新型FFM
新型FFM | |
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三菱重工案イメージCG | |
基本情報 | |
艦種 | 多機能護衛艦(FFM) |
運用者 | 海上自衛隊 |
建造期間 | 2025年 - |
就役期間 | 2028年以降(予定) |
計画数 | 10隻→12隻 |
建造数 | 0隻(2024年1月現在) |
前級 | もがみ型 |
次級 | 最新 |
要目 | |
基準排水量 | 4,880トン前後 |
満載排水量 | 6,200トン |
全長 | 約142m |
最大幅 | 約17 m |
機関方式 | CODAG方式 |
主機 |
|
推進器 | スクリュープロペラ×2軸 |
最大速力 | 30ノット以上 |
兵装 | |
搭載機 |
哨戒ヘリコプター または飛翔型センサ×1機 |
新型FFM(しんがたFFM、英語: New FFM)は、日本の海上自衛隊が計画している護衛艦。当初22隻の建造が計画されていたもがみ型護衛艦が12隻のみの建造となったため、その代案として10隻の建造が予定されていたが[1]、のちに建造予定数が増やされ[2]、現時点では2024年度からの5年間で計12隻が調達される計画となっている[3]。
来歴
[編集]海上自衛隊は、平成30年(2018年)度計画よりもがみ型護衛艦(30FFM)の建造を開始した[4]。これは護衛隊群に属さない「10番台護衛隊」所属のDD・DEが受け持っていた近海域での各種戦任務に加えて対機雷戦をも引き受けることを狙った新型艦であり、当初計画では22隻を建造して、「10番台護衛隊」所属のDD×8隻とDE×6隻、更に掃海隊群所属の掃海艦艇8隻を置き換える事になっていた[4]。
しかし2023年1月25日、防衛装備庁は「『新型FFMに係る企画提案契約』の参加希望者募集要領」を公示し、令和6年(2024年)度以降の建造分は新型艦に移行することとなった[5][6]。これが本型であり、同年3月31日ジャパン マリンユナイテッドおよび三菱重工業と企画提案契約を締結した。その後、6月15日、各社から企画提案書を受領し、8月25日、本級に係る調達の相手方を決定し[7]、主契約者:三菱重工業、下請負者:ジャパン マリンユナイテッドとなった。 同年8月31日、2024年度計画艦からは新型FFMが計12隻建造されることになり、来年度予算では2隻の建造に1,747億円を要求した[8]。1、2番艦の就役は2028年を予定している[9]。
もがみ型FFMは年2隻の建造ペースだが、新型FFMはそれよりもピッチを上げ、2024年度から2028年度までのわずか5年間で計12隻が調達される予定[10]。
設計
[編集]船体
[編集]もがみ型と比べて、基準排水量にして3,900トンから4,880トンへと大型化している[11]。船体はステルス性を持ち、幅、長さ共にもがみ型より一回り大型になっている。また、前級のもがみ型では顕著な船尾シアが付されていたが本型では廃されている[12]。さらに、イメージ画像を見る限りでは艦橋構造がもがみ型より大きく変化している[13]。
機関
[編集]ガスタービンエンジン1基、ディーゼルエンジン2基のCODAG方式が採用予定。最大速力は30ノット以上になるとされている。
推進器はもがみ型と同じく、従来どおりのスクリュープロペラで2軸装備とされている。
装備
[編集]C4ISRシステム
[編集]下記のように23式艦対空誘導弾の搭載を予定していることから、多機能レーダーにミサイル誘導用のイルミネーターを加えるとともに、日本版NIFC-CAと評されるFCネットワークも搭載する予定である[11]。ただし多機能レーダーは元来が個艦防空レベルのOPY-2をベースとすることから、将来的には能力向上の必要性が指摘されている[11]。
船体装備ソナーとしては、探信儀と機雷探知機を兼ねる多機能ソナーを採用する予定である[11]。
武器システム
[編集]装備面で最大の変更点が、艦対空ミサイルとして23式艦対空誘導弾(A-SAM)、またスタンド・オフ・ミサイルとして12式地対艦誘導弾能力向上型の搭載を予定している点である[11]。A-SAMは、対潜ミサイルである07式垂直発射魚雷投射ロケット(07VLA)とともに、艦首甲板の32セルのVLS(垂直発射システム)に収容される[11]。
それ以外の装備品はおおむねもがみ型のものを踏襲する予定である[11]。
比較
[編集]新型FFM | もがみ型 | 054A型 | C・ベルガミーニ級 | A・ゴルシコフ級 | 31型 | ||
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船体 | 満載排水量 | 6,200 t | 5,500 t | 4,050 t | 5,950 t | 5,400 t | 5,700 t |
