オリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲート
| オリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲート | ||
|---|---|---|
| 艦級概観 | ||
| 艦種 | フリゲート | |
| 艦名 | 海軍功労者。一番艦の艦名はオリバー・ハザード・ペリー提督に因む | |
| 建造期間 | 1975年 - 1988年 | |
| 就役期間 | 1977年 - 就役中 | |
| 前級 | ノックス級フリゲート | |
| 次級 | フリーダム級沿海域戦闘艦 | |
| インディペンデンス級沿海域戦闘艦 | ||
| 性能諸元 | ||
| 排水量 | 満載 3,605 t(初期建造型) 4,100 t(LAMPS III対応型) |
|
| 全長 | 135.6 m(初期建造型) | |
| 138.1 m(LAMPS III対応型) | ||
| 124.4 m(水線長) | ||
| 全幅 | 14.4 m | |
| 吃水 | 4.4 m | |
| 機関 | COGAG方式(41,000hp) 1軸推進 | |
| LM2500-30ガスタービンエンジン | 2基 | |
| 非常用旋回式スラスタ(350hp) | 2基 | |
| 速力 | 最大: 29ノット+ | |
| 航続距離 | 20ノット:4,200海里 (40 km/h:8,300 km) |
|
| 乗員 | 215名(士官17名) | |
| 兵装 | Mk.75 76mm単装砲 | 1基 |
| Mk.38 25mm単装機銃 | 2基 | |
| Mk.15 20mmCIWS | 1基 | |
| M2 12.7mm単装機銃 | 4基 | |
Mk.13 mod.4 ミサイル単装発射機[1]
• スタンダードMR SAM |
1基 | |
| Mk.32 mod.7/17 3連装短魚雷発射管 (Mk.46/Mk.50 短魚雷用) |
2基 | |
| 艦載機 | SH-2F LAMPSヘリコプター (FFG 9-19, 30, 31) |
2機 |
| SH-60B LAMPSヘリコプター (FFG 8, 28, 29, 32, 33, 36-61) |
2機 | |
| C4I | GCCS-M(SSR-1+WSC-3衛星通信) | |
| NTDS(JTDS+リンク 11 / 14) | ||
| Mk.92 mod.2/4/6 FCS (SM-1MR, 76ミリ砲用) | ||
| AN/SQQ-89(Mk.116 UBFCSなど) | ||
| レーダー | AN/SPS-49 対空捜索レーダー | |
| AN/SPS-55 対水上レーダー | ||
| ソナー | AN/SQS-56船底装備ソナー | |
| AN/SQR-18/19曳航ソナー (TACTASS) | ||
| 電子戦・ 対抗手段 |
AN/SLQ-32(V)2/5統合電子戦装置[2] | |
| Mk 36 SRBOC チャフ・フレア展開装置 | ||
オリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲート (Oliver Hazard Perry class) はアメリカ海軍などが保有するミサイルフリゲート。アメリカ海軍では1977年から1989年にかけて51隻が就役した。1番艦の名は米英戦争で功績を挙げた軍人であり、浦賀に来航したマシュー・ペリー提督の兄でもあるオリバー・ハザード・ペリーに因む。
目次 |
[編集] 概要
本級は、アメリカ海軍が船団護衛や低脅威海域の哨戒を主任務として、SCB261計画により、1970年代から1980年代にかけて開発・建造したフリゲートである。51隻が建造され、2006年の「サンプソン」(アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦52番艦)の進水まで、第二次世界大戦後のアメリカ海軍の水上戦闘艦としては最多の建造数を誇っていた。
低コストを目標としながらも、多用途ヘリコプター2機と戦術曳航ソナーを搭載し、また長射程のスタンダード艦隊防空ミサイルを装備するなど、決して「安物」ではない戦闘能力を備えている。さらには、#スターク被弾事件においては2発のエグゾセ対艦ミサイルを被弾しながらも、応急修理ののち自力でのアメリカ本土帰還に成功するなど、抗堪性も優れている。このため、オーストラリア海軍やスペイン海軍、台湾海軍などは自国でライセンス建造を行い、さらにはアメリカ海軍の退役艦を購入する国も後を絶たない。
