アル・ヤンコビック

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ウィアード・アル・ヤンコビック
(Weird Al Yankovic)
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基本情報
出生名 Alfred Matthew Yankovic
(アルフレッド・マシュー・ヤンコビック)
出生 1959年10月23日(55歳)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
カリフォルニア州リンウッド
出身地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国カリフォルニア州リンウッド
職業 歌手
担当楽器 ボーカル
公式サイト 公式サイト

ウィアード・アル・ヤンコビック(“Weird Al” Yankovic, 本名:Alfred Matthew Yankovic アルフレッド・マシュー・ヤンコビック、1959年10月23日 - )は、アメリカカリフォルニア州リンウッド出身のミュージシャンパロディ音楽の第一人者として活動し、ヒット曲の替え歌コミックソングを多数リリースしている。“Weird Al”(ウィアード・アル)とは「おかしなアル」という意味である。「Eat It」、「Poodle Hat」の2枚のアルバムがグラミー賞ベストコメディアルバムを受賞している。

ヤンコビックはCDや公式サイトでも “Weird Al” Yankovic を名乗っている。「アル・ヤンコビック」という簡略化した呼び方は日本独自で、他の国ではあまり一般的ではない。

来歴[編集]

大学在学中の1979年ザ・ナックのヒット曲「マイ・シャローナ」の替え歌「マイ・ボローニャ」を自主制作。これがラジオでオンエアされたところ人気を呼び、デビューのきっかけとなる。1983年に、リック・デリンジャーのプロデュースで、ファースト・アルバムをリリース。このアルバムの音作りは、ポルカが中心となっている。同アルバムに収録された「Ricky」は、トニー・バジルのヒット曲「Mickey」及びコメディ「アイ・ラブ・ルーシー」のパロディ。この曲が、初めてパロディPVが製作された楽曲である。

1984年マイケル・ジャクソンのヒット曲「今夜はビート・イット」(Beat It)の替え歌「今夜もイート・イット」(Eat It)が大ヒットする。音はもちろんのこと、ミュージック・ビデオも本物そっくりにパロディ化したこの曲はMTVで大量オンエアされた。この曲のプロモーションで初来日し、「オレたちひょうきん族」に出演。その際、サビの「Eat It」を日本語で「食え」と歌った(♪さあ、食え~ 食え~)。それに合わせて、背後でマイケルに扮したウガンダ・トラが野菜などを貪り食うシーンが放送された。この番組では、床に寝転がり身体を斜めにねじりながら立ち上がるパフォーマンスも披露する。こうして、ヤンコビックは日本でもパロディ音楽家としての名声を獲得した。

1988年、ジャクソンの「BAD」のパロディ曲「Fat」(デブ)を発表した。ジャクソン本人もヤンコビックの才能を認め、「Eat It」と「Fat」の2曲はジャクソン公認のパロディ曲となる。後に、ヤンコビックはジャクソンのミュージック・ビデオ「リベリアン・ガール」に出演した。

その後も、マドンナM.C.ハマーニルヴァーナクーリオエミネムなど、その時々の人気アーティストのヒット曲の替え歌と本物そっくりなミュージック・ビデオを作り続け、パロディ・ソングの帝王として確固たる地位を築いている。また、自身を「ポルカホリック」と称する旨が日本版CDのライナーノーツで明らかにされているとおり、ポルカアコーディオン奏者としても優れた腕前を持ち、2枚目以降のアルバムすべてに替え歌のポルカ・メドレーが収められている。替え歌以外のオリジナル作品については、作詞・作曲ともすべて自作である。

テレビ番組やコメディ映画のプロデュース、出演も多い。主な出演作に、映画「パロディ放送局 UHF」(1989年主演・脚本)、TV番組「The Weird Al Show」(1997年9月から1998年9月までCBS放送)などがある。

1993年にリリースしたアルバム「ALAPALOOZA」は、日本でも「ヤンコビック・パーク」というタイトルで発売された。日本版ボーナストラックには、収録曲の1つ「ジュラシック・パーク」(リチャード・ハリスの1968年のヒット「マッカーサー・パーク」――1978年にドナ・サマーによってカバーされたのを始め、多くのアーティストにカバーされている――のパロディ)の日本語歌詞バージョンが収録されている。日本語歌詞は、概ね英語版の翻訳に基づいているが、当時話題だった日本の恐竜映画「REX 恐竜物語」を揶揄した歌詞が追加されるなどの変更も行われた。

