オンキヨーホームエンターテイメント

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オンキヨーホームエンターテイメント株式会社
Onkyo Home Entertainment Corporation
本社が置かれているルクスビル
本社が置かれているルクスビル
種類 株式会社
市場情報
略称 オンキヨー、OHE
本社所在地 日本の旗 日本
577-0063
大阪府東大阪市川俣1丁目1-41 ルクスビル
本店所在地 572-0028
大阪府寝屋川市日新町2番1号
設立 2010年平成22年)10月1日
(創業:1946年昭和21年)9月17日
業種 電気機器
法人番号 3120001154326 ウィキデータを編集
事業内容 音響機器の製造販売
代表者 大朏 宗徳代表取締役社長CEO
宮田 幸雄(代表取締役副社長)
資本金 82億61百万円
2020年3月31日現在)
発行済株式総数 115,150千株
(2019年3月31日現在)
売上高 連結218億円
(2020年3月期)
純資産 連結△33億円
(2020年3月31日現在)
総資産 連結97億円
(2020年3月31日現在)
従業員数 連結1,368人
(2019年3月31日現在)
決算期 3月31日
主要株主 パイオニア 9.44%
(2019年3月31日現在)
主要子会社 子会社を参照
関係する人物 五代武創業者
大朏直人名誉会長
外部リンク https://onkyo.com/
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2020年2月まで本社の置かれていた北浜中央ビル

オンキヨーホームエンターテイメント株式会社(読みはオンキョー: Onkyo Home Entertainment Corporation)は日本音響機器メーカーである。またデノンディーアンドエムホールディングスデノン コンシューマー マーケティング)、旧・日本コロムビア)、およびティアックヤマハマランツCMC(ディーアンドエムホールディングス、旧・日本マランツ)、ラックスマンアキュフェーズなどと同様、デジタルオーディオ勃興期、ピュアオーディオ(Hi-Fiオーディオ)衰退期を生き延びた数少ない日本の音響メーカの一社である。

本社を大阪府東大阪市川俣1丁目1-41にあるルクスビルにおく。なお同社の定款上本店所在地は、かつて本社があり移転後も一部業務拠点が残る大阪府寝屋川市日新町2番1号である。

沿革

1946年昭和21年)9月17日、かつて松下電器産業(以下松下電器、現・パナソニック)でスピーカー製造工場の工場長を務め、そのノウハウを培って松下電器から独立した五代武大阪電気音響社として創業・設立[1]、翌1947年(昭和22年)に大阪音響に社名変更。コーン紙まで内作した自社製スピーカーを搭載したラジオを発売。他例は日本国内では三菱電機ダイヤトーン福音電機(現・パイオニア)のパイオニアダイナミックスピーカーのみである。このラジオは高価格ながらヒット商品になり、余勢を駆ってオーディオ機器テレビ受像機の製造販売にも進出した。

1957年(昭和32年)に、総合電機メーカー化を目指す東京芝浦電気(現・東芝)の資本参加を受け入れ、同じくラジオ・テレビメーカーだった山中電機(テレビアン)、七欧電機(ナナオラ)と共に東芝グループ入りした。その後のオーディオブームでも一翼を担い、輸出でも盛業を極めた。映画『ゴジラ』(1954)の劇中でもラジオに「オンキヨー」のプラークが見られる。

1971年(昭和46年)、ブランドを商標のオンキヨー (Onkyo) へ統一。

急速なデジタル化の進展とバブル崩壊で赤字化した1993年平成5年)には、東芝が保有全株式大朏直人(現・名誉会長)個人に売却して資本関係を解消した。なお、製品供給関係は継続している。また東芝は1990年代に入って間もなく「Aurex」ブランドのオーディオ生産から一時撤退した[2]ため、オンキヨー製品は東芝ストアーにも供給されている。

1970年代以降、手掛けてきたコンポーネントの商品名は 「RADIAN[3]」「INTEC」「ZACCS」「INTEGRA」「LIVERPOOL」「ESSAY」などが挙げられる。業務用音響機器向けに「D'ZAC」。「D'ZAC」はコジマ電気向けにカラーテレビのブランドにしていた時期もあった。

1998年(平成10年)長期に続く赤字の影響で主要工場および1972年より本社であった寝屋川市の日新町と香里園の敷地を、技術センター等の一部施設を残し大幅に縮小。跡地には郊外型ショッピングモールのアル・プラザ香里園が開業する。

2007年(平成19年)、かねてからの友好関係にあり、大朏家の出資していたテクノエイトを株式交換により完全子会社とした[4]が、2009年(平成21年)保有全株式をトヨタグループに譲渡した[5]

