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ジャケル・ナイト (JaQuel Knight、1989年 8月6日 - )は、アメリカ合衆国 の振付師 、ダンサー 。ノースカロライナ州 で生まれ、アトランタ で育った。彼はビヨンセ の主演した歴史的なコーチェラ公演 や、「Single Ladies 」「Formation 」のミュージック・ビデオなど、彼女の代表的なダンス作品の多くに携わっている[ 1] 。MTVビデオ・ミュージック・アウォード で、最優秀振付賞 を2度受賞している[ 2] 。
生い立ち
幼い頃、彼はMTV のミュージック・ビデオ を見て振り付けを真似していた。14歳で初めて受けたダンスの授業が大きな影響を与え、職業としてダンスを選択するようになった。彼は7年間アルト・サックス などの管楽器 を演奏していた経験があり、高校時代にバンドの振り付けもした。バンドを辞めた後、15歳で「TruStuylz (トゥルースタイルズ)」と呼ばれるダンスグループを始めた[ 3] 。
経歴
「TruStuylz 」は、地元のイベントや有名人が出場するバスケットボールの試合に出演した[ 3] 。2006年、彼はBETヒップホップ・アウォード のステージに上がり、アンク の「Walk It Out 」でバックダンサーを務めた。ロサンゼルス に10日間滞在し、世界的に有名なスクールの「Dance411 」でダンスを教えることも始めた。彼はそこでの経験を自分の運命だと述べている[ 4] 。
高校卒業後に彼はロサンゼルスに引っ越し、多くのオーディションを受けた。ミシェル・ウィリアムズ の「We Break the Dawn 」のダンサー・オーディションでは、有名振付師のフランク・ガトソンJr. と出会い、振付師としての才能を見出された。そこでは共同振付師として招へいされ、その後ビヨンセの「Single Ladies」も依頼されるようになる[ 5] 。
ビヨンセとの仕事はますます増えていき、「Formation」「Diva 」「Drunk in Love 」などのミュージック・ビデオで振り付けを手掛けた[ 6] 。彼女の2回連続のツアーを含む重要なイベントや、歴史的なコーチェラ・フェスティバル などにも参加した[ 7] [ 8] 。MTVビデオ・ミュージック・アウォードでは、彼女の作品で2度最優秀振付賞を獲得した。
他にも、クリス・ブラウン 、ブリトニー・スピアーズ 、ケリー・ローランド 、ニコール・シャージンガー 、ブランディ 、嵐 などさまざまなアーティストのミュージック・ビデオの振り付けを担当した[ 9] 。また、『Xファクター 』『ザ・ヴォイス 』『ダンシング・ウィズ・ザ・スターズ 』『グッド・モーニング・アメリカ 』『ブリテンズ・ゴット・タレント 』『スーパーボウル・ハーフタイムショー 』など、さまざまなイベントの振り付けも手掛けた[ 10] 。
ウッドベリー大学 ではグラフィック・デザインを専攻し、2011年に卒業した[ 11] 。2013年、ロサンゼルスを拠点に制作会社を立ち上げ、アーティスト ・ソングライター ・プロデューサー のグループを監督し、短編映画を制作している[ 3] 。
振り付けの著作権化活動
2016年のビヨンセの「Formation」の振り付け担当として、彼のとても大胆な動きは、政治的に取り組んでいる彼女の時代の到来を告げるのに役立ち、YouTube での再生回数を2億4千万回以上にまで押し上げた(2021年3月現在)。しかし、彼は「プロデューサーのマイク・ウィル は、この作品で何百万ドルも稼いでいる」と推論し、自身の評判はトップランクの振付師として高まったものの、報酬に関してはいまだに臨時雇用のように扱われていることに疑問を感じるようになっていた。
この件に関し、彼は『ビルボード 』誌の取材で「アーティストは振り付けを提供された後、それは彼らのものであるとする考えに慣れてしまっている。その後、彼らは永遠に世界中の何百万の人々に向けて披露できるだろう。」「(最近はTikTok などのSNSが普及しているが)そこには所有権が存在せず、我々はそれに慣れ、乱用されている。」と、激しく声を震わせながら答えている。
そこで彼は、振付師やダンサーがもっと正当な権利や報酬を得られるようにと動き出し、2020年7月9日に、自身が担当したビヨンセの「Single Ladies」の振り付けの著作権 化を米国の著作権局 に認められたことも明らかにした。彼は「自分の子供たちがダンスで生活できるようなものを創りたい 」と語り、今後の活動として、著作権のある作品を著作者に代わって保護する米国のASCAP やSESAC のような著作権管理団体の設立も検討している[ 12] 。
振り付けした作品
ミュージック・ビデオ
ビデオ・アルバム
映画
テレビ
CM
ツアー
イベント
ダンスクラス
ディレクター作品
年
原題
ジャンル
アーティスト
出典
2011
Destinee & Paris Promo Tour
オープニングアクト
デスティニー&パリス
2013
Let's Dance for Sport Relief (Series 5)
タレントショー
ニコール・シャージンガー
