschweig
2004年
12月3日
2006年
4月19日
2008年
4月16日
F261 マクデブルク
Magdeburg
2005年
5月19日
2006年
9月6日
2008年
9月22日
F262 エアフルト
Erfurt
2005年
9月22日
2007年
3月29日
2013年
2月28日
F263 オルデンブルク
Oldenburg
2006年
1月19日
2007年
6月28日
2013年
1月21日
F264 ルートヴィヒスハーフェン・アム・ライン
Ludwigshafen Am Rhein
2006年
4月14日
2007年
9月26日
2013年
3月21日
2 F265 ケルン
Köln
2019年
4月25日
2020年
10月16日
F266 エムデン
Emden
2020年
1月30日
2021年
10月31日
F267 カールスルーエ
Karlsruhe
2020年
10月6日
2022年
7月3日
アウクスブルク
Augsburg
2021年
7月13日
リューベック
Lübeck
2022年
3月15日

運用史[編集]

本級は全艦で、ロストック市を母港として第1コルベット戦隊(1. Korvettengeschwader:2006年6月26日編成)を編成している。

出典[編集]

  1. ^ a b Saunders 2009, p. 288.
  2. ^ a b c d e f g h i j Wertheim 2013, pp. 235–236.
  3. ^ 岡部 2008.
  4. ^ Navy Recognition 2013.

参考文献[編集]

  • Navy Recognition (2013年). “K130 Braunschweig Class Corvette - German Navy”. 2018年12月20日閲覧。
  • Saunders, Stephen (2009). Jane's Fighting Ships 2009-2010. Janes Information Group. ISBN 978-0710628886 
  • Wertheim, Eric (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World (16th ed.). Naval Institute Press. ISBN 978-1591149545 
  • 岡部いさく「再び甦るコルベット 見直される存在意義」『世界の艦船』第698号、海人社、2008年11月、76-81頁、NAID 40016244397 
  • 海人社(編)「新型コルベットの技術」『世界の艦船』第698号、海人社、2008年11月、82-87頁、NAID 40016244398 

外部リンク[編集]