グッドモーニング, ベトナム

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グッドモーニング, ベトナム
Good Morning, Vietnam
監督 バリー・レヴィンソン
脚本 ミッチ・マーコウィッツ
製作 マーク・ジョンソン
ラリー・ブレズナー
出演者 ロビン・ウィリアムズ
フォレスト・ウィテカー
ドゥング・タン・トラン
音楽 アレックス・ノース
主題歌 ルイ・アームストロング
この素晴らしき世界
撮影 ピーター・ソーヴァ
編集 ステュー・リンダー
配給 アメリカ合衆国の旗 タッチストーン・ピクチャーズ
日本の旗 ワーナー・ブラザース
公開 アメリカ合衆国の旗 1987年12月23日
日本の旗 1988年10月8日
上映時間 121分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $13,000,000
興行収入 $123,922,370[1]
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グッドモーニング, ベトナム』(英語: Good Morning, Vietnam)は、1987年製作のアメリカ映画。一人のAFNDJが、兵士達を笑いとロックで癒し、ベトナム人と触れ、戦争の冷酷さに翻弄される5ヶ月を描いたベトナム戦争映画の中でも異色の作品。主演のロビン・ウィリアムズアカデミー主演男優賞ゴールデングローブ賞主演男優賞に推され、ゴールデングローブ賞を受賞している。

概要[編集]

ベトナム戦争の拡大期の1965年アメリカ南ベトナムに兵を送り込み続けていたサイゴン(現ホーチミン市)とその近辺を舞台に、兵士の士気高揚のために送り込まれた一人の空軍兵DJが、AFNで規則無視のハイテンションで型破りなラジオ放送を行う。

レインマン』のバリー・レヴィンソン監督がメガホンを取り、ロビン・ウィリアムズが人間味溢れる型破りなDJ、エイドリアン・クロンナウアを演じている。サイゴン市内におけるベトコンによる爆弾テロなどのシーンこそあるものの、交戦シーンや残酷なシーンなど、戦争映画に付き物のシーンが比較的少ない点が、他のベトナム戦争映画と一線を画する。

他のベトナム戦争映画に多くみられるような、あからさまな反戦、あるいは戦争の美化を謳いはしないが、戦争のむなしさや冷酷さ、アメリカ軍内の硬化した体質や情報操作、アメリカ人のベトナム人に対する人種差別やベトナム人女性蔑視、そしてアメリカによる他国への一方的な価値観の押し売りを柔らかに批判した快作と評され、ロビン・ウィリアムズがゴールデングローブ賞主演男優賞を獲得、アカデミー賞主演男優賞候補にもなるなど高い評価を得ている。

なお、主人公クロンナウアは実在の人物で、除隊後は弁護士をしている(en:Adrian Cronauer)。また登場する番組はクロンナウアが1965年から1966年までAFVN(Armed Forces Viet-nam Networks、ベトナム米軍放送)で担当していた「Dawn Buster」をモデルにしたもの。

あらすじ[編集]

新任DJ[編集]

1965年、アメリカは「反共南ベトナムへの支援」を名目にベトナムに兵を送り込み続け、戦況は拡大の一途を辿り、サイゴン市内でもベトコンによるテロが頻発するようになっていた。その様な状況下で、軍サイゴン放送局の局長テイラー将軍は、兵の士気高揚のため、クレタ島から一人の人気DJを呼び寄せる。空軍のエイドリアン・クロンナウア(ロビン・ウィリアムズ)である。ユナイテッド航空ダグラス DC-8で到着したクロンナウアは、陽気なガーリック(フォレスト・ウィテカー)に迎えられタンソンニャット基地から局へと向かうが、さっそく現地のアオザイの女性に目を奪われる。

局へ着いたクロンナウアは軍指定の推薦曲を無視し、「グーッモーニン、ヴィエットナーム!」のシャウトと共に、マシンガントークとロックンロールで放送を始める。ギャグ・ジョーク・皮肉・物真似満載のDJトークは、ガーリックやドライウィッツ(ロバート・ウール)、ラジオ局内、戦場の兵達に熱烈な支持を受ける。しかし、上官二人――ギャグのセンスがズレているホーク少尉(ブルーノ・カービー)と、上司で軍規を重視する元特殊部隊隊長のディッカーソン曹長(J・T・ウォルシュ)――は、それを苦々しく感じていた。

トリンとツアン[編集]

