「続 タイムスリップ! 恐竜時代 古代の海へ」の版間の差分

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| 番組名 = 続 タイムスリップ!恐竜時代 古代の海へ <br />Sea Monsters
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| 別名 =
| ジャンル = SF /ドキュメンタリー
| ジャンル = SF /ドキュメンタリー
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| 放送時間 = 45分
| 原案 =
| 放送期間 = [[2004年]][[8月5日]]〜[[8月19日]]
| 企画 =
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| 構成 =
| 制作局 = [[NHK教育テレビジョン]]
| 脚本 = <!--「作」も使用可-->
| プロデューサー = 野中まさ子<br>菅原章五<br>金村健士<br>渡辺聡<br>渡辺昭一<br>
| 台本 =
| 出演者 = [[ナイジェル・マーヴェン]]など
| 総監督 =
| ナレーター = [[渡辺徹 (俳優)|渡辺徹]]
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| クリエイティブ・ディレクター =
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| 出演者 =[[ナイジェル・マーヴェン]]
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| アナウンサー =
| テーマ曲作者 =
| 音楽 = {{仮リンク|ベン・バートレット|en|Ben Bartlett}}<ref name=キャストスタッフ>{{Cite web|url= https://www.imdb.com/title/tt0469006/fullcredits?ref_=tt_cl_sm#cast |title= Sea Monsters: A Walking with Dinosaurs Trilogy (2003) Full Cast & Crew |accessdate=2021-03-22 |publisher=[[Amazon.com]] |website=[[インターネット・ムービー・データベース]]}}</ref>
| 作曲 =
| OPテーマ =
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| 国・地域 = [[イギリス]]
| 言語 = 英語
| 時代設定 =
| シーズン数 = 1
| 話数 = 3
| 各話リスト =
| 各話の長さ =
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| エグゼクティブ・プロデューサー = [[ティム・ヘインズ]]<ref name=キャストスタッフ/><br>{{仮リンク|アダム・ケンプ|en|Adam Kemp}}<ref name=キャストスタッフ/>
| プロデューサー ={{仮リンク|ジャスパー・ジェームズ|en|Jasper James}}<ref name=キャストスタッフ/>
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| 編集 = アンドリュー・ウィルクス<ref name=キャストスタッフ/>
| 制作 =
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| 製作費 =
<!--「放送」ヘッダ-->
| ヘッダ = <!--既定値は「放送」-->
| ネット配信 =
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| 放送枠 ={{flagicon|JPN}} [[NHK教育テレビジョン|NHK Eテレ]]『[[地球ドラマチック]]』内
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| 外部リンク =https://www.bbc.co.uk/programmes/b00sy534
| 外部リンク名 = Walking with Dinosaurs
}}
}}
『'''続 タイムスリップ! 恐竜時代 古代の海へ'''』(原題:Sea Monsters)は、[[インポッシブル・ピクチャーズ]]が製作し、{{仮リンク|BBCナチュラルヒストリーユニット|en|BBC Natural History Unit}}と[[ディスカバリーチャンネル]]と[[プロジーベン]]が共同でプロデュースした、2003年の三部作自然ドキュメンタリー番組<ref name=":1">{{Cite web|date=2004|title=DOKU-FIKTION: Die letzte Ursafari|url=https://www.spiegel.de/spiegel/print/d-29665633.html|accessdate=2020-10-16|website=Der Spiegel|language=de}}</ref>。『[[タイムスリップ! 恐竜時代]]』に続く『[[ウォーキングwithダイナソー〜驚異の恐竜王国]]』のテレビスペシャル版であり、時空を旅する動物研究者として[[イギリス]]の野生動物プレゼンターの[[ナイジェル・マーヴェン]]が「歴史上最も危険」とされる異なる7つの先史時代の海へ旅し、そこに生息する生物と遭遇して彼らを紹介する。


これまでの『ウォーキングwith』シリーズと同様に、本作でも[[Computer Generated Imagery|CGI]]と[[アニマトロニクス]]を組み合わせて過去の生物が再現されており、様々な場所での[[実写]]映像に落とし込まれている。本作の視覚効果は[[英国アカデミー賞テレビ部門]]を受賞し、またナイジェル・マーヴェンは{{仮リンク|王立テレビ協会|en|Royal Television Society}}賞のプログラム・アワードにノミネートされた。マーヴェンのエネルギッシュで熱狂的なプレゼンスタイルは批評家から称賛を受けた一方、本作に野生動物プレゼンターは不要だったと考える批評家もいた。
『'''続 タイムスリップ!恐竜時代 古代の海へ'''』(原題:Sea Monsters)は、『[[ウォーキングwithダイナソー〜驚異の恐竜王国]]』のテレビスペシャル版としてインポッシブル・ピクチャーズと[[BBC]]が共同で制作した作品。このシリーズでは、イギリスの野生動物プレゼンターである[[ナイジェル・マーヴェン]]が歴史上最も恐ろしいと言われる七つの海に挑む物語。ドキュメンタリータッチで撮られており、年表を用いてランキング形式で危険な海を発表しているのが特徴。
日本では2004年に「[[地球ドラマチック]]」([[NHK教育テレビジョン|NHK教育テレビ]])内で放送された。DVDも発売されている。


日本では2004年8月に[[NHK教育テレビジョン|NHK教育]]『[[地球ドラマチック]]』内で初放送され<ref name=NHK>{{Cite web|url=http://www.nhk.or.jp/dramatic/backnumber/06.html |title=『続 タイムスリップ! 恐竜時代 古代の海へ』 2004年8月5日~19日(3回シリーズ) |accessdate=2021-03-22 |archivedate=2010-10-09 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20101009111804/http://www.nhk.or.jp/dramatic/backnumber/06.html |publisher=[[日本放送協会|NHK]] |website=[[地球ドラマチック]]}}</ref>、DVDも発売されている。ナレーションは英語版では{{仮リンク|ヘレン・レイナー|en|Karen Hayley}}<ref>{{Cite web|title=Frontpage|url=http://karenhayley.com/|access-date=2020-10-26|website=Karen Hayley|language=en-GB}}</ref>、NHK放送版では[[渡辺徹 (俳優)|渡辺徹]]<ref name=NHK/>。
==キャスト・登場人物==

ナレーションはカレン・ヘイリー、吹き替え版では[[渡辺徹 (俳優)|渡辺徹]]である。
== 登場人物 ==
;ナイジェル・マーヴェン
;ナイジェル・マーヴェン
:演:[[ナイジェル・マーヴェン]] / 声:[[渡辺徹 (俳優)|渡辺徹]]
:演:[[ナイジェル・マーヴェン]] / 声:[[渡辺徹 (俳優)|渡辺徹]]
:代の生物を求めて様々な時代を飛び回る動物学者。今回は[[恐竜]]より恐ろしい生物と出会うため、危険な七つの海に向かう。
:先史時代の生物を求めて様々な時代を飛び回る動物学者で探検家。今回は[[恐竜]]より恐ろしい獰猛な海の生物と出会うため、危険な七つの海に向かう。

;その他の乗組員
;その他の乗組員
:ナイジェルと共に危険な七つの海を冒険する仲間たち。
:ナイジェルと共に危険な七つの海を冒険する仲間たち。


== 内容 ==
== 各ランキングの海 ==
全3回で[[オルドビス紀]]、[[三畳紀]]、[[デボン紀]]、[[始新世]]([[古第三紀]])、[[鮮新世]]([[新第三紀]])、後期[[ジュラ紀]]、[[後期白亜紀]]の海と生物を紹介する。これらのうちデボン紀と鮮新世で[[クリフハンガー]]が入り各回に分割されている<ref name=NHK/>。
*第7位 [[オルドビス紀]]の海

*第7位 オルドビス紀の海
酸素濃度が低く陸上生活は不可能なオルドビス紀だが、海は生き物が数多く生息した。早速ナイジェルは魚でウミサソリを捕まえるが、ナイジェルはそのウミサソリに足を切られてしまう。地球の自転が速いため1日が短く、続きの調査は翌日に持ち越す。カメラを仕込んだ三葉虫を使ってオルソセラスの撮影に臨むが、三葉虫そのものをもぎ取られ奪われてしまう。ナイジェルは自ら海に潜り、ウミサソリの大群やオルソセラスと出会う。オルソセラスとの海中遊泳から帰ってきたナイジェルは、浜辺でウミサソリが集って産卵しているのを目撃する。ボートがウミサソリに占拠されオルドビス紀の海はバカンスに向いていないと語るが、危険な海は後6つ残っている。
酸素濃度が低く陸上生活は不可能なオルドビス紀だが、海は生き物が数多く生息した。早速ナイジェルは魚でウミサソリを捕まえるが、ナイジェルはそのウミサソリに足を切られてしまう。地球の自転が速いため1日が短く、続きの調査は翌日に持ち越す。カメラを仕込んだ三葉虫を使ってオルソセラスの撮影に臨むが、三葉虫そのものをもぎ取られ奪われてしまう。ナイジェルは自ら海に潜り、ウミサソリの大群やオルソセラスと出会う。オルソセラスとの海中遊泳から帰ってきたナイジェルは、浜辺でウミサソリが集って産卵しているのを目撃する。ボートがウミサソリに占拠されオルドビス紀の海はバカンスに向いていないと語るが、危険な海は後6つ残っている。


