「曲竜類」の版間の差分
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{{生物分類表 |
{{生物分類表 |
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| 名称 = |
| 名称 = 曲竜類 <br />Ankylosauria |
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| fossil_range = <br>[[中生代]][[中期ジュラ紀]]—[[後期白亜紀]], {{fossilrange|Bajocian|Maastrichtian|earliest=Aalenian}} |
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| 画像 = [[ファイル:Ankylosauria Diversity.jpg|250px]] |
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| 画像 = [[File:Ankylosauria Diversity.jpg|250px|パラアンキロサウルス類の一属である、ステゴウロスの骨格図とホロタイプ標本]] |
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| 画像キャプション = |
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| 画像キャプション = 曲竜類の収蔵品。左上から右へ:[[リャオニンゴサウルス]]、[[エドモントニア]]、{{仮リンク|ティアンゼノサウルス|en|Tianzhenosaurus}}、[[ガルゴイレオサウルス]]、[[スコロサウルス]]、{{仮リンク|デンヴァーサウルス|en|Denversaurus}}、[[ガストニア (恐竜)|ガストニア]]、[[ボレアロペルタ]]、[[アカイナケファルス]]。 |
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| 地質時代 = JR |
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| 地質時代 |
| 地質時代 = [[中生代]][[中期ジュラ紀]] |
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| 地質時代2 = [[後期白亜紀]] |
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| 省略 = 爬虫綱 |
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| 省略 = 恐竜上目 |
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| 目 = [[鳥盤目]] |
| 目 = [[絶滅|†]][[鳥盤類|鳥盤目]] {{sname||Ornithischia}} |
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| 目階級なし = |
| 目階級なし = {{生物分類表/階級なし複数 |
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| †{{sname||Saphornithischia}} |
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| 亜目 = [[装盾亜目]] [[:en:Thyreophora|Thyreophora]] |
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| †[[ゲナサウルス類]] {{sname||Genasauria}}}} |
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| 下目 = '''鎧竜下目'''<br />[[:en:Ankylosauria|Ankylosauria]] |
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| 亜目 = †[[装盾亜目]] {{sname||Thyreophora}} |
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| 学名 = Ankylosauria |
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| 亜目階級なし = †[[寛脚類]] {{sname||Eurypoda}} |
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| 和名 = 鎧竜類 (よろいりゅうるい)<center>曲竜類 (きょくりゅうるい) |
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| 下目 = †'''曲竜下目''' '''{{sname||Ankylosauria}}''' |
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| 下位分類名 = [[科 (分類学)|科]] |
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| 学名 = '''Ankylosauria''' <br />{{AUY|[[ヘンリー・フェアフィールド・オズボーン|Osborn]]|1923}} |
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| 下位分類 = 本文参照 |
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| シノニム = |
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* '''Ankylosauromorpha''' <br />{{AUY|[[ケネス・カーペンター (古生物学者)|Carpenter]]|2001}} |
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| シノニム_ref = <ref name="sotoacuna2021">{{cite journal|last1=Soto-Acuña|first1=Sergio|last2=Vargas|first2=Alexander|last3=Kaluza|first3=Jonatan|last4=Leppe|first4=Marcelo|last5=Botelho|first5=Joao|last6=Palma-Liberona|first6=José|last7=Gutstein|first7=Carolina|last8=Fernández|first8=Roy|last9=Ortiz|first9=Hector|last10=Milla|first10=Verónica|last11=Aravena|first11=Bárbara|last12=Manríquez|first12=Leslie M. E.|last13=Alarcón-Muñoz|first13=Jhonatan|last14=Pino|first14=Juan Pablo|last15=Trevisan|first15=Cristine|last16=Mansilla|first16=Héctor|last17=Hinojosa|first17=Luis Felipe|last18=Muñoz-Walther|first18=Vicente|last19=Rubilar-Rogers|first19=David|year=2021|title=Bizarre tail weaponry in a transitional ankylosaur from subantarctic Chile|url=https://www.researchsquare.com/article/rs-821192/v1|journal=Nature|volume=600|issue=7888|pages=259–263|doi=10.1038/s41586-021-04147-1|pmid=34853468|s2cid=244799975}}</ref> |
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| 和名 = 曲竜類(きょくりゅうるい)<br />鎧竜類(よろいりゅうるい) |
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| 下位分類名 = 下位分類群 |
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| 下位分類 = |
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* [[パラアンキロサウルス類]] |
