ジュゴン

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ジュゴン
ジュゴン
ジュゴン Dugong dugon
保全状況評価
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 VU.svg
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: ジュゴン目(海牛目) Sirenia
: ジュゴン科 Dugongidae
亜科 : ジュゴン亜科 Dugonginae
: ジュゴン属 Dugong
: ジュゴン D. dugon
学名
Dugong dugon
(Müller, 1776)
和名
ジュゴン
英名
Dugong

ジュゴン(儒艮; 英語: dugong; Dugong dugon)は、。ジュゴン目(海牛目)ジュゴン科に属する海棲哺乳類の1種。 ジュゴン科は、かつては2属2種であったが、1760年代にステラーカイギュウ絶滅したため、現在はジュゴンのみ1属1種である。

目次

[編集] 名称

属名、英名はマレー語 duyung がフィリピンで使われているタガログ語経由で入ったもので、「海の貴婦人」(lady of the sea)の意味だという[1]。 「儒艮」は当て字。

日本では、生息地域である奄美群島から琉球諸島にかけての方言で、「ザン」「ザンヌイユー(ザンの魚)」などと呼ばれる[2][3][4]。なお、後半を大和言葉化した「ざんのいを」の語形もあって、「犀魚」の字をあてることもあるとされる[3][5]

[編集] 分布

分布

インド洋紅海南シナ海オーストラリアカーペンタリア湾シャーク湾

[編集] 形態

資料により差があるが、体長2.5メートル前後(最大3.3メートル)、体重は平均230-500キロ・グラムといわれる。 最高は908キロ・グラムとの記録が残されている。前肢は短く顔には届かない。尾鰭は半月状。前足の付け根に乳房がある。繊維が多く、消化しにくい海草を食べるので、45メートルという長いを持っている。

[編集] 生態

ジュゴンの腹部と側部
ジュゴンの親子

単独で、または数頭の少群で暮らす。つがいで行動することはなく、群で行動するのは授乳中の母子のみともいう。遊泳速度は時速3キロ・メートルほど、潜水の深度は深くて12メートルほど。2-12分ごとに呼吸のために浮上する。

好奇心旺盛で、潜水漁をしている漁師の様子を見に来ることもあるが、音には敏感で、船のエンジン音を聞くと一目散に逃げるという。

ウミガメとは食性が似ていることから、一緒に遊泳したり、時にはジュゴンがウミガメと遊んでいるかのような光景が見られることがある。

[編集] 食性

ジュゴンは浅い砂地の海に生えるアマモアンフィボリス等の海草(アマモ類は藻類ではなく、種子植物である。)を食べる。極端な偏食であるため、餌場であるアマモの藻場(もば)がなくなれば、その地域では絶滅する。海草のほか、ゴカイカニホヤなどを補助栄養とすることがある。

鳥羽水族館のジュゴンを例にとると、1日に体重の約8~10パーセントの海草を食べる。くちびるや頬は大きく発達し、大量の海草を食べるのに適する。また植物のセルロース(細胞壁)を消化するため発達した盲腸をもつ。

ジュゴンは浅い海に広がる藻場において餌を食べる。前肢を海底につきながら、顎の周りにある髭のような毛で、食べられる海草を選り分け、口で海草を根元から掘り起こし、食べながら前進する。その後には、一定の幅で「フィーディング・トレンチ(トレイル)」と呼ばれる不定形に蛇行した浅い溝状の「はみ跡」が残される。食後に腹部を上にして、伸びをするような格好を行うが、これは食べた海草をなどの消化器官に送り込んでいる。

フィーディング・トレンチ(トレイル)の長さは、海草の種類や植生の密度などによって一定していないが、フィリピンの場合は3-10メートルのものが多く、紅海でジュゴンを撮影したカメラマンによると、1-3メートルであるという。おそらく、個体ごとの1回の潜水時間に関係するものと思われる。