Give It Up for Comic Relief
チャリティー・コンサート
ニコール・シャージンガー
The Jonathan Ross Show (Series 4 )
トークショー
ニコール・シャージンガー
Daybreak
モーニングショー
ニコール・シャージンガー
2014
2 on
ミュージック・ビデオ
ティナーシェ featuring スクールボーイ・Q
Jimmy Kimmel Live! (Season 12)
トークショー
ティナーシェ他
Aquarius Tour
コンサート・ツアー
ティナーシェ
2016
House of Horror Haunted Carnival
ハロウィン・イベント
ザラ・ラーソン
Bambi Awards
メディア授賞式
MTV Europe Music Awards
音楽授賞式
ザラ・ラーソン
The X Factor (British series 13 )
オーディション
ザラ・ラーソン
BBC Music Awards
音楽授賞式
ザラ・ラーソン
Top of the Pops Christmas
音楽チャート
ザラ・ラーソン
2018
The Graham Norton Show
コメディー・チャット・ショー
リトル・ミックス
2019
Homecoming (Film)
ドキュメンタリー
ビヨンセ
2020
Project Blindfold
ミュージック・ビデオ
[ 58]
MTV Europe Music Awards
音楽授賞式
ザラ・ラーソン
出演
映画
テレビドラマ
テレビ
年
原題
備考
出典
2007
BET Awards
ダンサー
2010
The Wendy Williams Show (Season 2)
トークショー
Dancing with the Stars (American season 11)
ダンサー
2013
Kesha: My Crazy Beautiful Life
2020
Tamron Hall (Season 3)
トークショー
受賞歴
MTV Video Music Awards
年
カテゴリー
作品
アーティスト
結果
出典
2009
最優秀振付賞
Single Ladies(Put a Ring on It)
ビヨンセ
受賞
2016
最優秀振付賞
Formation
ビヨンセ
受賞
最優秀振付賞
Sorry
ビヨンセ
ノミネート
2018
最優秀振付賞
Apeshit
ザ・カーターズ
ノミネート
脚注
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^ a b c “JaQuel Knight Biography ”. ジャクエル・ナイト . 2021年2月3日 閲覧。
^ “Jaquel Knight ”. 411 productions LLC . 2021年2月3日 閲覧。
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^ a b “JaQuel Knight Is the Choreographer Who Gets Beyoncé in Formation ”. Dance Magazine (2017年11月8日). 2021年2月3日 閲覧。
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^ “Beyoncé Coachella Performance Steppers ”. Essence (2018年4月17日). 2021年2月3日 閲覧。
^ “Beyonce Choreographer JaQuel Knight Spotlight Interview: From 'Single Ladies' to N.E.R.D.'s 'Lemon' to Coachella ”. ビルボード (2018年4月12日). 2021年2月3日 閲覧。
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^ “How J-Setting Is Changing Pop Culture ”. ABCニュース (2013年4月26日). 2021年2月3日 閲覧。
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^ “Christina Milian Invites Girl Group Ceraadi to Make a Cameo in Her Rose Bowl Performance—Watch the CMTU Clip! ”. E! (2015年12月8日). 2021年2月3日 閲覧。
^ “Beyoncé's Choreographer Talks Grammys, Why Being a 'Great Mom' Informs Her Art — and If She'll 'Rock' Coachella ”. ピープル (2017年2月14日). 2021年2月3日 閲覧。
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外部リンク