2008年(平成20年)9月1日付けでPCメーカーのソーテックを吸収合併した。それ以前のソーテック製PCとは異なり、日本国内組み立てを売りにし、オンキヨーの強みを活かした品質とオーディオ性能の高いPCを発売している。2009年(平成21年)9月にソーテックブランドに加えてオンキヨーブランドのPCを投入すると発表。その時点では、両ブランドの区別は明確に決まっておらず[6]、ソーテック・オンキヨーの両ブランドのPCを当面並行して販売するとしていた[7]。しかし、2010年(平成22年)にソーテックブランドは廃止され、現在ではオンキヨーブランドのPCのみ販売されている。2009年(平成21年)12月には主にノートパソコンを手がける工人舎との協業が発表され、工人舎製のPCを改良したものをオンキヨーブランドで発売することとなった[8][9]

2010年(平成22年)1月、大手EMS企業である台湾インベンテック社と資本・業務提携を行う。

2010年(平成22年)10月1日に、単独株式移転を行い、同名の持株会社・オンキヨー株式会社を新規上場し、その完全子会社となり、12月1日に傘下企業の商号変更・事業分社化を行った。なお、1946年(昭和21年)から存続した中核事業会社としてのオンキヨーは「オンキヨーサウンド&ビジョン株式会社」と商号を変更している。

2012年(平成24年)1月、オンキヨーは自社のパソコン販売において、量販店向けのみ「一時的に休止」するという方針を公表した。パソコンの生産は引き続き行い、Web直販と企業向け販売に特化するとしている。一部報道により「パソコン事業から撤退する」とされたが、撤退はしない。

2012年(平成24年)1月、世界的に有名なギターメーカーであるギブソン社が資本参加、第2位の株主となる。

同月オンキヨーはティアックとの間で資本業務提携を結ぶと発表した。オンキヨーはティアック株式の10%を取得し、第2位株主となり、ティアックもオンキヨー株式の9.42%を取得。オンキヨーは、ティアックに取締役1名を派遣する(2014年6月までに双方の持株比率は1%に低下)。

2012年(平成24年)7月、オンキヨーサウンド&ビジョン株式会社(持株会社体制移行前のオンキヨー株式会社)は、設計・技術業務を新設分割により設立したデジタル・アコースティック株式会社(現・オンキヨーマーケティング株式会社)に承継した上で、オンキヨー株式会社に吸収合併され解散した。

2014年(平成26年)6月24日、オンキヨーはパイオニアの子会社であるパイオニアホームエレクトロニクスの株式の一部を中国香港投資ファンドであるベアリング・プライベート・エクイティ・アジアと共に買収することで基本合意したと発表したが、9月中旬に一転してこれを白紙撤回。11月7日に経営統合の形態を変更することを発表した。パイオニアのヘッドホン事業を吸収分割によりパイオニアホームエレクトロニクスに承継した上で、当社が第三者割当により発行する株式(総議決権数の14.95%)をパイオニアが引き受けると同時に、パイオニアが保有するパイオニアホームエレクトロニクスの全株式を譲受。さらに当社のAV事業を吸収分割により承継させ、両社のホームAV事業を統合することとなった[10]

同年フランスのオーディオメーカー、カバッセ社の製品の輸入販売代理店となる。

2015年(平成27年)3月2日、パイオニアのホームAV事業、電話機事業およびヘッドホン事業のオンキヨーへの譲渡が完了。パイオニアホームエレクトロニクスは、国内販売ほかの一部事業を他の子会社に事業譲渡した上、オンキヨー&パイオニア株式会社に商号変更した[11][12][13]。これに伴い、販売を手がけるオンキヨーマーケティングジャパンはオンキヨー&パイオニアマーケティングジャパンに、オンキヨーエンターテイメントテクノロジーはオンキヨー&パイオニアイノベーションズに、デジタル・アコースティックはオンキヨー&パイオニアテクノロジーに、それぞれ商号変更された。同年7月1日には、当社のAV事業をオンキヨー&パイオニアへ吸収分割している[14]

2015年(平成27年)11月24日、河合楽器製作所と資本業務提携を行い、同社が主要株主となった[15][16]

2017年(平成29年)11月、ギブソン社との役員相互派遣の終了を発表[17]2018年(平成30年)3月までにギブソン社は保有するオンキヨー株式のほぼ全てを売却した[18]