*第6位 [[三畳紀]]後期の海
*第6位 後期三畳紀の海
オルドビス紀と現代の中間に位置する三畳紀では、陸の恐竜や空の翼竜といった爬虫類が反映していた。ナイジェルはこの時代の海生爬虫類を見に海へ潜る。ナイジェルは息継ぎをしているノトサウルスを発見し、万一のために通電性のモリを片手にノトサウルスと戯れに行く。ノトサウルスの後に遭遇したタニストロフェウスを捕まえて遊んでいたところ、背後から現れたキンボスポンディルスがその[[自切]]された尾を捕食する。モリで対抗し、なんとかナイジェルはキンボスポンディルスを追い払った。
オルドビス紀と現代の中間に位置する三畳紀では、陸の恐竜や空の翼竜といった爬虫類が反映していた。ナイジェルはこの時代の海生爬虫類を見に海へ潜る。ナイジェルは息継ぎをしているノトサウルスを発見し、万一のために通電性のモリを片手にノトサウルスと戯れに行く。ノトサウルスの後に遭遇したタニストロフェウスを捕まえて遊んでいたところ、背後から現れたキンボスポンディルスがその[[自切]]された尾を捕食する。モリで対抗し、なんとかナイジェルはキンボスポンディルスを追い払った。


*第5位 [[デボン紀]]の海
*第5位 デボン紀の海
時代は遡り、魚類の時代と謳われたデボン紀へナイジェル達は足を運ぶ。早々に甲冑魚を1匹釣り上げて餌にし、この餌を使って当時最強の甲冑魚をおびき寄せようと計画する。今回は相手が危険なので球形の檻を用意し、中に入ってダンクルオステウスの到着を待つ。奇妙なサメと出会ってテンションの上がる中、ついにダンクルオステウスがやって来る。金属製の檻が変形するほどの猛攻を受けながらも、何とか餌の魚を安全にダンクルオステウスに食べさせることに成功する。共食いや吐瀉など、現代とは全く違う魚類の習性を垣間見ることができた。
時代は遡り、魚類の時代と謳われたデボン紀へナイジェル達は足を運ぶ。早々に甲冑魚を1匹釣り上げて餌にし、この餌を使って当時最強の甲冑魚をおびき寄せようと計画する。今回は相手が危険なので球形の檻を用意し、中に入ってダンクルオステウスの到着を待つ。奇妙なサメと出会ってテンションの上がる中、ついにダンクルオステウスがやって来る。金属製の檻が変形するほどの猛攻を受けながらも、何とか餌の魚を安全にダンクルオステウスに食べさせることに成功する。共食いや吐瀉など、現代とは全く違う魚類の習性を垣間見ることができた。


*第4位 [[古第三紀]][[始新世]]の海
*第4位 古第三紀始新世の海
恐竜絶滅から数千万年後の世界は、哺乳類の時代となっていた。当時のエジプトを訪れたナイジェルは陸上でサイのような姿をした哺乳類のアルシノイテリウムと出会い、追い掛け回される。浅瀬ではアルシノイテリウムやドルドンといった哺乳類たちが優雅に泳ぎまわっていた。しかし[[テチス海]]の沖合では現代と全く姿の異なるクジラが猛威を振るっているのだった。ソナーでクジラの鳴き声を流してみると、凶暴なクジラのバシロサウルスが姿を現した。間近でその姿を見ていると、バシロサウルスはスピーカーをもぎ取って弄び、泳ぎ去って行った。
恐竜絶滅から数千万年後の世界は、哺乳類の時代となっていた。当時のエジプトを訪れたナイジェルは陸上でサイのような姿をした哺乳類のアルシノイテリウムと出会い、追い掛け回される。浅瀬ではアルシノイテリウムやドルドンといった哺乳類たちが優雅に泳ぎまわっていた。しかし[[テチス海]]の沖合では現代と全く姿の異なるクジラが猛威を振るっているのだった。ソナーでクジラの鳴き声を流してみると、凶暴なクジラのバシロサウルスが姿を現した。間近でその姿を見ていると、バシロサウルスはスピーカーをもぎ取って弄び、泳ぎ去って行った。


*第3位 [[新第三紀]][[鮮新世]]の海
*第3位 新第三紀鮮新世の海
人類が誕生する400万年前。現代のホオジロザメは驚異的な捕食者だが、当時にはさらに巨大なメガロドンが生息していた。このメガロドンを観察するため、メガロドンの幼体が好んで捕食するオドベノケトプスを捜索する。幼体のメガロドンと遭遇したナイジェルはオドベノケトプスの模型を製作して泳がせ、メガロドンの狩りの手法を撮影するのに成功した。いよいよ成体を相手にするため、魚の血肉や脂を混ぜ込んで巨大な餌を作り上げる。餌で成体をおびき寄せてカメラを背中に取り付け、メガロドンがクジラを襲う様子を撮影したビデオを手に入れた。
人類が誕生する400万年前。現代のホオジロザメは驚異的な捕食者だが、当時にはさらに巨大なメガロドンが生息していた。このメガロドンを観察するため、メガロドンの幼体が好んで捕食するオドベノケトプスを捜索する。幼体のメガロドンと遭遇したナイジェルはオドベノケトプスの模型を製作して泳がせ、メガロドンの狩りの手法を撮影するのに成功した。いよいよ成体を相手にするため、魚の血肉や脂を混ぜ込んで巨大な餌を作り上げる。餌で成体をおびき寄せてカメラを背中に取り付け、メガロドンがクジラを襲う様子を撮影したビデオを手に入れた。


*第2位 [[ジュラ紀]]の海
*第2位 ジュラ紀の海
恐竜が大型化した時代、海中では巨大魚リードシクティスが遊泳していた。リードシクティスは群れで行動するが、遥かに体の小さいヒボドゥスやメトリオリンクスが弱って群れから遅れたリードシクティスの個体を捕食していく。一方で、ナイジェルの求める大物は夜行性の生物だった。リオプレウロドンは鋭い嗅覚を持つため、ナイジェルは臭いを放つスーツに身を包んでジュラ紀の夜の海へ潜る。ナイジェルが海で見たものは、リードシクティスの巨体を貪るリオプレウロドンの姿だった。間一髪でリオプレウロドンの攻撃を回避してこの時代を去るが、さらに危険な海がもう1つだけ残っている。
恐竜が大型化した時代、海中では巨大魚リードシクティスが遊泳していた。リードシクティスは群れで行動するが、遥かに体の小さいヒボドゥスやメトリオリンクスが弱って群れから遅れたリードシクティスの個体を捕食していく。一方で、ナイジェルの求める大物は夜行性の生物だった。リオプレウロドンは鋭い嗅覚を持つため、ナイジェルは臭いを放つスーツに身を包んでジュラ紀の夜の海へ潜る。ナイジェルが海で見たものは、リードシクティスの巨体を貪るリオプレウロドンの姿だった。間一髪でリオプレウロドンの攻撃を回避してこの時代を去るが、さらに危険な海がもう1つだけ残っている。


*第1位 [[白亜紀]]の海
*第1位 白亜紀の海
史上最も危険な海は白亜紀にあった。最初に浜辺で遭遇した2メートルに及ぶ海鳥ヘスペロルニスは、貪欲なシファクティヌスにあっさりと飲み込まれた。危険ゆえに今回は海に潜らないと決めたナイジェルは、遠隔カメラを使ってエラスモサウルスの群れを観察する。しかし、カメラに映ったアーケロンを見て我慢が出来なくなり、ナイジェルはアーケロンと海中遊泳に出る。アーケロンとの遊泳から戻ってくる途中、ナイジェル達はモササウルスの家族連れから攻撃を受け散り散りになる。命からがら戻ってきたナイジェル達だったが、その翌日の明け方には、モササウルスの大群が船を取り囲んでいるのだった。
史上最も危険な海は白亜紀にあった。最初に浜辺で遭遇した2メートルに及ぶ海鳥ヘスペロルニスは、貪欲なシファクティヌスにあっさりと飲み込まれた。危険ゆえに今回は海に潜らないと決めたナイジェルは、遠隔カメラを使ってエラスモサウルスの群れを観察する。しかし、カメラに映ったアーケロンを見て我慢が出来なくなり、ナイジェルはアーケロンと海中遊泳に出る。アーケロンとの遊泳から戻ってくる途中、ナイジェル達はモササウルスの家族連れから攻撃を受け散り散りになる。命からがら戻ってきたナイジェル達だったが、その翌日の明け方には、モササウルスの大群が船を取り囲んでいるのだった。