[編集] 繁殖

妊娠期間は13-15か月。1回の出産で1頭の仔を生む。仔は1メートルほどの大きさで生まれ、1週間ほど経つと自分で海草を食べるようになるが、それでも1年半ほどは母親の乳を飲む。6-17年で成熟し、繁殖可能となる。個体の増加率は低く、5パーセント以下と言われる。種を維持するためには、捕獲できるのは全個体数の2パーセント以下とされる。寿命は比較的長く、70年以上。

[編集] 保全状態評価

日本
中国

[編集] 保護

かつてはアフリカ東海岸から東シナ海オーストラリア付近まで広く分布していたが、2007年現在はこのうちの限られた海域にしか分布していないといわれる。オーストラリアには8万頭、他の36か国の沿岸域に2万頭、計10万頭と推定されている。オーストラリアでは先住民族による狩猟が認められており毎年1,000頭近くが狩られるとされ、それ以外の国でも十分な保護を受けているとはいえず、17か国では減少しつつあると見られる。

分布の北限は日本南西諸島海域(沖縄本島付近)であるが、少数であり、すでに50頭未満となっていると見られる。日本哺乳類学会レッドリストでは、南西諸島のジュゴンを絶滅危惧種に指定しており[6]水産庁のレッドデータブックでも「絶滅危惧種」となっている。

ジュゴンの減少の原因としては、肉などを目的とする乱獲、海水浴場のサメよけネットにからまっての溺死や、ボートのスクリューに巻き込まれる等の事故、開発による生息地の分断、食物となる海草の生えた藻場の減少などが挙げられる。

沖縄の場合、漁網にひっかかる混獲と藻場の減少、さらに米軍基地の建設がジュゴンを危機に追い込む大きな要因となっていると見られている。2000年10月10日には国際自然保護連合(IUCN)総会で、「沖縄のジュゴンとノグチゲラとヤンバルクイナの保護」の決議が採択された[7]

2002年10月4日には熊本県牛深市天草灘定置網にかかったジュゴンが発見された[8]

2005年(平成17年)9月27日に公表された「沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(レッドデータおきなわ)-動物編-」には絶滅危惧IA類で掲載されている[9]環境省2007年8月3日、ジュゴンをレッドリスト(絶滅危惧IA類)に追加した[10]

[編集] 飼育

神経質で飼育は非常に難しいとされており、世界の4か所の施設で5頭だけが飼育されている。 1頭は鳥羽水族館、1頭はシンガポールアンダーウォーターワールド、1頭はインドネシアジャカルタにあるシーワールドで飼育されている。 残る2頭はオーストラリアゴールドコーストにあるシーワールドで飼育されていたが、2008年12月にシドニー水族館に移された。 鳥羽水族館ではかつて2頭が飼育されていたが、オスの「じゅんいち」が2011年2月10日午前8時25分に死亡した。じゅんいちは鳥羽水族館で約31年間にわたって飼育され、世界最長飼育記録を更新していたが、それも11,475日目で途絶えた[11][12]。これにより日本国内での飼育は同水族館のメス「セレナ」1頭だけとなった。

[編集] 伝承とイメージ

人魚の伝説のモデルとなったのは、このジュゴンであるとも言われる。西洋人ではじめてジュゴンを見たのは16世紀にインド洋を航海したポルトガルの探検家兼海賊であり、1560年に、7頭のジュゴンがヨーロッパへ持ち込まれたという。人魚と混同されたことから、(実際に高級牛肉のように霜降りで美味しいのも手伝って)ジュゴンの肉や歯にはさまざまな薬効があるとされ、乱獲されることになった。琉球でも、ジュゴンの肉が長寿の薬として珍重されていたという。

人魚になぞらえられるのは、一つには、ひれ状の前肢で子を抱いて、立った形で海上に浮くからだともいう[3]。また、ジュゴンにはヒトと同じく2つの乳頭が、胸びれの付け根にある。

[編集] 参考資料

[ヘルプ]

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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