また、イージス艦全盛のアメリカ海軍水上戦闘艦勢力のなかにあって、ペリー級の戦闘能力はもはや取るに足らないものではあるが、運用コストが安い上に小回りが効き、ヘリコプターも搭載していることから臨検任務などで活躍し、当初予想されたよりも退役のペースは落ちており、2011年現在でも18隻が現役にとどまっている。
[編集] 来歴
第二次大戦中より、アメリカ海軍は対潜作戦を主任務とする護衛駆逐艦の整備を進めており、その系譜は、戦後第二世代であるブロンシュタイン級フリゲートからガーシア級フリゲートへと受け継がれ、ノックス級フリゲートにおいて一応の完成を見た。これらは、遠距離用の無人対潜ヘリコプター (DASH)、中距離用のアスロック、近距離用の短魚雷と三段構えの対潜兵装を備えており、他の西側諸国海軍に類を見ない対潜戦闘能力を具備していた。
しかし一方で、対空戦闘能力については、ノックス級でようやく個艦防空システム(BPDMS; シースパロー個艦防空ミサイル)を備えたのみで、船団護衛において船団を対空脅威より護衛するなどは到底望み得ないものであった。これに対処するため、ノックス級の建造に先駆けて、ガーシア級にターターシステムを搭載したブルック級ミサイルフリゲートが建造されていたが、予算面の問題から19隻の大量建造計画は6隻に削減され、依然として、米護衛駆逐艦勢力における対空護衛能力の不足は深刻な問題であった。
このため、ノックス級に続く新フリゲートは、まったく異なるコンセプトに基づいて建造されることとなり、種別も護衛駆逐艦 (DEG)ではなくパトロール・フリゲート (PF)として計画されていた。ノックス級の建造後期には、要求性能はおおむね固まっており、1970年より具体的な計画検討が開始され、1971年には各造船所に対して技術提案要請が出された。このとき、アメリカ海軍作戦部長であったエルモ・ズムウォルト大将は、コスト重視の設計という方針を掲げ、3つの制限を課した。すなわち、満載排水量3,400t、船価4,500万ドル、定員185名である。
しかし、要求性能に対してこの制限は過酷に過ぎ、最終的に建造に至った設計コンセプトは下記のようなものであった。
- 4,100t(満載)、最大速力28ノット、航続距離4,200海里(20ノット時)、単一推進軸
- 能力限定型ターターシステム
- LAMPSヘリコプター2機、戦術曳航ソナー一式
- 戦術情報処理装置および戦術データ・リンク装置
ペリー級は、ほぼ並行して計画が進められていたスプルーアンス級駆逐艦と常に対比されてきた。1980年代のアメリカ海軍においては、ハイ・ロー・ミックス (High Low Mix) のコンセプトのもと、スプルーアンス級は高価ながらも強力なハイ・コンセプト艦、ペリー級は性能的には妥協する代わりに安価なロー・コンセプト艦と位置づけられ、空軍のF-15制空戦闘機とF-16多用途戦闘機の関係にも例えられる。
スプルーアンス級駆逐艦は変化に応じる設計を標榜しており、これに対応するため、その建造にあたっては、一括調達方式と呼ばれる方式が採用された。これは、海軍がコンセプト形成を行なって、これに対して最適な提案を行なった事業者に対して一括して契約するものであるが、受注に失敗した事業者の荒廃や、受注事業者の能力を超える発注によるコストの高騰・納期の遅れなどの問題が既に顕在化しており、スプルーアンス級以上の建造数が予定されるペリー級においては採用されず、最終的にはバス鉄工所とトッド造船所が分け合って建造する結果となっている。
ペリー級では、1番艦と2番艦の建造間隔を2年開け、2番艦以降は1番艦の建造で得たノウハウをもとに、様々な問題点や改善点を把握した上で建造が行えるように計画された。また各造船所における能力の違いを考慮し、基本的な設計は指定するも、ある程度自由な設計も行えるよう配慮された。
[編集] 船体
O・H・ペリー級の上部構造物は従来までのアメリカ海軍艦船のように艦橋や煙突などがそれぞれ独立しておらず、艦橋から煙突、後部ヘリコプター甲板まで艦の前後にわたってほぼ一体化されている。これは空母戦闘群(現 空母打撃群)に随伴して長期間の航海を行うために居住性を向上させたためと各種物品倉庫を大型化したためで、これまでの平甲板型の小型の駆逐艦やフリゲートで問題とされていた点を考慮したものである。
艦橋前面の上甲板にミサイル発射機を装備した関係上、艦首は甲板が波をかぶらないよう長く前に伸び、さらに波除けに大きなブルワーク(甲板外側防壁、艦首の1段上がっている部分)が装備されている。