== 登場する野生動物 ==
== 登場する野生動物 ==
太字の生き物は危険性が高い生物として紹介されている。
太字の生き物は危険性が高い生物として紹介されている。
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*冒頭
*冒頭
:[[ヴェロキラプトル]]
:[[ヴェロキラプトル]]
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:[[ボトリオレピス]]
:[[ボトリオレピス]]
:[[ステタカントゥス]]
:[[ステタカントゥス]]
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*始新世
*始新世
:'''[[バシロサウルス]]'''
:'''[[バシロサウルス]]'''
99行目: 155行目:
:[[プテラノドン]]
:[[プテラノドン]]
:[[ダスプレトサウルス]]
:[[ダスプレトサウルス]]
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==装備==
== 装備 ==
;酸素ボンベ
;酸素ボンベ
:オルドビス紀で使用。オルドビス紀は植物が地上に進出していないので空気中に酸素がほとんどなく、海中用だけではなく陸上用の酸素ボンベも必要である。
:オルドビス紀で使用。オルドビス紀は植物が地上に進出していないので空気中に酸素がほとんどなく、海中用だけではなく陸上用の酸素ボンベも必要である。

;保護スーツ
;保護スーツ
:オルドビス紀で使用。本来はサメから身を守るための保護スーツだが、オルドビス紀ではウミサソリからの保護に使用した。
:オルドビス紀で使用。本来はサメから身を守るための保護スーツだが、オルドビス紀ではウミサソリからの保護に使用した。

;モリ
;モリ
:三畳紀で使用。通電性で、電気ショックを与えることで相手を退却させる。
:三畳紀で使用。通電性で、電気ショックを与えることで相手を退却させる。

;檻
;檻
:ナイジェルとカメラマンの入る球形で金属製の檻。
:ナイジェルとカメラマンの入る球形で金属製の檻。
:デボン紀で制作されて初投入されたが、ダンクルオステウスの攻撃を受けて変形した。メガロドンへカメラを設置する際には修復されていたか、もしくは別の檻を用意していた。
:デボン紀で制作されて初投入されたが、ダンクルオステウスの攻撃を受けて変形した。メガロドンへカメラを設置する際には修復されていたか、もしくは別の檻を用意していた。

;スピーカー
;スピーカー
:古第三紀にて、クジラの声を流してバシロサウルスを呼び出すために使用。苛立ったバシロサウルスにもぎ取られていった。
:古第三紀にて、クジラの声を流してバシロサウルスを呼び出すために使用。苛立ったバシロサウルスにもぎ取られていった。

;装着型カメラ
;装着型カメラ
:新第三紀で使用。動物の肉体に装着するカメラで、装着から3日経つと自然と外れて海面に浮き上がる。メガロドンの成体に対して使用した。
:新第三紀で使用。動物の肉体に装着するカメラで、装着から3日経つと自然と外れて海面に浮き上がる。メガロドンの成体に対して使用した。

;臭いを発するスーツ
;臭いを発するスーツ
:ジュラ紀で使用。リオプレウロドンの鋭い嗅覚を逆に利用したスーツで、防衛のために用いる。
:ジュラ紀で使用。リオプレウロドンの鋭い嗅覚を逆に利用したスーツで、防衛のために用いる。悪臭のする薬品を仕込んでおき、危険が迫った際にはバルブを開いて薬品を相手に浴びせる。
:悪臭のする薬品を仕込んでおき、危険が迫った際にはバルブを開いて薬品を相手に浴びせる。

;遠隔操作カメラ
;遠隔操作カメラ
:白亜紀で使用。エラスモサウルスの群れを様子やモササウルスにナイジェルが襲われたシーンを映していた。
:白亜紀で使用。エラスモサウルスの群れを様子やモササウルスにナイジェルが襲われたシーンを映していた。

;[[レーダー]]
;[[レーダー]]
:モササウルスを探知。ラストで大量のモササウルスがレーダーに表されたところで物語は幕を閉じる。
:船に接近した生物を探知する。ラストで大量のモササウルスがレーダーに表されたところで物語は幕を閉じる。


== スタッフ ==
== 製作 ==
『続 タイムスリップ! 恐竜時代 古代の海へ』は『ウォーキングwithダイナソー』(1999年)や『ウォーキングwithビースト』(2001年)と同じく[[インポッシブル・ピクチャーズ]]が製作した<ref name=":6" />。劇中の生物や自然環境の再現には以前のシリーズと同じ技術が用いられており<ref name=":4">{{Cite web|last=Walley|first=Mike|date=2011-07-17|title=Countdown to Sea Monster Exhibition|url=https://blog.everythingdinosaur.co.uk/blog/_archives/2011/07/17/4859676.html|accessdate=2020-10-17|website=Everything Dinosaur Blog|language=en-US}}</ref>、CGIとアニマトロニクスが生物に使用され、背景は実際の自然環境の中で撮影された<ref>{{cite news|last1=Huelsman |first1=Eric |date=1 March 2000 |title=Walking With Dinosaurs |work=Animation World Network |url=http://www.awn.com/animationworld/walking-dinosaurs |accessdate=11 April 2016}}</ref>。撮影期間は7か月以上を超えた<ref name=":7">{{Cite web|date=2012-02-15|title=Framestore CFC Makes Sea Monsters |url=https://www.creativeplanetnetwork.com/news/framestore-cfc-makes-sea-monsters-396143 |accessdate=2020-10-25 |website=Creative Planet Network |language=en-US}}</ref>。ロケ地には[[ニュージーランド]]の海<ref>{{Cite web|title=BBC's Sea Monsters - Global Film Solutions: Production Services and Risk Management|url=https://globalfilmsolutions.com/projects/sea-monsters/|access-date=2020-10-17|website=globalfilmsolutions.com}}</ref>や[[エジプト]]の[[紅海]]の海岸が採用された<ref>{{cite tweet|user=Nigelmarven |umber=1159762277173800961 |accessdate=2020-10-17 |date=2019-08-09 |title=Another great post! I love Trilobites, Richard Fortey has written a brilliant book on them. We filmed ( Literally Sea Monsters was shot on film not video) this scene on the shores of the Red Sea in Egypt!}}</ref>。
*監督
**ジャスパー・ジェームズ
**ティム・ヘインズ
**アダム・ケンプ


『[[タイムスリップ! 恐竜時代]]』に続き<ref name=":0">{{Cite web|url=http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/3247691.stm |accessdate=2021-03-22 |date=2003-11-07 |author= Julianna Kettlewell |publisher=[[英国放送協会|BBC]] |title= Ancient sea monsters bite back}}</ref>、ナイジェル・マーヴェンは同作のプロデューサーである{{仮リンク|ジャスパー・ジェームズ|en|Jasper James}}からアプローチされた。マーヴェンは[[サメ]]に関して情熱を持ち、かつ現生種で最大のサメと共に泳いだ経験が既にあった。このことからジェームズは、マーヴェン自身が地球史上の危険な海に潜って全ての時代の最大のサメを含め他の様々な先史時代の海洋生物と泳ぐ、タイムトラベル番組を思いついた。マーヴェンはこのプロジェクトに熱意を示し、関連書籍において「喉から手が出るようだ」と形容している<ref group=注>"mouthwatering prospect"</ref><ref>{{Cite book|last1=Marven|first1=Nigel|title=Chased by Sea Monsters: Prehistoric Predators of the Deep|last2=James|first2=Jasper|publisher=[[ DK社]]|year=2004|isbn=978-0756603755|pages=7}}</ref>。
*撮影
**ピーター・ソーン