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* '''真曲竜類 Euankylosauria''' <small><br />{{AUY|Soto-Acuña ''et al''.|2021}}<ref name="madzia2021">{{cite journal|last1=Madzia|first1=D.|last2=Arbour|first2=V.M.|last3=Boyd|first3=C.A.|last4=Farke|first4=A.A.|last5=Cruzado-Caballero|first5=P.|last6=Evans|first6=D.C.|year=2021|title=The phylogenetic nomenclature of ornithischian dinosaurs|journal=PeerJ|volume=9|pages=e12362|doi=10.7717/peerj.12362|pmid=34966571|pmc=8667728 |doi-access=free }}</ref></small> |
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** [[アンキロサウルス科]] |
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** [[ノドサウルス科]] |
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{{Collapse top|title=近縁性が不確かな属|left=yes|padding=0|border=0|border2=0|b-color=silver|bg=clear|bg2=clear}} |
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* {{仮リンク|クリプトサウルス|en|Cryptosaurus}} |
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* [[ドラコペルタ]] |
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* [[ミモオラペルタ]] |
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* {{仮リンク|サルコレステス|en|Sarcolestes}} |
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* [[セレンディパケラトプス]]? |
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* {{仮リンク|シナンキロサウルス|en|Sinankylosaurus}} |
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* {{仮リンク|スピコメルス|en|Spicomellus}} |
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* {{仮リンク|ステゴサウリデス|en|Stegosaurides}} |
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* [[ティアンチサウルス]] |
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* {{仮リンク|ヴェクティペルタ|en|Vectipelta}} |
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'''曲竜類'''(きょくりゅうるい)あるいは'''鎧竜類'''(よろいりゅうるい、[[学名]]: '''Ankylosauria''')は、[[鳥盤類]]に属する[[草食]][[恐竜]]の一群である。その中には、カメのような現在の[[カメ類]]のような[[甲羅]]に似た[[装甲 (解剖学)|装甲]]を持つ恐竜が大多数含まれている。曲竜類はがっしりとした[[四足歩行]]であり、[[四肢]]は短く力強かった。[[中期ジュラ紀]]に出現し、[[後期白亜紀|白亜紀末]]の、全ての[[大陸]]で生息したことが知られている<ref name=ポール>{{Cite book|和書|title=グレゴリー・ポール恐竜事典 原著第2版 |page=267 |author=[[グレゴリー・ポール]] |translator=[[東洋一]]、[[今井拓哉]]、[[河部壮一郎]]、[[柴田正輝]]、[[関谷透]]、[[服部創紀]] |date=2020-08-30 |publisher=[[共立出版]] |isbn=978-4-320-04738-9}}</ref>。曲竜類の2大[[科 (分類学)|科]]の、[[ノドサウルス科]]と[[アンキロサウルス科]]は主に[[北半球]]から知られているが、より基盤的な曲竜類の[[パラアンキロサウルス類]]は[[白亜紀]]の[[ゴンドワナ大陸]]南部から知られている。 |
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'''鎧竜類'''(よろいりゅうるい、[[学名]]: '''Ankylosauria''')もしくは'''曲竜類'''(きょくりゅうるい)は、[[鳥盤類]]に属する[[恐竜]]の一群である。 |
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曲竜類は、[[1923年]]に[[ヘンリー・フェアフィールド・オズボーン]]によって命名された<ref name="osborn1923">[[ヘンリー・フェアフィールド・オズボーン|Osborn, H. F.]] (1923). "Two Lower Cretaceous dinosaurs of Mongolia." ''American Museum Novitates'', '''95''': 1–10.[http://hdl.handle.net/2246/3267]</ref>。[[リンネ式階層分類体系]]では、この[[分類群]]は通常、[[亜目]]か[[下目]]とされる。この分類群は、背中の板と尾のスパイクの特徴から知られる[[剣竜類]]を含む装盾類のグループに含まれる。 |
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== 概要 == |
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[[アンキロサウルス]] ([[:en:Ankylosaurus|''Ankylosaurus'']]) に代表されるように全身が装甲に覆われ、捕食者からの保護に役立ったと考えられている。 |
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== 語源 == |
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この分類群の名は、大小の骨盾が融合し背中と側面を完全に覆っている、多くの[[装甲 (解剖学)|装甲]]が解剖学的特徴に関連している。[[頭蓋骨]]では、これらの装甲はその下の骨と融合し、背側の[[肋骨]]は[[脊椎骨]]にぴったりとフィットしていた。[[ラテン語]]名のAnkylosauriaは、[[ギリシャ語]]のἀγκύλος [ankylos]-"湾曲した"、"曲がった"、解剖学的に"硬い"、"融合した"という意味とσαῦρος [sauros]-"トカゲ"に由来する<ref name=Creisler> [http://www.dinosauria.com/dml/names/dinoj.htm Ben Creisler, ''Dinosauria Translation and Pronunciation Guide.''] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20111111112017/http://www.dinosauria.com/dml/names/dinoj.htm |date=2011-11-11 }} </ref>。 |
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[[中生代]][[ジュラ紀]]後期から[[白亜紀]]後期。特に姉妹グループの[[剣竜類]]が白亜紀前期で絶滅したのとは対照的に白亜紀後期には北半球の[[ローラシア大陸]]を中心に大いに繁栄した。 |
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[[1908年]]の[[アンキロサウルス]]の記載の中で、[[バーナム・ブラウン]]は[[アンキロサウルス科]]を"硬い背骨"を持つ代表的な分類群として記述したが、肋骨の幅広で湾曲した形状に注目し、背中が"強く湾曲している"ことを示唆した<ref>Brown, B. 1908. The Ankylosauridae, a new family of armored dinosaurs from the Upper Cretaceous. American Museum of Natural History Bulletin 24: 187—201.</ref>(アンキロサウルスは平らな背中をしているため、[[剣竜類]]や[[グリプトドン類]]との類似性に基づく誤り)。したがって、"硬いトカゲ "と "曲がったトカゲ "は、アンキロサウルスの名に付けられた付加的な意味である可能性がある<ref name=Creisler/>。 |
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== 生息地域 == |
