ストリート・オブ・ファイヤー
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ストリート・オブ・ファイヤー | |
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Streets of Fire | |
監督 | ウォルター・ヒル |
脚本 |
ウォルター・ヒル ラリー・グロス |
製作 |
ローレンス・ゴードン ジョエル・シルバー |
製作総指揮 | ジーン・レヴィ |
出演者 |
マイケル・パレ ダイアン・レイン ウィレム・デフォー エイミー・マディガン |
音楽 | ライ・クーダー |
主題歌 |
『Deeper And Deeper』 ザ・フィックス |
撮影 | アンドリュー・ラズロ |
編集 | フリーマン・デイヴィス |
配給 |
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公開 |
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上映時間 | 93分 |
製作国 |
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言語 | 英語 |
製作費 | $14,500,000 |
興行収入 | $8,089,290[1] |
『ストリート・オブ・ファイヤー』(原題/英題:Streets of Fire)は、1984年製作のアメリカ合衆国の映画。西部劇の形式を踏襲したロック映画。人が一人も死なないという珍しいアクション映画である。『キネマ旬報』において、1984年度の読者選出外国映画ベスト・テンの第1位に選ばれた。
高架と路地裏の町リッチモンドが舞台(ロケ地は主にシカゴ)となる。
あらすじ[編集]
人気ロック歌手、エレン・エイムが地元での凱旋ライブ中にストリートギャング“ボンバーズ”に拉致される。彼女の大ファンのリーヴァは弟トムに助けを求め、エレンのマネージャー、ビリーがトムを雇うと申し出る。トムは偶然出会った陸軍あがりの女兵士マッコイを相棒にボンバーズのアジトを急襲し、エレンを救い出す。
トムとエレンはかつて恋仲だったが、エレンが歌手を目指すために心ならずも別れていた。今回の救出をきっかけに再び心が揺れるが、トムが金のために自分を救出したとエレンが誤解し仲違いする。しかし、トムがビリーから謝礼を受けとらなかったと知り、二人の間にふたたび愛の炎が燃え上がる。
その一方、面目を潰されたボンバーズのボス、レイヴェンはボンバーズを率いて街を襲撃しようとしていた。その前に立ちはだかるトム。レイヴェンはトムに一騎討ちを申し出、トムも受けて立つ。一対一の壮絶な対決の末、トムが勝利する。ボスの敗北、住民の決起の姿をみてボンバーズは引き上げ、街に平和が訪れる。
エレンはトムに復縁を申し出るが、トムは「俺は君の付き人になる男じゃねぇ」と言い、二人は再びそれぞれの道を歩むこととなる。ステージで歌う彼女の姿を見守りつつ、トムはマッコイと共に街を去って行く。
キャスト[編集]
役名 | 俳優 | 日本語吹替 | |
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フジテレビ版 | オンデマンド配信版 | ||
トム・コーディ | マイケル・パレ | 池田秀一 | 小山力也 |
エレン・エイム | ダイアン・レイン | 山本百合子 | 藤本喜久子 |
レイヴェン | ウィレム・デフォー | 石丸博也 | 咲野俊介 |
ビリー・フィッシュ | リック・モラニス | 納谷六朗 | 真殿光昭 |
マッコイ | エイミー・マディガン | 戸田恵子 | 朴璐美 |
リーヴァ・コーディ | デボラ・ヴァン・フォルケンバーグ | 小山茉美 | |
クライド | ビル・パクストン | 関俊彦 | 花輪英司 |
バード | ストーニー・ジャクソン | 塩沢兼人 | 檀臣幸 |
その他 | 竹村拓 さとうあい キートン山田 屋良有作 幹本雄之 おぼたけし 三田ゆう子 山形ユキオ 二又一成 |