また過去のシリーズと同様に、本作の特殊効果は Crawley Creatures<ref>{{Cite web|date=2019-05-24|title=Films, TV & Adverts|url=https://crawley-creatures.com/films-tv-adverts/|accessdate=2020-10-17|website=Crawley Creatures|language=en-GB}}</ref>、視覚効果は[[フレームストア]]が担当した。フレームストアはシリーズに登場する19種類の生物を製作するのに1年以上を費やした。過去シリーズに携わった経験からフレームストアの製作陣は使用するテクニックを既に習得しており、結果として製作過程を効率化し、それぞれの生物の製作により多くの時間を費やせるようになった。過去シリーズではCGIを使った生物の[[レンダリング]]時間は通常一晩程度であったが、本作で[[メガロドン]]がサメ用ケージ{{enlink|Shark cage diving|a=on}}の横を通過する際の1ショットには2週間を要した<ref name=":7" />。
*特殊効果
**コリン・シェルバー


合計して、シリーズ製作には1年半を要した<ref name=":1" />。製作費は[[BBCニュース]]によると300万ポンド<ref name=":0" />、[[デア・シュピーゲル]]によると800万ユーロ(約530万ポンド)であった<ref name=":1" />。2003年7月末にBBCは洗練されたCGIを使った先史時代の海棲動物が登場する『ウォーキングwithダイナソー』の水中版として本作を告知した<ref>{{Cite web|last=Burrell|first=Ian|date=2003-07-30|title=BBC looks to the past in its autumn line-up|url=http://www.independent.co.uk/news/media/bbc-looks-to-the-past-in-its-autumn-line-up-98218.html|accessdate=2020-10-17|website=The Independent |language=en}}</ref>。
*視覚効果製作
**ティム・グリーンウッド
**ジョージ・ローバー
**アンガス・ウィルソン
**シリオ・クィンターバル


ジェームズによると、本作に登場する生物は可能な限り多くの情報源に基づいて復元されており、製作陣は古生物学者や動物学者とコンタクトを取って可能な限り正確な動物を再現した<ref name=":0" />。例としてオルドビス紀でマーヴェンが遭遇した[[ウミサソリ]]は[[ブリストル大学]]の古生物学者サイモン・ブラッディの見解に基づいて製作された。ブラッディによると、ウミサソリの最初のモデルは彼曰く「断じて非常に良いものではなかった」が、彼の指示に従った改良版は「丁度良い」ものであったという。ウミサソリが砂浜に集まっている描写については、[[脱皮]]と[[交尾]]のため浜辺にウミサソリが集まっていたとする現在の仮説に合致すると主張した<ref name=":0" />。
*音楽
**ベン・バートレット


== 放送 ==
*効果音
イギリスでは[[BBC One]]にて<ref name=":0"/>2003年11月9日から3週連続で放送された<ref>{{Cite web|url= https://www.imdb.com/title/tt0469006/episodes?ref_=tt_ov_epl |title= Sea Monsters: A Walking with Dinosaurs Trilogy (2003) |accessdate=2021-03-22 |publisher=[[Amazon.com]] |website=[[インターネット・ムービー・データベース]]}}</ref>。日本では[[NHK教育テレビジョン|NHK教育]]『[[地球ドラマチック]]』枠にて2004年8月5日から3週連続で放送され<ref name=NHK/>、2005年1月2日には75分スペシャルとして3話を一括に纏めて再放送された<ref>{{Cite web|url=http://www.nhk.or.jp/dramatic/special/index.html |archiveurl=https://web.archive.org/web/20061113202611/http://www.nhk.or.jp/dramatic/special/index.html |title=地球ドラマチック スペシャル『タイムスリップ! 恐竜時代』 |website=地球ドラマチック |accessdate=2021-03-22 |archivedate=2006-11-13 |publisher=NHK}}</ref>。
**ヨヴァン・アジャー


== 評価 ==
*制作
=== レビュー ===
**インポッシブルピクチャーズ
''The Spectator''{{enlink|The Spectator|a=on}}の{{仮リンク|サイモン・ホガート|en|Simon Hoggart}}は本作を称賛し、「素晴らしい」と形容した。ホガートは特にプレゼンターとしてのマーヴェンの仕事を称え、「より怖ろしいコンピューターシミュレーションを見つけに陽気に船外へ漏れ出す[[ジェイミー・オリヴァー]]の少年らしい熱意がある」と評価し、「彼自身がコンピューターシミュレーションなのかもしれない」と主張した。彼が唯一感じた欠点はナレーションであった<ref>{{Cite web|last=Hoggart |first=Simon |date=2003-11-15 |title=The Squirm Factor |url=http://archive.spectator.co.uk/article/15th-november-2003/75/the-squirm-factor |accessdate=2020-10-17 |website=The Spectator Archive}}</ref>。
**[[BBC]]


[[タイムズ]]紙の{{仮リンク|ポール・ホガート|en|Paul Hoggart}}は否定的にレビューした。 彼は過去の『ウォーキングwith』シリーズの[[ボイスオーバー]]に疑念を抱きながらも「素晴らしい」「ひどく楽しめる」と評価したが、本作については生物を怖れるナイジェル・マーヴェンに焦点が当たりすぎていて、かつ生物の出番が短すぎると主張した。また彼はシリーズにプレゼンターを導入したことにも否定的であり、『{{仮リンク|ケイブマン 遥かなる人類の旅|en|Walking with Caveman}}』(2003年)と共に批判した<ref>{{Cite news|last=Hoggart|first=Paul|date=2003-11-10|title=TV Review|language=en|work=The Times|url=https://www.thetimes.co.uk/article/tv-review-l69rhvrlzj3|access-date=2020-10-17}}</ref>。
*VFX制作
**[[フレームストア]]


=== 受賞 ===
*パペット制作
2004年に本作は[[英国アカデミー賞テレビ部門]]で視覚効果賞を受賞し<ref name=":6">{{Cite web|title=Sea Monsters {{!}} Impossible Pictures|url=http://impossiblepictures.co.uk/project/sea-monsters/|access-date=2020-10-16|website=impossiblepictures.co.uk}}</ref>、また[[視覚効果協会]]賞のテレビ部門にもノミネートされた<ref>{{Cite web|title=Nominees for 2004 VES Awards Announced|url=https://www.awn.com/news/nominees-2004-ves-awards-announced |accessdate=2020-10-16 |website=Animation World Network |language=en}}</ref><ref>{{Cite web|title=2nd Annual VES Awards |url=https://www.visualeffectssociety.com/portfolio-items/2003-2nd-annual-ves-awards/ |accessdate=2020-10-16 |website=VES |language=en-US}}</ref>。ナイジェル・マーヴェンは前作『[[タイムスリップ! 恐竜時代]]』と本作で{{仮リンク|王立テレビ協会|en|Royal Television Society}}のプレゼンター (factual) 部門にノミネートされた<ref>{{Cite web|date=2004-02-25|title=RTS programme awards nominations|url=http://www.theguardian.com/media/2004/feb/25/broadcasting1|accessdate=2021-03-22|website=The Guardian|language=en}}</ref>。
**クローリークリーチャーズ


=== プレゼンターの存在 ===
==関連項目==
[[File:NigelMarveninDallas.jpg|thumb|[[ナイジェル・マーヴェン]]]]
進化動物学者の[[リチャード・ドーキンス]]はナレーションだけでなくプレゼンターを導入したことを批判し、ナイジェル・マーヴェンの番組を無価値だと主張した。さらに彼は「動物自体の光景を楽しめないほど民衆を馬鹿だと考えているかのようだ」「視聴者は個人的な逸話という砂糖で錠剤をコーティングしなければ科学に対応できないと、彼らに尋ねもせずにテレビ関係者が決めつけるのは、少なくとも恩着せがましいし見下しているのではないか」と論じた。一方、製作陣の一人であるジャスパー・ジェームズは本作が視聴者を見下しているとは考えておらず、「何かを学びながら番組のドラマを楽しむことができるなら素晴らしいことだ」と述べている<ref name=":0" />。

