「ギャグ漫画」の版間の差分
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| 問題点パラメータB = 2018年6月 |
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'''ギャグ漫画'''(ギャグまんが)は、読者を笑わせるギャグ描写を中心として描かれる[[日本の漫画]]のこと。[[喜劇#コメディ漫画|コメディ漫画]]と同一視されてもいるが、現代日本においてコメディはほとんどが健全な笑いのイメージで使われ、またギャグは必ずしも笑顔(心の中だけでも)に誘導することは目的としていない。 |
'''ギャグ漫画'''(ギャグまんが)は、読者を笑わせるギャグ描写を中心として描かれる[[日本の漫画]]のこと。[[喜劇#コメディ漫画|コメディ漫画]]と同一視されてもいるが、現代日本においてコメディはほとんどが健全な笑いのイメージで使われ、またギャグは必ずしも笑顔(心の中だけでも)に誘導することは目的としていない。 |
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== 歴史 == |
== 歴史 == |
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「ポンチ絵」と呼ばれてきた[[明治|明治期]]から、漫画という語が定着するようになった[[大正|大正期]]の半ばから[[昭和]]に入って以降、長く漫画とは政治や世相を風刺して笑えるものという位置付けであった。大人漫画においても子供漫画においても、ギャグのある漫画と断るまでもなく、漫画にとって笑いは不可分な要素であり、笑いのない漫画は存在しなかったのである。 |
「ポンチ絵」と呼ばれてきた[[明治|明治期]]から、漫画という語が定着するようになった[[大正|大正期]]の半ばから[[昭和]]に入って以降、長く漫画とは政治や世相を風刺して笑えるものという位置付けであった。大人漫画においても子供漫画においても、ギャグのある漫画と断るまでもなく、漫画にとって笑いは不可分な要素であり、笑いのない漫画は存在しなかったのである。 |
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それまでの漫画の主流であり、依然として笑いと不可分でユーモアやナンセンスの要素を強く持った大人漫画は、青少年向けのストーリー漫画とギャグ漫画に食われる形で、[[1970年]]に[[文藝春秋]]の大人漫画誌『[[漫画読本]]』が休刊するなどジャンル自体が衰退していった。 |
それまでの漫画の主流であり、依然として笑いと不可分でユーモアやナンセンスの要素を強く持った大人漫画は、青少年向けのストーリー漫画とギャグ漫画に食われる形で、[[1970年]]に[[文藝春秋]]の大人漫画誌『[[漫画読本]]』が休刊するなどジャンル自体が衰退していった。 |
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=== 不条理ギャグ === |
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{{複数の問題|section=1 |
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|出典の明記=2018年6月4日 (月) 06:48 (UTC) |
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|独自研究=2018年6月4日 (月) 06:48 (UTC) |
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ゲームの解説書や攻略本、及びゲーム雑誌においてコンピュータゲームをギャグ漫画化したものが載せられることがあった。またホビーメーカーと関わりの強い小学館の[[月刊コロコロコミック]]や[[別冊コロコロコミック]]において、コンピュータゲームを原作としたギャグ漫画が掲載されている。 |
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* 1990年〜 [[沢田ユキオ]] 『[[スーパーマリオくん (沢田ユキオの漫画)|スーパーマリオくん]]』 |
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* 1994年〜2006年 [[ひかわ博一]] 『[[星のカービィ デデデでプププなものがたり]]』 |
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* 1996年〜 [[穴久保幸作]] 『[[ポケットモンスター (穴久保幸作の漫画)|ポケットモンスター]]』 |
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* 1999年〜2011年 [[後藤英貴]] 『[[サルゲッチュ ウキウキ大作戦!]]』 |