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[[インド]]を除く[[北半球]]全域。[[オーストラリア]]? |
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== 主な属 == |
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;[[アンキロサウルス]] |
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:''[[:en:Ankylosaurus|Ankylosaurus]]'' Brown, 1908。体長10m、白亜紀後期(マストリヒシアン7200-6500万年前)、北アメリカ。分類名の由来となった最も有名な曲竜。 |
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;[[エウオプロケファルス]] |
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:''[[:en:Euoplocephalus|Euoplocephalus]]'' Lambe, 1902。体長7m、白亜紀後期(マストリヒシアン)、北アメリカ。最も良くわかっている曲竜、尾のハンマーで有名。 |
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;[[ノドサウルス]] |
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:''[[:en:Nodosaurus|Nodosaurus]]'' Marsh, 1889。体長6m、白亜紀後期、北アメリカ。頭骨は比較的長細い、腹側まで装甲を持つ。 |
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;[[ポラカントゥス]] |
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:''[[:en:Polacanthus|Polacanthus]]'' Hulke, 1881。体長5m、白亜紀前期(バランギニアンからバレミアン、1億3200万年前-1億1200万年前)、イギリス。全身にとげのある装甲を持つ。 |
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;[[ヒラエオサウルス]] |
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:''[[:en:Hylaeosaurus|Hylaeosaurus]]'' Mantell, 1833。体長7.5m、白亜紀前期(ベリアシアンからバランギニアン 1億3500万年前-1億2500万年前)、イギリス。[[イグアノドン]]、[[メガロサウルス]]と共に[[リチャード・オーウェン]]が恐竜を定義した時のメンバー。頭や尾は未発見、その他はポラカントゥスに似る。 |
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;[[ボレアロペルタ]]:[[:en:Borealopelta|Borealopelta]] |
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;[[ズール (恐竜)|ズール]]:[[:en:Zuul|Zuul]] |
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== 分類 == |
== 分類 == |
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[[File:Ankylosauria Distribution PBDB copy.jpg|thumb|right|曲竜類の分布図。]] |
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伝統的にアンキロサウルスに代表される前後に短い頭と先端にハンマー状のこぶのある尾を持つアンキロサウルス科 ([[:en:Ankylosauridae|Ankylosauridae]]) と、より原始的で尾にハンマー状のこぶを持たないノドサウルス科 ([[:en:Nodosauridae|Nodosauridae]]) に二分されていた。しかし近年、ノドサウルス科に分類されている中でもポラカントゥス (''Polacanthus'') のようにハンマー状のこぶのない尾を持つが前後に短い頭を持つ種がよりアンキロサウルス科に近いことが判明し、新しい分類体系が考案されている。 |
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曲竜類と[[剣竜類]]は、共に[[装盾類]]の2つの主要な[[分類]]を形成しており、[[鳥脚類]]や[[周飾頭類]]とは異なる装盾類の[[分類群]]である<ref name="madzia2021"/>。歴史的に大きな垂直板を欠くフォームに使われてきたが、[[ケネス・カーペンター]]は[[1997年]]に、[[ステゴサウルス]]よりも[[アンキロサウルス]]に近いすべての[[鳥盤類]]として、グループの最初の非公式な定義を提案した<ref name="carpenter1997">[[ケネス・カーペンター|Carpenter, K.]], 1997, "Ankylosauria" pp. 16-20 in: P.J. Currie and K. Padian (eds.), ''Encyclopedia of Dinosaurs'', Academic Press, San Diego</ref>。この定義は、[[2005年]]に[[ポール・セレノ]]によってさらに精緻化され、[[アンキロサウルス|アンキロサウルス・マグニヴェントリス]]と[[ステゴサウルス|ステゴサウルス・ステノプス]]の両[[属 (分類学)|属]]の[[タイプ種]]が特定された。この定義は、[[2021年]]にマジアらによってグループ名と定義を正式化した際に、[[PhyloCode]]に基づき定義された<ref name="madzia2021"/>。[[系統学]]的、[[形態学 (生物学)|形態学]]的研究において、曲竜類は、特に[[前期ジュラ紀]]の装盾類である[[スケリドサウルス]]を初期の曲竜類に含めるかどうかについては意見が分かれている。[[2001年]]の[[ケネス・カーペンター (古生物学者)|ケネス・カーペンター]]や[[2021年]]の{{仮リンク|デビッド・ノーマン|en|David B. Norman}}のようないくつかの分析では、ステゴサウルスよりもアンキロサウルスに近いとされ、カーペンターと後のノーマンは、"ステゴサウルスよりもアンキロサウルスに近いすべての分類群"について、新しいクレード「Ankylosauromorpha」を設立し、[[ノドサウルス科]]と[[アンキロサウルス科]]の2つのサブクレードに限定するためにアンキロサウルスを再定義することを提案した<ref name="madzia2021"/><ref name="carpenter2001">{{cite book|last1=Carpenter|first1=K.|editor1-last=Carpenter|editor1-first=Kenneth|title=The Armored Dinosaurs|date=2001|publisher=Indiana University Press|isbn=0-253-33964-2|page=455|url=https://books.google.com/books?id=04tQ5_qJN8MC|chapter=Phylogenetic Analysis of the Ankylosauria}}</ref><ref name="norman2021">{{cite journal|last=Norman|first=D.B.|year=2021|title=''Scelidosaurus harrisonii'' (Dinosauria: Ornithischia) from the Early Jurassic of Dorset, England: biology and phylogenetic relationships|journal=Zoological Journal of the Linnean Society|volume=191|issue=1|pages=1–86|doi=10.1093/zoolinnean/zlaa061}}</ref>。しかし、歴史的には、これらの原始的な形態であっても、ステゴサウルスよりも派生していれば、曲竜類とみなされていたため、Madziaらは曲竜類の再定義は望ましくないと考え、代わりにアンキロサウルスの同定[[ジュニアシノニム]]としてAnkylosauromorphaを放棄する選択を選んだ。曲竜類を再定義する代替案としてノーマンによって提案された非公式なクレードである真曲竜類は、典型的なノドサウルス科とアンキロサウルス科のグループとして将来的に有用である可能性が議論され<ref name="madzia2021"/>、[[2021年]]にSoto-Acuñaらによって、[[アンタークトペルタ]]、[[クンバラサウルス]]([[ミンミ]] sp. と新分類群[[ステゴウロス]]を真曲竜類のユニークなグループとして分類群化し、[[パラアンキロサウルス類]]と命名した。彼らの系統解析の結果は以下の通りである<ref name="sotoacuna2021"/>。 |
