沱江級コルベット

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沱江級コルベット
2番艦塔江(PGG-619)
2番艦塔江(PGG-619)
基本情報
種別 コルベット
命名基準 河川
建造所 龍徳造船
運用者 中華民国海軍
建造期間 2012年 -
就役期間 2015年 -
計画数 12
建造数 2
前級 錦江級コルベット
要目
満載排水量 約600トン(沱江)[1][2]
約685トン(量産型)
全長 60.4m(沱江)
65m(量産型)
最大幅 14m(沱江)
14.8m(量産型)
深さ 6m(沱江)
6m(量産型)
吃水 2.4m(沱江)
2.1m(量産型)
主機
推進器 MJP CSU 850ウォータージェット4基
出力 8,600 kW
速力 44ノット (81 km/h)(沱江)
38ノット (70 km/h)(量産型)
航続距離 2,000海里 (3,700 km)(沱江)
1,800海里 (3,300 km)(量産型)
乗員 41(沱江)
53(量産型)
兵装
1番艦
2番艦以降
  • 雄風II型SSM×8発
  • 雄風III型SSM×4発
  • 海剣二型SAM×16発
  • オート・メラーラ 76 mm 砲×1基
  • ファランクス 20mmCIWS×1基
  • M2 12.7mm重機関銃×2挺
搭載機 ヘリコプター甲板のみ
C4ISTAR 大成系統
FCS 迅聯系統
レーダー
  • CS/MPQ-90 AESA 対空捜索用
  • KT-2000 航海用
  • CS/SPG-6N(S) 対水上捜索用(沱江)
  • CS/SPG-6N(T) 火器管制用(沱江)
  • STIR 火器管制用 (量産型)
ソナー 可変深度式(1番艦のみ)
電子戦
対抗手段
  • CS/SWR-6電波探知装置
  • T-MASSチャフ発射機×12基[3]
その他 建造費22億ニュー台湾ドル[4]
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「沱江」(PGG-618)発射雄風III型対艦ミサイル,15 July 2020

沱江だこう級コルベット中国語: 沱江級巡邏艦)は、中華民国海軍コルベット。この艦は、レーダーの検出を避けるために断面を小さくするなど、さまざまな機能を組み込んでいる。迅海計画で開発されたこのコルベットは、現在大型艦で行われている任務に変わるものであるとされている。

開発

2010年(民国99年)4月12日、国防部により建造計画が発表された。この船は高雄の海軍造船所によって設計され、台湾周辺の荒れた海への展開や、長時間洋上に留まることが難しいといった哨戒艇やコルベットなどの小型艦艇の弱点に対処するために建造された。

2011年(民国100年)、中華民国立法院は、12隻までの建造資金を提供するために24.98億ニュー台湾ドル(8億8,340万USドル)の予算を承認した。 2013年(民国102年)の台北航空宇宙防衛技術展では海軍が迅海計画のモデルを発表し、試作艦には金門砲戦時の九二海戦で戦闘した駆潜艇の艦名を継承して「沱江」と命名された。

2016年(民国105年)初頭、中華民国(台湾)海軍は3隻の防空艦の調達を開始した。これらのフリゲートはおそらく沱江級の船体に基づく双胴船であると推測されている。想定される武器システムには天弓3型、天剣2型、Sea OryxSAMを搭載したMk 41VLSが含まれている。

2018年(民国107年)5月17日、厳徳発国防部長、李宗孝海軍司令部参謀長は立法院において沱江級の本格的な量産を2019年(民国108年)から開始することを公表した。11月30日の外務・防衛委員会では、対潜能力を削除し、11隻を2回に分けて生産し、完成を2026年(民国115年)に前倒しするとした。11隻は「対空」「対艦」の区別なく同一構成とし、対潜能力も削除し、排水量は700トン以下とする[5]。2番艦となる「塔江」は、蔡英文総統臨席の元、2020年(民国109年)12月15日に進水した[6]

設計

艦体は長さ60.4メートル、幅14メートルで41名の乗組員を乗せた双胴船で、最大40ノットの速度と2,000海里(3,700km)の航続距離がある。雄風2型亜音速艦対艦ミサイル8発、雄風3型超音速艦対艦ミサイル8発、近接防御火器システムであるファランクス76mmの主砲を装備している。台湾セキュリティ分析センター(台海安全研析中心、TAISAC)はレーダー探知機を回避するためのステルス技術、分散型戦闘指向システム、火器制御レーダー、電子光学指揮システムが搭載されていると記している。