尚、27番艦以降の建造艦と27番艦までの一部の艦は後述のヘリコプター運用支援設備 (RAST)を搭載しているため、艦尾が2.5m延長されており、排水量も462t大きい。
推進はスプルーアンス級と同じLM2500ガスタービンエンジンを使用している。スプルーアンス級がLM2500を4基搭載し2軸推進を行うのに対し、ペリー級では2基1軸で使用されている。また抗堪性を持たせるため補助推進装置として艦橋下付近に引き込み式の補助推進機ポッド (各325馬力) 2基を装備し、スクリューまたは舵が破損した場合にはそれによって推進と操舵を行う。このポッドは360度自由旋回できるため、低速時の操舵にも使用できる。本級の48番艦「サミュエル・B・ロバーツ」は1988年4月14日、アーネスト・ウィル作戦に従事してペルシャ湾にてタンカーを護衛中に触雷、機関室が浸水して機能を喪失したが、この補助推進によって、バーレーン港に独力で帰還することに成功した。
[編集] 装備
開発に当たって策定されたペリー級の戦闘のコンセプトは、以下のとおりであった[3]。
- 対艦ミサイル装備のソ連潜水艦に対し、自艦装備の戦術曳航ソナーにより遠距離で探知して、ミサイルの発射以前にLAMPSによって位置を局限・撃破する。
- 能力限定型ターターシステム、簡易型海軍戦術情報システムによる、フリゲートとしては十分に強力な防空戦闘能力により、船団に対して対空援護を提供する。
従って、その戦闘システムの主要な要素は、防空を担当する能力限定型ターターシステムと、対潜戦闘を担当するSQQ-89とLAMPSの複合システムであると言うことができる。そのほか、近接防空のために艦載近距離防空システム Mk 15、近距離での対空・対水上戦闘のための3インチ砲Mk 75、対水上火力としてのハープーン艦対艦ミサイル・システムなどが装備されており、それらすべてが戦術情報処理装置WSS(Weapon Support System)を中核として結合されている。
[編集] C4Iシステム
WSSはUYK-7コンピュータ3基を中核としており、従来用いられてきたNTDSのいわば簡易型である。その特徴は、これまでのシステム艦の多くがNTDSを中心にして各サブシステムを集合させた円状の構造を採用していたのに対し、目標の探知から意思決定、交戦に至る流れに沿った直線状の構造を採用している点で、これはむしろオランダのSEWACOなどに近い構造である。
捜索セクションにおいては、AN/SPS-49二次元対空捜索レーダーおよびSPS-55対水上捜索レーダー、さらにMk 92射撃指揮装置のCASレーダー(簡易捜索機能を有する)がセンサーとして配置され、その情報はRDDS (Radar Data Distribution Switchboard)において統合され、2基のOJ-194ワークステーションで表示・処理されたのち、指揮管制セクションに送られる。
指揮管制セクションは武器支援プロセッサ (WSP: Weapon Support Processor)と呼ばれるUYK-7コンピュータを中核としており、兵器管制士官 (WCO)コンソールとしてOJ-194ワークステーション1基、戦術行動士官 (TAO)コンソールとしてOJ-197ワークステーション1基、および対潜戦闘調整用にOJ-194、OJ-197が各1基配置されている。ここで処理された情報は、次に交戦セクションに送られる。
交戦セクションは武器管制プロセッサ (WCP: Weapon Control Processor)と呼ばれるUYK-7コンピュータを中核としている。これはターター・システムのWDSの役割を果たしており、武器管制システムMk.13プログラムを動作させている。これに2基の兵装管制コンソールが連接され、Mk 92の各射撃指揮レーダーやMk 13 GMLS、76mm砲などを管制している。また、対潜戦闘用として、WAP(Weapon Alternate support Processor)と呼ばれるUYK-7コンピュータも配置されている。
また、戦術データ・リンクとしては、当初はリンク 14によってテレプロンプターで受信するのみであったが、のちに、リンク 11を介してJTDSに直接入出力できるようになった。
[編集] ターターシステム
詳細は「ターターシステム#オリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲート」を参照