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{{clade| style=font-size:85%; line-height:85%; |
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装盾亜目 ([[:en:Thyreophora|Thyreophora]]) |
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|label1=[[装盾類]] |
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*曲竜下目 (Ankylosauria) |
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|1={{clade |
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**ノドサウルス科 ([[:en:Nodosauridae|Nodosauridae]]) |
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|1=[[スケリドサウルス]] |
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|2={{clade |
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***[[エドモントニア]] (''Edmonntonia'') |
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|1=[[剣竜類]] |
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***[[サウロペルタ]] (''[[:en:Sauropelta|Sauropelta]]'') |
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|label2='''曲竜類''' |
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***[[リャオニンゴサウルス]] (''Liaoningosaurus'') |
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|2={{clade |
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***[[アレトペルタ]] (''[[:en:Aletopelta|Aletopelta]]'')(英語版記事ではアンキロサウルス科に分類されている) |
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|label1=[[パラアンキロサウルス類]] |
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|1={{clade |
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***ポラカントゥス亜科 (Polacanthinae) |
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|1=[[クンバラサウルス]] |
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****ポラカントゥス |
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|2={{clade |
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****[[ガストニア (恐竜)|ガストニア]] (''Gastonia'') |
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|1=[[アンタークトペルタ]] |
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****[[ガーゴイロサウルス]] (''[[:en:Gargoyleosaurus|Gargoyleosaurus]]'') |
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|2=[[ステゴウロス]] }} }} |
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****[[ミモオラペルタ]] (''[[:en:Mymoorapelta|Mymoorapelta]]'') |
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|label2='''真曲竜類''' |
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***アンキロサウルス亜科 (Ankylosaurinae) |
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|2={{clade |
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****アンキロサウルス |
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|label1=[[ノドサウルス科]] |
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****エウオプロケファルス |
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|1={{clade |
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****[[サイカニア]] |
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|1=[[ケダルペルタ]] |
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****[[ピナコサウルス]] (''Pinacosaurusu'') |
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|2={{仮リンク|ドンヤンゴペルタ|en|Dongyangopelta}} |
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****[[タラルルス]] (''[[:en:Talarurus|Talarurus]]'') |
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|3=[[ガルゴイレオサウルス]] |
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****[[タルキア]] (''[[:en:Tarchia|Tarchia]]'') |
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|4=[[ガストニア (恐竜)|ガストニア]] |
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**分類不能 |
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|5=[[ヒラエオサウルス]] |
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***[[アカントフォリス]](''Acanthopholis'') |
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|6=[[ミモオラペルタ]] |
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***[[アニマンタルクス]](''Animantarx'') |
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|7=[[パノプロサウルス]] |
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|8=[[ペロロプリテス]] |
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|9=[[ポラカントゥス]] |
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|10={{仮リンク|ホプリトサウルス|en|Hoplitosaurus}} |
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|11={{仮リンク|サウロプリテス|en|Sauroplites}} |
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|12={{仮リンク|タオホーロン|en|Taohelong}} |
