ホセ・イグレシアス

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ホセ・イグレシアス
Jose Iglesias
ニューヨーク・メッツ(マイナー)
ボルチモア・オリオールズ時代
(2020年8月8日)
基本情報
国籍ドミニカ共和国の旗 ドミニカ共和国亡命
出身地  キューバ
ハバナ
生年月日 (1990-01-05) 1990年1月5日(34歳)
身長
体重
5' 11" =約180.3 cm
185 lb =約83.9 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 遊撃手
プロ入り 2009年 アマチュアFA
初出場 2011年5月8日 
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

ホセ・アントニオ・イグレシアス・アレマンJosé Antonio Iglesias Alemán, 1990年1月5日 - )は、キューバハバナ出身のプロ野球選手遊撃手)。右投右打。MLBニューヨーク・メッツ傘下所属。愛称はカンデリータCandelita[1]

経歴[編集]

キューバ時代 - 亡命[編集]

キューバでは国内リーグ"セリエ・ナシオナル・デ・ベイスボル"のバケーロス・デ・ラ・アバナに所属していた。

2008年7月、第23回AAA世界野球選手権大会のジュニアナショナルチーム代表の一員としてカナダエドモントンに滞在中に投手のノエル・アルゲレスと共に亡命した。

その後、ドミニカ共和国で居住権を確立した。

レッドソックス時代[編集]

2009年9月30日にMLBボストン・レッドソックスと4年総額825万ドルの契約を結び[2]、入団した。

2010年はシーズン途中で傘下のマイナーリーグAA級ポートランド・シードッグスに昇格し、トータルでの打率は.295を記録。オフにはベースボール・アメリカ誌の有望株ランキングにおいて、ケイシー・ケリーに次いでチーム2位、マイナーリーグ全体では52位の評価を受けた[3]

2011年5月8日に故障者リスト入りしたマルコ・スクータロの代役としてメジャーに初昇格し[4]、代走や守備固めを中心に10試合に出場した。

2012年は8月25日にマイク・アビレスのバックアップ要員として昇格し、以後は多くの試合に先発出場した。

2013年は開幕から6試合に出場して打率.450を残したが、シーズンオフにオークランド・アスレチックスから移籍してきたスティーブン・ドリューが故障者リストから復帰したためにAAA級ポータケット・レッドソックスへ降格した[5]。5月24日に正三塁手ウィル・ミドルブルックスの腰痛による15日間の故障者リスト入りに伴い、再昇格を果たした[6][7]。再昇格後は主に正三塁手として起用され、6月は月間打率.395を記録して月間新人賞を受賞するほどの打撃好調ぶりを発揮。出番が少なくなったミドルブルックスは6月25日にAAA級ポータケットに降格した[8]。7月に入ると調子を落としたが、前半戦を打率.367で折り返した。奇しくも直後にデトロイト・タイガースへのトレードが決定し、2013年のアメリカンリーグチャンピオンシップシリーズでは古巣レッドソックスと対戦することになる。

タイガース時代[編集]

2013年7月30日にデトロイト・タイガースブライアン・ビヤレアルアビサイル・ガルシアシカゴ・ホワイトソックスジェイク・ピービーらとの三角トレードが成立し、タイガースへ移籍した[9]。8月5日にタイガースの正遊撃手、ジョニー・ペラルタバイオジェネシス・スキャンダルに関連して50試合の出場停止処分を受ける事が決まり[10][11]、イグレシアスが離脱期間中の穴埋めを担当した。

2014年1月8日にタイガースと1年契約で合意した[12]。3月30日に脛の疲労骨折で、60日間の故障者リスト入りした。この故障の影響で、2014年はメジャーで試合に出場しなかった。

デトロイト・タイガース時代
(2015年7月30日)

2015年はメジャーに復帰し、タイガースで遊撃のレギュラーとして起用された。この年は初めてオールスターに選出された。好調を維持し、120試合で打率.300を記録した。走塁面では、自身初の2桁盗塁となる11盗塁を決めたが、成功率は58%と低かった。遊撃の守備は、119試合で守りに就いて11失策守備率.977、DRS-3という成績を残した。

2016年はキャリアハイの137試合に出場し、初めて規定打席に到達。前年ほどの打力は発揮出来なかったが、打率.255、4本塁打、32打点、7盗塁という成績を残した。持ち前の遊撃守備は、136試合で守って5失策、守備率.991、DRS+3という好成績に加え、アメリカンリーグ4位となる92の併殺に絡む活躍を見せた。