コンセプト開発において決定されたように、本級は能力限定型ターター・システムを搭載する[3]。その構成は以下のとおりである。
- AN/SPS-49二次元対空捜索レーダー
- 目標指示器
- Mk 13 WDS(武器管制システム: Weapon Direction System)
- Mk 92 FCS(射撃指揮装置: Fire Control System)
- Mk 13 GMLS (誘導ミサイル発射システム: Guided Missile Launching System)
- RIM-66スタンダード・ミサイル1型 (SM-1MR)
典型的なターター・システムとの相違は、3次元レーダーを有さないことと、射撃管制システムとして典型的なMk 74ではなくMk 92が採用されていることである。すなわち、防空艦に不可欠と見なされている3次元レーダーをあえて省き、またミサイルと砲熕兵器の射撃管制をMk 92に一本化することにより、システム全体としてコンパクトかつリーズナブルになっている。
ペリー級のMk 92のレーダーは、オランダのWM-28のアメリカ版(CAS: Combined Antenna System)と、AN/SPG-60レーダーの改良型(STIR: Separate Target Illumination Radar)を組み合わせたもので、同時に2目標を照射することができる。従って、1目標に対してスタンダード・ミサイルを誘導しつつ、主砲の照準・射撃を行うことができる。なお、Mk 92の導入に当たって、WM-28に若干の不安を抱いていたアメリカ海軍は、これが失敗した場合には、ターター-C・システムを導入することとしていたとされている。[4]
また、ターターシステムの一部をなすMk 13ミサイル発射機は、スタンダード・ミサイルとともにハープーン対艦ミサイルの発射にも用いられる。その弾庫容量40発のうち、36発がスタンダードミサイル、4発がハープーンによって占められていることが多い。艦首にあるこの発射機を青波から守るため、ペリー級は艦首ソナー装備艦と見紛うような切り立って鋭い艦首構造を採用している。
[編集] Mk 13ミサイル発射機の撤去
なお、近年主任務の変化によりペリー級からMk 13発射機は撤去されつつある。ペリー級の任務は本来空母戦闘群(現 空母打撃群)の防空や対潜哨戒であったが、1990年代以降は防空能力が飛躍的に向上したイージス艦の大量配備と、冷戦終結による艦隊への脅威の消滅により、近年ではもっぱら麻薬密輸を行う小型艇や小型機に対する臨検・哨戒任務や、兵器の海上密輸ルートの監視任務などに使われるようになっている。ハープーンやスタンダードといったミサイルはこういった目的には完全に過剰性能であり、全く使われることはない。さらに2001年のアメリカ同時多発テロ事件以後、このような任務は特に重視されるようになった。
そのため、SM-1の生産終了、旧式化、保守整備費用の負担などの面もあり順次撤去工事が行われた。撤去工事は非常に簡素で、ランチャーを取り除いた後に蓋をしただけであり、円形の旋回マウント等はそのままである。撤去跡に機関砲を設置した艦もある。Mk13に替わってRAM発射機を設置する構想もあったが、搭載実験のみで現役艦への換装は実現していない。
[編集] 対潜システム
従来のアメリカ海軍の護衛駆逐艦 / フリゲートがウェポン・アルファやASROCなどの前投対潜兵器を搭載していたのに対し、ペリー級では、西欧諸国の水上戦闘艦と同様に、自艦固有の対潜火力をMk 32 3連装短魚雷発射管のみとして、中~長距離での対潜攻撃をLAMPSに一任している。これに伴って、自艦装備のソナーもより小型で安価な、艦底装備式のAN/SQS-56を装備している。
ただし、LAMPSヘリコプターは2機を搭載し、遠距離での潜水艦脅威を探知するために戦術曳航ソナー (TACTAS、初期建造型ではAN/SQR-18、中期建造艦以降では強化型のSQR-19)を備え、さらにそれらの対潜センサーと火力を統合した対潜戦闘システムとして、スプルーアンス級と同様のSQQ-89を搭載しており、LAMPSを艦の戦闘システムの一部として考えれば(アメリカ海軍はそのように捉えている)、個艦対潜戦闘能力は、極めて高いレベルにある。また、SQS-56は、外洋での対潜作戦に最適化され、より強力なSQS-26/53よりも、昨今重視される浅海域での戦闘にはより適しているとも言われている。
[編集] 砲熕兵器
