凍雨

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凍雨(とうう、: ice pellets)は、透明あるいは半透明ののように降る気象現象。

メカニズムと特徴

地面に積もった凍雨

雨が上空で凍ったものと考えると分かりやすいが、厳密にはが解けて再び凍ったものである。雪が雨に変わる際に見られる。

地表付近の気温が0℃以下で、上空の気温が0℃以上の場合に発生する降水現象で、あられより落下する間に上空の0℃以上の空気の層を通過したために一旦融解して水滴となり、その後地表付近の0℃以下の空気の層を通過する間に再び凍結したものである。

あられや雪が不透明あるいは半透明なのに対し、凍雨はほぼ透明で、場合によっては中心部が気泡により半透明になっているので区別できる。

上空の0℃以上の空気の層に比べて、地表付近の0℃以下の空気の層が厚く、雨粒が再凍結するのに十分な冷気層があるときに起こる。同じような発生条件であっても、上空の0℃以上の空気の層が厚く、地表付近の0℃以下の空気の層が薄いと、雨粒は0℃以下であっても凍結しない過冷却状態となって着氷性の雨として降り、地面などに落ちた瞬間に凍結して雨氷となる。凍雨もあまりよく見られる気象現象ではないが、雨氷はほとんど見られない珍しい現象で、見られる地域も限られる。雨氷、凍雨ともに、温暖前線の前面で見られる。

分類

英語の"Freezing rain"は「着氷性の雨」のことを指しており、「凍雨」(ice pellets)の意味ではないので注意しなければならない。"sleet"はアメリカやカナダでは凍雨を指し、英国ではみぞれを指す。

また、気象学的に凍雨 (ice pellets) は、みぞれ (Sleet) とあられ (Graupel) の両方に含まれる。あられは雪あられ (snow pellets) と氷あられ (small hail) に分けられるが、凍雨と氷あられは外見上類似しているので同一視されることがある。氷あられは常に驟雨性である一方、凍雨は高層雲乱層雲から降る驟雨性ではない降水である。

なお、天気の種類としてはあられに含まれるが、天気予報の予報文においてはとして扱われる(みぞれと同様)[1]

天気記号

国際式天気図の天気記号では、

  • 79.凍雨
  • 83.弱いしゅう雨性のみぞれ
  • 84.並または強いしゅう雨性のみぞれ
  • 87.弱い雪あられまたは氷あられ
  • 88.並または強い雪あられまたは氷あられ
  • 93.観測時に弱い雪、みぞれ、雪あられ、氷あられ、ひょう(前1時間に雷電があったが観測時にない)
  • 94.観測時に並または強い雪、みぞれ、雪あられ、氷あられ、ひょう(前1時間に雷電があったが観測時にない)
  • 96.弱または並の雷電で、観測時にひょう、氷あられ、雪あられを伴う
  • 99.強い雷電で、観測時にひょう、氷あられ、雪あられを伴う

の9種類が凍雨を表す。79のみが凍雨単独の状態で、外は雪などの現象を伴う状態を表す。

日本式天気図の天気記号では、前述のとおりみぞれが凍雨を表す。ただし、雷を伴う場合は優先順位によりこれと異なることがある。

定時飛行場実況気象通報式 (METER) の「降水現象」の欄では、PLが凍雨を表す。

関連項目

脚注

  1. ^ 気象庁予報用語降水(同項目の凍雨の欄を参照)