2018年(平成30年)3月30日、子会社であったオンキヨー&パイオニアテクノロジーについて、設計部門をオンキヨー本体に移管して業務用音響機器の設計・販売会社に業態転換、オンキヨーマーケティングに商号変更した上で、オンキヨーデジタルソリューションズ(現:オーディーエス)に全株式を売却し、連結の範囲から除外した[19]

2019年(平成31年)3月29日、オンキヨー&パイオニアイノベーションズをODSコミュニケーションサービスに商号変更。オンキヨーディベロップメント&マニュファクチャリングとその子会社のODSコミュニケーションサービスを、オンキヨーデジタルソリューションズ(現:オーディーエス)に譲渡し、連結の範囲から除外した[20]

2019年(令和元年)5月15日、子会社のオンキヨー&パイオニアのホームAV事業の譲渡に向けて、米Sound Unitedとその親会社のファンドと本格的に協議することで基本合意[21]したが、同年10月4日に破談となった[22]

2020年(令和2年)2月21日、本社を大阪市から東大阪市へ移転。2月26日から東大阪市にて営業再開[23]

2020年3月末の連結純資産は△3,355百万円となり、債務超過となった。

2020年(令和2年)7月31日、同社(存続会社)と子会社のオンキヨー&パイオニアを同年10月1日付で合併し、社名をオンキヨーホームエンターテイメント株式会社へと変更することを発表。これに伴い、会社分割により同社(初代法人)のほか、OEM事業のオンキヨーサウンド株式会社とその他サービス事業のオンキヨー株式会社(3代目法人)に分割となる。同社がホームAV事業、デジタルライフ事業、ゲーミング事業を展開することとなり、2021年(令和3年)3末までを目途に未払い債務の正常化と債務超過を解消する。オンキヨー&パイオニアとの合併、およびオンキヨー&パイオニアの法人消滅後はレガシーホームAV事業に特化し、上場会社として利益ある成長を目指すとしている[24][25]

2020年10月1日、株主総会の議決を経てをオンキヨーホームエンターテイメント株式会社への社名変更を実施[26]

現状

東芝の薄型テレビREGZA」の一部にオンキヨー製のスピーカーが使われている。

携帯ゲーム向けスピーカーやPCパチンコ台などのサウンドカード[27]も手掛ける。特にPC向けサウンドカードは高級オーディオ並みの音楽再生を目指していることに特徴がある。

2006年以降はアメリカ合衆国モンスターケーブル社の代理店になっている。2005年(平成17年)にはWindows WMAフォーマットで、96kHz/24ビットの高音質音楽配信サイト「e-onkyo music store」を開設した。

子会社

オンキヨーの主な子会社は以下の通りである。なお、子会社・関連会社は10社以上存在する。

会社名 資本金 議決権比率(%) 主要な事業内容
オンキヨー株式会社
(3代目法人)
1億円 音響機器・ハイレゾ音源のインターネット販売、電子機器・ソフトウェア等の研究、開発設計
オンキヨーサウンド株式会社 1億円 音響機器・電子機器・車載用スピーカー等の開発設計・製造・販売・受託生産
オンキヨー&パイオニア株式会社 3億800万円 100 オーディオ・ビジュアル関連機器の企画、および開発、製造、販売
2020年9月30日法人消滅
オンキヨー&パイオニアマーケティングジャパン株式会社 3億800万円 100 住宅等へのAV関連製品の販売及び営業関連業務
オンキヨースポーツ株式会社 1000万円 85 食トレアプリ「food coach」の制作、販売、および関連するイベントに関する企画、制作、運営
Onkyo Asia Electronics Sdn. Bhd. 17,128千RM 84.76 AV事業,OEM事業
Pioneer & Onkyo U.S.A. Corporation 2,000千US$ 100 AV事業,OEM事業
Pioneer & Onkyo Europe GmbH 561千ユーロ 100 AV事業
Pioneer & Onkyo Marketing Asia Ltd. 51,275千HK$ 96.34 AV事業

宣伝活動

  • 後楽園球場 - 東京ドームの一塁ベンチ後方の2階席スタンドの前面にONKYO(昭和50年代中期までは“オンキヨー”とカタカナ表記)の看板を掲げていた。2014年現在は撤退。
  • 1980年(昭和55年) - 1983年(昭和58年)においてはニッポン放送の土曜深夜から日曜未明の『所ジョージの足かけ二日大進撃』のスポンサーとなっており、「男は度胸 コンポはオンキヨー」のうたい文句とコンポ(ZACCS)のCMが流れた。
  • 雑誌広告主体の宣伝活動を展開していたが、バブル期1986年(昭和61年)から数年間、デビュー間もない南野陽子を自社コンポ・RADIANのCMキャラクターとした宣伝を流す。
  • FM大阪FM東京などの民放FMが開局した時にはスポンサー番組をもっていた。その後1990年代後半になって『ONKYO サウンドアドバイス』というミニ番組のスポンサーになっていたが、2014年現在は撤退している。