主砲としてMk 75 76mm 砲を搭載している。これはイタリアのオート・メラーラ社製のオート・メラーラ 76 mm 砲をアメリカでライセンス生産したもので、極めて優秀な速射砲である。通常艦砲は射界を広くとるため艦首部または艦尾部に装備されるのが一般的であるが、ペリー級ではスペース上の問題から艦体の中央部、上部構造物の上に装備している。その射撃指揮には、ターター・システムのサブシステムでもあるMk 92射撃指揮装置が用いられる。なお、Mk 92は、沿岸警備隊のハミルトン級カッターやベア級カッターなど、他のMk 75 76 ミリ砲搭載艦船にも搭載されており、アメリカ海軍におけるMk 75専用の射撃指揮装置の観がある。
また、速射砲の他、近接防空用として艦載近距離防空システム Mk 15を1基、小型艇との接近戦闘用として25mm機関砲及び12.7mm機関銃を上甲板及び艦上構造物両舷に装備している。
[編集] その他の電子兵器
従来、アメリカ海軍の駆逐艦やフリゲートは電子戦装置として、電子攻撃機能を持たないAN/SLQ-32(V)2を搭載していた。しかし、#スターク被弾事件において、スタークが攻撃を回避できなかった理由の一つとして、適切な電子戦的対応が行えなかったことが指摘され、電子攻撃機能を持たせるサイド・キック改修が行われて、SLQ-32(V)5にバージョン・アップされた。
また、対水上レーダーとしてはAN/SPS-55、航海レーダーとしてはアメリカ海軍として標準となっている古野電気製のものを搭載する。
[編集] 艦載機
#対潜システムでふれたように、ペリー級は2機のLAMPSヘリコプターを搭載する。初期型ではLAMPS Mk IのSH-2を搭載していたが、中期建造艦以降はより大型で強力なSH-60Bを使用するLAMPS Mk IIIが採用されたため、27番艦の「アンダーウッド」以降ではそれにあわせ飛行甲板の拡張とヘリコプター運用支援設備 (RAST) が装備された。27番艦以前の一部の艦もRAST装備の改修が行われている。
なお甲板の拡張が行われた型でも水線長は変わっていないため、SH-60Bを装備する艦は艦尾が大きくせり出しており、それがSH-60B搭載型のひとつの特徴となっている。
[編集] スターク被弾事件
イラン・イラク戦争のさなか、1987年5月17日の夜、ペリー級23番艦のFFG-31 「スターク」がイラク軍のミラージュF1戦闘機1機から2発のエグゾセ空対艦ミサイル攻撃を受け被弾した。この事件はペリー級の抗堪性の高さを証明したと同時にシステムの弱さを露呈した事件でもあった。
イラク軍は当時タンカーに対する攻撃を行っており、このイラク軍のミラージュF1に搭乗していたパイロットも「スターク」をタンカーと判断し攻撃を行った。ミサイルは時間差をおいて2発が発射され、2発とも左舷船体に命中。1発目は不発だったものの、ロケットの残燃料による高温で火災が発生、1発目が着弾してから20秒後に2発目が命中、爆発した。これにより「スターク」は37名の死者を出したが、乗員の活躍により沈没は免れた。この働きは英雄的な活躍と賞賛され、アメリカ海軍の練度の高さを知らしめた。
しかし同時にアメリカ海軍の弱点も露呈した。「スターク」は事件の4時間前には僚艦のファラガット級ミサイル駆逐艦「クーンツ」からペルシャ湾の哨戒任務を引き継いでおり、決して戦闘が不可能な状態ではなかった。またミラージュF1はアメリカ空軍の早期警戒管制機や「クーンツ」、さらにはスターク自身のレーダーでも捕捉しており、第6艦隊旗艦の「ラ・サール」にもその旨が報告されていた。にもかかわらずスタークは被弾した。
これはイラン・イラク戦争当時、アメリカはイラクを支援しており、イラク軍からの攻撃は想定していなかったのが原因であった。
ただ、“友軍機”という認識により、敵ミサイルが20kmに迫るまで「スターク」乗員が対処行動を起こさなかったことは説明されるものの、その後左舷監視員の目視距離に入っても艦対空ミサイル発射機やCIWSが一切迎撃のための行動をとらなかったこと、レーダーも当該目標を認識しなかった(艦長以下ブリッジ要員証言)こと、そして搭載する電子戦装置(SLQ-32(V)2)が電子攻撃機能を持たないことが大問題となった。このため、アメリカ海軍は就役済及び建造中であったオリバー・ハザード・ペリー級各艦に、波浪による電波の乱反射(シークラッター)への対策をはじめとする改修をおこなうことになる。
後にイラクは本件を誤射と認めて謝罪。「スターク」はバーレーンでの応急処置を行った後、アメリカ本土で修復工事が行われ1988年9月に復帰した。この事件を受けアメリカはペルシャ湾におけるROE(交戦規定)を、必要に応じて先制攻撃も可能なよう改訂したが、この改訂は翌年のイージス巡洋艦「ヴィンセンス」によるイラン航空機誤射事件の原因の一つとなった。