研究者のヴィンセント・キャンベルは2008年、『ウォーキングwithダイナソー』で[[ティラノサウルス]]が吠えた際にカメラに[[唾液]]が掛かったような、動物がカメラに影響するような演出の発展型が本作と『タイムスリップ! 恐竜時代』におけるプレゼンターの登場であると解釈した。彼は先史時代の動物をテーマとしたプレゼンター主導の番組が登場したのは、先史時代の動物を「映画の怪物」として描写しながらもそれを自然ドキュメンタリーの文脈に取り込んだものであると主張した。また自然ドキュメンタリーに野生動物プレゼンターが登場することのメリットは本作以外にも波及する広いトピックであるともコメントした<ref>{{Cite journal|last=Campbell|first=Vincent|date=2009-03-01|title=The extinct animal show: the paleoimagery tradition and computer generated imagery in factual television programs |url=https://doi.org/10.1177/0963662507081246|journal=Public Understanding of Science |language=en |volume=18 |issue=2 |pages=199–213 |doi=10.1177/0963662507081246 |pmid=19579684 |s2cid=45821717 |issn=0963-6625}}</ref>。ナイジェル・マーヴェンや[[スティーブ・アーウィン]]といったプレゼンターが行う、動物を素手で触れるようなオーソドックスでないエネルギッシュなプレゼンスタイルは、現在の野生動物のドキュメンタリーにおいても議論を呼んでいる点である<ref>{{Cite web|last=Martin|first=Nicole|date=2008-06-09|title=Wildlife presenter Steve Irwin was "tiresome", says Simon King|url=https://www.telegraph.co.uk/news/celebritynews/2099483/Wildlife-presenter-Steve-Irwin-was-tiresome-says-Simon-King.html|access-date=2020-10-17|website=The Telegraph|location=London|language=en-GB}}</ref>。2016年にキャンベルは自身の評価に手を加え、以前のシリーズでカメラが動物に影響を受けていた描写はシリーズにリアリティをもたらしたと主張し、マーヴェンが動物と触れ合うシーンはアーウィン型のプレゼンター主導の自然史映像に合うように構成されていると述べた<ref>{{Citation|last=Campbell|first=Vincent|title=Palaeontology: Monsters from Lost Worlds|date=2016|url=https://doi.org/10.1057/978-1-137-38538-3_4|work=Science, Entertainment and Television Documentary|page=102|editor-last=Campbell|editor-first=Vincent|publisher=Palgrave Macmillan UK|doi=10.1057/978-1-137-38538-3_4|isbn=978-1-137-38538-3}}</ref>。

過去のシリーズと同様に、本作がドラマやエンターテイメントのために科学的正確さを犠牲にしていると懸念する科学者もいた。劇中に登場する様々な生物の行動は推測・推論であるが、劇中でそれが事実か否かは明言されていない。ドーキンスはナイジェル・マーヴェンの過去の番組では事実と推測の区別が視聴者に示されていないと指摘した。なおそれに対し、劇中の説明は全て根拠のあるものであるとジェームズは主張した<ref name=":0" />。

== 影響 ==
古生物学者は本作がキャリアにインスピレーションを与えるものであると見なしている。ジャック・A・クーパーはメガロドンの体サイズを調査して2020年に論文を発表し<ref name="Cooper2020">{{cite journal|last1=Cooper|first1=J. A. |last2=Pimiento |first2=C. |last3=Ferrón |first3=H. G. |last4=Benton |first4=M. J. |year=2020 |title=Body dimensions of the extinct giant shark ''Otodus megalodon'': a 2D reconstruction|journal=Scientific Reports |volume=10 |issue=14596 |page=14596 |doi=10.1038/s41598-020-71387-y |pmc=7471939 |pmid=32883981 |doi-access=free}}</ref>、古生物学のキャリアを追求し太古のサメを研究するきっかけとして本作をにおけるメガロドンの登場を挙げた。クーパーは番組放送当時6歳であり、怖がりかつ内容に魅了された一人であった<ref>{{Cite web|last=Márquez |first=Melissa Cristina |title=Measuring Megalodon: Scientists Find Out How Large This Shark Once Was |url=https://www.forbes.com/sites/melissacristinamarquez/2020/09/10/measuring-megalodon-scientists-find-out-how-large-this-shark-once-was/ |date=2020-09-10 |accessdate=2021-02-03 |website=Forbes |language=en}}</ref>。論文の発表後、ナイジェル・マーヴェンは彼に[[Twitter]]上で賛辞の言葉を送った<ref>{{Cite tweet|user=Nigelmarven |title= Congratulations to Jack Cooper for giving us all a better idea of the dimensions of Megalodon. The dorsal fin is as big as I am! Now I know what was behind the jaws on my house. |number=1301905727699718144 |accessdate=2021-02-03 |date=2020-09-05 }}</ref>。

== 他媒体 ==
=== 書籍 ===
ジャスパー・ジェームズとナイジェル・マーヴェンは本作の関連書籍として ''Sea Monsters: Prehistoric Predators of the Deep'' を共同執筆した。同書は[[ビッグバン]]の説明で始まり、それからオルドビス紀から鮮新世までの「史上最も危険な七つの海」を取り上げている。それぞれの章では登場生物がレンダリングされており、サイドバーで名前の発音方法や分類・大きさ・食性の解説がなされている<ref name=":2">{{Cite journal|last=Sellers|first=LaRue|date=2004|title=Chased by Sea Monsters: Prehistoric Predators of the Deep |url=https://search.proquest.com/openview/4d66f455d6851fa88373ee5ec04029b0/1?pq-origsite=gscholar&cbl=40590 |journal=The Science Teacher |volume=71 |issue=7 |pages=85}}</ref>。

''The Science Teacher''でのレビューで LaRue Sellers は同書を称賛し、TV版に基づいているにも拘わらず「各地質時代の海の捕食動物についての傑出した情報源として成立している」と綴った。Sellersは本書を高校教師に強く勧め、「生徒も情報源として同書を活用し、素晴らしいイラストに間違いなく魅了されることだろう」としてレビューを締め括った<ref name=":2" />。''Publishers Weekly''{{enlink|Publishers Weekly}}のレビューでは、同書は「もし幾分精巧でないとしても魅力的だ」とされ、大きさや歯といった古生物の「テレビ映えする」側面に焦点が多く当てられていると評価された。また生物史の変遷について詳細に綴られていることも指摘され、「センセーショナルで派手なグラフィックとしっかりとした科学的説明が組み合わさっていて、世に出始めた古生物学者を刺激するのに十分だと判断できる」と評価された<ref name=":3">{{Cite web|year=2003|title=Chased by Sea Monsters: Prehistoric Predators of the Deep|url=https://www.publishersweekly.com/978-0-7566-0375-5|accessdate=2021-03-22 |website=Publishers Weekly}}</ref>。

=== 展示 ===
本作に基づいた企画展 ''Sea Monsters Exhibition'' が2011年7月23日から9月11日まで[[ドーセット]]の{{仮リンク|ボーンマス・インターナショナル・センター|en|Bournemouth International Centre}}で開催された<ref name=":4" />。同展では[[ダイオウイカ]]や[[ホホジロザメ]]<ref name=":4" />および[[ウバザメ]]<ref name=":5">{{Cite web|title=A look behind the scenes at the BIC's Sea Monsters exhibition|url=https://www.bournemouthecho.co.uk/news/9161081.a-look-behind-the-scenes-at-the-bics-sea-monsters-exhibition/ |accessdate=2020-10-17 |website=Bournemouth Echo |language=en}}</ref>といった現生の大型海洋動物のほか、[[リオプレウロドン]]や[[リードシクティス]]といった先史時代の海洋動物が展示された<ref name=":4" />。展示された化石動物は本作に登場したものだけでなく、[[カンブリア紀]]の捕食動物[[アノマロカリス]]など新たな動物も加えられた<ref name=":4" />。現生および先史時代の生物は本作のレンダリングや写真が飾られただけでなく、Avalanche Studios が製作した実物大模型も展示され、来館者がその大きさを実感できる仕様になっていた。また同展には、来館した子どもたちが化石を掘ることのできる砂場、動物に思い思いの色を塗ることのできるペイントエリア、そして来館者が古生物の隣に立つことのできるグリーンスクリーンのコーナーもあった<ref name=":5" />。

== 注釈 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist|group=注}}

== 出典 ==
{{Reflist|2}}

== 関連項目 ==
*[[ウォーキングwithダイナソー〜驚異の恐竜王国]]
*[[ウォーキングwithダイナソー〜驚異の恐竜王国]]
*[[プレヒストリック・パーク]]
*[[プレヒストリック・パーク]]
170行目: 234行目:
*[[ナイジェル・マーヴェン]]
*[[ナイジェル・マーヴェン]]


==外部リンクと参考文献==
== 外部リンク ==
*[http://www.nhk.or.jp/dramatic/backnumber/06.html 地球ドラマチック これまでの放送]
*[https://web.archive.org/web/20101009111804/http://www.nhk.or.jp/dramatic/backnumber/06.html 地球ドラマチック バックナンバー]
*[https://m.imdb.com/title/tt0469006/?ref_=m_ttfc_tt Sea Monsters: A Walking with Dinosaurs Trilogy] (IMDb)
* [[:en:Sea Monsters (TV series)|Sea Monsters (TV series)]](英ウィキ)

