旅行・観光競争力レポート

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2019年のレポートでは、日本は陸上交通の効率性等、6項目(サブピラー)で1位を記録した。

旅行・観光競争力レポート(りょこう・かんこうきょうそうりょくレポート、Travel and Tourism Competitiveness Report)は、世界経済フォーラム(WEF)により、2007年以降公表されている、旅行・観光業の世界各国(地域)の事業環境に関する研究報告書である。旅行・観光業の利害関係者(ステークホルダー)に向けた、プラットフォームの提供を目的としている[1]。報告書内では、各国(地域)の事業環境に関する評価を、「旅行・観光競争力指数」として算出(算出方法に関しては後述)した上でそのランキングを掲載、併せて各国(地域)の具体的なプロフィールや補足情報が掲載されている。

旅行・観光競争力ランキング[編集]

総合順位[編集]

順位 2019年 2017年 2015年
1 スペインの旗 スペイン 5.4 スペインの旗 スペイン 5.43 スペインの旗 スペイン 5.31
2 フランスの旗 フランス 5.4 フランスの旗 フランス 5.32 フランスの旗 フランス 5.24
3 ドイツの旗 ドイツ 5.4 ドイツの旗 ドイツ 5.28 ドイツの旗 ドイツ 5.22
4 日本の旗 日本 5.4 日本の旗 日本 5.26 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 5.12
5 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 5.3 イギリスの旗 イギリス 5.20 イギリスの旗 イギリス 5.12
6 イギリスの旗 イギリス 5.2 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 5.12 スイスの旗 スイス 4.99
7 オーストラリアの旗 オーストラリア 5.1 オーストラリアの旗 オーストラリア 5.10 オーストラリアの旗 オーストラリア 4.98
8 イタリアの旗 イタリア 5.1 イタリアの旗 イタリア 4.99 イタリアの旗 イタリア 4.98
9 カナダの旗 カナダ 5.1 カナダの旗 カナダ 4.97 日本の旗 日本 4.94
10 スイスの旗 スイス 5.0 スイスの旗 スイス 4.94 カナダの旗 カナダ 4.92
11  オーストリア 5.0 香港の旗 香港 4.86 シンガポールの旗 シンガポール 4.86
12 ポルトガルの旗 ポルトガル 4.9  オーストリア 4.86  オーストリア 4.82
13 中華人民共和国の旗 中国 4.9 シンガポールの旗 シンガポール 4.85 香港の旗 香港 4.68
14 香港の旗 香港 4.8 ポルトガルの旗 ポルトガル 4.74 オランダの旗 オランダ 4.67
15 オランダの旗 オランダ 4.8 中華人民共和国の旗 中国 4.72 ポルトガルの旗 ポルトガル 4.64
16 大韓民国の旗 韓国 4.8  ニュージーランド 4.68  ニュージーランド 4.64
17 シンガポールの旗 シンガポール 4.8 オランダの旗 オランダ 4.64 中華人民共和国の旗 中国 4.54
18  ニュージーランド 4.7  ノルウェー 4.64 アイスランドの旗 アイスランド 4.54
19 メキシコの旗 メキシコ 4.7 大韓民国の旗 韓国 4.57 アイルランドの旗 アイルランド 4.53
20  ノルウェー 4.6  スウェーデン 4.55  ノルウェー 4.52
21  デンマーク 4.6 ベルギーの旗 ベルギー 4.54 ベルギーの旗 ベルギー 4.51
22  スウェーデン 4.6 メキシコの旗 メキシコ 4.54  フィンランド 4.47
23 ルクセンブルクの旗 ルクセンブルク 4.6 アイルランドの旗 アイルランド 4.53  スウェーデン 4.45
24 ベルギーの旗 ベルギー 4.5 ギリシャの旗 ギリシャ 4.51 アラブ首長国連邦の旗 アラブ首長国連邦 4.43
25 ギリシャの旗 ギリシャ 4.5 アイスランドの旗 アイスランド 4.50 マレーシアの旗 マレーシア 4.41
26 アイルランドの旗 アイルランド 4.5 マレーシアの旗 マレーシア 4.50 ルクセンブルクの旗 ルクセンブルク 4.38
27 クロアチアの旗 クロアチア 4.5 ブラジルの旗 ブラジル 4.49  デンマーク 4.38
28  フィンランド 4.5 ルクセンブルクの旗 ルクセンブルク 4.49 ブラジルの旗 ブラジル 4.37
29 マレーシアの旗 マレーシア 4.5 アラブ首長国連邦の旗 アラブ首長国連邦 4.49 大韓民国の旗 韓国 4.37
30 アイスランドの旗 アイスランド 4.5  台湾 4.47 メキシコの旗 メキシコ 4.36
Note: 毎回のレポート発表ごとに、評価要素の数など評価方法が変更されているため、異なる年の指数の比較は意味を持たない。
2015年に評価基準の大幅な変更が行われ、インフラストラクチャーと自然・文化資源(レポート後半)に対する評価の比重が増加した。

