食物アレルギー
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食物アレルギー(しょくもつアレルギー)とは、特定の食品を飲食することで体内に取り込まれ、アレルギー状態が発生する免疫反応を言う。
食品によっては、アナフィラキシーショックを発生して命にかかわることもある(そばが有名)。日本では食品衛生法施行規則などにより特定原材料等として、表示の義務付けや推奨が規定されている。
乳幼児から幼児期にかけては食物アレルギーの主要な原因として鶏卵と牛乳がその半数以上を占める。青年期になるにつれて甲殻類が原因の事例が増え、牛乳が減る。成人期以降では、甲殻類、小麦、果物、魚介類といったものが主要なアレルギーの原因食品となる。
診断
食べた後にアレルギー反応と思われる症状があるだけでは、食物アレルギーとは診断することはできない。実際に食物アレルギーは酵素不全による不耐症や食品に含まれる物質の薬理作用による反応と混同されることが多い。食物アレルギーには摂取後すぐに発症するⅠ型アレルギーによるものと数時間以上経ってから症状が出現する非Ⅰ型アレルギーによるものが存在する。
RAST、ブリックテストといった検査はⅠ型アレルギーと考えられる症例に対してのみ使用する。これらの検査は偽陽性が多いので病歴から判断し、必要なもののみを検査する。またRASTの結果は食物抗原や患者の年齢によって、同じ値であっても臨床的な意義が異なる。例えば、乳児においては小麦でRAST陽性がでることは多いので、卵白低値陽性は小麦中程度陽性よりも臨床的な意義が高いと考えられる。
花粉症の季節に悪化する場合は口腔アレルギー症候群の可能性がある。特に成人の場合は可能性が高い。
治療
アナフィラキシーショックを起こした場合はアナフィラキシーショックの治療を行う。魚介類、ナッツ、ピーナッツ、ソバは重篤なアナフィラキシーを起こすことが多いことが知られている。また喘息の既往がある患者も重篤なアナフィラキシーを起こす可能性が高いといわれている。
治療は原因食物の除去が原則であるが、食物アレルギーの患者は小児に多く、厳しい除去食は栄養に悪影響を及ぼす恐れがある。原因が特定できなければアレルギー専門医の受診が望ましい。
食品に対する表示
日本
日本では食品衛生法施行規則により特定原材料として、表示の義務付けが規定されている。この特定原材料以外に表示の推奨が必要とされるものを含めて「特定原材料等」として扱われる。
表示はカタカナやひらがな表記のほか【 】内のような別名や、主原料の食品名(パン、うどん、マヨネーズなど)で表示されることがある。
特定原材料
食品衛生法施行規則により特定原材料として定義される。省令による品目。
- えび【海老フライ、エビ天ぷら、車海老など】
- かに【上海ガニ、松葉ガニなど】
- 卵【玉子、マヨネーズなど】
- 小麦【パン、うどんなど】
- そば 【日本蕎麦】
- 落花生【ピーナッツ】
- 乳【牛乳、乳製品(ヨーグルト・発酵乳など)、チーズなど】
えび及びかには平成20年度に追加。
特定原材料に準ずるもの
特定原材料等として表示が推奨されるもの。通知による品目。
その他
食品衛生法には規定が無いものの、食物アレルギーを起こしやすいとされるもの。
- カカオ(チョコレート(※準チョコレート・チョコレート菓子含む)・ココア)
- アーモンド - 菜種・種子類
- 米
- ごま
- キビ
- ヒエ
- じゃがいも
- マンゴー
- 上記以外の魚介類
- わさび
- 栗 - 類似の分子構造と独特な臭気を持つ主成分(ゴムタンパク)が含まれるゴムも同様のアレルギーが起こるとされている
参考文献
- 『食物アレルギーの診療の手引き2005』 厚生労働科学研究 (アレルギー情報センター)
- レジデントのためのアレルギー疾患診療マニュアル ISBN 4260001450
関連項目
外部リンク
- アレルギー物質を含む食品に関する表示について(食企発第2号食監発第46号) (厚生労働省)
- アレルギー物質を含む食品表示制度に関して(厚生労働省)