[編集] 同型艦
| 退役/再就役後 | |||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| # | 艦名 | 建造所 | 起工 | 就役 | 退役 | 再就役先 | # | 艦名 | リンク |
| FFG-7 | オリバー・ハザード・ペリー (USS Oliver Hazard Perry) |
バス鉄工所 | 1975年6月 | 1977年12月 | 1997年2月 | スクラップとして廃棄 | [1] | ||
| FFG-8 | マッキナニー (USS McInerney) |
1978年1月 | 1979年11月 | 2010年8月 | パキスタン | アラムジル(Alamgir) | [2] | ||
| FFG-9 | ワズワース (USS Wadsworth) |
トッド造船所, サンペドロ |
1977年7月 | 1980年4月 | 2002年6月 | ポーランド | 273 | ゲネラウ・タデウシュ・コシチュシュコ (Gen. T. Kos'ciuszko) |
[3] |
| FFG-10 | ダンカン (USS Duncan) |
トッド造船所, シアトル |
1977年4月 | 1980年5月 | 1994年12月 | トルコ | 船体部品として | [4] | |
| FFG-11 | クラーク (USS Clark) |
バス鉄工所 | 1978年7月 | 1980年5月 | 2000年3月 | ポーランド | 272 | ゲネラウ・カジミェシュ・プワスキ (Gen. K. Pulaski) |
[5] |
| FFG-12 | ジョージ・フィリップ (USS George Philip) |
トッド造船所, サンペドロ |
1977年12月 | 1980年10月 | 2003年3月 | スクラップとして廃棄 | [6] | ||
| FFG-13 | サミュエル・エリオット・モリソン (USS Samuel Eliot Morison) |
バス鉄工所 | 1978年12月 | 1980年10月 | 2002年4月 | トルコ | F 496 | ゴコーヴァ (Gokova) |
[7] |
| FFG-14 | サイズ (USS Sides) |
トッド造船所, サンペドロ |
1978年8月 | 1981年5月 | 2003年2月 | スクラップとして廃棄 | [8] | ||
| FFG-15 | エストシン (USS Estocin) |
バス鉄工所 | 1979年4月 | 1981年1月 | 2003年4月 | トルコ | F 497 | ゴクシュ (Goksu) | [9] |
| FFG-16 | クリフトン・スプレイグ (USS Clifton Sprague) |
1979年7月 | 1981年3月 | 1995年6月 | F 490 | ガズィアンテプ (Gaziantep) |
[10] | ||
| FFG-17 | アデレード (HMAS Adelaide) |
トッド造船所, シアトル |
1977年7月 | 1980年11月, オーストラリア海軍にてFFG-01として就役 | |||||
| FFG-18 | キャンベラ (HMAS Canberra) |
1978年3月 | 1981年3月, オーストラリア海軍にてFFG-02として就役 | ||||||
| FFG-19 | ジョン・A・ムーア (USS John A. Moore) |
トッド造船所, サンペドロ |
1978年12月 | 1981年11月 | 2000年9月 | トルコ | F 495 | ゲティズ (Gediz) | [11] |
| FFG-20 | アントリム (USS Antrim) |
トッド造船所, シアトル |
1978年6月 | 1981年9月 | 1996年5月 | F 491 | ギレスン (Giresun) |
[12] | |
| FFG-21 | フラットレイ (USS Flatley) |
バス鉄工所 | 1979年11月 | 1981年6月 | 1996年5月 | F 492 | ゲムリク (Gemlik) |
[13] | |
| FFG-22 | ファーリオン (USS Fahrion) |
トッド造船所, シアトル |
1978年12月 | 1982年1月 | 1998年3月 | エジプト | F 901 | Sharm El-Sheik | [14] |