外のGIバーに出かけたクロンナウアは、アオザイ姿の少女に一目惚れし、金銭に糸目をつけず、無理矢理自転車を調達して追いかける。その様子は、南ベトナムを圧倒的な金銭と物量で「支援」するアメリカ軍の姿そのものだった。たどり着いた先は、アメリカ軍がベトナム人との交流促進を図り主催している英語教室。彼は、教師に賄賂を握らせ、代わりに「生きた英語」と称してスラングたっぷりの授業を行う。最初は当惑していた生徒たちだが、だんだんとクロンナウアのトークに乗ってきた。教室が終わり、アオザイの少女トリン(チンタラ・スカバタナ)を口説こうとするクロンナウアを、トリンの兄ツアン(ドゥング・タン・トラン)が制止する。

ツアンは「アメリカ人は皆ベトナム女性を口説いてしまう」と思っているし、クロンナウアはベトナム女性の繊細さと純情さを理解しようとすらしていなかった。しかしツアンは親交の証にと、屋台で魚団子のニョクマムスープを食べさせる。むせるクロンナウアを笑うツアン。その後、クロンナウアはツアンを連れて南ベトナム人が経営するアメリカ兵向けのGIバーに行くが、そこで居合わせた粗暴なアメリカ兵がツアンを「グーク(gook。ベトナム人及びアジア系に対する差別的呼称)」と馬鹿にして突き飛ばしてしまったため、クロンナウアはそのアメリカ兵達と殴り合いの喧嘩をしてしまう。彼は「友人」であるツアンのために身体を張ったのだった。

爆弾テロ[編集]

ただでさえクロンナウアを快く思っていなかった上官達は、この件で更に神経質になる。テレタイプが次々と打ち出すニュースは国防総省スタッフにより検閲され読めない。そこへニクソン副大統領のテープが届く。これを編集して笑いのネタにしたあと、局を出た。

GIバーで飲んでいたところ、ツアンに「トリンが会いたがっている」と強く誘われる。注文した飲み物を飲み干すことも出来ずに店を出た直後、バーに仕掛けられていた爆弾が爆発。ショックを受けながらも死傷者を運ぶクロンナウア。服に血がついたまま局に戻り、テレタイプが刻むこの事件のニュースを放送しようとしたが、国防総省の検閲官とディッカーソンに制止される。普通に放送を始めた彼は、しばし沈黙し、そして爆弾テロのニュースを報じ始める。上官達はすぐにスタジオの電源を切らせテイラーに上奏。テイラーは、彼に停職を言い渡さざるを得なくなった。

落胆[編集]

ツアンは落ち込んでいるクロンナウアを自分の村へ連れて行く。ベトナムの農村と農民の朴訥さに触れるが、そこでトリンに「友達にもなれない、私たち違いすぎる、友達違う」と、たどたどしい英語で断られる。

局ではクロンナウアに代わりホークがDJを務めるが、寒いジョークを飛ばしポルカをかける彼の放送を聞いた兵士達から、罵倒と共に「クロンナウアに戻せ」という電話と手紙が殺到する。手紙だけで1,100通。戦場の兵士達は笑いに飢えていたのだ。テイラーはクロンナウアの停職を解くが、クロンナウアは復帰を拒否する。真実のニュースも読めない、皮肉も言えない。クロンナウアは辞めるつもりだった。

復活[編集]

必死に説得するガーリックとジープに乗るが、道は故障車により通行できなくなった米第1歩兵師団のトラックでいっぱいだった。ガーリックはトラックの兵達に「ここにいるのは誰だと思う?……あのクロンナウアだ!」と紹介。「ホントか?」、「いつものアレをやってくれ」という兵達のリクエストに、最初は嫌がっていたものの、ミック・ジャガーのモノマネによるシャウトからマシンガントークへ。兵達から名前や出身地を聞き、それをネタにトークを繰り広げる。笑顔を見せる兵士たち。やがて道が開け、トラックが戦場に向け出発していく。腕を振り上げてクロンナウアに別れを告げる兵士達。クロンナウアは「君たちを忘れない」と、笑顔でそれを見送る。その後の放送で、クロンナウアはトラックの兵達に捧げると前置きしてルイ・アームストロングの「この素晴らしき世界」をかける。

戦場へ[編集]