1996年には、1994年に大ヒットした映画『フォレスト・ガンプ』のパロディとして、ザ・プレジデンツ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカの『ランプ』(Lump)の音楽で『ガンプ』(Gump)を発表した。

1998年1月に、レーシック手術を受ける。それを機に、彼はそれまでのトレードマークだった眼鏡と口ひげ、アフロヘアをやめた。

1999年に公開された劇場版ポケットモンスター 幻のポケモン ルギア爆誕では、アメリカ公開版においてエンディングテーマ曲「Polkamon」(ポルカモン)を歌った。2001年にはベン・フォールズミュージック・ビデオ「ロッキン・ザ・サバーブズ」の監督を務め、カメオ出演もしている。フォールズの「Time」ではヴォーカル参加し、「Landed」ではタンバリン演奏を披露した。またフォールズがヤンコビックの「Why Does This Always Happen to Me?」でピアノを演奏するなど、お互いに交流がある。

2006年日本でもヒットした「ユア・ビューティフル」のパロディ「ユア・ピティフル」を制作したことで話題になる。ジェームス・ブラントの許可を得るが、レコーディング後になってブラント側のアトランティック・レコードが使用許可の撤回をしたため、収録予定のアルバムから外される。ブラント本人がパロディに反対していないことから、この曲はヤンコビックのMySpaceで無料ダウンロード曲として発表された。

2006年9月発売された「Straight Outta Lynwood」は、Billboard 200で10位を記録した。同アルバムの1曲目に収録された「White & Nerdy」はBillboard Hot 100 9位、iTunes Store 2位、音楽専門局VH1 1位と驚異的ヒットを記録し、ヤンコビック初のBillboard Hot 100でのトップ10入りシングルになった(これまでの記録は「Eat It」1984年(Billboard Hot 100 12位、Cashbox 4位))。原曲を歌うカミリオネアは「ヤツは本物のラップをしている。クレージーだ。ここまで上手いとは思わなかったよ」と驚き、パロディ化を喜んだ[1]。(原曲である「Ridin'」が収録されたカミリオネアの「The Sound of Revenge」も日本盤は未発売)。最終12曲目には、ネット上の音楽無料ダウンロードの根絶を訴える「Don't Download This Song」が収録されている。

2008年には、かつてパロディにしたザ・プレジデンツ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカの「Mixed Up S.O.B.」という曲のミュージック・ビデオのディレクターを担当した。

ヤンコビックは自身の曲のデジタル配信を模索し始めた。2008年10月7日にヤンコビックはiTunes StoreにT.I.同名の曲のパロディである「Whatever You Like」をリリースした。彼が原曲に出会ったのはその2週間前だという。ヤンコビックはデジタル配信の利点を自身の曲が時代遅れになる前に一瞬でインターネットへ公開できることとしている [2]。ヤンコビックは2009年6月16日に「Craigslist」、7月14日に「Skipper Dan」、8月4日に「CNR」、8月25日に「Ringtone」をリリースした。デジタル配信でリリースされたこれら5つの曲は「Internet Leaks」と題されたデジタル・ミニ・アルバムに収録された。

ヤンコビックはレディー・ガガの作品のパロディ制作に興味を持っていると伝えており、4月20日には「ボーン・ディス・ウェイ」のパロディ「Perform This Way」を彼の新しいアルバムのリード・シングルとして制作したと発表した。ヤンコビックは発表時、その曲を最初にレディー・ガガのマネージャーに提出したところ、商業目的でその曲をリリースすることは許されなかった。そこで彼はジェームス・ブラントの時と同様にインターネット上で無料で配信を行ったところ、マネージャーは独断で販売を禁止したことを認め、レディー・ガガはパロディへの許可を与えた。ヤンコビックは原曲のテーマである人権擁護を支援するため、その曲とそのミュージックビデオから得られた収益を全てHuman Rights Campaignに寄付すると発表している。

2011年6月21日にはヤンコビックは自身の13枚目のアルバムとなる「Alpocalypse」をリリースした。このアルバムにはリード・シングルとして前述の「Perform This Way」、「Internet Leaks」に収録された5曲のデジタル配信曲、「Polka Face」と題されたポルカ・メドレー、ビル・プリンプトンがミュージックビデオをアニメーションで制作した曲「TMZ」、そして他に4曲の新曲が含まれている。

2014年7月15日にリリースした14枚目のアルバム「Mandatory Fun」で、自身初となるBillboard 200の1位を記録。同時に1963年以来初の、Billboard 200の1位を記録したコメディーアルバムとなった[3]