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* 2003年〜2006年 [[川野匠]] 『[[激闘!エグゼ兄弟ロックメーン]]』 |
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* 2004年〜2008年 [[のむらしんぼ]] 『ラチェット&クランクガガガ!銀河のがけっぷち伝説』 |
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[[エニックス]]は[[1990年]]から[[2006年]]において自社・他社のゲームを原作としたアンソロジー形式の[[4コママンガ劇場]]を発刊していた。4コママンガ劇場を描いていた漫画家がその後系列雑誌でギャグ漫画家として活躍している([[柴田亜美]]の『[[南国少年パプワくん]]』や[[衛藤ヒロユキ]]の『[[魔法陣グルグル]]』など)。またエニックスは[[月刊少年ギャグ王]]において4コママンガ劇場を描いていた漫画家を多数起用した。その後、エニックス系の雑誌ではギャグを受け入れる下地が出来ることとなり、[[金田一蓮十郎]]や[[木村太彦]]などの漫画家を輩出したり、[[くぼたまこと]]などの他誌で活動していた作家が連載を持ったりした。 |
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== 不条理ギャグ漫画 == |
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不条理ギャグとは、読者にとって不条理で理解しがたいシュールな展開が起こるギャグを指す{{要出典|date=2018年3月30日 (金) 01:52 (UTC)}}。主に{{要出典|date=2018年3月30日 (金) 01:52 (UTC)}}、 |
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* 何でもありなキャラクター |
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* 関係ないセリフ |
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* 脈絡の無い展開 |
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* 起承転結無視 |
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* ツッコミ不在、あるいはツッコミ役がツッコミ放棄 |
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などが使われる。これらは[[ガロ系]]、[[ヘタウマ]]、[[貸本漫画]]、[[ホラー漫画|怪奇漫画]]、[[エロ劇画誌|エロ劇画]]、[[パロディ#日本漫画におけるパロディ|パロディ漫画]]、[[ニューウェーブ (漫画)|ニューウェーブ漫画]]、[[ウェブコミック|ウェブ漫画]]といった表現の制約が少ないジャンルに比較的多くみられる{{要出典|date=2018年3月30日 (金) 01:52 (UTC)}}。 |
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=== 歴史 === |
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[[日本の漫画の歴史|漫画史]]的には[[吾妻ひでお]]が[[1978年]]から[[1979年]]にかけて発表した『'''[[不条理日記]]'''』(第10回[[星雲賞]]受賞作品)が[[不条理]][[ギャグ]]のルーツとみなされており、[[大塚英志]]は80年代当時一世を風靡していた[[吉田戦車]]を「不条理漫画」の祖と持ち上げる風潮に異を唱え、吾妻こそがそれだと主張している<ref>『[[地を這う魚|夜の魚]]―太田COMICS芸術漫画叢書』の[[大塚英志]]による解説『吾妻ひでおを再び「流通」させる理由』</ref>。 |
[[日本の漫画の歴史|漫画史]]的には[[吾妻ひでお]]が[[1978年]]から[[1979年]]にかけて発表した『'''[[不条理日記]]'''』(第10回[[星雲賞]]受賞作品)が[[不条理]][[ギャグ]]のルーツとみなされており、[[大塚英志]]は80年代当時一世を風靡していた[[吉田戦車]]を「不条理漫画」の祖と持ち上げる風潮に異を唱え、吾妻こそがそれだと主張している<ref>『[[地を這う魚|夜の魚]]―太田COMICS芸術漫画叢書』の[[大塚英志]]による解説『吾妻ひでおを再び「流通」させる理由』</ref>。 |