*[https://m.imdb.com/title/tt0469006/?ref_=m_ttfc_tt| Sea Monsters (TV series)] (IMDb)
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[[Category:恐竜を題材とした作品]]
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[[Category:古生物を題材とした作品]]
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[[Category:2003年のテレビ]]

[[pl:Wędrówki z dinozaurami#Powrót dinozaurów: Potwory na fali]]

2021年3月22日 (月) 15:17時点における版

続 タイムスリップ! 恐竜時代 古代の海へ
Sea Monsters
ジャンル SF /ドキュメンタリー
出演者 ナイジェル・マーヴェン
ナレーター イギリスの旗 ヘレン・レイナー英語版
日本の旗 渡辺徹
音楽 ベン・バートレット英語版[1]
国・地域 イギリス
言語 英語
シーズン数 1
話数 3
製作
エグゼクティブ・プロデューサー ティム・ヘインズ[1]
アダム・ケンプ英語版[1]
プロデューサー ジャスパー・ジェームズ英語版[1]
編集 アンドリュー・ウィルクス[1]
放送局イギリスの旗 BBC One
日本の旗 NHK教育
放送期間イギリスの旗 2003年11月9日 - 11月23日
日本の旗 2004年8月5日 - 8月19日
放送枠日本の旗 NHK Eテレ地球ドラマチック』内
Walking with Dinosaurs
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続 タイムスリップ! 恐竜時代 古代の海へ』(原題:Sea Monsters)は、インポッシブル・ピクチャーズが製作し、BBCナチュラルヒストリーユニット英語版ディスカバリーチャンネルプロジーベンが共同でプロデュースした、2003年の三部作自然ドキュメンタリー番組[2]。『タイムスリップ! 恐竜時代』に続く『ウォーキングwithダイナソー〜驚異の恐竜王国』のテレビスペシャル版であり、時空を旅する動物研究者としてイギリスの野生動物プレゼンターのナイジェル・マーヴェンが「歴史上最も危険」とされる異なる7つの先史時代の海へ旅し、そこに生息する生物と遭遇して彼らを紹介する。

これまでの『ウォーキングwith』シリーズと同様に、本作でもCGIアニマトロニクスを組み合わせて過去の生物が再現されており、様々な場所での実写映像に落とし込まれている。本作の視覚効果は英国アカデミー賞テレビ部門を受賞し、またナイジェル・マーヴェンは王立テレビ協会英語版賞のプログラム・アワードにノミネートされた。マーヴェンのエネルギッシュで熱狂的なプレゼンスタイルは批評家から称賛を受けた一方、本作に野生動物プレゼンターは不要だったと考える批評家もいた。

日本では2004年8月にNHK教育地球ドラマチック』内で初放送され[3]、DVDも発売されている。ナレーションは英語版ではヘレン・レイナー英語版[4]、NHK放送版では渡辺徹[3]

登場人物

ナイジェル・マーヴェン
演:ナイジェル・マーヴェン / 声:渡辺徹
先史時代の生物を求めて様々な時代を飛び回る、動物学者で探検家。今回は恐竜よりも恐ろしい獰猛な海の生物と出会うため、危険な七つの海に向かう。
その他の乗組員
ナイジェルと共に危険な七つの海を冒険する仲間たち。

内容

全3回でオルドビス紀三畳紀デボン紀始新世古第三紀)、鮮新世新第三紀)、後期ジュラ紀後期白亜紀の海と生物を紹介する。これらのうちデボン紀と鮮新世でクリフハンガーが入り各回に分割されている[3]

  • 第7位 オルドビス紀の海

酸素濃度が低く陸上生活は不可能なオルドビス紀だが、海は生き物が数多く生息した。早速ナイジェルは魚でウミサソリを捕まえるが、ナイジェルはそのウミサソリに足を切られてしまう。地球の自転が速いため1日が短く、続きの調査は翌日に持ち越す。カメラを仕込んだ三葉虫を使ってオルソセラスの撮影に臨むが、三葉虫そのものをもぎ取られ奪われてしまう。ナイジェルは自ら海に潜り、ウミサソリの大群やオルソセラスと出会う。オルソセラスとの海中遊泳から帰ってきたナイジェルは、浜辺でウミサソリが集って産卵しているのを目撃する。ボートがウミサソリに占拠されオルドビス紀の海はバカンスに向いていないと語るが、危険な海は後6つ残っている。

  • 第6位 後期三畳紀の海

オルドビス紀と現代の中間に位置する三畳紀では、陸の恐竜や空の翼竜といった爬虫類が反映していた。ナイジェルはこの時代の海生爬虫類を見に海へ潜る。ナイジェルは息継ぎをしているノトサウルスを発見し、万一のために通電性のモリを片手にノトサウルスと戯れに行く。ノトサウルスの後に遭遇したタニストロフェウスを捕まえて遊んでいたところ、背後から現れたキンボスポンディルスがその自切された尾を捕食する。モリで対抗し、なんとかナイジェルはキンボスポンディルスを追い払った。

  • 第5位 デボン紀の海

時代は遡り、魚類の時代と謳われたデボン紀へナイジェル達は足を運ぶ。早々に甲冑魚を1匹釣り上げて餌にし、この餌を使って当時最強の甲冑魚をおびき寄せようと計画する。今回は相手が危険なので球形の檻を用意し、中に入ってダンクルオステウスの到着を待つ。奇妙なサメと出会ってテンションの上がる中、ついにダンクルオステウスがやって来る。金属製の檻が変形するほどの猛攻を受けながらも、何とか餌の魚を安全にダンクルオステウスに食べさせることに成功する。共食いや吐瀉など、現代とは全く違う魚類の習性を垣間見ることができた。

  • 第4位 古第三紀始新世の海

恐竜絶滅から数千万年後の世界は、哺乳類の時代となっていた。当時のエジプトを訪れたナイジェルは陸上でサイのような姿をした哺乳類のアルシノイテリウムと出会い、追い掛け回される。浅瀬ではアルシノイテリウムやドルドンといった哺乳類たちが優雅に泳ぎまわっていた。しかしテチス海の沖合では現代と全く姿の異なるクジラが猛威を振るっているのだった。ソナーでクジラの鳴き声を流してみると、凶暴なクジラのバシロサウルスが姿を現した。間近でその姿を見ていると、バシロサウルスはスピーカーをもぎ取って弄び、泳ぎ去って行った。

  • 第3位 新第三紀鮮新世の海

人類が誕生する400万年前。現代のホオジロザメは驚異的な捕食者だが、当時にはさらに巨大なメガロドンが生息していた。このメガロドンを観察するため、メガロドンの幼体が好んで捕食するオドベノケトプスを捜索する。幼体のメガロドンと遭遇したナイジェルはオドベノケトプスの模型を製作して泳がせ、メガロドンの狩りの手法を撮影するのに成功した。いよいよ成体を相手にするため、魚の血肉や脂を混ぜ込んで巨大な餌を作り上げる。餌で成体をおびき寄せてカメラを背中に取り付け、メガロドンがクジラを襲う様子を撮影したビデオを手に入れた。

  • 第2位 ジュラ紀の海

恐竜が大型化した時代、海中では巨大魚リードシクティスが遊泳していた。リードシクティスは群れで行動するが、遥かに体の小さいヒボドゥスやメトリオリンクスが弱って群れから遅れたリードシクティスの個体を捕食していく。一方で、ナイジェルの求める大物は夜行性の生物だった。リオプレウロドンは鋭い嗅覚を持つため、ナイジェルは臭いを放つスーツに身を包んでジュラ紀の夜の海へ潜る。ナイジェルが海で見たものは、リードシクティスの巨体を貪るリオプレウロドンの姿だった。間一髪でリオプレウロドンの攻撃を回避してこの時代を去るが、さらに危険な海がもう1つだけ残っている。

  • 第1位 白亜紀の海

史上最も危険な海は白亜紀にあった。最初に浜辺で遭遇した2メートルに及ぶ海鳥ヘスペロルニスは、貪欲なシファクティヌスにあっさりと飲み込まれた。危険ゆえに今回は海に潜らないと決めたナイジェルは、遠隔カメラを使ってエラスモサウルスの群れを観察する。しかし、カメラに映ったアーケロンを見て我慢が出来なくなり、ナイジェルはアーケロンと海中遊泳に出る。アーケロンとの遊泳から戻ってくる途中、ナイジェル達はモササウルスの家族連れから攻撃を受け散り散りになる。命からがら戻ってきたナイジェル達だったが、その翌日の明け方には、モササウルスの大群が船を取り囲んでいるのだった。

