ダイオウイカ
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| 分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | |||||||||||||||||||||||||||
| Architeuthidae Pfeffer, 1900 Architeuthis Steenstrup et Harting, 1860 |
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| シノニム | |||||||||||||||||||||||||||
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| 和名 | |||||||||||||||||||||||||||
| ダイオウイカ | |||||||||||||||||||||||||||
| 英名 | |||||||||||||||||||||||||||
| Giant Squid |
ダイオウイカ(大王烏賊、学名: Architeuthis dux)は、開眼目 (Oegopsida) ダイオウイカ科に分類される、巨大なイカの1種(もしくは1属)である。
ダイオウイカ属には複数種があるとする説もあったが、遺伝子的にはきわめて均一な同一種だと判明した[2]。
世界各地に存在する巨大な頭足類[3]の伝説「クラーケン」はダイオウイカをモデルにしているとも考えられている。
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呼称 [編集]
属名 Architeuthis は、古典ギリシア語: τευθίς (teuthis) 「イカ」に、「最高位の、最たる」を意味する接頭辞 archi-[4] を添えたもの。
和名は「大王イカ」の意。
英語では giant squid (ジャイアント・スクィッド)、中国語では 巨烏賊(拼音: jùwūzéi ; チューウーツェイ)と呼ぶ。ただし、科名は 大王烏賊科。
生物的特徴 [編集]
形態 [編集]
非常に大きなイカであり、日本での発見例は外套長1.8m、触腕を含めると6.5mにも達する。ヨーロッパで発見された個体群(かつてはタイセイヨウダイオウイカやテイオウイカに分類 )になると、特に大きなものは体長20mを超えたとも言われる。ダイオウホウズキイカとともに、世界最大級の無脊椎動物(同時に、頭足類)として知られている。直径30センチメートルにもなる巨大な目を持ち、ダイオウホウズキイカとともに、生物界で最大とされている。これによりごく僅かの光をも捉え、深海の暗闇においても視力を発揮できる。
触手の長さと胴体の大きさに比べ、胴体先端の遊泳鰭が小さく筋肉中に塩化アンモニウムを大量に含んでいることから遊泳能力はあまり無いと考えられてきたが、後述する生きた姿の撮影、特に2013年に公開されたNHKによる小笠原沖での調査映像から、深海を巧みに動く姿が撮影されている。
生態 [編集]
北アメリカやヨーロッパ付近の大西洋、ハワイ島付近、日本では小笠原諸島などの広い範囲で発見例があるものの、深海に棲息するため、全体としては発見数が少なく、台風によって浜辺に打ち上げられたり、死骸が漂着するなどの発見例が大半である。このため、生きている個体の目撃例はほとんどなく、その生きている映像は、日本の研究家が2006年(平成18年)12月に小笠原沖650M付近に仕掛けた深海たて縄で捕獲したダイオウイカを船上から撮影したものが世界初とされる。この際の映像での体色は赤褐色だったが、2013年に公開された小笠原沖での深海映像では活発に活動する状態で他のイカと同様に体色も変化する為、光を反射する黄金色の体色であった。なお標本や死んで打ち上げられた個体は、表皮が剥がれ落ち、白く変色する。ダイオウイカについては、まだまだ生態、個体差ともに不明な点が多く、詳細は今後の研究が待たれる状態である。
天敵はマッコウクジラであると考えられている。その理由としてマッコウクジラの胃の内容物から本種の痕跡が多く発見されることと、頭部の皮膚に吸盤の跡やその爪により引き裂かれた傷が残っていることが挙げられる。ダイオウイカの吸盤には鋸状の硬い歯が円形をなして備えられており、獲物を捕獲する際にはこれを相手の体に食い込ませることで強く絡みつくと考えられている[5]。また、弱った個体や死骸がサメやシャチ等、他の肉食生物の餌にされたり、幼体時の浮遊期にも稚イカが多くの生物の餌になっていると考えられている。なお、ダイオウイカの卵はクリーム色もしくは白色をしており、およそ1mm程度である。
ニュージーランド近海での調査からは、ダイオウイカが捕食する獲物は、オレンジラフィーやホキといった魚や、アカイカ、深海棲のイカなどであることが、胃の内容物などから明らかにされている[6][7]。
分類 [編集]
