岡部多喜子

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岡部 多喜子
生誕 (1919-02-24) 1919年2月24日
出身地 日本の旗 日本 東京府
死没 (2020-10-15) 2020年10月15日(101歳没)
日本の旗 日本 栃木県 宇都宮市
学歴 東京音楽学校
ジャンル クラシック音楽
職業 声楽家ソプラノメゾソプラノ
音楽教育者
オペラ歌手
著名使用楽器
声楽

岡部 多喜子(おかべ たきこ、1919年(大正8年)2月24日[1] - 2020年(令和2年)10月15日)は、日本の声楽家ソプラノメゾソプラノ)、オペラ歌手、音楽教育者東京藝術大学名誉教授

経歴[編集]

東京府出身。東京音楽学校卒業。長坂好子に師事[2]

1942年(昭和17年)2月6日 第13回全日本新人紹介演奏会(夜 日比谷公会堂)でヴェルディドン・カルロス』よりエボリ姫の詠唱、清水脩『春の寺』(記録は『メツォソプラノ』である)を歌う[3]。また、レコードの吹込みも行うなど、戦時中も途切れず音楽活動を行う[1]

戦後、オペラにおいて、1950年(昭和25年)6月11日に長門美保歌劇團公演 日比谷公会堂 モーツァルトフィガロの結婚』ケルビーノ(指揮金子登[4]、1954年(昭和29年)12月24日、25日、26日、28日 俳優座劇場 二期会 メノッティアマールと夜の訪問者』アマールの母(指揮:伊藤栄一[5]を演じている。

昭和30年代に政府給付留学の初の留学生としてイタリアヴェネツィアへ留学。帰国後、東京藝術大学で数十年にわたり日本における西洋歌曲の教育に人生を捧げた[1]鳴門教育大学などでも教えた[6]。イタリアのベルカントの第一人者であった[1]が、1961年(昭和36年)に畑中良輔中村浩子とともに大中恩の「歌曲の夕べ」をアシストをするなど、日本の新たな芸術歌曲の振興にも細心している[7]。その傍らテレビ番組にも出演し、幅広く音楽文化の振興に努めた。

コンサートにおいても、1952年(昭和27年)4月11日 名古屋市公会堂 東京芸術大学音楽学部大演奏会 ヴェルディ『レクイエム』メゾソプラノソロ(指揮:金子登 独唱:毛利順子 岡部多喜子 柴田睦陸 中山悌一 管弦楽:東京芸術大学音楽学部管弦楽部 合唱:東京芸術大学音楽学部 学生・生徒)[8]。1954年(昭和29年)4月5日 日比谷公会堂 東京フィルハーモニー交響樂團第10(23)回定期演奏会 ラヴェル子供と呪文』子供(指揮:渡邉曉雄 コンサート形式)[9]。1960年(昭和35年)11月21日 日比谷公会堂での東京芸術大学音楽学部第117回定期演奏会 マーラー生誕100年記念演奏においてマーラー交響曲第2番『復活』ソプラノソロを務める(指揮:金子登 独唱:岡部多喜子 戸田敏子 管弦楽:東京芸術大学音楽学部管弦楽部 合唱:東京芸術大学音楽学部声楽科学生)[10]。1966年(昭和41年)9月30日 共立講堂における初の二期会ゴールデンコンサートに伊藤京子、滝沢三重子、三宅春惠川崎静子栗本尊子、戸田敏子、松内和子、荒木宏明、柴田睦陸、高田信男、中村健、布施隆治、栗本正立川清登、中山悌一、畑中良輔等とともに第一線の歌手の一人として出演している[11]

音楽教育者として東京藝術大学助教授教授、名誉教授を務め、数多くの音楽家を育てており、斉田正子[12]、三津山和代[13]、天羽明惠[14]井上ゆかり[15]片桐和子[16]、東城弥恵[17]、上田京子[18]、高須礼子[19]、池田美也子[20]、丸山正子[21]、日野妙果[21][22]、枡本侑子[23]、豊田千恵子[24]、大音典子[25]浦野りせ子[26]、岩永十紀子[27]、民秋理[28]、佐々木英代[29]、山本善吉[30]、藤井あや[31]、西八條靖子[32]、吉川英子[33]、大塚京子[34]、岩波淑子[35]、塩沢聖一[36]、鎌田滋子[37]、秋永佳世[38]などが岡部に師事している。87歳の2007年(平成19年)当時も毎月長野県伊那市まで指導に赴いていた[39]

2008年には第20回日本声楽コンクール運営委員審査委員を務める[40]。イタリア声楽コンコルソ審査員[41]。また、日伊声楽コンコルソの特別賞として「歌曲賞(岡部多喜子・嶺貞子賞)」が設けられている[42]

2020年(令和2年)10月15日、老衰のため宇都宮市の病院で[43]死去、101歳没[6]。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は甥の野間重孝(のま・しげたか:栃木県済生会宇都宮病院院長[44][6]

ディスコグラフィー[編集]