2017年8月25日に前日のニューヨーク・ヤンキース戦での乱闘の件で罰金処分が科せられた[13]

2018年10月29日にFAとなった[14]

レッズ時代[編集]

2019年2月23日にシンシナティ・レッズとマイナー契約を結び、スプリングトレーニングに招待選手として参加することになった[15]。3月28日にメジャー契約を結んで40人枠入りした[14]。オフの10月31日にFAとなった[16]

オリオールズ時代[編集]

2020年1月7日にボルチモア・オリオールズと300万ドルの単年契約(2021年のオプション付き)を結んだ[17]。短縮シーズンの39試合の出場ではあったが打率.373、OPS.956は自己最高だった。

エンゼルス時代[編集]

2020年12月2日にジーン・ピントギャレット・スタリングスとのトレードで、ロサンゼルス・エンゼルスへ移籍した[18]

2021年は度々華麗な守備を見せたもののDRSは-21とMLB最低クラスに終わり、114試合でOPS.670と打撃も振るわなかったことから、9月3日に自由契約となった[19]

レッドソックス復帰[編集]

2021年9月6日に古巣のレッドソックスとメジャー契約を結んだ[20]。23試合で打率.356、OPS.915とエンゼルス時代に反して絶好調だった。レギュラーシーズン終了後の10月6日にマイナー契約で傘下のAAA級ウースター・レッドソックス英語版[21]へ配属された[22]。なお、レッドソックスには9月に加入したため、ポストシーズンのロースターには入らなかった(ポストシーズンに出場するためには8月31日までに当該球団と契約し、チームに帯同していなくてはならないという規則がある。)が、コーチ的存在及び応援団長としてチームへの影響力の大きさを評価されてタクシー・スクワッド(予備登録選手)に名を連ね、ベンチ入りしている[23]。オフの11月7日にFAとなった[14]

ロッキーズ時代[編集]

2022年3月16日にコロラド・ロッキーズと500万ドルの単年契約を結んだ[24]。オフの11月6日にFAとなった[25]

マーリンズ傘下時代[編集]

2023年3月9日にマイアミ・マーリンズとマイナー契約を結び、スプリングトレーニングに招待選手として参加することになった[26]。開幕はAAA級ジャクソンビル・ジャンボシュリンプで迎えたが、4月20日に契約のオプトアウト条項を行使してFAとなった[27]

パドレス傘下時代[編集]

2023年4月25日にサンディエゴ・パドレスとマイナー契約を結んだ[14]。5月27日に一旦自由契約となったが、5月30日にマイナー契約を結び直して再契約した[14]。傘下AAA級エルパソ・チワワズでは打率.317、出塁率.354、OPS.542という成績を残したが、6月19日にオプトアウトを選択し、FAとなった[28]

メッツ傘下時代[編集]

2023年12月5日にニューヨーク・メッツとマイナー契約を結び、スプリングトレーニングに招待選手として参加することになった[29]

選手としての特徴[編集]

往年の名遊撃手であるオジー・スミスオマー・ビスケルらと比較されるほどの抜群の守備力を持つ[2][30]。柔らかいグラブさばきで身のこなしが軽く、体勢を崩しても素早く的確なスローイングができる。

一方で、打撃面では長打力に欠け、多くのキューバ出身選手と同様に早いカウントから積極的に打っていく傾向があるため、四球は少なめである[31]

人物[編集]

エンゼルス時代の同僚だった大谷翔平とは仲が良く、大谷が本塁打を放った際にはベンチ前で一番乗りに祝福するのが恒例となっていた[32]。また、日本語通訳の水原一平とも親しい間柄であった[32][33]

詳細情報[編集]

年度別打撃成績[編集]

[34]

















