属のシノニム [編集]
- Architeuthus Steenstrup, 1857
- Dinoteuthis More, 1875
- Dubioteuthis Joubin, 1900
- Megaloteuthis Kent, 1874
- Megateuthis Hilgendorf in Carus, 1880
- Megateuthus Hilgendorf, 1880
- Mouchezis Vélain, 1877
- Plectoteuthis Owen, 1881
- Steenstrupia Kirk, 1882
種のシノニム [編集]
これまでダイオウイカ属には21種が記載されてきた[2]。ダイオウイカを単一種とする場合、これらは全てシノニムとなる。従来、これらを8種とする説、1種の3亜種とする説などがあった[2]。
以下の分類が提起されている。しかし、オーストラリア、スペイン、アメリカ合衆国フロリダ州、ニュージーランド、日本の海域で発見された43体のダイオウイカをDNA解析した結果、DNAの特徴の差があまりにも小さかった事から、ダイオウイカ属にはただ1種しか存在しないとの説もある[8]。
以下に、8種とする説を記載する。ただし、Architeuthis dux 以外は近縁な別属とする説もあった。表記内容は、左から順に、学名、仮名転写、英語名(名が存在する種のみ)、特記事項。
- Architeuthis dux Steenstrup, 1857 アルキテウティス・デュクス Atlantic Giant Squid :模式種。
- ? Architeuthis hartingii Verrill, 1875 アルキテウティス・ハルティヌギイ
- ? Architeuthis japonica Pfeffer, 1912 アルキテウティス・ヤポニカ(ジャポニカ)日本由来種。
- ? Architeuthis kirkii Robson, 1887 アルキテウティス・キルキイ
- ? Architeuthis martensi (Hilgendorf, 1880) アルキテウティス・マルテンシ North Pacific Giant Squid
- ? Architeuthis physeteris (Joubin, 1900) アルキテウティス・フィセテリス
- ? Architeuthis sanctipauli (Vélain, 1877) アルキテウティス・サンクティパウリ Southern Giant Squid :セントポール島 (en) 由来種。cf. fr. ■テンプレート上(下)に1つ、右列に1つ、画像あり。
- ? Architeuthis stockii (Kirk, 1882) アルキテウティス・ストクキイ(ストッキイ)
研究史 [編集]
ニュース [編集]
- 国立科学博物館の窪寺恒己らが史上初めて生きているダイオウイカの写真撮影に成功[10]。2005年(平成17年)9月27日、学術誌『the Royal Society』のウェブサイトで論文と写真が公開される[10]。
- 2006年(平成18年)12月4日、同じく窪寺とNHKの調査チームにより、生きているダイオウイカが小笠原において捕獲された。その際、漏斗から海水を勢いよく噴き出して強い推進力を得ることが映像によって確認され、「深海をゆっくり移動して生活している」とする従来の説が否定された。
- 2007年(平成19年)7月10日、タスマニア島西岸の港町ストローン (Strahan Village) 近郊のオーシャンビーチに打ち上げられた。
- 2008年(平成20年)7月28日、国立科学博物館新宿分室にて、窪寺の監督の下、インターナショナル魚拓香房の山本龍香会長および会員が、ホルマリン保存されていたダイオウイカを水槽から出して間接法によるカラー魚拓を制作した。触腕と触手を伸ばした構図で、ダイオウイカが元気に水中を泳いでいる姿を色鮮やかに魚拓として完成させることに成功した。実物大のダイオウイカが生前の体色で詳細に再現された貴重な魚拓である。この魚拓作品は2枚制作され、1枚は科学博物館に教育用資料として活用されるべく贈呈された。制作状況はNHKテレビ番組『熱中時間』で取材され、2008年10月9日にNHK衛星第2放送にてドキュメンタリーとして紹介された。
- 2010年(平成22年)2月20日、日本の新潟市西区五十嵐一の町の海岸で、腕を含め全長3.4m、体重109.2kgのダイオウイカの死骸が漂着した。
- 2013年(平成25年)1月6日、窪寺らが小笠原諸島父島の東沖の深海で生きているダイオウイカの動画の撮影に世界で初めて成功したと発表。同年1月13日放送の『NHKスペシャル』「「世界初撮影!深海の超巨大イカ」」の回にて撮影の様子が紹介され、16.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)の高視聴率を記録している。
