准将

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フランス陸軍准将の階級章

准将(じゅんしょう)は軍隊の階級の一。北大西洋条約機構の階級符号では、OF-6に相当する。最下級の将官あるいは最上級の佐官に区分され、少将の下、大佐の上に位置する。国によっては存在しないこともある。英語では陸軍や空軍の場合、通常ブリガディア(brigadier)ないしブリガディア・ジェネラル(brigadier general)と呼称するが、フランス陸軍などのように、ブリゲード・ジェネラル(brigade general、旅団将軍)と表現することもある。なお海軍の場合、同格とされるコモドール(commodore)は、その職制から通常日本語では代将と呼称される事が多く、少将や下級少将を准将相当官とするなど国によってその表現はまちまちである。特異なケースとして、1999年に准将位が制定されたポルトガルでは、それ相応のNATO部隊の指揮官のみに適用されるにとどまっており、自国内の旅団長等に少将を充てている[1]。 


歴史[ソースを編集]

ルーヴォア候

かつて、Colonelは階級(大佐)であると共に役職(連隊長)でもあったため、大佐になるためには自費で連隊を編成・維持しなければならなかった。そのため、財力のある貴族は経験が無くても大佐になれる一方、少尉(或は下士官・兵)から叩上げた優秀な人材でも資金力がなければ中佐止まりだった。そこで、これらの人材を将官に登用するために、ルイ14世時代の1667年にフランスで、陸軍大臣ルーヴォア侯爵ミシェル・ル・テリエによる陸軍改革の一環として制定された。そのため、当初の准将-Brigadier des armées du Roiは大佐を経ないで、中佐から任用された。[2]

これにより、アンシャン・レジーム期に於ける陸軍将官は、

の五階級制[5]となっていた。

旧体制下の准将は1788年に廃止されたとされ[6][7]、現在のフランス陸軍の准将-Général de brigadeは上述のMaréchal de campの呼称を1793年に改称したものであるとされる。また、Géneral de brigadeを准将としたのはNATOに合わせてこれまでの少将[8]を准将に呼び変えたためであり、 旧准将と現准将は全くの別物である事に注意する事が必要である。日本では、陸軍准将のことを旅団少将[9]と呼称していた時期があった。[要出典]

准将は伝統的に置かない国軍もある。 そのような国では上級大将・上級中将を将官に置く場合がある。


日本[ソースを編集]

准将に準ずる役職の1佐(一)標識の例、第12旅団副旅団長職
准将に準ずる役職の1佐(一)たる師団幕僚長車提示の標識

戦前の帝国陸海軍陸軍及び海軍)には置かれなかった。また、現在の自衛隊にも相当する階級は置かれていないが、陸上自衛隊では1佐(一)が准将と同等とされている。

栄誉礼は実施されないが、主に副師団長や将補職の部隊長に1佐のまま着任した場合や1佐(一)の団長職、または師団幕僚長・旅団副旅団長に着任した場合で当該部隊の指揮官が認めた場合など、役職上必要に応じて乗車する車両には赤色のプレート板に帽章若しくは桜星一つが表示されたプレートを掲示している。一方、1佐(一)でも指定職以外に着任した場合等含む通常の1佐職は白色のプレートに帽章のみ掲示する。

自衛隊の海外派遣実績や米軍等外国軍隊との共同行動が増加する中、均衡をとりにくい等の問題点があり、[10]2010年(平成22年)度以降に「准将」を創設することが防衛省内において検討されていたが、当該年度制定の防衛大綱では触れられていない。

アメリカ合衆国[ソースを編集]

アメリカ合衆国 陸軍には50万人を超える正規軍の現役将兵のうち、3600人前後の大佐が居る。しかし准将になれるのは150人前後であり、昇進は大変に狭き門である。 大佐から准将になるためには大統領の指名を受け、上院の承認を受ける必要がある。海軍には長らく1つ星の階級がなかったが(第二次世界大戦中の1つ星の代将は階級ではなく先任大佐の肩書き)、1982年にCommodore Admiralの名称で導入され、翌1983年にCommodoreと短縮。1985年にRear Admiral (lower half)と改称された。

イギリス[ソースを編集]

イギリス の場合、陸軍や海兵隊に於いて、1921年に最下級の将官としての准将(Brigadier General)が廃止され、翌1922年、代わって最上級の佐官に位置づけられる[11]Colonel Commandant(1928年、Brigadierに変更。)が置かれた。そのため当該階級を軍種を問わず上級大佐、或いは代将[12]と訳す人もまれにいる。

ドイツ[ソースを編集]

フランス[ソースを編集]

海軍に准将位は無く、少将を陸軍および空軍の准将に対応するものとしている。

イタリア[ソースを編集]

海軍はフランスと同じく、少将が陸軍および空軍の准将に対応する。

ポルトガル[ソースを編集]

脚注[ソースを編集]

  1. ^ ある茨城人の見聞録 軍事『ポルトガル陸軍には大佐の階級章が2つある?』2015年8月16日。
  2. ^ ルネ・シャルトラン 『ルイ14世の軍隊 : 近代軍制への道』 稲葉 義明訳、新紀元社、2000年ISBN 978-4-88317-837-7 p 11
  3. ^ 当時Major-généralは参謀総長を意味する言葉として使用。
  4. ^ ロベール仏和大辞典 小学館 1495頁 maréchal ③古語 1988年12月10日。
  5. ^ 厳密には大将と元帥は階級ではなく地位や称号である。
  6. ^ en wiki Général 1.1.2Historyを参照
  7. ^ ロベール仏和大辞典 小学館 321頁 brigadier ⑦歴史 1988年12月10日。 本書は、brigadier des armées du Roiを代将とし、少将と大佐の間の階級と明記されているうえ、général de brigadeを少将、以下~de divisonを中将、~de corps d'arméeを大将、~d'arméeを上級大将と和訳しているため、旧准将と現准将を同一視するには無理がある。
  8. ^ https://www.overthefront.com/reasources/military-ranks/french-ranks
  9. ^ 第一次世界大戦時、青島に侵攻した日本陸軍第18師団の指揮下に入ったイギリス軍旅団の旅団長の階級を旅団少将とする記述が戦史関連の書籍に存在した。
  10. ^ 特にPKF等で旅団規模の部隊の派遣に支障を来す事が予想される。
  11. ^ 正確には旅団長たる大佐としての職位(Positional Rank)である。
  12. ^ 最下級の将官と最上級の佐官(特に職位として扱われる場合)では、軍種に拘わらずに表現を区別すべきとの声がある。
  13. ^ 英訳はRear Admiral Lower Half。

関連項目[ソースを編集]