O
P
S
2006-2007 HAB 37 95 85 10 17 3 0 0 20 5 1 2 6 0 4 0 0 11 1 .200 .236 .235 .471
2007-2008 75 345 314 51 101 11 4 0 120 39 5 4 10 2 17 0 2 47 2 .322 .352 .382 .734
2011 BOS 10 6 6 3 2 0 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0 .333 .333 .333 .667
2012 25 77 68 5 8 2 0 1 13 2 1 0 2 0 4 0 3 16 2 .118 .200 .191 .391
2013 63 234 215 27 71 10 2 1 88 19 3 1 0 2 11 0 6 30 4 .330 .376 .409 .785
DET 46 148 135 12 35 6 0 2 47 10 2 1 4 0 4 0 5 30 3 .259 .306 .348 .654
'13計 109 382 350 39 106 16 2 3 135 29 5 2 4 2 15 0 11 60 7 .303 .349 .386 .735
2015 120 454 416 44 125 17 3 2 154 23 11 8 4 3 25 2 6 44 10 .300 .347 .370 .717
2016 137 513 467 57 119 26 0 4 157 32 7 4 3 1 28 1 8 50 12 .255 .306 .348 .654
2017 130 489 463 56 118 33 1 6 171 54 7 4 3 1 21 0 1 65 6 .255 .288 .369 .657
2018 125 464 432 43 116 31 3 5 168 48 15 6 3 2 19 0 8 47 11 .269 .310 .389 .699
2019 CIN 146 530 504 62 145 21 3 11 205 59 6 6 1 2 20 3 3 70 17 .288 .318 .407 .724
2020 BAL 39 150 142 16 53 17 0 3 79 24 0 0 0 1 3 0 4 17 1 .373 .400 .556 .956
2021 LAA 114 447 424 57 110 23 1 8 159 41 5 2 0 1 18 0 4 66 10 .259 .295 .375 .670
BOS 23 64 59 8 21 4 1 1 30 7 0 0 0 0 3 0 2 9 0 .356 .406 .508 .915
'21計 137 511 483 65 131 27 2 9 189 48 5 2 0 1 21 0 6 75 10 .271 .309 .391 .701
2022 COL 118 467 439 48 128 30 0 3 167 47 2 3 0 3 17 0 8 56 11 .292 .328 .380 .708
CNS:2年 112 440 399 61 118 14 4 0 140 44 6 6 16 2 21 0 2 58 3 .296 .333 .351 .683
MLB:11年 1096 4043 3770 438 1051 220 14 47 1440 366 59 35 24 18 173 6 58 502 87 .279 .319 .382 .701
  • 2022年度シーズン終了時
  • キューバで通常用いられる個人通算成績は、プレーオフや選抜リーグなども合算するため、この表の合計とは一致しない

年度別守備成績[編集]



二塁(2B) 三塁(3B) 遊撃(SS)




































2011 BOS - - 8 2 3 0 0 1.000
2012 - - 24 27 71 2 16 .980
2013 3 2 2 0 0 1.000 34 19 56 3 4 .962 29 34 70 1 17 .990
DET - 3 1 9 0 2 1.000 42 59 103 2 30 .988
'13計 3 2 2 0 0 1.000 37 20 65 3 6 .966 71 93 173 3 47 .989
2015 - - 119 162 315 11 81 .977
2016 - - 136 180 389 5 92 .991
2017 - - 130 199 332 7 83 .987
2018 - - 122 148 316 8 63 .983
2019 CIN - - 144 122 324 9 62 .980
2020 BAL - - 24 24 44 1 6 .986
2021 LAA - - 114 115 250 16 44 .958
BOS 18 17 28 1 7 .978 - 5 7 9 0 0 1.000
'21計 18 17 28 1 7 .978 - 119 122 259 16 44 .960
2022 COL - - 116 123 298 8 73 .981
MLB 21 19 30 1 7 .980 37 20 65 3 6 .966 1013 1202 2524 70 567 .982
  • 2022年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高

表彰[編集]

記録[編集]

背番号[編集]

  • 68(2011年 - 同年途中)
  • 76(2011年途中 - 同年終了) 
  • 58(2012年) 
  • 10(2013年 - 同年途中)
  • 1(2013年途中 - 2018年)
  • 4(2019年、2021年 - 同年途中)
  • 11(2020年、2022年)
  • 12(2021年途中 - 同年終了)

脚注[編集]