食用 [編集]
本種やダイオウホウズキイカのような巨大なイカ類の体組織には浮力を得るための塩化アンモニウムが大量に含まれている。そのため、これらのイカの身の味には独特のえぐみがあり、食用には適さないとされている。
過去の日本のニュース番組では、捕獲したダイオウイカを漁師が刺身にして食べる場面が放映されたこともあるが、食後の感想は「しょっぱくて食えた代物ではない」との否定的なものであった。また、国立科学博物館の窪寺恒己の証言によると「食えないことはない。だが、体を浮かせるために、水より比重が軽いアンモニアの入った袋が体内にあるため、アンモニア臭がある」とのことである[11]。
ただし、本種と同様に塩化アンモニウムを含む魚介類(他の大型イカなど)の加工技術を応用することで食された例もあり、近年では主に南アメリカ諸国が輸出のための本格的な食用化研究を進めている。
画像 [編集]
写真 [編集]
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ニューファンドランド島にてモーセ・ハーヴェイによって捕獲されたダイオウイカ(1873年)
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ダイオウイカのキチン質に覆われた嘴
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ノルウェーで1896年に発見された死骸
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ノルウェーで1954年に発見された死骸
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ダイオウイカの液浸標本。国立科学博物館の展示。
絵 [編集]
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海底二万哩でのダイオウイカ
模型 [編集]
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伝説的なマッコウクジラとダイオウイカの戦闘の模型(アメリカ自然史博物館)
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ダイオウイカの実物大レプリカ。国立科学博物館の展示。
脚注 [編集]
- ^ アメリカ北東部海岸で確保されたダイオウイカと思われる巨大なイカを、アメリカ人動物学者アディソン・エメリー・ヴァレル (en) が描き写したもの。
- ^ a b c Winkelmann, Inger; et al. (2013), “Mitochondrial genome diversity and population structure of the giant squid Architeuthis: genetics sheds new light on one of the most enigmatic marine species”, Proc Roy Soc B 280
- ^ クラーケンと対比されるのは主として頭足類であるが、おおよそイカ類に限定され始めるのは近代以降である。
- ^ 古典ギリシア語: ἀρχός 「主導者、首長」に由来する。英語: archangel 「大天使」に見られる arch- と同じもの。
- ^ しかし、マッコウクジラはこの吸盤をも構わず丸呑みしていると考えられる。
- ^ K. S. BOLSTAD and S. O'SHEA (2004). “Gut contents of a giant squid Architeuthis dux (Cephalopoda: Oegopsida) from New Zealand waters”. New Zealand Journal of Zoology 31 (1). doi:10.1080/03014223.2004.9518354.
- ^ 2013年の映像では大型のソデイカ(1メートル前後)を餌にして誘き寄せた。
- ^ “世界の深海に住む巨大イカ、全て同一種か DNA解析で判明”. AFPBB News. (2013年3月18日) 2013年3月18日閲覧。
- ^ Henry, Lee (2007-04-30) [1884] (en). Sea Monsters Unmasked. Coachwhip Publications. ISBN 978-1-9305-8537-9.
- ^ a b “[祝!ダイオウイカ動画撮影成功]日本人が世界で初めて撮った「モンスター」─この手に“The First”の称号を〜世界を驚かせる日本人科学者たち”. 技術評論社 (2013年1月16日). 2013年1月18日閲覧。
- ^ 窪寺恒己の証言は、NHK総合テレビ 『爆笑問題のニッポンの教養』 2008年12月9日放送回に基づく。