ランキング全体の構成[編集]

2019年におけるレポート内の評価基準は、前回同様、4のサブインデックス(Subindex)と、各サブインデックスに付随する合計14のピラー(Pillar)、さらに各ピラーに付随する合計90のサブピラー(Subpillar)から構成されている。

各サブピラーでは、国際的に公表された既存データ(The Hard Data)の引用に加え、世界経済フォーラムが各国(地域)で投資判断を行うエグゼクティブ(上級管理層・経営幹部)を対象に実施したアンケート結果のデータ(Executive Opinion Survey)を併用していることが、本報告書の特色となっている[2]

レポートでは、各サブインデックス・各ピラー・各サブピラーのすべてにわたり、指数化・ランキング化がなされているが、ここではピラーに関しては名称の列挙に止め、各サブピラーにおける日本の順位のみを示した。増加は前回と比較し順位の上がった項目、減少は順位の下がった項目、無印は前回と同じ順位を示す。

可能とする環境(Enabling Environment)[編集]

ビジネス環境(Business Environment)[編集]
サブピラー 日本の旗 日本の順位 典拠
財産権の保護度
(Property rights)
増加9位/140 Executive Opinion Survey
政府の政策の外国直接投資に与え得る影響度
(Business impact of rules on FDI)
増加21位/140 Executive Opinion Survey
論争解決の際の法的枠組みの効率性
(Efficiency of legal framework in settling disputes)
増加8位/140 Executive Opinion Survey
規制との競合の際の法的枠組みの効率性
(Efficiency of legal framework in challenging regulations)
増加16位/140 Executive Opinion Survey
施工許認可に要する日数
(Time required to deal with construction permits)
増加96位/140 世界銀行
施工許認可に要する費用
(Cost to deal with construction permits)
増加15位/140 世界銀行
旅行・観光関係企業の多様性
(Extent of market dominance)
減少2位/140 Executive Opinion Survey
起業に要する日数
(Time required to start a business)
増加71位/140 世界銀行
起業費用
(Cost to start a business)
減少76位/140 世界銀行
税制が労働意欲に与える影響の低さ
(Effect of taxation on incentives to work)
増加34位/140 Executive Opinion Survey
税制が投資に与える影響の低さ
(Effect of taxation on incentives to invest)
増加30位/140 Executive Opinion Survey
税率の総合的な低さ
(Total tax rate)
103位/140 世界銀行
安全とセキュリティ(Safety and security)[編集]
サブピラー 日本の旗 日本の順位 典拠
犯罪・暴力に対するコストの低さ
(Business costs of crime and violence)
増加16位/140 Executive Opinion Survey
警察の信頼度の高さ
(Reliability of police services)
増加9位/140 Executive Opinion Survey
テロに対するコストの低さ
(Business costs of terrorism)
増加62位/139 Executive Opinion Survey
テロ関連の死傷者の少なさ
(Index of terrorism incidence)
減少83位/140 Global Terrorism Database
殺人率の低さ
(Homicide rate)
増加1位/140 国連薬物犯罪事務所
健康と衛生(Health and hygiene)[編集]
サブピラー 日本の旗 日本の順位 典拠
1000人あたりの医師の密度
(Physician density)
増加48位/140 世界保健機関
衛生的な環境を得られる総人口中の割合
(Access to improved sanitation)
1位/140 世界保健機関
安全な飲料水を得られる総人口中の割合
(Access to improved drinking water)
減少45位/140 世界保健機関
10000人あたりの病院ベッド数
(Hospital beds)
1位/134 世界銀行
HIV感染率の低さ
(HIV prevalence)
1位/140 世界銀行
マラリア感染率の低さ
(Malaria incidence)
1位/140 世界保健機関
人的資源と労働市場(Human resources and labour market)[編集]
サブピラー 日本の旗 日本の順位 典拠
正規初等教育の就学度
(Primary education enrollment rate)
減少24位/139 国際連合教育科学文化機関
中高等教育の修了度
(Secondary education enrollment rate)
41位/138 国際連合教育科学文化機関
スタッフ研修の程度
(Extent of staff training)
減少12位/140 Executive Opinion Survey
顧客対応度
(Treatment of customers)
減少2位/140 Executive Opinion Survey
雇用・解雇の柔軟度
(Hiring and firing practices)
増加99位/140 Executive Opinion Survey
熟練した従業員の雇用の容易度
(Ease of finding skilled employees)
減少43位/140 Executive Opinion Survey
外国人雇用の容易度
(Ease of hiring foreign labor)
増加77位/140 Executive Opinion Survey
費用に対する生産性の高さ
(Pay and productivity)
減少33位/140 Executive Opinion Survey
女性労働力の割合の高さ
(Female labour force participation)
76位/140 国際労働機関
情報通信技術への対応(ICT Readiness)[編集]
サブピラー 日本の旗 日本の順位 典拠
企業間取引におけるICT利用度
(ICT use for business-to-business transactions)
6位/140 Executive Opinion Survey
企業・消費者間取引におけるインターネット利用度
(Internet use for business-to-consumer transactions)
減少15位/140 Executive Opinion Survey
個人のインターネット利用率
(Individuals using the Internet)
減少17位/140 国際電気通信連合
100人あたりのブロードバンド固定回線加入者数
(Broadband Internet subscribers)
減少22位/139 国際電気通信連合
100人あたりの携帯電話加入者数
(Mobile telephone subscriptions)
増加32位/140 国際電気通信連合
100人あたりのモバイル機器におけるブロードバンド加入者数
(Mobile broadband subscriptions)
増加2位/140 国際電気通信連合
モバイルネットワークのカバレッジ
(Mobile network coverage)
減少37位/140 国際電気通信連合
電力供給の信頼性
(Quality of electricity supply)
増加11位/140 Executive Opinion Survey

