関東大震災中国人虐殺事件
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関東大震災中国人虐殺事件(かんとうだいしんさいちゅうごくじんぎゃくさつじけん)とは、1923年9月1日に発生した関東大震災による混乱の中で発生した中国人の虐殺事件である。日本の軍隊や警察、民衆等により、主に出稼などのために中国から日本に来ていた中国人労働者らが無差別に虐殺された[1]。惨殺された人の数は今日判明しているだけで少なくとも600人以上。
研究史
関東大震災下の中国人虐殺を主題として最初に取り上げた研究は、松岡文平の「関東大震災と在日中国人」及び「もう一つの虐殺事件—関東大震災と在日中国人」(ともに1972年)で、当時の報道などを利用して丹念に追究を行い、大島町における集団殺害と王希天事件とを見出した[2]。松岡はさらに中国側の史料も利用して「関東大震災下の中国人虐殺事件について」(1974年)を発表している[3]。
前後して『歴史評論』1973年10月号に掲載された小川博司の「関東大震災と中国人労働者虐殺事件」は、主に中国側の史料に依拠して分析を行った[3]。小川によれば、中国側の認識する虐殺の背景には、対華21カ条要求に対する経済絶交運動などの抵抗へのうらみ、中国人労働者の移入制限に対する抵抗への暴力的な見せしめがあげられているという[3]。
脚注
参考文献
- 日本歴史大事典『関東大震災中国人虐殺事件』松尾章一
- 今井清一「関東大震災下の中国人虐殺事件が明らかにされるまで:資料の所在・発掘および調査の経過と二三の問題点」『湘南国際女子短期大学紀要』第1号、湘南国際女子短期大学、31-59頁、1993年。 NCID AN10440903。