全長 | 142.0 m | 133.0 m | 134.0 m | 142.0 m | 135.0 m | 138.7m | |
全幅 | 17.4 m | 16.3 m | 15.0 m | 19.4 m | 16.0 m | 未公表 | |
主機 | 方式 | CODAG | CODAD | CODLAG | CODAG | CODAD | |
出力 | 不明 | 70,000 ps | 28,200 ps | 43,500 shp | 55,000 ps | 未公表 | |
速力 | 30 kt | 27 kt | 27 kt | 29-30 kt | 28 kt | ||
兵装 | 砲熕 | 62口径5インチ単装砲×1基 | 60口径76mm単装砲×1基 | 64口径127mm単装砲×1基[注 1] | 70口径130mm単装砲×1基 | 70口径57mm単装砲×1基 | |
62口径76mm単装砲×1基 | 70口径40mm機関砲×1基 | ||||||
不明 | 水上艦艇用機関銃架×2基 | 1130型CIWS×2基 | 80口径25mm単装機銃×2基 | パラシ CIWS×2基 | 7.62mm機関銃×8挺 | ||
ミサイル | Mk.41 VLS×32セル | Mk.41 VLS×16セル[注 2] (07式[14]) |
VLS×32セル (HQ-16 / CY-3) |
シルヴァーA50 VLS×16セル (アスター15/30) |
3K96 VLS×32セル (9M96E2-1/E、9M110) |
VLS×24セル (シーセプター) | |
SeaRAM 11連装発射機×1基 | |||||||
17式 4連装発射筒×2基 | YJ-83 4連装発射筒×2基 | テセオ 4連装発射筒×4基[注 3] | UKSK VLS×16セル (P-800、カリブルNK) |
Mk.41 VLS[注 4] (SLCM・SSM) | |||
水雷 | 324mm3連装短魚雷発射管×2基 | 4連装短魚雷発射管×2基 | ― | ||||
艦載機 | SH-60K×1機 | Z-9C / Ka-28×1機 | NFH90×1機 | Ka-27×1機 | AW159 / AW101×1機 | ||
同型艦数 | 12隻予定 | 6隻/12隻予定 (3隻艤装中、1隻建造中) |
35隻/50隻予定 (5隻艤装中) |
12隻予定[注 5] (2隻艤装中) |
2隻 / 15隻予定 (1隻艤装中、5隻建造中) |
10隻予定 (4隻建造中) |
輸出
[編集]防衛装備庁と三菱重工業は2023年11月7日から9日まで、オーストラリアのICYシドニーで開催された海洋防衛の総合イベント「INDO PACIFIC 2023」にて、新型水上戦闘艦「FFM-AAW」の模型展示を行った。この「FFM-AAW」は本級の派生型であるとも言われる[15]。
2024年2月21日、オーストラリア国防省が発表した海軍再編計画でアンザック級フリゲートの後継として検討候補の一つに日本のもがみ型護衛艦が入っている。その他の候補はドイツのMEKO A-200型フリゲート、スペインのAlfa3000、韓国の大邱級フリゲートBatchIIもしくはBatchIIIである[16]。
同年5月7日、政府がオーストラリア海軍が導入を計画する新型艦の入札に参加する方向で検討に入ったと複数の関係者が明かした。FFM型護衛艦をベースにした共同開発を想定している。殺傷能力が高い護衛艦の輸出が決まれば異例だが、上記のような他国艦と競合する可能性があり、受注するかどうかは不透明である[17]。
同型艦
[編集]一覧表
[編集]艦番号 | 艦名 | 建造 | 起工 | 進水 | 就役 | 所属 |
---|---|---|---|---|---|---|
FFM-13 | 令和6年度計画艦 (06FFM) |
三菱重工業 | 2025年度予定 (令和7年度) |
未定 | 2028年度予定 (令和10年度) |
未定 |
FFM-14 | 令和6年度計画艦 (06FFM) |
ジャパン マリンユナイテッド | 2025年度予定 (令和7年度) |
未定 | 2028年度予定 (令和10年度) |
未定 |
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “防衛装備庁、新型FFM建造に関する企画提案を三菱重工業とジャパンマリンユナイテッドの2社と契約(高橋浩祐) - エキスパート”. Yahoo!ニュース. 2023年8月26日閲覧。
- ^ “海自新型FFMは12隻を建造へ 2024年度防衛予算概算要求の主な注目点(高橋浩祐) - エキスパート”. Yahoo!ニュース. 2023年9月1日閲覧。
- ^ “海自新型FFMは2024年度からわずか5年間で12隻を調達へ 防衛装備庁が明かす”. 高橋浩祐. Yahoo!ニュース. 2023年11月3日閲覧。
- ^ a b 石井 2024a.