防空能力を欠くとして批判されているが、ステルス技術とレーダー反射断面積が小さいことから、レーダーでの観測が難しく、海岸線に近い場所であるとさらに探知されにくくなるとされている。

2番艦以降の量産型では全般的な改良が行われ、まず船体は全長が4.6メートル、全幅が0.8メートル拡張され、満載排水量も85トン増加。その分兵装の増大と乗員の増加が図られ、雄風3型艦対艦ミサイルの搭載数を半分に減らして対潜装備を撤去した代わりに、天剣2型艦対空ミサイル八連装発射機2基とSTIR火器管制レーダーを搭載して対空戦闘能力を強化している。

一覧

# 艦名 艦名の由来 造船所 起工 進水 受領 就役 現況
プロトタイプ
PGG-618 沱江 九二海戦功績艦

駆潜艇「沱江」

龍徳造船蘇澳鎮造船所 2012年
11月2日
2014年
3月13日
2014年
12月23日
2015年
3月31日
就役中
量産型
PGG-619 塔江 渓の名

台東県の塔瓦渓

龍徳造船蘇澳鎮造船所 2019年
5月24日
2020年
12月15日[6]
2021年
7月27日
2021年
9月9日
就役中
PGG-620 富江 渓の名

花蓮県の富源渓

2021年
10月6日
2022年9月21日
PGG-621 2022年 2022年末の予定
2022年4月予定
2022年6月予定
2022年8月予定

派生型

「安平」(CG601)2021年(民国110年)2月15日
「安平」発射雄風II型対艦ミサイル,2022年(民国111年)5月27日
600t級巡防艦中国語版
台湾海巡署向けの高速巡視船。満載排水量約750トン、最高速力は44ノットで、兵装を2連装20mm機関砲1門と42連装ロケット砲1基、放水銃に換装したが、有事には雄風2/3型艦対艦ミサイルの装備が可能である。1番艦「安平」は2020年(民国109年)12月11日に就役し[7]、12隻の配備が予定されている。
# 艦名 造船所 起工 進水 就役 現況 備註
CG601 安平 中信造船集團 2019年1月4日 2020年4月27日 2020年12月11日 南部機動隊就役
CG602 成功 2019年10月15日 2020年12月11日 2021年6月25日 東部機動隊就役
CG603 淡水 2020年4月27日 2021年5月11日 2021年10月28日 北部機動隊就役
CG605 旗津 2020年8月31日 2021年10月28日 2022年4月8日 南部機動隊就役
CG606 八里 2021年1月19日 2022年4月8日 2022年10月6日 北部機動隊就役
CG607 吉安 2021年7月9日 2022年10月6日 東部機動隊就役予定
CG608 2021年12月10日 建造
CG609 2022年6月27日 建造
CG610
CG611
CG612
CG615

参考文献

  1. ^ LaGrone, Sam (2014年12月24日). “Taiwan Navy Takes Delivery of First Stealth ‘Carrier Killer’ Corvette”. en:United States Naval Institute. 2015年8月22日閲覧。
  2. ^ Wong, Kelvin (2015年8月19日). “Taiwan highlights new features, further development for Tuo Jiang stealth corvette”. IHS Jane's 360. 2015年8月22日閲覧。
  3. ^ Minnick, Wendell (2014年12月31日). “Taiwan Navy Accepts New Catamaran”. Defensenews.com. 2015年1月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年8月22日閲覧。
  4. ^ “‘Carrier-killer’ starts trials”. タイペイ・タイムズ. (2014年10月28日). http://www.taipeitimes.com/News/taiwan/archives/2014/10/28/2003603112 2015年8月22日閲覧。 
  5. ^ “中国大陸に対抗の「空母キラー」量産へ”. 台湾: 中央社フォーカス台湾. http://japan.cna.com.tw/news/apol/201805150003.aspx 2018年5月16日閲覧。 
  6. ^ a b c 「ニュース・フラッシュ 台湾海軍のミサイル・コルベット「塔江」Taichangが進水」『世界の艦船』第943号、海人社、2021年3月、127頁。 
  7. ^ 「ニュース・フラッシュ 台湾コースト・ガードの新型巡視船「安平」Anpingが就役」 『世界の艦船』通巻第943集(2021年3月号) 海人社 P.127

外部リンク