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ただし「不条理漫画」的な作品は吾妻以前にも、[[つげ義春]]『[[ねじ式]]』や[[蛭子能収]]『[[地獄に堕ちた教師ども|愛の嵐]]』、[[赤瀬川原平]]『[[櫻画報]]』など[[ガロ系]]作家による[[アバンギャルド|前衛]]的な漫画作品や、[[赤塚不二夫]]、[[長谷邦夫]]、[[古谷三敏]]ら[[赤塚不二夫#フジオ・プロダクション|フジオプロ]] |
ただし「不条理漫画」的な作品は吾妻以前にも、[[つげ義春]]『[[ねじ式]]』や[[蛭子能収]]『[[地獄に堕ちた教師ども|愛の嵐]]』、[[赤瀬川原平]]『[[櫻画報]]』など[[ガロ系]]作家による[[アバンギャルド|前衛]]的な漫画作品や、『[[天才バカボン]]』などの[[赤塚不二夫]]、[[長谷邦夫]]、[[古谷三敏]]ら[[赤塚不二夫#フジオ・プロダクション|フジオプロ]]のギャグ漫画、ないし[[谷岡ヤスジ]]、[[山上たつひこ]]、[[鴨川つばめ]]、[[ジョージ秋山]]、[[秋竜山]]らによるナンセンスギャグ作品などがあり、[[手塚治虫]]はそれらをまとめて「不条理ギャグ」として取り上げている<ref>『マンガの描き方』(光文社カッパ・ホームス 1977年刊)</ref>。 |
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また必ずしもギャグを意識していない[[ホラー漫画|怪奇漫画]]や[[少女漫画]]でも、内容の奇抜さや不条理な展開から、後年になって不条理ギャグの文脈で再評価される事もある。[[米沢嘉博]]や[[竹熊健太郎]]が監修を務めた[[太田出版]]の復刻漫画レーベル「[[¥800本#QJマンガ選書|QJマンガ選書]]」からは[[徳南晴一郎]]の『[[怪談人間時計]]』([[曙出版]])をはじめ特殊な作風の[[貸本漫画]]が多数復刻された。また[[押切蓮介]]は[[貸本漫画|貸本]][[ホラー漫画]]の「ギャグにしか見えないホラー」という「[[ひばり書房|ひばり系]]ホラー」のテイストをあえて意識した、ホラーとギャグを融合させた作風で創作を行っていた。 |
また必ずしもギャグを意識していない[[ホラー漫画|怪奇漫画]]や[[少女漫画]]でも、内容の奇抜さや不条理な展開から、後年になって不条理ギャグの文脈で再評価される事もある。[[米沢嘉博]]や[[竹熊健太郎]]が監修を務めた[[太田出版]]の復刻漫画レーベル「[[¥800本#QJマンガ選書|QJマンガ選書]]」からは[[徳南晴一郎]]の『[[怪談人間時計]]』([[曙出版]])をはじめ特殊な作風の[[貸本漫画]]が多数復刻された。また[[押切蓮介]]は[[貸本漫画|貸本]][[ホラー漫画]]の「ギャグにしか見えないホラー」という「[[ひばり書房|ひばり系]]ホラー」のテイストをあえて意識した、ホラーとギャグを融合させた作風で創作を行っていた。 |
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==== インターネット ==== |
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|出典の明記=2018年6月4日 (月) 06:48 (UTC) |
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[[2000年代]]に入ると、[[インターネット]]の普及によって自サイト・漫画投稿サイト・ネタ絵投稿サイト・絵投稿サイト・動画投稿サイトなどでのアマチュアによるギャグ漫画作品の発表が増えている。プロの作品と比べ、[[2ch]]原作や[[パロディ]]、[[不条理]]、[[ヘタウマ]]、混沌としたものなど[[インディーズ]]的な要素が強い。[[小林銅蟲]](現在[[イブニング]]に連載)、[[ニャロメロン]](現在[[週刊少年チャンピオン]]連載)、[[高津カリノ]](現在[[ヤングガンガン]]に連載)、[[ちょぼらうにょぽみ]](現在[[まんがぱれっとLite]]に連載)などのインターネット上でギャグ漫画を公開し、人気を博していたアマチュア漫画家が漫画雑誌に連載するようになるケースが増えてきている。また、出版社の運営するサイトでのギャグ漫画連載が出始めている。例えば[[ガンガンONLINE]]に連載中の『[[男子高校生の日常]]』([[山内泰延]])や[[月刊少年シリウス]]のWeb版に連載中の『[[魔女っ娘つくねちゃん|魔女っ娘つくねちゃんWEB]]』([[まがりひろあき]])などがこれである。 |