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演出 | 壺井正 | ||
翻訳 | 平田勝茂[注 1] | ||
効果 | PAG | ||
担当 | 戸張太啓寿 | ||
配給 | 日本MCA | ||
解説 | 高島忠夫 | ||
制作 | グロービジョン | ||
初回放送 | 1986年11月22日 『ゴールデン洋画劇場』[2] |
プロダクション・ノート[編集]
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- もともとは"The Adventures of Tom Cody" と命名された3部作構想で、"The Far City"、"Cody's Return"と続く予定だった。
- 劇中のダイアン・レイン演じるエレン・エイムおよび、マイケル・パレ演じるトム・コーディの衣装はジョルジオ・アルマーニである。 [3]
- 劇の約半分は夜の場面だが、本作は夜間に撮影されておらず、ほぼ全てが日中に撮影されている。夜間撮影は日中撮影よりも人件費がかさむため。夜のシーンを日中に撮影するため、20メートル間隔に配置した85本の柱でセットを囲み、自動制御の防水カバーで覆うことでセットの上に巨大な暗幕を広げて「人工の夜」を作り出して撮影された[4]。
- 主役トムの相棒マッコイは、当初メキシコ人男性という設定であったが、エイミー・マディガン自身の強烈な売り込みによって監督が折れて、女兵士という設定となった。
- ウォルター・ヒルの前作『48時間』の製作中に、この映画の脚本が進行していて、エディ・マーフィのプロモーターの推薦によって主役が、この時まだ無名のマイケル・パレとなった。監督は、パレは経験は浅いが、強靭さと無邪気さの均衡が役にぴったりでいけると思ったと言っている。この役の成功で、パレは一躍脚光を浴びることになる。
- ダイアン・レインは、役のオーディションを受けたときに、思い切りロック風にしたのが、監督のイメージにぴったりあったのだろうと述べている。この映画の見所のひとつは、はじめと最後のダイアン・レイン扮するエレンのライブシーンであった。
- 初期の字幕ではマッコイがボンバーズのアジトでギャングを殴るときに「ゲームをしようか?暗闇って言うんだ」と言っていたのが、「ゲームをしようか?停電って言うんだ」に変わっている。
スタッフ[編集]
- 監督:ウォルター・ヒル
- 製作:ローレンス・ゴードン、ジョエル・シルバー
- 脚本:ウォルター・ヒル、ラリー・グロス
- 撮影:アンドリュー・ラズロ
- 編集:フリーマン・デイヴィス
- 音楽:ライ・クーダー
音楽[編集]
- ダイアン・レイン本人は歌に意欲を見せてはいたのだが、冒頭と終盤のコンサート・シーンでエレン・エイムが歌う2曲「ノーホエア・ファスト」「今夜は青春」は、作者ジム・スタインマンのお気に入りローリー・サージェント(バンド Face to Face のボーカル)と Holly Sherwood とによる吹き替えとなった。
- 劇中に登場する黒人4人組ドゥーワップバンド The Sorels の歌は、Winston Ford による吹き替え。ただし、サントラ・アルバムには、他の歌手が歌っているバージョンが収録されている。その中で最大のヒット曲 "あなたを夢見て(I Can Dream About You)" は、作曲者である元The Edgar Winter Groupの ダン・ハートマン Dan Hartman 自らによるバージョン。
- エレンが劇中で唄っていた「今夜は青春(Tonight Is What It Means to Be Young)」は、「今夜はANGEL」のタイトルで椎名恵によってカバーされ、1985年放映のフジテレビ系大映テレビドラマ『ヤヌスの鏡』の主題歌として日本でも大ヒットした。
- 制作当初、劇中で使われる音楽のアレンジは劣悪で、聴くに耐えないような酷いものであった(アメリカ版劇場予告編では、酷いバージョンがそのまま使用されて公開された。日本国内販売されているDVDに収録されている)。[要出典]