クロンナウアは戦場からDJをやりたいと申し出る。ディッカーソンは、現地アン・ラク(An Lộc。実在する地名)へのルートがベトコンの支配地域で、アメリカ兵にとって非常に危険であるために立ち入りが禁止されていることを確認した上で、それを許可する。

案の定、クロンナウアとガーリックが乗ったジープはベトコンの仕掛け爆弾で横転してしまう。見つからずにベトコンをやり過ごした彼らは徒歩で移動する。一方、ツアンはクロンナウアが授業に出てこないことを心配して、局まで走る。アン・ラクに向かったことを知ったツアンは、車を盗んでまで彼らを追いかける。横転したジープの近くで2人を見つけるが、盗んできた車のエンジンがかからない。アメリカ軍に燃やされた村までたどり着いた時、運良く海兵隊のヘリが通りかかって3人をサイゴンに送り返してくれた。

名誉除隊[編集]

しかしその後、ディッカーソンはクロンナウアに名誉除隊を言い渡す。クロンナウアが「親友」だと思っていたツアンは、実は南ベトナム解放民族戦線の一員で、GIバー爆破の下手人。“ツアン”も変名だったのだ。アン・ラクという、南ベトナム人にとってさえ危険な地域をクロンナウアを追って行き、2人を連れ帰らすことが出来たのもそのためであった。

クロンナウアはディッカーソンに捨てぜりふを残して去る。怒って追いかけようとしたディッカーソンをテイラーが制止し「君はあまりにやり過ぎだ、グアムへ異動だ」と告げる。テイラーはディッカーソンがアン・ラクが危険だと知りながら、クロンナウアに取材に行く許可を出したことを知っていた。兵士を癒すことが目的のAFNに、ディッカーソンの異常なまでの非情さと冷酷さは必要ないとの判断である。

クロンナウアは英語教室へ行き、トリンに「ツアンを助けたから除隊になった、彼の正体がばれた為彼の身が危ない、すぐに彼のところに連れて行け」と説得する。ツアンを見つけたクロンナウアは必死で追いかける。途中で見失ったクロンナウアは「親友だったのに、信じていたのに、敵だったなんて!」と叫ぶ。ツアンはその声に答えて姿を現し、「アメリカ軍の無差別攻撃で自分の母や周りの人達を亡くしたのだ、敵は自らの利益のためにベトナムで戦うお前達じゃないか」と、涙ながらに反駁して姿を消す。親友との辛い別れと、アメリカ軍による南ベトナムへの「支援」は、実はアメリカによる一方的な善意の押し付け(を建前にした利益確保)であったという真実に、クロンナウアは悲嘆に暮れる。

タンソニャット基地に戻る前に、サイゴンの英語教室の生徒達と、ボールが無いので果物で代用してソフトボールをする。その場にトリンが最後の別れを言いに現れる。帰りのユナイテッド航空旅客機に乗る寸前、クロンナウアは、ガーリックに自分が担当する最終回の録音テープを託す。

キャスト[編集]

役名 俳優 日本語吹き替え
VHS版 フジテレビ版
エイドリアン・クロンナウア上等兵(DJ) ロビン・ウィリアムズ 安原義人 江原正士
“エディ”エドワード・モンテスキュー・ガーリック上等兵(同僚) フォレスト・ウィテカー 水島裕 安西正弘
ツアン(サイゴンの少年) ドゥング・タン・トラン 松田洋治
トリン(サイゴンの少女) チンタラー・スカパット 佐々木優子
スティーブン・ホーク少尉(上官) ブルーノ・カービー 三ツ矢雄二
マーティー・リー・ドライウィッツ軍曹(同僚) ロバート・ウール 安西正弘
フィリップ・ディッカーソン上級曹長(上官) J・T・ウォルシュ 堀勝之祐
テイラー少将(AFVN局長) ノーブル・ウィリンガム 小林修

スタッフ[編集]

  • 監督:バリー・レビンソン
  • 製作:マーク・ジョンソン、ラリー・ブレズナー
  • 原作:ミッチ・マーコヴィッツ
  • 共同製作:ベン・モーゼズ

挿入曲[編集]

ルイ・アームストロング1967年のヒット曲「この素晴らしき世界」がサウンドトラックに使われ、全米32位まで上昇というリバイバル・ヒットとなった。

出典[編集]

  1. ^ Good Morning, Vietnam (1987)” (英語). Box Office Mojo. 2010年8月1日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]