タイムドメイン・スピーカー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

タイムドメイン・スピーカーとは、タイムドメイン社の由井啓之が提唱する「タイムドメイン理論」に基づいて設計されたスピーカーの総称。時々刻々と変化する波形を、忠実に再生しようとする観点から設計しているとされる。 また、この「タイムドメイン理論」は、科学的で理論的な観点から見ると、一般的に確立されていない部分も多いので、懐疑的なオーディオマニアも多い。

機械設計における特徴[編集]

タイムドメイン・スピーカーは、「タイムドメイン理論」と呼ばれる独自の理論をもとに、設計されているとされる。以下に、その特徴を列記する。

  • スピーカーユニットの後部に仮想グランドと称する大きなを下方にぶら下げてあり、ユニットは弾性体を経てキャビネットに接しており、力学的には弾性体のバネとダンパー効果により浮いている。スピーカーのコーン紙が電磁力で前方に動くとき、スピーカーフレームは反力で後方に動くが、通常のスピーカーはその反力をネジ止めされたキャビネットに伝えその重さで吸収させている。一方、このスピーカーではその反力は錘で吸収され、キャビネットに伝わらない。これによりキャビネットが純粋に音圧だけを担い、ユニットの振動をあまり受けないという。
  • スピーカーを上方にむけているため、大半は無指向性の音響出力となる。旧来の2台のスピーカーに正対して聞くことが主であったユーザーには、無指向性スピーカーの音場は新鮮に感じるが、以前から無指向性スピーカーの経験があるユーザーには、特に新しい印象は無い。
  • 通常のスピーカーでは、低音再生のために大きなスピーカーと大きなキャビネットが必要であった。このスピーカーではキャビネットがパイプ状のため、内部の気柱共鳴によって低音を補うことができる。
  • しかしパイプ共鳴では特定の周波数が強調されるために、周波数特性に共鳴周波数と倍音による周期的な山谷を生じ、これがいわゆるパイプくさい音となる。これを低減するため、またスピーカー背面の錘の振動を消すために、内部に吸音材を効果的に設置する必要がある。製品では、多めのフェルトを連続的に使用している。
  • スピーカーは、定評ある小口径のフルレンジ型を用いている。小径のため高音域に別個のツイーターを必要としないが、低音が不足する。これをパイプ状キャビネットによる低音増強効果で補っており、小音量から中音量では、フルレンジの特性である大きく破綻しないバランスのよい音響が実現できる。
  • タイムドメイン・スピーカーには、小型紡錘型のものがある。これらも後面に円柱状錘をつけた小口径ユニットを弾性体を介してキャビネットに固定しており、小規模のバスレフポートを持っている。サイズ的に低音が不足するが、内部定在波や表面回折の影響がないことを特質としている。
  • タイムドメイン社の主張では、従来のスピーカシステムは静的な周波数スイープ検査が優秀であっても、インパルス応答が良くないため再生能力が低いとしている。良好なインパルス応答のためには、広い周波数に対して時間(位相)の遅れがないことが必要である。
  • 複数のユニットを用いるシステムでは、ユニットの位置やネットワークのために位相の乱れが発生し、インパルス応答が不良である。またスピーカーユニットの振動がキャビネットに伝わり、時間が遅れた付帯音を発生することも有害としている。
  • このためタイムドメイン社では、周波数による時間差が少ない小口径フルレンジユニットを使い、その反力を錘に負担させ、キャビネットから弾性体によって浮かしている。
  • ただし旧来のフルレンジ型のシステムでもインパルス応答は良好であり、またキャビネットが強固であれば、小音量ではキャビネット付帯音は問題にならない。またインパルス応答を悪化させるバスレフ方式を使用しているなど、タイムドメイン社の主張と実際の製品の乖離に疑問を呈する技術者も多い。
  • この種類のスピーカーの難しい点は、弾性体の性質、キャビネット材質、内部の吸音材の質、配置、量である。構造も複雑ではないが、細かい部分のノウハウが最終的な製品の印象を大きく左右するので、安易に模倣しても同じ音を得ることは難しい。聴感上の印象は、ユーザーがパイプ部分からの音をどう感じるかによって大きく変わる。
  • 小口径ユニットのため、大音響の用途には向いておらず、また間接音を有効に使うためには、比較的に小さめで吸音の少ないライブな部屋での視聴で大きな効果が得られる。

タイムドメイン理論による製品設計に関わる会社[編集]

関連項目[編集]