旅行・観光に関する政策と可能にする諸条件(T&T policy and enabling conditions)[編集]

旅行・観光の優先度(Prioritization of Travel&Tourism)[編集]
サブピラー 日本の旗 日本の順位 典拠
政府の旅行・観光業に対する優先度
(Government prioritization of the T&T industry)
減少20位/140 Executive Opinion Survey
政府の旅行・観光関連への支出の割合
(T&T government expenditure)
42位/138 世界旅行ツーリズム協議会
観光客誘致のためのマーケティング・ブランド戦略の効果度
(Effectiveness of marketing and branding to attract tourists)
増加26位/140 Executive Opinion Survey
旅行・観光に関する年間データの網羅度
(Comprehensiveness of annual T&T data)
減少10位/140 世界観光機関
旅行・観光に関する月次・四半期毎のデータ数
(Timeliness of providing monthly/quarterly T&T data)
減少8位/131 世界観光機関
観光関連団体の戦略の妥当性
(Country Brand Strategy rating)
減少108位/139 Bloom Consulting
国際的オープンネス(International Openness)[編集]
サブピラー 日本の旗 日本の順位 典拠
査証の免除度
(Visa requirements)
減少120位/139 世界観光機関
2国間航空サービスの開放度
(Openness of bilateral Air Service Agreements)
10位/139 世界貿易機関
地域貿易協定の締結数
(Number of regional trade agreements in force)
増加34位/139 世界貿易機関
価格競争力(Price Competitiveness)[編集]
サブピラー 日本の旗 日本の順位 典拠
国際航空サービスにおける税コストの軽さ
(Ticket taxes and airport charges)
減少94位/140 国際航空運送協会
高級ホテルの標準的客室の価格水準の低さ(米ドル換算)
(Hotel price index)
増加63位/104 デロイト トウシュ トーマツ
相対的購買力平価の低さ
(Purchasing power parity)
減少128位/140 世界銀行
燃料価格水準の低さ(米ドル換算)
(Fuel price levels)
減少77位/140 世界銀行
環境の持続可能性(Environmental sustainability)[編集]
サブピラー 日本の旗 日本の順位 典拠
環境規制の厳格度
(Stringency of environmental regulation)
減少14位/140 Executive Opinion Survey
環境規制の実行度
(Enforcement of environmental regulation)
14位/140 Executive Opinion Survey
環境保護を考慮した旅行・観光業の持続的発展に向けての政府の戦略度
(Sustainability of T&T industry development)
増加20位/140 Executive Opinion Survey
一立方メートルあたりのPM2.5の濃度の低さ
(Particulate matter 2.5 concentration)
増加80位/140 イェール大学
環境に関する条約の批准数
(Environmental treaty ratification)
増加17位/138 国際自然保護連合
取水率の低さ
(Baseline water stress)
減少80位/129 World Resources Institute
哺乳類・鳥類・両生類の絶滅危惧種の割合の低さ
(Threatened species)
減少132位/140 国際自然保護連合
森林の2000年から2012年における増減率
(Forest cover change)
増加22位/132 イェール大学
廃水処理率
(Wastewater treatment)
増加34位/121 イェール大学
排他的経済水域における漁獲密集度の低さ
(Coastal shelf fishing pressure)
減少78位/85 イェール大学