[[2000年代]]に入ると、[[インターネット]]の普及によって自サイト・漫画投稿サイト・ネタ絵投稿サイト・絵投稿サイト・動画投稿サイトなどでのアマチュアによるギャグ漫画作品の発表が増えている。プロの作品と比べ、[[2ch]]原作や[[パロディ]]、[[不条理]]、[[ヘタウマ]]、混沌としたものなど[[インディーズ]]的な要素が強い。[[小林銅蟲]](現在[[イブニング]]に連載)、[[ニャロメロン]](現在[[週刊少年チャンピオン]]連載)、[[高津カリノ]](現在[[ヤングガンガン]]に連載)、[[ちょぼらうにょぽみ]](現在[[まんがぱれっとLite]]に連載)などのインターネット上でギャグ漫画を公開し、人気を博していたアマチュア漫画家が漫画雑誌に連載するようになるケースが増えてきている。また、出版社の運営するサイトでのギャグ漫画連載が出始めている。例えば[[ガンガンONLINE]]に連載中の『[[男子高校生の日常]]』([[山内泰延]])や[[月刊少年シリウス]]のWeb版に連載中の『[[魔女っ娘つくねちゃん|魔女っ娘つくねちゃんWEB]]』([[まがりひろあき]])などがこれである。 |
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== 内容 == |
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[[パロディ]]・ナンセンス・[[風刺]]、[[言葉遊び]]、[[あるあるネタ]]、[[下ネタ]]、[[ブラックジョーク]]、現実には有り得ない不条理性を提示して笑わせる不条理ギャグなど、様々な笑いのパターンがある。それに加えて、時事性の強いネタ等を扱うことが多いので、時代とともに風化しがちであり、その時代の風俗を知る民俗資料ともなりうる。1話あたりのページ数が1ページから概ね8ページ以内までで完結するギャグ漫画作品は「ショートギャグ漫画」とも言われる。ショートギャグ漫画の性質や世界観、立ち位置などは旧来型のギャグ漫画よりもむしろ[[4コマ漫画]]の方に近いものがある。 |
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絵柄は、写実的なものよりも[[デフォルメ]]の強いコミカルなものになる傾向があるが、[[ストーリー漫画]]同様の絵柄の作品も多い。2000年代以降はデフォルメの少ない[[萌え]]を取り入れた絵柄のギャグ漫画が多く見られるようになり、描き込み度合いの点でもストーリー漫画の絵柄と変わりがない作品が多くなっている。ストーリー性は薄く、連載作品でもストーリーの連続性はないものが比較的多い(例えば、前話で[[死亡]]したキャラクターが次の話で平然と登場し、その理由や脈絡などが一切説明されないなど)。同じ読者の笑いを誘う漫画であっても、キャラ設定の整合性やストーリーの連続性・重要性にも重点を置いている漫画は「[[喜劇|コメディ]]漫画」と称されることが多く、ギャグ漫画と重なりあう部分は大きいものの、ストーリー漫画とも重なる部分もあり、その概念はギャグ漫画よりも広めである。ギャグ漫画においては、ストーリー漫画よりも「定番のパターン」を踏襲しないこと、漫画家自身が過去に存在したギャグとは違う新しいものを創造し続けることに価値が置かれる。このような作業を長期間に亘って続けることは、精神に多大な負担が掛かることは想像に難くない。このためかギャグ漫画家は、[[山上たつひこ]]や[[江口寿史]]、或いは[[小林よしのり]]のように活動の場を他に移したり、デビューからすぐにヒット作を送り出しながら漫画家を続けられなくなる例も多い。 |
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近年においては、ひとつの作品の中でシリアスな描写とコミカルな描写の振れ幅が大きく、一概にギャグ漫画ともストーリー漫画とも括ることができないノンジャンル的な作品も増えつつある。 |
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== 参考資料 == |
== 参考資料 == |
2018年6月6日 (水) 13:40時点における版
ギャグ漫画(ギャグまんが)は、読者を笑わせるギャグ描写を中心として描かれる日本の漫画のこと。コメディ漫画と同一視されてもいるが、現代日本においてコメディはほとんどが健全な笑いのイメージで使われ、またギャグは必ずしも笑顔(心の中だけでも)に誘導することは目的としていない。
歴史
「ポンチ絵」と呼ばれてきた明治期から、漫画という語が定着するようになった大正期の半ばから昭和に入って以降、長く漫画とは政治や世相を風刺して笑えるものという位置付けであった。大人漫画においても子供漫画においても、ギャグのある漫画と断るまでもなく、漫画にとって笑いは不可分な要素であり、笑いのない漫画は存在しなかったのである。
ところが、子供向け漫画において、1960年代の後半頃より笑いの要素をなくした劇画が登場。同時期に赤塚不二夫の『おそ松くん』など少年誌では笑いに特化した漫画が人気を呼ぶようになった。こうして、1960年代後半から1970年代初めにかけて、漫画が笑いの要素のない劇画とギャグ専門のギャグ漫画に分化。ギャグ漫画というジャンルが成立した。
それまでの漫画の主流であり、依然として笑いと不可分でユーモアやナンセンスの要素を強く持った大人漫画は、青少年向けのストーリー漫画とギャグ漫画に食われる形で、1970年に文藝春秋の大人漫画誌『漫画読本』が休刊するなどジャンル自体が衰退していった。