  • 二部輪唱:機械 弘田龍太郎作曲 弘田龍太郎:編曲 酒井弘 波平暁男 岡部多喜子 鎌倉和子(コロムビア(戦前)商品番号:33816 1943-02)[45]
  • 独唱、斉唱:ウタノエホン・大東亞共榮唱歌集(八):アイウエオノ ウタ 砂川守一:作詞 堀内敬三:作曲 佐々木すぐる:編曲 岡部多喜子 日蓄兒童合唱團(コロムビア(戦前)商品番号:33824 1943-03)[45]
  • 童謡:村祭り(文部省小学唱歌):作詞 弘田龍太郎:作曲 弘田龍太郎:編曲 岡部多喜子:ソプラノ 鎌倉和子(コロムビア 商品番号:CAK10)[45]
  • CD2枚組 ABCホームソング・アーカイヴス オムニバス(1952年 - 1972年まで大阪ABCラジオで放送された音楽番組『ABCホームソング』のアーカイヴ・コレクション)2012年3月28日 Solid Records[46]

掲載記事[編集]

放送出演[編集]

NHKクロニクルによる[47]

エピソード[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e FAZIOLI PIANOFORTI | ファツィオリ日記 - 岡部多喜子先生とファツィオリ 心より感謝申し上げます”. fazioli.co.jp. 2021年1月16日閲覧。
  2. ^ 明治~平成,367日誕生日大事典, 20世紀日本人名事典,新撰 芸能人物事典. “長坂 好子とは” (日本語). コトバンク. 2021年1月16日閲覧。
  3. ^ ケンプの写真 - toty日記” (日本語). ケンプの写真 - toty日記. 2021年1月16日閲覧。
  4. ^ ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト, ピエール=オーギュスタン・ボーマルシェ. “《フィガロの結婚》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2021年1月16日閲覧。
  5. ^ 石桁眞禮生, 松本重真. “《河童譚》《アマールと夜の訪問者》” (Japanese). opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2021年1月16日閲覧。
  6. ^ a b c 岡部多喜子さん死去 声楽家、東京芸術大名誉教授:東京新聞 TOKYO Web” (日本語). 東京新聞 TOKYO Web. 2021年1月16日閲覧。
  7. ^ 作曲家としての歩み | 大中恩 音楽記念館 - 作曲家 大中恩のオフィシャルサイト” (日本語). 大中 恩 音楽記念館. 2021年1月16日閲覧。
  8. ^ 東京都古書籍商業協同組合『[公演パンフレット] 東京芸術大学音楽学部大演奏会 ヴェルディ作曲 REQUIEM(安息彌撒曲) : 昭和27年4月11日、名古屋市公会堂(指揮:金子登 管弦楽:東京芸術大学音楽学部管弦楽部 合唱:東京芸術大学音楽学部 学生・生徒 独唱:毛利順子、柴田睦陸、岡部多喜子、中山悌一) / 銀のぺん / 古本、中古本、古書籍の通販は「日本の古本屋」』(日本語)。
  9. ^ モーリス・ラヴェル, コレット. “《子供と呪文》”. opera.tosei-showa-music.ac.jp. 2021年1月16日閲覧。
  10. ^ 19601121藝大定期117 | GEIDAI Music Archive” (日本語). 2021年1月16日閲覧。
  11. ^ 「二期会ゴールデンコンサート at 津田ホール Vol.48チャリティー・ガラ・コンサート」特設ページ - 主催・制作コンサート - 二期会21”. www.nikikai21.net. 2021年1月16日閲覧。
  12. ^ Benvenuto alla CAMERA di MASAKO SAIDA”. www.good-voice.co.jp. 2021年1月16日閲覧。
  13. ^ 三津山 和代”. www.jvf.gr.jp. 2021年1月16日閲覧。
  14. ^ 天羽明惠(あもうあきえ) - 五島記念文化賞 | 公益財団法人 東急財団 - つながり、はぐくむ 続く未来と真の豊かさ。”. foundation.tokyu.co.jp. 2021年1月16日閲覧。
  15. ^ 井上ゆかり いのうえゆかり 声楽家 オペラ歌手 ソプラノ Yukari Inoue - みんなの写真コミュニティ「フォト蔵」” (日本語). フォト蔵. 2021年1月16日閲覧。
  16. ^ 第7回音楽会のご案内”. www.shodou.or.jp. 2021年1月16日閲覧。
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  19. ^ 2、素晴らしい響きの教会”. fweb.midi.co.jp. 2021年1月16日閲覧。
  20. ^ 歌曲を楽しむ | 大阪シティアカデミー | 大阪 JR吹田駅直結のカルチャーセンター”. oc-academy.com. 2021年1月16日閲覧。
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  22. ^ アルト 日野妙果”. orchestra.musicinfo.co.jp. 2021年1月16日閲覧。
  23. ^ Spring Concert”. fsk-hall.jp. 2021年1月16日閲覧。
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  25. ^ プリマドンナ” (日本語). canzone. 2021年1月16日閲覧。
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  43. ^ 岡部多喜子さん死去 声楽家|全国のニュース|佐賀新聞LiVE” (日本語). 佐賀新聞LiVE. 2021年1月16日閲覧。
  44. ^ 職員が働きやすく発言しやすい環境を” (日本語). 2021年1月16日閲覧。
  45. ^ a b c d e 国立国会図書館デジタルコレクション - 検索結果”. dl.ndl.go.jp. 2021年1月16日閲覧。
  46. ^ 園まり/ABCホームソング・アーカイヴス”. tower.jp. 2021年1月16日閲覧。
  47. ^ 岡部 多喜子”. NHKクロニクル. 2021年1月16日閲覧。
  48. ^ 畑中良輔 (2012年7月31日). 荻窪ラプソディー. 音楽之友社. p. 67
  49. ^ 引用したサイトでは「94歳」となっているが、死没時の年齢と合わないため改めた。