リンド (北欧神話)
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リンド(古ノルド語: Rindr)は、北欧神話の登場人物。オーディンの子ヴァーリを生んだ。
『エッダ』
[編集]『古エッダ』の『バルドルの夢』において、リンドの生んだヴァーリが、バルドルを殺したヘズに復讐をすると予言される[1]。
『スノリのエッダ』第一部『ギュルヴィたぶらかし』ではアース女神の一員に数えられている[2]。彼女は巨人である可能性がある[3]。
『デンマーク人の事績』
[編集]サクソ・グラマティクスの『デーン人の事蹟(デンマーク人の事績)』によれば、リンダ(リンド)はルテニア(ロシア)王の娘であり、オーティヌス(オーディン)はバルデルス(バルドル)の復讐者をリンダとの間にもうけなければならなかったが、リンダはオーティヌスを拒絶した。そのためオーティヌスは半ば強引な手段をとり、それが原因で王位を追われた。リンダはその後、ホテルス(ヘズ)に復讐するボーウスを産んだ[4][5]。
脚注
[編集]- ^ ネッケル他編,谷口訳 (1973)、200頁(「バルドルの夢」第11聯)。
- ^ ネッケル他編,谷口訳 (1973)、253頁(「ギュルヴィたぶらかし」第36章)。
- ^ パウルソン,菅原訳 (1995)、187頁。
- ^ サクソ,谷口訳 (1993)、105-110頁(「第三の書」 3)。
- ^ ストレム,菅原訳 (1982)、157-158頁。
参考文献
[編集]原典資料
[編集]- 『古エッダ』『スノリのエッダ』
- V.G.ネッケル他 編『エッダ - 古代北欧歌謡集』谷口幸男訳、新潮社、1973年8月。ISBN 978-4-10-313701-6。
- 『デーン人の事跡』
- サクソ・グラマティクス『デンマーク人の事績』谷口幸男訳、東海大学出版会、1993年9月。ISBN 978-4-486-01224-5。
二次資料
[編集]- ストレム, フォルケ『古代北欧の宗教と神話』菅原邦城訳、人文書院、1982年10月。ASIN B000J7HY5I。ISBN 978-4-409-53003-0。
- パウルソン, ヘルマン、菅原邦城訳「第七章 北方から来た女たち」『オージンのいる風景 - オージン教とエッダ』大塚光子、西田郁子、水野知昭、菅原邦城訳、東海大学出版会、1995年2月。ISBN 978-4-486-01318-1。