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|13={{仮リンク|ノドサウルス亜科|en|Nodosaurinae}} }} |
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|label2=[[アンキロサウルス科]] |
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|2={{clade |
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|1=[[アレトペルタ]] |
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|2={{clade |
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|1={{clade |
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|1={{仮リンク|チュアンキロン|en|Chuanqilong}} |
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|2=[[リャオニンゴサウルス]] }} |
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|1=[[ゴビサウルス]] |
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|1=[[シャモサウルス]] |
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|2={{仮リンク|アンキロサウルス亜科|en|Ankylosaurinae}} }} }} }} }} }} }} }} }} }} |
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[[2023年]]の装盾類の言及では、一般的なアンキロサウルス科とノドサウルス科の分類方法が否定され、代わりに「ノドサウルス科」は3つの別々の科に分類可能であるとされている: [[パノプロサウルス族|パノプロサウルス科]]、[[ポラカントゥス亜科|ポラカントゥス科]]、[[ストルティオサウルス族|ストルティオサウルス科]]である<ref>{{cite journal |last1=Raven |first1=T. J. |last2=Barrett |first2=P. M. |last3=Joyce |first3=C. B. |last4=Maidment |first4=S. C. R. |year=2023 |title=The phylogenetic relationships and evolutionary history of the armoured dinosaurs (Ornithischia: Thyreophora) |journal=Journal of Systematic Palaeontology |volume=21 |issue=1 |at=2205433 |doi=10.1080/14772019.2023.2205433 |s2cid=258802937 }}</ref>。 |
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{{clade | style=font-size:85%; line-height:85%; |
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|label1=[[曲竜類]] |
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|1={{仮リンク|サルコレステス|en|Sarcolestes}} |
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|1={{仮リンク|パウ・パウ層|en|Paw Paw Formation}}産の[[幼体]] |
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|label1=[[ポラカントゥス亜科|ポラカントゥス科]] |
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|1={{仮リンク|ストルティオサウルス|label=ストルティオサウルス・ラングエドセンシス|en|Struthiosaurus}} |
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|2=[[エドモントニア|エドモントニア・ロンギセプス]] }} }} |
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|1=[[ノドサウルス]] |
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|1=[[エドモントニア|エドモントニア・ルゴシデンス]] |
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|2=[[ドラコペルタ]] }} }} }} }} }} }} |
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|label4=[[アンキロサウルス科]] |
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|2={{仮リンク|ジェジアンゴサウルス|en|Zhejiangosaurus}} }} }} |
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=== 進化 === |
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曲竜類の起源はよくわかっておらず、[[中期ジュラ紀]]の[[タイプ (分類学)|標本]]が数点知られているだけである<ref>Arbour, V. M., Currie, P. J. 2016. Systematics, phylogeny and palaeobiogeography of the ankylosaurid dinosaurs. Journal of Systematic Palaeontology 14 (5): 385—444.</ref>。曲竜類の祖先は、他の恐竜と比較して曲竜類に最も近縁なグループである剣竜類の間で長い間探しられてきた。現在では、寛脚類は剣竜類に近いグループである<ref>Norman, D. B., Witmer, L. M. and Weishampel, D. B. 2004. Basal Thyreophora. Pр. 335—342. In D. B. Weishampel, P. Dodson, and H. Osmolska (eds.), The Dinosauria. Berkeley: University of California Press.</ref>。剣竜類の狭い三角形の頭蓋骨はノドサウルス科に似ており、口蓋の構造にも類似点が見られた<ref>T.A. Tumanova, 1987, "Pantsirnyye dinozavry Mongolii", Trudy Sovmestnaya Sovetsko-Mongol'skaya Paleontologicheskaya Ekspeditsiya 32: 1-80.</ref>。近縁な剣竜類は中期ジュラ紀中が起源と考えられているため<ref>{{Cite web|url=https://paleobiodb.org/classic/checkTaxonInfo?taxon_no=38798&is_real_user=1|title=PBDB|accessdate=2023-12-12}}</ref>、曲竜類もおそらく同じ年代の起源と考えられている。この2の分類群は1億7000万年以上前のアレニアンに分岐した可能性があるが、[[モロッコ]]にスピコメルスが存在すしたことから、[[バトニアン]]には[[アフリカ]]に存在したことは間違いない<ref>{{Cite journal|last1=Maidment|first1=Susannah C. R.|last2=Strachan|first2=Sarah J.|last3=Ouarhache|first3=Driss|last4=Scheyer|first4=Torsten M.|last5=Brown|first5=Emily E.|last6=Fernandez|first6=Vincent|last7=Johanson|first7=Zerina|last8=Raven|first8=Thomas J.|last9=Barrett|first9=Paul M.|date=2021-09-23|title=Bizarre dermal armour suggests the first African ankylosaur|url=https://www.nature.com/articles/s41559-021-01553-6|journal=Nature Ecology & Evolution|volume=5|issue=12|language=en|pages=1576–1581|doi=10.1038/s41559-021-01553-6|pmid=34556830|s2cid=237616095|issn=2397-334X}}</ref>。