不条理ギャグ
漫画史的には吾妻ひでおが1978年から1979年にかけて発表した『不条理日記』(第10回星雲賞受賞作品)が不条理ギャグのルーツとみなされており、大塚英志は80年代当時一世を風靡していた吉田戦車を「不条理漫画」の祖と持ち上げる風潮に異を唱え、吾妻こそがそれだと主張している[1]。
ただし「不条理漫画」的な作品は吾妻以前にも、つげ義春『ねじ式』や蛭子能収『愛の嵐』、赤瀬川原平『櫻画報』などガロ系作家による前衛的な漫画作品や、『天才バカボン』などの赤塚不二夫、長谷邦夫、古谷三敏らフジオプロのギャグ漫画、ないし谷岡ヤスジ、山上たつひこ、鴨川つばめ、ジョージ秋山、秋竜山らによるナンセンスギャグ作品などがあり、手塚治虫はそれらをまとめて「不条理ギャグ」として取り上げている[2]。
また必ずしもギャグを意識していない怪奇漫画や少女漫画でも、内容の奇抜さや不条理な展開から、後年になって不条理ギャグの文脈で再評価される事もある。米沢嘉博や竹熊健太郎が監修を務めた太田出版の復刻漫画レーベル「QJマンガ選書」からは徳南晴一郎の『怪談人間時計』(曙出版)をはじめ特殊な作風の貸本漫画が多数復刻された。また押切蓮介は貸本ホラー漫画の「ギャグにしか見えないホラー」という「ひばり系ホラー」のテイストをあえて意識した、ホラーとギャグを融合させた作風で創作を行っていた。
マイナー期
かつて「不条理漫画」的な作品は、青林堂発行のオルタナティヴ・コミック誌『月刊漫画ガロ』(1964年創刊〜2002年休刊)をはじめ、1970年代後半以降のニューウェーブ期に相次いで創刊された漫画マニア誌[3]、または蛭子能収、根本敬、山野一、丸尾末広、花輪和一、平口広美、渡辺和博、山田花子、ひさうちみちおら「特殊漫画家」と呼ばれるガロ系の作家が執筆していた自販機本[4]やエロ劇画誌[5]、マニア系のSM誌[6]など発表の場は極めてアンダーグラウンドなマイナー誌やエロ本に限定されていた。
青林堂創業者の長井勝一も「かつてはガロ系と決めつけて他の出版社では本を出してくれないこともあった」と当時を回顧しており、「不条理漫画はメジャーで通用しない」という共通認識が当時の業界にあったという[7]。
メジャー期
しかし、1980年代後半から1990年代以降にかけて相原コージ『コージ苑』、いがらしみきお『ぼのぼの』、吉田戦車『伝染るんです。』、榎本俊二『GOLDEN LUCKY』、ねこぢる『ねこぢるうどん』、中崎タツヤ『じみへん』、漫☆画太郎『珍遊記』、うすた京介『すごいよ!!マサルさん』などのシュールな不条理ギャグ漫画が少年誌や青年誌などで人気を博し、「不条理ギャグ」というジャンルが一般読者に認知され人口に膾炙したことから[8]、不条理漫画家は主なフィールドをマイナー誌からメジャー誌へと移していった[7]。
インターネット
2000年代に入ると、インターネットの普及によって自サイト・漫画投稿サイト・ネタ絵投稿サイト・絵投稿サイト・動画投稿サイトなどでのアマチュアによるギャグ漫画作品の発表が増えている。プロの作品と比べ、2ch原作やパロディ、不条理、ヘタウマ、混沌としたものなどインディーズ的な要素が強い。小林銅蟲(現在イブニングに連載)、ニャロメロン(現在週刊少年チャンピオン連載)、高津カリノ(現在ヤングガンガンに連載)、ちょぼらうにょぽみ(現在まんがぱれっとLiteに連載)などのインターネット上でギャグ漫画を公開し、人気を博していたアマチュア漫画家が漫画雑誌に連載するようになるケースが増えてきている。また、出版社の運営するサイトでのギャグ漫画連載が出始めている。例えばガンガンONLINEに連載中の『男子高校生の日常』(山内泰延)や月刊少年シリウスのWeb版に連載中の『魔女っ娘つくねちゃんWEB』(まがりひろあき)などがこれである。
参考資料
- 石子順造『戦後マンガ史ノート』 紀伊国屋書店、1975年
- 清水勲『漫画の歴史』 岩波書店、1991年
- 夏目房之介『手塚治虫はどこにいる』 筑摩書房、1992年
- 夏目房之介『マンガはなぜ面白いのか』 日本放送出版協会、1997年
- 夏目房之介『マンガの力 成熟する戦後マンガ』 晶文社、1999年
出典
- ^ 『夜の魚―太田COMICS芸術漫画叢書』の大塚英志による解説『吾妻ひでおを再び「流通」させる理由』
- ^ 『マンガの描き方』(光文社カッパ・ホームス 1977年刊)
- ^ 『漫金超』『マンガ宝島』『Peke』『コミックアゲイン』『月刊スーパーアクション』『NEWパンチザウルス』など。
- ^ 自販機本『Jam』『HEAVEN』『EVE』など。
- ^ エロ劇画誌『劇画アリス』『漫画大快楽』『漫画エロジェニカ』『漫画ピラニア』『漫画スカット』『漫画エロス』など。
- ^ SM誌『SMセレクト』『S&Mスナイパー』『純情エンジェル』など。
- ^ a b 幸 (1990年9月17日). “拡大続くマンガ界 最近人気があるのは… おなじみ「ちびまる子ちゃん」ほか”. 読売新聞・東京朝刊: p. 9
- ^ 「ギャグ漫画」が主役を張っていた90年代 どんな作品があった? チョベリグニュース