登場する野生動物

太字の生き物は危険性が高い生物として紹介されている。

装備

酸素ボンベ
オルドビス紀で使用。オルドビス紀は植物が地上に進出していないので空気中に酸素がほとんどなく、海中用だけではなく陸上用の酸素ボンベも必要である。
保護スーツ
オルドビス紀で使用。本来はサメから身を守るための保護スーツだが、オルドビス紀ではウミサソリからの保護に使用した。
モリ
三畳紀で使用。通電性で、電気ショックを与えることで相手を退却させる。
ナイジェルとカメラマンの入る球形で金属製の檻。
デボン紀で制作されて初投入されたが、ダンクルオステウスの攻撃を受けて変形した。メガロドンへカメラを設置する際には修復されていたか、もしくは別の檻を用意していた。
スピーカー
古第三紀にて、クジラの声を流してバシロサウルスを呼び出すために使用。苛立ったバシロサウルスにもぎ取られていった。
装着型カメラ
新第三紀で使用。動物の肉体に装着するカメラで、装着から3日経つと自然と外れて海面に浮き上がる。メガロドンの成体に対して使用した。
臭いを発するスーツ
ジュラ紀で使用。リオプレウロドンの鋭い嗅覚を逆に利用したスーツで、防衛のために用いる。悪臭のする薬品を仕込んでおき、危険が迫った際にはバルブを開いて薬品を相手に浴びせる。
遠隔操作カメラ
白亜紀で使用。エラスモサウルスの群れを様子やモササウルスにナイジェルが襲われたシーンを映していた。
レーダー
船に接近した生物を探知する。ラストで大量のモササウルスがレーダーに表されたところで物語は幕を閉じる。

製作

『続 タイムスリップ! 恐竜時代 古代の海へ』は『ウォーキングwithダイナソー』(1999年)や『ウォーキングwithビースト』(2001年)と同じくインポッシブル・ピクチャーズが製作した[5]。劇中の生物や自然環境の再現には以前のシリーズと同じ技術が用いられており[6]、CGIとアニマトロニクスが生物に使用され、背景は実際の自然環境の中で撮影された[7]。撮影期間は7か月以上を超えた[8]。ロケ地にはニュージーランドの海[9]エジプト紅海の海岸が採用された[10]

タイムスリップ! 恐竜時代』に続き[11]、ナイジェル・マーヴェンは同作のプロデューサーであるジャスパー・ジェームズ英語版からアプローチされた。マーヴェンはサメに関して情熱を持ち、かつ現生種で最大のサメと共に泳いだ経験が既にあった。このことからジェームズは、マーヴェン自身が地球史上の危険な海に潜って全ての時代の最大のサメを含め他の様々な先史時代の海洋生物と泳ぐ、タイムトラベル番組を思いついた。マーヴェンはこのプロジェクトに熱意を示し、関連書籍において「喉から手が出るようだ」と形容している[注 1][12]

また過去のシリーズと同様に、本作の特殊効果は Crawley Creatures[13]、視覚効果はフレームストアが担当した。フレームストアはシリーズに登場する19種類の生物を製作するのに1年以上を費やした。過去シリーズに携わった経験からフレームストアの製作陣は使用するテクニックを既に習得しており、結果として製作過程を効率化し、それぞれの生物の製作により多くの時間を費やせるようになった。過去シリーズではCGIを使った生物のレンダリング時間は通常一晩程度であったが、本作でメガロドンがサメ用ケージ (enの横を通過する際の1ショットには2週間を要した[8]

合計して、シリーズ製作には1年半を要した[2]。製作費はBBCニュースによると300万ポンド[11]デア・シュピーゲルによると800万ユーロ(約530万ポンド)であった[2]。2003年7月末にBBCは洗練されたCGIを使った先史時代の海棲動物が登場する『ウォーキングwithダイナソー』の水中版として本作を告知した[14]

ジェームズによると、本作に登場する生物は可能な限り多くの情報源に基づいて復元されており、製作陣は古生物学者や動物学者とコンタクトを取って可能な限り正確な動物を再現した[11]。例としてオルドビス紀でマーヴェンが遭遇したウミサソリブリストル大学の古生物学者サイモン・ブラッディの見解に基づいて製作された。ブラッディによると、ウミサソリの最初のモデルは彼曰く「断じて非常に良いものではなかった」が、彼の指示に従った改良版は「丁度良い」ものであったという。ウミサソリが砂浜に集まっている描写については、脱皮交尾のため浜辺にウミサソリが集まっていたとする現在の仮説に合致すると主張した[11]

放送

イギリスではBBC Oneにて[11]2003年11月9日から3週連続で放送された[15]。日本ではNHK教育地球ドラマチック』枠にて2004年8月5日から3週連続で放送され[3]、2005年1月2日には75分スペシャルとして3話を一括に纏めて再放送された[16]

評価

レビュー

The Spectator (enサイモン・ホガート英語版は本作を称賛し、「素晴らしい」と形容した。ホガートは特にプレゼンターとしてのマーヴェンの仕事を称え、「より怖ろしいコンピューターシミュレーションを見つけに陽気に船外へ漏れ出すジェイミー・オリヴァーの少年らしい熱意がある」と評価し、「彼自身がコンピューターシミュレーションなのかもしれない」と主張した。彼が唯一感じた欠点はナレーションであった[17]

タイムズ紙のポール・ホガート英語版は否定的にレビューした。 彼は過去の『ウォーキングwith』シリーズのボイスオーバーに疑念を抱きながらも「素晴らしい」「ひどく楽しめる」と評価したが、本作については生物を怖れるナイジェル・マーヴェンに焦点が当たりすぎていて、かつ生物の出番が短すぎると主張した。また彼はシリーズにプレゼンターを導入したことにも否定的であり、『ケイブマン 遥かなる人類の旅英語版』(2003年)と共に批判した[18]

受賞

2004年に本作は英国アカデミー賞テレビ部門で視覚効果賞を受賞し[5]、また視覚効果協会賞のテレビ部門にもノミネートされた[19][20]。ナイジェル・マーヴェンは前作『タイムスリップ! 恐竜時代』と本作で王立テレビ協会英語版のプレゼンター (factual) 部門にノミネートされた[21]

プレゼンターの存在

ナイジェル・マーヴェン

進化動物学者のリチャード・ドーキンスはナレーションだけでなくプレゼンターを導入したことを批判し、ナイジェル・マーヴェンの番組を無価値だと主張した。さらに彼は「動物自体の光景を楽しめないほど民衆を馬鹿だと考えているかのようだ」「視聴者は個人的な逸話という砂糖で錠剤をコーティングしなければ科学に対応できないと、彼らに尋ねもせずにテレビ関係者が決めつけるのは、少なくとも恩着せがましいし見下しているのではないか」と論じた。一方、製作陣の一人であるジャスパー・ジェームズは本作が視聴者を見下しているとは考えておらず、「何かを学びながら番組のドラマを楽しむことができるなら素晴らしいことだ」と述べている[11]

研究者のヴィンセント・キャンベルは2008年、『ウォーキングwithダイナソー』でティラノサウルスが吠えた際にカメラに唾液が掛かったような、動物がカメラに影響するような演出の発展型が本作と『タイムスリップ! 恐竜時代』におけるプレゼンターの登場であると解釈した。彼は先史時代の動物をテーマとしたプレゼンター主導の番組が登場したのは、先史時代の動物を「映画の怪物」として描写しながらもそれを自然ドキュメンタリーの文脈に取り込んだものであると主張した。また自然ドキュメンタリーに野生動物プレゼンターが登場することのメリットは本作以外にも波及する広いトピックであるともコメントした[22]。ナイジェル・マーヴェンやスティーブ・アーウィンといったプレゼンターが行う、動物を素手で触れるようなオーソドックスでないエネルギッシュなプレゼンスタイルは、現在の野生動物のドキュメンタリーにおいても議論を呼んでいる点である[23]。2016年にキャンベルは自身の評価に手を加え、以前のシリーズでカメラが動物に影響を受けていた描写はシリーズにリアリティをもたらしたと主張し、マーヴェンが動物と触れ合うシーンはアーウィン型のプレゼンター主導の自然史映像に合うように構成されていると述べた[24]

過去のシリーズと同様に、本作がドラマやエンターテイメントのために科学的正確さを犠牲にしていると懸念する科学者もいた。劇中に登場する様々な生物の行動は推測・推論であるが、劇中でそれが事実か否かは明言されていない。ドーキンスはナイジェル・マーヴェンの過去の番組では事実と推測の区別が視聴者に示されていないと指摘した。なおそれに対し、劇中の説明は全て根拠のあるものであるとジェームズは主張した[11]