インフラストラクチャー(Infrastructure)[編集]

航空交通のインフラ(Air transport infrastructure)[編集]
サブピラー 日本の旗 日本の順位 典拠
航空インフラの品質
(Quality of air transport infrastructure)
増加16位/140 Executive Opinion Survey
国内線定期便における週あたりの利用可能な座席キロ数
(Available seat kilometers, domestic)
減少7位/105 国際航空運送協会
国際線定期便における週あたりの利用可能な座席キロ数
(Available seat kilometers, international)
減少8位/140 国際航空運送協会
1000人あたりの機材数
(Aircraft departures)
増加43位/128 国際航空運送協会
人口に対する空港の密度
(Airport density)
増加91位/140 国際航空運送協会
運航中の航空会社数
(Number of operating airlines)
減少17位/138 国際航空運送協会
陸上交通と港湾のインフラ(Ground and port infrastructure)[編集]
サブピラー 日本の旗 日本の順位 典拠
道路の品質
(Quality of roads)
減少6位/140 Executive Opinion Survey
道路の密度
(Road density)
増加6位/129 IRF Geneva
舗装道路の密度
(Paved road density)
増加6位/123 IRF Geneva
鉄道インフラの品質
(Quality of railroad infrastructure)
減少2位/105 Executive Opinion Survey
鉄道の密度
(Railroad density)
減少20位/103 IRF Geneva
港湾インフラの品質
(Quality of port infrastructure)
増加17位/139 Executive Opinion Survey
国内陸上交通(列車・地下鉄・バス・タクシー)の効率性
(Ground transport efficiency)
1位/140 Executive Opinion Survey
観光のインフラ(Tourist service infrastructure)[編集]
サブピラー 日本の旗 日本の順位 典拠
人口100人あたりのホテルの部屋数
(Hotel rooms)
減少35位/144 世界観光機関
ツーリズムインフラの質
(Quality of tourism infrastructure)
減少48位/140 Executive Opinion Survey
7大主要レンタカー会社[3]の密度
(Presence of major car rental companies)
増加43位/136 Individual rental car websites, online research
成人10万人あたりのATM
(ATMs per adult population)
10位/140 世界銀行

自然・文化資源(Natural and cultural resources)[編集]

自然資源(Natural resources)[編集]
サブピラー 日本の旗 日本の順位 典拠
世界自然遺産
(Number of World Heritage natural sites)
減少16位/91 国際連合教育科学文化機関
哺乳類・鳥類・両生類の総生物種数
(Total known species)
増加59位/140 国際自然保護連合
自然保護地域の割合
(Total protected areas)
減少76位/140 国際連合統計部
環境ツーリズムに対する検索の多さ
(Natural tourism digital demand)
増加18位/140 Bloom Consulting
自然環境の魅力の高さ
(Attractiveness of the natural assets)
増加59位/140 Executive Opinion Survey
文化資源とビジネス旅行(Cultural resources and business travel)[編集]
サブピラー 日本の旗 日本の順位 典拠
世界文化遺産
(Number of World Heritage cultural sites)
増加10位/126 国際連合教育科学文化機関
口承・無形遺産
(Oral and intangible cultural heritage)
減少3位/105 国際連合教育科学文化機関
大規模スポーツスタジアム数
(Sports stadiums)
増加3位/121 Worldstadiums.com
国際会議開催数
(Number of international association meetings)
増加7位/137 国際会議協会
文化・娯楽ツーリズムに対する検索の多さ
(Cultural and entertainment tourism digital demand)
5位/140 Bloom Consulting

指数の算出方法[編集]

「旅行・観光競争力指数」(Travel & Tourism Competitiveness Index)は、典拠となるデータを、1から7までの数字による尺度に変換し、算出されている[4]

  • 高い数値が良い結果を示す指標の場合、計算式は以下の通り。
6×(CS-LS)÷(HS-LS)+1
  • 高い数値が良くない結果を示す指標(殺人率など)の場合、計算式は以下の通り。
-6×(CS-LS)÷(HS-LS)+7
(CS = Country Score.、LS = The lowest scores of the overall sample、HS = The highest scores of the overall sample)

脚注[編集]

  1. ^ 報告書序文に記載。
  2. ^ 典拠は報告書末尾のTTCI Methodology and Data Sourcesに付記されている。
  3. ^ エイビス・レンタカーバジェット・レンタカーヨーロッパカーザ・ハーツ・コーポレーションナショナルカーレンタルシクストスリフティの7社。
  4. ^ 以下、報告書中、Appendix Aに記載。

外部リンク[編集]