また、その年代の曲竜類の保存状態の良い化石は存在しなかった。[[スコットランド]]の[[スカイ島]]からは、不完全な[[橈骨]]と[[尺骨]]が発見されているが、これらの橈骨と尺骨が、曲竜類や剣竜類に属するかどうかは定かでない<ref>Clark, N.D.L. 2001. A thyreophoran dinosaur from the early Bajocian (Middle Jurassic) of the Isle of Skye, Scotland. Scottish Journal of Geology, 37: 19—26.</ref>。おそらく曲竜類は剣竜類とは異なる進化の道をたどったのだろうが、いつどのように分岐したのかは不明である。後者では、[[骨硬膜]]が隆起し、側方保護が消失していた<ref>Coombs, W. P. 1978. The families of the ornithischian dinosaur order Ankylosauria. Journal of Paleontology 21: 143—170.</ref>。曲竜類は、頭蓋骨の表面に骨皮が発達し、装甲が強化され、甲羅がさらに強化される方向に進化したが<ref>Maryanska, T. 1977. Ankylosauridae (Dinosauria) from Mongolia. Palaeontologia Polonica, 37: 85—151.</ref>、これは曲竜類の祖先が、融合していない別々の骨皮から構成されていたことを示唆している<ref>T.A. Tumanova, 1987, "Pantsirnyye dinozavry Mongolii", Trudy Sovmestnaya Sovetsko-Mongol'skaya Paleontologicheskaya Ekspeditsiya 32: 1-80.</ref>。 |
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== 古生物学 == |
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[[File:Edmontonia rugosidens armour AMNH 5381.jpg|thumb|right|[[ノドサウルス科]]である[[エドモントニア]]の装甲]] |
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[[新生児]]サイズの曲竜類の化石が{{仮リンク|科学文献|en|Scientific literature}}に記録されている可能性がある<ref name="hadro-egg-intro-207">Tanke, D.H. and Brett-Surman, M.K. 2001. Evidence of Hatchling and Nestling-Size Hadrosaurs (Reptilia:Ornithischia) from Dinosaur Provincial Park (Dinosaur Park Formation: Campanian), Alberta, Canada. pp. 206-218. In: Mesozoic Vertebrate Life—New Research Inspired by the Paleontology of Philip J. Currie. Edited by D.H. Tanke and K. Carpenter. Indiana University Press: Bloomington. xviii + 577 pp.</ref>。 |
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=== 解剖学的特徴 === |
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かなり一様であり、[[頭部]]は頑丈で幅広かった。[[鼻腔]]が大きく、主要な[[歯列]]は短く、[[歯]]は小さいものだった。[[首]]は短いながらもまっすぐで、後部の[[肋骨]]は[[脊椎]]に癒合し、[[胴]]は長いが上下に低く、胴と[[腰]]は非常に幅広かった。[[肩]]と腰は通常は同じ高さに存在するか、肩が若干低いものであった。[[尾]]の根元は腰からなだらかに下降し、地表から近い高さで保たれており、やや短かった。[[四足歩行]]であり、肩は腰と同じ高さだが、柔軟性はあったが短い[[腕]]と[[脚]]のため、低速度でしか動けなかったと考えられている。足指は4本か3本だった<ref name= ポール/>。 |
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=== 装甲 === |
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胴の装甲板は様々だが、常に広範囲に広がり、前後と左右に並ぶ大きな[[皮膚]]が首や胴体、尾のほとんどを覆っていた<ref name= ポール/>。すべてのアンキロサウルス亜科は胴体の大部分に装甲を持ち、そのほとんどは楯と結節で、場合によっては大きな[[棘]]もあった。胴体の装甲板(装甲)は長方形から楕円形のものが横一列に並んでおり、しばしば上面にキールがあった。より小さな結節や板は、大きな板の間の空いたスペースを埋めている。ノドサウルス科では、これは隣接するプレート同士が融合しているためで(3列目も存在した)、アンキロサウルス科では一般的に、装甲は別の骨の帯の上部に融合している。頭蓋骨にも鎧がり、[[下顎]]の外側の後部に特徴的な部分があった。 |
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=== 食性と摂食 === |
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曲竜類は地面に対して低く、一般的に、地表から約1.5[[メートル]]離れていた。曲竜類の属は[[剣竜類]]に似た、ゆるく詰まった小さな三角形の[[歯]]を持っていた。骨格に残る大きな[[舌骨]]は、彼らが長く柔軟な[[舌]]を持っていたことを示しており、また、大きな側副[[口蓋]]を持っていた。これは、[[ワニ|ワニ類]]と異なり[[咀嚼]]を行いながら[[呼吸]]ができたことを意味する。[[腸]]の領域が拡大していることから、共生[[細菌]]や腸内細菌叢を利用した[[発酵]]によって[[食物]]を[[消化]]を行った。彼らの食性は[[シダ類]]、[[ソテツ類]]、[[被子植物]]等を食べる植物食だったと思われる。Mallonら(2013)は、[[後期白亜紀]]の[[ララミディア大陸]]における草食動物の共存を調査した。曲竜類は一般的に、高さ1メートル以下の植生しか食べることができないと結論づけられた<ref>{{cite journal|last=Mallon|first=Jordan C|author2=David C Evans |author3=Michael J Ryan |author4=Jason S Anderson |title=Feeding height stratification among the herbivorous dinosaurs from the Dinosaur Park Formation (upper Campanian) of Alberta, Canada|journal=BMC Ecology|year=2013|volume=13|doi=10.1186/1472-6785-13-14|pages=14|pmid=23557203|pmc=3637170 |doi-access=free }}</ref>。 |
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=== 発声 === |
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[[File:Hyolaryngeal apparatus of Pinacosaurus in a life restoration.webp|thumb|right|コンピューターで復元された、ピナコサウルスの[[喉頭]]。]] |
