激突!

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激突!
Duel
監督 スティーヴン・スピルバーグ
脚本 リチャード・マシスン
原作 リチャード・マシスン
製作 ジョージ・エクスタイン
出演者 デニス・ウィーバー
音楽 ビリー・ゴールデンバーグ
撮影 ジャック・A・マータ
編集 フランク・モリス
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
公開 アメリカ合衆国の旗 1971年11月13日
日本の旗 1973年1月13日
上映時間 90分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $450,000 (概算)
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激突!』(げきとつ、原題:Duel)は、リチャード・マシスンの短編小説を映像化した、1971年製作のアメリカ合衆国テレビ映画。もともとテレビ放映用に製作された作品だが、日本ヨーロッパでは劇場公開された。1973年に第1回アボリアッツ・ファンタスティック映画祭グランプリを受賞した。

概要

運転中に追い抜いたトレーラーから執拗に追跡されるセールスマンの恐怖を描く。

日本での公開は1973年1月。ユニバーサル社提供。無名時代のスティーブン・スピルバーグが演出し、その名前はこの作品の成功によって業界内に知れ渡った。劇中で、主人公の車や、電話ボックスのガラスにスピルバーグの姿が映っていたことでも知られる。

上映時間はテレビ版が74分、ヨーロッパで劇場公開された版は90分。劇場版ではデニス・ウィーバーのナレーションが無い。現在発売されているビデオは劇場版+ナレーション付きのものである。

運転手が顔を見せず執拗に主人公を追いかけるタンクローリーを、監督は「怪獣のように考えた」と語る。その描写は『ジョーズ』のホホジロザメに引き継がれていく。

あらすじ

平凡なセールスマンであるデイヴィッド・マン(デニス・ウィーバー)は、借金取り立てのため車でカリフォルニアへ向かう途中、ハイウェイにて道を阻んだ大型トレーラータンクローリーに腹を立て、強引に追い抜く。するとその直後から、大型トレーラーはマンの命を執拗につけ狙ってきた。必死に逃げるマンと追いかける大型トレーラー。最後に彼らを待っていた結末は…。

演出

作品中では一貫して大型トレーラーの運転手(スタントマンキャリー・ロフティン)の姿を映さず、これによりまるで大型トレーラー自体が追ってくるような効果を演出している。

撮影期間が16日、編集作業から放送まで3週間程度しか確保出来なかったため、絵コンテを用いず、大きな地図に撮影ポイントなどを書き込んだものを使って撮影が進められた。早撮りで知られるスピルバーグであるが、自身「最も慌しい映画作りだった」と語っている。

プリムス・ヴァリアント

撮影に使用された赤色の乗用車は、米クライスラー製の「プリムス・ヴァリアント」(1967~76年生産、劇中のモデルはグリル形状、エンジン音から70-71年式の直列6気筒3.2もしくは3.7リッターエンジン搭載車で出力140馬力、最高速度150km/h程度)というごく普通のコンパクトカー。ベース車両はこげ茶色だったが、撮影のため新車設定にはない赤色に再塗装されている。

トレーラーは「ピータービルト351」。タイヤはブリヂストン製。映画の本編ではエンブレムが取り外されていた。トラブル時のバックアップ用として複数台が用意されていた模様で、現存している車両もある。テレビで公開された後の劇場用追加撮影でバックアップ用の車両が使われた。

本作のカーチェイスシーンは、ビル・ビクスビー主演のTVシリーズ『超人ハルク』の1エピソードに丸々流用されている。更に、本作品のパターンは後に、『ブレーキ・ダウン』や『ノーウェイ・アップ』等に引き継がれていく。

劇中、立ち寄った飲食店にて主人公がトレーラーの運転手を「誰だ? 誰だ?」と探しまわるシーンには、黒澤明監督の『野良犬』のラストシーンがそのまま引用されている。

その他

  • DVDが発売される以前の本作のソフトは、1990年代にニューマスター版レーザーディスク(ナレーション無しの90分版。日本では発売されず)の登場まで画面と音が合っていないなどの問題点があった。DVD版では効果音が一新・修正され、サウンドもドルビーとDTSの5.1chで収録された。なお、劇場公開時は画面サイズがシネマスコープのワイドにトリミングされていたが、現在発売されているソフトはTVサイズで収録されている。
  • 劇中では語られていないが、劇中に登場するトレーラーを運転する運転手は、各州で同じ手口でドライバーを狙う殺人トラック運転手であり、相手の車を大破あるいはドライバーの命までも奪ったあと、そのナンバープレートを記念品として頂戴している、という設定がある。トラックのフロントバンパーに各州数枚のナンバープレートが付けてあるのはそのためである。
  • 主人公が警察に通報しようと、途中で立ち寄るガソリンスタンドの女店主役の女性は、スピルバーグの「1941」でも同じ役で出演している。
  • 主人公が通りすがりの老夫婦が乗った車に助けを求めるシーンで、老夫婦役で出演している二人の役者はスピルバーグの「未知との遭遇」でも夫婦役で出演している。
また「バックトゥーザフューチャー」で主人公マーティーが1955年にタイムスリップした際にも同様のシーンが見られる。

日本語版

  • テレビ朝日版制作スタッフ

関連項目