なお、ヤンコビックのオリジナル・アルバムは1996年の「Bad Hair Day」以降は日本でCDリリースされておらず、それ以前のアルバムはすべて廃盤である。1999年にエイベックスから企画盤がリリースされたが、こちらも廃盤になった。音楽配信サイトによっては、過去の楽曲が配信されている他、2006年に発表された「Straight Outta Lynwood」は、日本のiTunes Music Storeなどで音楽配信がされている。

ヤンコビックはインディーズ系アーティストのキャリアを支援するため、第10回Independent Music Awardsの審査員でもあった。

その他[編集]

  • 好物は、自らのオリジナル料理、トゥインキー・ウインナー・サンドイッチである。トゥインキー(クリーム入りケーキ菓子)にウインナー・ソーセージを挟み、上から缶入りスプレーチーズを乗せた奇怪なおやつは、映画UHFの中でも紹介された。最近はベジタリアンに転向したため、中身を豆腐ウインナーに変更したが、相変わらずお気に入りである。
  • 愛車はナッシュ・メトロポリタンで、たびたび茶色と白のメトロポリタンが自らのミュージック・ビデオに登場する。
  • 今夜もイート・イット」のプロモーション・ビデオで着ているTシャツは、マイケル・ジャクソンからプレゼントされたものである。当初は「今夜はビート・イット」のオープニングに登場するレストランでの撮影を計画していたが、既に火事のため閉鎖されており、やむなくスタジオセットを使用したという。

ディスコグラフィー[編集]

アルバム[編集]

オリジナルアルバム[編集]

  • "Weird Al" Yankovic (1983年)
  • "Weird Al" Yankovic in 3-D (1984年) Eat Itを1曲目に収録。邦題は「スリだー」。
  • Dare to Be Stupid (1985年)
  • Polka Party! (1986年)
  • Even Worse (1988年) 「Fat」を1曲目に収録。タイトルの“Even Worse”もマイケル・ジャクソンの「BAD」を比較級にしたもので(さらに悪い、の意味)ジャケットも同アルバムのパロディ。
  • UHF - Original Motion Picture Soundtrack and Other Stuff (1989年)
  • Off the Deep End (1992年) 「Smells Like Nirvana」を1曲目に収録。ジャケットもニルヴァーナの「Nevermind」のパロディ。邦題は「スメルズ・ライク・ニルバーナ」。
  • Alapalooza (1993年) 「ヤンコビック・パーク」のタイトルで日本盤発売。
  • Bad Hair Day (1996年)
  • Running with Scissors (1999年)
  • Poodle Hat (2003年)
  • Straight Outta Lynwood (2006年) 「White & Nerdy」「Don't Download This Song」などを収録。
  • Alpocalypse (2011年)
  • Mandatory Fun (2014年)

コンピレーションアルバム[編集]

  • "Weird Al" Yankovic's Greatest Hits (1988年)
  • The Food Album (1993年)
  • Permanent Record: Al in the Box (1994年)
  • Greatest Hits Volume II (1994年)
  • The TV Album (1995年)
  • The Saga Begins (1999年) エイベックスからリリースされた日本限定アルバム。アメリカでは同名のシングル曲もリリースされている。
  • The Essential "Weird Al" Yankovic (2009年)

ミニ・アルバム[編集]

  • Another One Rides the Bus (1981年)
  • Selections from Straight Outta Lynwood (2006年)
  • Internet Leaks (2009年)

出演作品[編集]

映画[編集]

  • テープヘッズ Tapeheads (1988)
  • 裸の銃を持つ男 The Naked Gun (1988) - 本人役
  • 裸の銃を持つ男 2 1/2 The Naked Gun 2 1/2: The Smell of Fear (1991)
  • 裸の銃を持つ男 33 1/3 最後の侮辱 The Naked Gun 33 1/3: The Final Insult (1994) - 本人役
  • スパイ・ハード Spy Hard (1996)
  • Safety Patrol (1997)
  • Nothing Sacred (2000)
  • Desperation Boulevard (2002)
  • Haunted Lighthouse (2003)
  • Nerdcore Rising (2008)
  • ハロウィンII Halloween II (2009)

テレビアニメ[編集]

外部リンク[編集]

参考資料[編集]

  1. ^ Mix Tape Monday”. MTV News (2006年9月28日). 2010年3月7日閲覧。
  2. ^ Weird Al Goes Digital With T.I. Cover”. Billboard (2008年10月6日). 2011年8月16日閲覧。
  3. ^ アル・ヤンコビック、パロディーアルバムでビルボード1位獲得”. AFP BB NEWS (2014年7月27日). 2014年9月1日閲覧。