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2023年2月、研究者たちは、曲竜類の[[ピナコサウルス|ピナコサウルス・グランゲリ]]から発見された[[喉頭]]の化石に基づき、曲竜類が発していた可能性のあり、[[鳥の鳴き声]]のような[[発声]]であると報告した<ref name="NYT-20230224">{{cite news |last=Wilke |first=Carolyn |title=What Sounds Did Dinosaurs Make? - A new study of a fossilized ankylosaur suggests it could have uttered birdlike calls. |url=https://www.nytimes.com/2023/02/24/science/dinosaur-sounds-fossils.html |date=24 February 2023 |work=[[The New York Times]] |accessdate=26 February 2023 }}</ref><ref name="NC-20230215">{{cite journal |last1=Yoshida |first1=Junki |last2=Kobayashi |first2=Yoshisuga |last3=Norell |first3=Mark a. |title=An ankylosaur larynx provides insights for bird-like vocalization in non-avian dinosaurs |date=15 February 2023 |journal=[[Communications Biology]] |volume=152 |issue=1 |page=152 |doi=10.1038/s42003-023-04513-x |pmid=36792659 |pmc=9932143 }}</ref>。今後、研究が進めば、どのような声で発生してたのか、コミュニケーションをとっていたかが分かる可能性がり、また、鳥のように多彩な発生を使い分けていた可能性がある<ref> {{Cite book|和書 |author = |others = [[小林快次]]監修 |year = 2023 |title = 恐竜2 最新研究 新訂版 |publisher = [[講談社]] |isbn = 978-4-06-532918-4 |pages = 68 - 69 }} </ref>。 |
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=== 古環境と古生態 === |
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非常に多様な環境で生息し、[[砂漠]]から[[湿潤]]な[[森林]]まで生息した。生態は通常低い位置のブラウザーやグレイザーなものだった<ref name= ポール/>。 |
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== 脚注 == |
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== 関連項目 == |
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2023年12月12日 (火) 10:08時点における版
曲竜類 Ankylosauria | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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地質時代 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
中生代中期ジュラ紀 - 後期白亜紀 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Ankylosauria Osborn, 1923 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
曲竜類(きょくりゅうるい) 鎧竜類(よろいりゅうるい) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
下位分類群 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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曲竜類(きょくりゅうるい)あるいは鎧竜類(よろいりゅうるい、学名: Ankylosauria)は、鳥盤類に属する草食恐竜の一群である。その中には、カメのような現在のカメ類のような甲羅に似た装甲を持つ恐竜が大多数含まれている。曲竜類はがっしりとした四足歩行であり、四肢は短く力強かった。中期ジュラ紀に出現し、白亜紀末の、全ての大陸で生息したことが知られている[3]。曲竜類の2大科の、ノドサウルス科とアンキロサウルス科は主に北半球から知られているが、より基盤的な曲竜類のパラアンキロサウルス類は白亜紀のゴンドワナ大陸南部から知られている。
曲竜類は、1923年にヘンリー・フェアフィールド・オズボーンによって命名された[4]。リンネ式階層分類体系では、この分類群は通常、亜目か下目とされる。この分類群は、背中の板と尾のスパイクの特徴から知られる剣竜類を含む装盾類のグループに含まれる。
語源
この分類群の名は、大小の骨盾が融合し背中と側面を完全に覆っている、多くの装甲が解剖学的特徴に関連している。頭蓋骨では、これらの装甲はその下の骨と融合し、背側の肋骨は脊椎骨にぴったりとフィットしていた。ラテン語名のAnkylosauriaは、ギリシャ語のἀγκύλος [ankylos]-"湾曲した"、"曲がった"、解剖学的に"硬い"、"融合した"という意味とσαῦρος [sauros]-"トカゲ"に由来する[5]。
1908年のアンキロサウルスの記載の中で、バーナム・ブラウンはアンキロサウルス科を"硬い背骨"を持つ代表的な分類群として記述したが、肋骨の幅広で湾曲した形状に注目し、背中が"強く湾曲している"ことを示唆した[6](アンキロサウルスは平らな背中をしているため、剣竜類やグリプトドン類との類似性に基づく誤り)。したがって、"硬いトカゲ "と "曲がったトカゲ "は、アンキロサウルスの名に付けられた付加的な意味である可能性がある[5]。
分類
曲竜類と剣竜類は、共に装盾類の2つの主要な分類を形成しており、鳥脚類や周飾頭類とは異なる装盾類の分類群である[2]。歴史的に大きな垂直板を欠くフォームに使われてきたが、ケネス・カーペンターは1997年に、ステゴサウルスよりもアンキロサウルスに近いすべての鳥盤類として、グループの最初の非公式な定義を提案した[7]。この定義は、2005年にポール・セレノによってさらに精緻化され、アンキロサウルス・マグニヴェントリスとステゴサウルス・ステノプスの両属のタイプ種が特定された。この定義は、2021年にマジアらによってグループ名と定義を正式化した際に、PhyloCodeに基づき定義された[2]。系統学的、形態学的研究において、曲竜類は、特に前期ジュラ紀の装盾類であるスケリドサウルスを初期の曲竜類に含めるかどうかについては意見が分かれている。2001年のケネス・カーペンターや2021年のデビッド・ノーマンのようないくつかの分析では、ステゴサウルスよりもアンキロサウルスに近いとされ、カーペンターと後のノーマンは、"ステゴサウルスよりもアンキロサウルスに近いすべての分類群"について、新しいクレード「Ankylosauromorpha」を設立し、ノドサウルス科とアンキロサウルス科の2つのサブクレードに限定するためにアンキロサウルスを再定義することを提案した[2][8][9]。しかし、歴史的には、これらの原始的な形態であっても、ステゴサウルスよりも派生していれば、曲竜類とみなされていたため、Madziaらは曲竜類の再定義は望ましくないと考え、代わりにアンキロサウルスの同定ジュニアシノニムとしてAnkylosauromorphaを放棄する選択を選んだ。曲竜類を再定義する代替案としてノーマンによって提案された非公式なクレードである真曲竜類は、典型的なノドサウルス科とアンキロサウルス科のグループとして将来的に有用である可能性が議論され[2]、2021年にSoto-Acuñaらによって、アンタークトペルタ、クンバラサウルス(ミンミ sp. と新分類群ステゴウロスを真曲竜類のユニークなグループとして分類群化し、パラアンキロサウルス類と命名した。彼らの系統解析の結果は以下の通りである[1]。
装盾類 |
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2023年の装盾類の言及では、一般的なアンキロサウルス科とノドサウルス科の分類方法が否定され、代わりに「ノドサウルス科」は3つの別々の科に分類可能であるとされている: パノプロサウルス科、ポラカントゥス科、ストルティオサウルス科である[10]。
曲竜類 |
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進化
曲竜類の起源はよくわかっておらず、中期ジュラ紀の標本が数点知られているだけである[11]。曲竜類の祖先は、他の恐竜と比較して曲竜類に最も近縁なグループである剣竜類の間で長い間探しられてきた。現在では、寛脚類は剣竜類に近いグループである[12]。剣竜類の狭い三角形の頭蓋骨はノドサウルス科に似ており、口蓋の構造にも類似点が見られた[13]。近縁な剣竜類は中期ジュラ紀中が起源と考えられているため[14]、曲竜類もおそらく同じ年代の起源と考えられている。この2の分類群は1億7000万年以上前のアレニアンに分岐した可能性があるが、モロッコにスピコメルスが存在すしたことから、バトニアンにはアフリカに存在したことは間違いない[15]。また、その年代の曲竜類の保存状態の良い化石は存在しなかった。スコットランドのスカイ島からは、不完全な橈骨と尺骨が発見されているが、これらの橈骨と尺骨が、曲竜類や剣竜類に属するかどうかは定かでない[16]。おそらく曲竜類は剣竜類とは異なる進化の道をたどったのだろうが、いつどのように分岐したのかは不明である。後者では、骨硬膜が隆起し、側方保護が消失していた[17]。曲竜類は、頭蓋骨の表面に骨皮が発達し、装甲が強化され、甲羅がさらに強化される方向に進化したが[18]、これは曲竜類の祖先が、融合していない別々の骨皮から構成されていたことを示唆している[19]。
古生物学
新生児サイズの曲竜類の化石が科学文献に記録されている可能性がある[20]。
解剖学的特徴