影響

古生物学者は本作がキャリアにインスピレーションを与えるものであると見なしている。ジャック・A・クーパーはメガロドンの体サイズを調査して2020年に論文を発表し[25]、古生物学のキャリアを追求し太古のサメを研究するきっかけとして本作をにおけるメガロドンの登場を挙げた。クーパーは番組放送当時6歳であり、怖がりかつ内容に魅了された一人であった[26]。論文の発表後、ナイジェル・マーヴェンは彼にTwitter上で賛辞の言葉を送った[27]

他媒体

書籍

ジャスパー・ジェームズとナイジェル・マーヴェンは本作の関連書籍として Sea Monsters: Prehistoric Predators of the Deep を共同執筆した。同書はビッグバンの説明で始まり、それからオルドビス紀から鮮新世までの「史上最も危険な七つの海」を取り上げている。それぞれの章では登場生物がレンダリングされており、サイドバーで名前の発音方法や分類・大きさ・食性の解説がなされている[28]

The Science Teacherでのレビューで LaRue Sellers は同書を称賛し、TV版に基づいているにも拘わらず「各地質時代の海の捕食動物についての傑出した情報源として成立している」と綴った。Sellersは本書を高校教師に強く勧め、「生徒も情報源として同書を活用し、素晴らしいイラストに間違いなく魅了されることだろう」としてレビューを締め括った[28]Publishers Weekly (Publishers Weeklyのレビューでは、同書は「もし幾分精巧でないとしても魅力的だ」とされ、大きさや歯といった古生物の「テレビ映えする」側面に焦点が多く当てられていると評価された。また生物史の変遷について詳細に綴られていることも指摘され、「センセーショナルで派手なグラフィックとしっかりとした科学的説明が組み合わさっていて、世に出始めた古生物学者を刺激するのに十分だと判断できる」と評価された[29]

展示

本作に基づいた企画展 Sea Monsters Exhibition が2011年7月23日から9月11日までドーセットボーンマス・インターナショナル・センター英語版で開催された[6]。同展ではダイオウイカホホジロザメ[6]およびウバザメ[30]といった現生の大型海洋動物のほか、リオプレウロドンリードシクティスといった先史時代の海洋動物が展示された[6]。展示された化石動物は本作に登場したものだけでなく、カンブリア紀の捕食動物アノマロカリスなど新たな動物も加えられた[6]。現生および先史時代の生物は本作のレンダリングや写真が飾られただけでなく、Avalanche Studios が製作した実物大模型も展示され、来館者がその大きさを実感できる仕様になっていた。また同展には、来館した子どもたちが化石を掘ることのできる砂場、動物に思い思いの色を塗ることのできるペイントエリア、そして来館者が古生物の隣に立つことのできるグリーンスクリーンのコーナーもあった[30]

注釈

  1. ^ "mouthwatering prospect"

出典

  1. ^ a b c d e Sea Monsters: A Walking with Dinosaurs Trilogy (2003) Full Cast & Crew”. インターネット・ムービー・データベース. Amazon.com. 2021年3月22日閲覧。
  2. ^ a b c DOKU-FIKTION: Die letzte Ursafari” (ドイツ語). Der Spiegel (2004年). 2020年10月16日閲覧。
  3. ^ a b c d 『続 タイムスリップ! 恐竜時代 古代の海へ』 2004年8月5日~19日(3回シリーズ)”. 地球ドラマチック. NHK. 2010年10月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月22日閲覧。
  4. ^ Frontpage” (英語). Karen Hayley. 2020年10月26日閲覧。
  5. ^ a b Sea Monsters | Impossible Pictures”. impossiblepictures.co.uk. 2020年10月16日閲覧。
  6. ^ a b c d e Walley, Mike (2011年7月17日). “Countdown to Sea Monster Exhibition” (英語). Everything Dinosaur Blog. 2020年10月17日閲覧。
  7. ^ Huelsman, Eric (2000年3月1日). “Walking With Dinosaurs”. Animation World Network. http://www.awn.com/animationworld/walking-dinosaurs 2016年4月11日閲覧。 
  8. ^ a b Framestore CFC Makes Sea Monsters” (英語). Creative Planet Network (2012年2月15日). 2020年10月25日閲覧。
  9. ^ BBC's Sea Monsters - Global Film Solutions: Production Services and Risk Management”. globalfilmsolutions.com. 2020年10月17日閲覧。
  10. ^ @Nigelmarven (2019年8月9日). "Another great post! I love Trilobites, Richard Fortey has written a brilliant book on them. We filmed ( Literally Sea Monsters was shot on film not video) this scene on the shores of the Red Sea in Egypt!". X(旧Twitter)より2020年10月17日閲覧 |number=が未指定または空白です(解説
  11. ^ a b c d e f g Julianna Kettlewell (2003年11月7日). “Ancient sea monsters bite back”. BBC. 2021年3月22日閲覧。
  12. ^ Marven, Nigel; James, Jasper (2004). Chased by Sea Monsters: Prehistoric Predators of the Deep. DK社. pp. 7. ISBN 978-0756603755 
  13. ^ Films, TV & Adverts” (英語). Crawley Creatures (2019年5月24日). 2020年10月17日閲覧。
  14. ^ Burrell, Ian (2003年7月30日). “BBC looks to the past in its autumn line-up” (英語). The Independent. 2020年10月17日閲覧。
  15. ^ Sea Monsters: A Walking with Dinosaurs Trilogy (2003)”. インターネット・ムービー・データベース. Amazon.com. 2021年3月22日閲覧。
  16. ^ 地球ドラマチック スペシャル『タイムスリップ! 恐竜時代』”. 地球ドラマチック. NHK. 2006年11月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月22日閲覧。
  17. ^ Hoggart, Simon (2003年11月15日). “The Squirm Factor”. The Spectator Archive. 2020年10月17日閲覧。
  18. ^ Hoggart, Paul (2003年11月10日). “TV Review” (英語). The Times. https://www.thetimes.co.uk/article/tv-review-l69rhvrlzj3 2020年10月17日閲覧。 
  19. ^ Nominees for 2004 VES Awards Announced” (英語). Animation World Network. 2020年10月16日閲覧。
  20. ^ 2nd Annual VES Awards” (英語). VES. 2020年10月16日閲覧。
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  22. ^ Campbell, Vincent (2009-03-01). “The extinct animal show: the paleoimagery tradition and computer generated imagery in factual television programs” (英語). Public Understanding of Science 18 (2): 199–213. doi:10.1177/0963662507081246. ISSN 0963-6625. PMID 19579684. https://doi.org/10.1177/0963662507081246. 
  23. ^ Martin, Nicole (2008年6月9日). “Wildlife presenter Steve Irwin was "tiresome", says Simon King” (英語). The Telegraph. 2020年10月17日閲覧。
  24. ^ Campbell, Vincent (2016), Campbell, Vincent, ed., “Palaeontology: Monsters from Lost Worlds”, Science, Entertainment and Television Documentary (Palgrave Macmillan UK): p. 102, doi:10.1057/978-1-137-38538-3_4, ISBN 978-1-137-38538-3, https://doi.org/10.1057/978-1-137-38538-3_4 
  25. ^ Cooper, J. A.; Pimiento, C.; Ferrón, H. G.; Benton, M. J. (2020). “Body dimensions of the extinct giant shark Otodus megalodon: a 2D reconstruction”. Scientific Reports 10 (14596): 14596. doi:10.1038/s41598-020-71387-y. PMC 7471939. PMID 32883981. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7471939/. 
  26. ^ Márquez , Melissa Cristina (2020年9月10日). “Measuring Megalodon: Scientists Find Out How Large This Shark Once Was” (英語). Forbes. 2021年2月3日閲覧。
  27. ^ @Nigelmarven (2020年9月5日). "Congratulations to Jack Cooper for giving us all a better idea of the dimensions of Megalodon. The dorsal fin is as big as I am! Now I know what was behind the jaws on my house". X(旧Twitter)より2021年2月3日閲覧
  28. ^ a b Sellers, LaRue (2004). “Chased by Sea Monsters: Prehistoric Predators of the Deep”. The Science Teacher 71 (7): 85. https://search.proquest.com/openview/4d66f455d6851fa88373ee5ec04029b0/1?pq-origsite=gscholar&cbl=40590. 
  29. ^ Chased by Sea Monsters: Prehistoric Predators of the Deep”. Publishers Weekly (2003年). 2021年3月22日閲覧。
  30. ^ a b A look behind the scenes at the BIC's Sea Monsters exhibition” (英語). Bournemouth Echo. 2020年10月17日閲覧。

関連項目

外部リンク