  1. ^ Tigers Players Weekend nicknames explained MLB.com (英語) (2017年8月24日) 2017年9月13日閲覧
  2. ^ a b Cuban Arguelles agrees to deal with Royals” (英語). Sports.Yahoo.com. 2013年3月31日閲覧。
  3. ^ Boston Red Sox Top 10 Prospects” (英語). Baseball America.com. 2013年3月31日閲覧。
  4. ^ Top prospect Iglesias gets first taste of Majors” (英語). MLB.com. 2013年3月31日閲覧。
  5. ^ Drew in lineup and Iglesias sent down” (英語). Boston.com. 2013年9月10日閲覧。
  6. ^ レッドソックスのビクトリノとミドルブルックスがDL入り”. スポニチアネックス. 2013年9月10日閲覧。
  7. ^ RED SOX CONSIDERING KEEPING JOSE IGLESIAS IN BIG LEAGUES AS UTILITY PLAYER” (英語). Fullcount.weei.com. 2013年9月10日閲覧。
  8. ^ Red Sox option Will Middlebrooks to Pawtucket” (英語). The Boston Globe. 2013年9月10日閲覧。
  9. ^ Detroit Tigers trade Avisail Garcia, Brayan Villarreal for Jose Iglesias as part of three-team deal” (英語). MLive.com. 2013年9月10日閲覧。
  10. ^ A・ロッドに211試合の出場停止処分、ほかの選手は50試合に”. AFPBB News. 2013年9月10日閲覧。
  11. ^ Alex Rodriguez and 12 other players suspended in Biogenesis PEDs scandal” (英語). Theguardian.com. 2013年9月10日閲覧。
  12. ^ Tigers agree to terms on a one-year contract with Jose Iglesias” (英語). MLB.com (2014年1月8日). 2014年1月9日閲覧。
  13. ^ Miggy suspended 7 games, Sanchez 4 in fracas MLB.com (英語) (2017年8月25日) 2017年8月26日閲覧
  14. ^ a b c d e MLB公式プロフィール参照。2023年6月1日閲覧。
  15. ^ Mark Sheldon (2019年2月23日). “Reds sign Jose Iglesias to Minors deal” (英語). MLB.com. 2019年4月12日閲覧。
  16. ^ Thomas Harrigan, Manny Randhawa and Paul Casella (2019年11月8日). “Here are every team's free agents this winter” (英語). MLB.com. 2020年1月9日閲覧。
  17. ^ Joe Trezza (2020年1月7日). “O's find their SS, finalize 1-yr deal with Iglesias” (英語). MLB.com. 2020年1月9日閲覧。
  18. ^ Orioles Trade Jose Iglesias To Angels” (英語). MLB Trade Rumors. 2020年12月3日閲覧。
  19. ^ Angels Release Jose Iglesias” (英語). MLB Trade Rumors. 2021年9月3日閲覧。
  20. ^ Red Sox Sign Jose Iglesias” (英語). MLB Trade Rumors. 2021年9月6日閲覧。
  21. ^ 2021年より球団名変更
  22. ^ Darragh McDonald (2021年10月6日). “Red Sox Outright Jose Iglesias, Yairo Munoz” (英語). MLB Trade Rumors. 2021年10月17日閲覧。
  23. ^ イグレシアスはRソックスに不可欠な存在 来季残留の可能性も”. MLB.jp (2021年10月18日). 2021年10月18日閲覧。
  24. ^ José Iglesias, Chad Kuhl sign with Rockies”. www.mlb.com. 2022年3月17日閲覧。
  25. ^ 131 Players Become XX(B) Free Agents” (英語). mlbplayers.com (2022年11月6日). 2022年11月14日閲覧。
  26. ^ Christina De Nicola (2023年3月10日). “Deals with Yuli Gurriel, Iglesias fortify Marlins' infield depth”. MLB.com. 2023年6月1日閲覧。
  27. ^ Jose Iglesias: Opts out of deal”. cbssports.com (2023年4月20日). 2023年6月1日閲覧。
  28. ^ Jose Iglesias: Opts out again” (英語). cbssports.com (2023年6月19日). 2023年12月8日閲覧。
  29. ^ Mets Sign Jose Iglesias To Minor League Deal”. MLB Trade Rumors (2023年12月5日). 2023年12月7日閲覧。
  30. ^ Tigers get Iglesias from Boston in three-team swap” (英語). ESPN.com. 2013年9月14日閲覧。
  31. ^ Prospect of the Day: Jose Iglesias, SS, Boston Red Sox” (英語). Minor League Ball. 2013年3月31日閲覧。
  32. ^ a b ド派手な祝福に3か国語交流 “相棒”イグレシアスの大谷翔平への思い「大好きなんだ」”. Full-Count (2021年8月10日). 2021年8月13日閲覧。
  33. ^ 大谷翔平33号で即座にハグ ベンチの水原通訳&イグレシアスが話題「IPPEIさんも驚き」”. THE ANSWER (2021年7月10日). 2021年8月13日閲覧。
  34. ^ Serie_Nacional Archived 2013年11月1日, at the Wayback Machine. - キューバ国内リーグのシーズン成績

関連項目[編集]

外部リンク[編集]