かなり一様であり、頭部は頑丈で幅広かった。鼻腔が大きく、主要な歯列は短く、歯は小さいものだった。首は短いながらもまっすぐで、後部の肋骨は脊椎に癒合し、胴は長いが上下に低く、胴と腰は非常に幅広かった。肩と腰は通常は同じ高さに存在するか、肩が若干低いものであった。尾の根元は腰からなだらかに下降し、地表から近い高さで保たれており、やや短かった。四足歩行であり、肩は腰と同じ高さだが、柔軟性はあったが短い腕と脚のため、低速度でしか動けなかったと考えられている。足指は4本か3本だった[3]。
装甲
胴の装甲板は様々だが、常に広範囲に広がり、前後と左右に並ぶ大きな皮膚が首や胴体、尾のほとんどを覆っていた[3]。すべてのアンキロサウルス亜科は胴体の大部分に装甲を持ち、そのほとんどは楯と結節で、場合によっては大きな棘もあった。胴体の装甲板(装甲)は長方形から楕円形のものが横一列に並んでおり、しばしば上面にキールがあった。より小さな結節や板は、大きな板の間の空いたスペースを埋めている。ノドサウルス科では、これは隣接するプレート同士が融合しているためで(3列目も存在した)、アンキロサウルス科では一般的に、装甲は別の骨の帯の上部に融合している。頭蓋骨にも鎧がり、下顎の外側の後部に特徴的な部分があった。
食性と摂食
曲竜類は地面に対して低く、一般的に、地表から約1.5メートル離れていた。曲竜類の属は剣竜類に似た、ゆるく詰まった小さな三角形の歯を持っていた。骨格に残る大きな舌骨は、彼らが長く柔軟な舌を持っていたことを示しており、また、大きな側副口蓋を持っていた。これは、ワニ類と異なり咀嚼を行いながら呼吸ができたことを意味する。腸の領域が拡大していることから、共生細菌や腸内細菌叢を利用した発酵によって食物を消化を行った。彼らの食性はシダ類、ソテツ類、被子植物等を食べる植物食だったと思われる。Mallonら(2013)は、後期白亜紀のララミディア大陸における草食動物の共存を調査した。曲竜類は一般的に、高さ1メートル以下の植生しか食べることができないと結論づけられた[21]。
発声
2023年2月、研究者たちは、曲竜類のピナコサウルス・グランゲリから発見された喉頭の化石に基づき、曲竜類が発していた可能性のあり、鳥の鳴き声のような発声であると報告した[22][23]。今後、研究が進めば、どのような声で発生してたのか、コミュニケーションをとっていたかが分かる可能性がり、また、鳥のように多彩な発生を使い分けていた可能性がある[24]。
古環境と古生態
非常に多様な環境で生息し、砂漠から湿潤な森林まで生息した。生態は通常低い位置のブラウザーやグレイザーなものだった[3]。
脚注
- ^ a b Soto-Acuña, Sergio; Vargas, Alexander; Kaluza, Jonatan; Leppe, Marcelo; Botelho, Joao; Palma-Liberona, José; Gutstein, Carolina; Fernández, Roy et al. (2021). “Bizarre tail weaponry in a transitional ankylosaur from subantarctic Chile”. Nature 600 (7888): 259–263. doi:10.1038/s41586-021-04147-1. PMID 34853468 .
- ^ a b c d e Madzia, D.; Arbour, V.M.; Boyd, C.A.; Farke, A.A.; Cruzado-Caballero, P.; Evans, D.C. (2021). “The phylogenetic nomenclature of ornithischian dinosaurs”. PeerJ 9: e12362. doi:10.7717/peerj.12362. PMC 8667728. PMID 34966571 .
- ^ a b c d グレゴリー・ポール 著、東洋一、今井拓哉、河部壮一郎、柴田正輝、関谷透、服部創紀 訳『グレゴリー・ポール恐竜事典 原著第2版』共立出版、2020年8月30日、267頁。ISBN 978-4-320-04738-9。
- ^ Osborn, H. F. (1923). "Two Lower Cretaceous dinosaurs of Mongolia." American Museum Novitates, 95: 1–10.[1]
- ^ a b Ben Creisler, Dinosauria Translation and Pronunciation Guide. Archived 2011-11-11 at the Wayback Machine.
- ^ Brown, B. 1908. The Ankylosauridae, a new family of armored dinosaurs from the Upper Cretaceous. American Museum of Natural History Bulletin 24: 187—201.
- ^ Carpenter, K., 1997, "Ankylosauria" pp. 16-20 in: P.J. Currie and K. Padian (eds.), Encyclopedia of Dinosaurs, Academic Press, San Diego
- ^ Carpenter, K. (2001). “Phylogenetic Analysis of the Ankylosauria”. In Carpenter, Kenneth. The Armored Dinosaurs. Indiana University Press. p. 455. ISBN 0-253-33964-2
- ^ Norman, D.B. (2021). “Scelidosaurus harrisonii (Dinosauria: Ornithischia) from the Early Jurassic of Dorset, England: biology and phylogenetic relationships”. Zoological Journal of the Linnean Society 191 (1): 1–86. doi:10.1093/zoolinnean/zlaa061.
- ^ Raven, T. J.; Barrett, P. M.; Joyce, C. B.; Maidment, S. C. R. (2023). “The phylogenetic relationships and evolutionary history of the armoured dinosaurs (Ornithischia: Thyreophora)”. Journal of Systematic Palaeontology 21 (1): 2205433. doi:10.1080/14772019.2023.2205433.
- ^ Arbour, V. M., Currie, P. J. 2016. Systematics, phylogeny and palaeobiogeography of the ankylosaurid dinosaurs. Journal of Systematic Palaeontology 14 (5): 385—444.
- ^ Norman, D. B., Witmer, L. M. and Weishampel, D. B. 2004. Basal Thyreophora. Pр. 335—342. In D. B. Weishampel, P. Dodson, and H. Osmolska (eds.), The Dinosauria. Berkeley: University of California Press.
- ^ T.A. Tumanova, 1987, "Pantsirnyye dinozavry Mongolii", Trudy Sovmestnaya Sovetsko-Mongol'skaya Paleontologicheskaya Ekspeditsiya 32: 1-80.
- ^ “PBDB”. 2023年12月12日閲覧。
- ^ Maidment, Susannah C. R.; Strachan, Sarah J.; Ouarhache, Driss; Scheyer, Torsten M.; Brown, Emily E.; Fernandez, Vincent; Johanson, Zerina; Raven, Thomas J. et al. (2021-09-23). “Bizarre dermal armour suggests the first African ankylosaur” (英語). Nature Ecology & Evolution 5 (12): 1576–1581. doi:10.1038/s41559-021-01553-6. ISSN 2397-334X. PMID 34556830 .
- ^ Clark, N.D.L. 2001. A thyreophoran dinosaur from the early Bajocian (Middle Jurassic) of the Isle of Skye, Scotland. Scottish Journal of Geology, 37: 19—26.
- ^ Coombs, W. P. 1978. The families of the ornithischian dinosaur order Ankylosauria. Journal of Paleontology 21: 143—170.
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