- ^ 「新型FFMの企画提案を公募」『世界の艦船』2023年2月24日。
- ^ 「新型FFMに係る企画提案契約」の参加希望者募集要領(防衛装備庁公示第141号 5.1.25)
- ^ 新型FFM(護衛艦)に係る調達の相手方の決定について2023年8月25日、防衛装備庁。2023年8月27日閲覧。
- ^ 高橋浩祐 (2023年8月31日). “海自新型FFMは12隻を建造へ 2024年度防衛予算概算要求の主な注目点”. Yahoo!ニュース. 2023年8月31日閲覧。
- ^ “もがみ型とどう違う? 海自「次世代護衛艦」の全貌 ひと回り大型化で「何でも屋」に割り切り?”. 乗りものニュース (2023年10月9日). 2023年10月18日閲覧。
- ^ 高橋浩祐 (2023年11月2日). “海自新型FFMは2024年度からわずか5年間で12隻を調達へ 防衛装備庁が明かす”. Yahoo!ニュース. 2023年11月3日閲覧。
- ^ a b c d e f g 石井 2024b.
- ^ Luck, Alex (2023年11月10日). “Japan's MHI shows 'New FFM' Frigate at Indopacific 2023” (英語). Naval News. 2023年11月11日閲覧。
- ^ “新型FFM(護衛艦)の主契約企業は三菱重工に決定(JSF) - エキスパート”. Yahoo!ニュース. 2023年11月23日閲覧。
- ^ “見えてきた「もがみ型護衛艦の“次”」=売る気満々!? 海自新型FFMの“ファミリー構想”とは?”. 乗りものニュース (2023年11月22日). 2023年12月4日閲覧。
- ^ “見えてきた「もがみ型護衛艦の“次”」=売る気満々!? 海自新型FFMの“ファミリー構想”とは?”. 乗りものニュース (2023年11月22日). 2023年11月22日閲覧。
- ^ “オーストラリア海軍の再編計画、汎用フリゲートの検討候補にもがみ型が浮上”. grandfleet.info (2024年2月21日). 2024年2月21日閲覧。
- ^ “豪海軍新型艦の入札参加を検討 海自護衛艦ベースで共同開発:東京新聞 TOKYO Web”. 東京新聞 TOKYO Web. 2024年5月12日閲覧。
参考文献
[編集]- 石井幸祐「新型FFM」『世界の艦船』第1009号、海人社、134-139頁、2024年1月 (2024a)。CRID 1520579830868876288。
- 石井幸祐「護衛艦 (特集 10年後の海上自衛隊)」『世界の艦船』第1013号、海人社、78-85頁、2024年3月 (2024b)。CRID 1520017611557244032。
関連項目
[編集]- もがみ型護衛艦
- イージス・システム搭載艦 / 1,900トン型哨戒艦 / 14,500トン型補給艦 本型とほぼ同時期に計画された艦。
- フリゲート