脚注

  1. ^ 菅野沖彦 ピュアオーディオへの誘い「第23回:『暮しの手帖』の商品テストで注目を集めた、オンキヨーのモジュラーステレオ」 - 音元出版 2008年4月4日2016年6月18日閲覧)
  2. ^ その後、2016年3月より東芝の子会社の東芝エルイートレーディングから発売されているプレミアム・ゼネラルオーディオのブランドとして26年ぶりのブランド復活を果たすこととなった。
  3. ^ 実際は1971年にトールボーイ・フロア型スピーカーシステムの商品名(「Radian-III」)に使用されたのが初出。
  4. ^ 株式交換によるテクノエイト株式会社の完全子会社化に関するお知らせ
  5. ^ 子会社の異動(譲渡)に関するお知らせ
  6. ^ PC Watch (Impress Watch) (2009年9月17日). “オンキヨー、「SOTEC」ブランドを廃止し「ONKYO」に統合”. 2009年9月17日閲覧。
  7. ^ PC Watch (Impress Watch) (2009年9月17日). “■大河原克行の「パソコン業界、東奔西走」■ ソーテックブランドのPCはこれからも継続的に出荷する 〜オンキヨーブランド展開について、菅正雄常務取締役に聞く”. 2009年9月19日閲覧。
  8. ^ 個性的な高付加価値製品パーソナルモバイル 「ONKYO」ブランドにて3シリーズを展開 ONKYO PRESS RELEASE 2009年12月10日
  9. ^ 個性的な高付加価値製品パーソナルモバイル 「ONKYO」ブランドにて3シリーズを展開 (PDF) ONKYO PRESS RELEASE 2009年12月10日
  10. ^ パイオニア株式会社との資本業務提携契約の締結、第三者割当による新株式の発行、主要株主の異動、特定子会社の異動、および当社AV事業分割に関するお知らせ - オンキヨー 2014年11月7日。
  11. ^ オンキヨー株式会社の新株式引受、ホームAV事業等の譲渡完了に関するお知らせ (報道資料 2015年3月2日) - パイオニア 2015年3月2日閲覧。
  12. ^ パイオニア株式会社からの事業取得に関するお知せ(子会社の異動を伴う株式取得 および海外事業の取得 ) - オンキヨー 2015年3月2日閲覧。
  13. ^ AV事業統合で“オンキヨー&パイオニア株式会社”誕生。ブランドは継承
  14. ^ 当社子会社への会社分割(吸収分割)に関するお知らせ - オンキヨー 2015年5月27日。
  15. ^ 株式会社河合楽器製作所との資本業務提携契約の締結および第三者割当による新株式発行の払込完了ならびに主要株主の異動に関するお知らせ - オンキヨー 2015年11月24日。
  16. ^ “河合楽器・オンキヨー提携”. 朝日新聞 (朝日新聞社): p. 朝刊 9面. (2015年11月6日) 
  17. ^ Gibson Brands, Inc.との資本・業務提携の一部変更に関するお知らせ - オンキヨー 2017年11月9日。
  18. ^ Gibson Brands, Inc.による当社株式売却に関するお知らせ - オンキヨー 2018年3月20日。
  19. ^ 子会社の商号変更及び異動を伴う株式の譲渡ならびに特別損失の計上に関するお知らせ - オンキヨー 2018年3月30日。
  20. ^ 子会社の商号変更及び子会社の異動を伴う株式譲渡契約締結ならびに特別損失の計上に関するお知らせ - オンキヨー 2019年3月28日。
  21. ^ 「オンキヨー&パイオニア」のホームAV事業、「デノン&マランツ」の米社に譲渡へ - ITmedia 2019年5月15日(2019年5月16日閲覧)
  22. ^ オンキヨー、事業売却中止”. 共同通信 (2019年10月4日). 2019年10月5日閲覧。
  23. ^ 本社移転に関するご案内 - オンキヨー 2020年2月17日。
  24. ^ 今後の戦略について
  25. ^ オンキヨー、“ホームAV事業を主体に”方針転換(AV Watch) - インプレス 2020年8月3日。
  26. ^ グループ再編について”. オンキヨー (2020年9月28日). 2020年11月6日閲覧。
  27. ^ オンキヨーでは「オーディオボード」と呼称する。

関連項目

外部リンク