- スタインマンのアルバム「Bad for Good」にも参加した音楽界の大物ジミー・アイオヴィン Jimmy Iovine が音楽スーパーヴァイザーを担当(後に「アメリカン・アイドル」でメンターとして出場者の指導も担当した)。ダイアンがステージで歌う2曲に関しては、絶対的に一人の音量ではヴォーカルの厚みが薄くなるので、2,3人のヴォーカリストがユニゾンで歌ったものを電子的に合成して作ったと、Inside'Streets of Fire'の映像インタビューでジミーが述べている。
影響[編集]
本作は日本のアニメ制作会社ガイナックスの創作活動に多大な影響を与えたという[5]。元ガイナックス社長で評論家の岡田斗司夫は、ニコニコチャンネル『岡田斗司夫ゼミ』2015年2月1日号で、本作について熱く語ると共に、ガイナックスの制作陣がみな本作に惚れ込んで同じ要素を盛り込みたがり、作品という作品が影響を受けていたと振り返っている[5]。なんとか影響を反映させずに作ったのは『王立宇宙軍 オネアミスの翼』(1987年〈昭和62年〉公開)だけであったという[5]。そもそも岡田が自身のゼミナールで本作を紹介したのは、『スター・ウォーズ』(エピソード4)が空前の大ヒットを遂げた原因の一つに「よくできた寓話」であったことを挙げ、その話の流れで、優れた寓話の別の例として本作を挙げたからであった[5]。その話のなかで、本作『ストリート・オブ・ファイヤー』のヒロインである歌姫エレン・エイムは、テレビアニメ『超時空要塞マクロス』の歌姫リン・ミンメイと同じ立ち位置のキャラクターであるとも指摘している[5]。そして、『スター・ウォーズ』(エピソード4。1977年公開)も『超時空要塞マクロス』(1982年〈昭和57年〉放映開始)も『ストリート・オブ・ファイヤー』(1984年公開)も、ベースにあるのは囚われのお姫様と勇者と仲間たちの物語であるとしている[5]。
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ 初回放送時の劇中歌の翻訳は吉田啓介が担当している。
出典[編集]
- ^ “Streets of Fire (1984)” (英語). Box Office Mojo. 2010年2月11日閲覧。
- ^ 思い出の復刻版DVD・BD収録
- ^ 本編エンドロール中に、「Wardrobe Provided by GIORGIO ARMANI(衣装提供担当 ジョルジオ・アルマーニ)」と明記されている。
- ^ DVD内プロダクション・ノート
- ^ a b c d e f 岡田ゼミ 2015年2月1日号
参考文献[編集]
- 岡田斗司夫 (2018年7月14日). “「『スター・ウォーズ』を岡田斗司夫が徹底解説」 2015年2月1日号ニコ生ゼミ テキスト全文公開”. 公式ブログ. 2020年7月4日閲覧。
- 岡田斗司夫 (2015年2月3日). 岡田斗司夫ゼミ2月1日号『最新情報スターウォーズ7の最新情報からイスラム国の全て!』 (動画共有サービス). 株式会社ドワンゴ.. 該当時間: 34m01s-38m28s 2020年7月4日閲覧. "岡田斗司夫 YouTube公式チャンネル"
- ※概要:(1)(前段として)『スター・ウォーズ』(エピソード4)は何故ヒットしたのかという問いに、よくできた寓話であることを理由の一つとして挙げる (17m03s-18m32s)。(2) 寓話の例として、『スター・ウォーズ』のほかに『ストリート・オブ・ファイヤー』を紹介する(ヒロインの歌姫と『超時空要塞マクロス』の歌姫リン・ミンメイと同じ立ち位置。ベースにあるのは囚われのお姫様と勇者と仲間たちの物語)(34m01s-38m28s)。
外部リンク[編集]
- ストリート・オブ・ファイヤー - allcinema
- ストリート・オブ・ファイヤー - KINENOTE
- Streets of Fire - オールムービー(英語)
- Streets of Fire - インターネット・ムービー・データベース(英語)
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