| FFG-23 | ルイス・B・プラー (USS Lewis B. Puller) |
トッド造船所, サンペドロ |
1979年5月 | 1982年4月 | 1998年9月 | F 906 | Toushka | [15] | |
| FFG-24 | ジャック・ウィリアムズ (USS Jack Williams) |
バス鉄工所 | 1980年2月 | 1981年9月 | 1996年9月 | バーレーン | 90 | Sabha | [16] |
| FFG-25 | コープランド (USS Copeland) |
トッド造船所, サンペドロ |
1979年10月 | 1982年8月 | 1996年9月 | エジプト | F 911 | ムバラク (Mubarak) | [17] |
| FFG-26 | ギャラリー (USS Gallery) |
バス鉄工所 | 1980年5月 | 1981年12月 | 1996年6月 | F 916 | タバ (Taba) | [18] | |
| FFG-27 | マーロン・S・ティスデイル (USS Mahlon S. Tisdale, ) |
トッド造船所, サンペドロ |
1980年3月 | 1982年11月 | 1996年9月 | トルコ | F 494 | ギョクチェアダ (Gokceada) |
[19] |
| FFG-28 | ブーン (USS Boone) |
トッド造船所, シアトル |
1979年3月 | 1982年5月 | 海軍予備役にて就役中 | [20] | |||
| FFG-29 | スティーブン・W・グローブス (USS Stephen W. Groves) |
バス鉄工所 | 1980年9月 | 1982年4月 | 海軍予備役にて就役中 | [21] | |||
| FFG-30 | リード (USS Reid) |
トッド造船所, サンペドロ |
1980年10月 | 1983年2月 | 1998年9月 | トルコ | F 493 | ゲリボル (Gelibolu) |
[22] |
| FFG-31 | スターク (USS Stark) |
トッド造船所, シアトル |
1979年8月 | 1982年10月 | 1999年5月 | スクラップとして廃棄 | [23] | ||
| FFG-32 | ジョン・L・ホール (USS John L. Hall) |
バス鉄工所 | 1981年1月 | 1982年6月 | 就役中 | [24] | |||
| FFG-33 | ジャレット (USS Jarrett) |
トッド造船所, サンペドロ |
1981年2月 | 1983年7月 | 2011年5月 | 外国軍等への売却のため係留中 | [25] | ||
| FFG-34 | オーブリー・フィッチ (USS Aubrey Fitch) |
バス鉄工所 | 1981年4月 | 1982年10月 | 1997年12月 | スクラップとして廃棄 | [26] | ||
| FFG-35 | シドニー (HMAS Sydney) |
トッド造船所, シアトル |
1980年8月 | 1983年1月, オーストラリア海軍にてFFG-03として就役 | |||||
| FFG-36 | アンダーウッド (USS Underwood) |
バス鉄工所 | 1981年7月 | 1983年1月 | 就役中 | [27] | |||
| FFG-37 | クロメリン (USS Crommelin) |
トッド造船所, シアトル |
1980年5月 | 1983年6月 | 海軍予備役にて就役中 | [28] | |||
| FFG-38 | カーツ (USS Curts) |
トッド造船所, サンペドロ |
1981年7月 | 1983年10月 | 海軍予備役にて就役中 | [29] | |||
| FFG-39 | ドイル (USS Doyle) |
バス鉄工所 | 1981年10月 | 1983年5月 | 2011年7月 | 外国軍への売却のため係留中 | [30] | ||
| FFG-40 | ハリバートン (USS Halyburton) |
トッド造船所, シアトル |
1980年9月 | 1984年1月 | 就役中 | [31] | |||
| FFG-41 | マクラスキー (USS McClusky) |
トッド造船所, サンペドロ |
1981年10月 | 1983年12月 | 海軍予備役にて就役中 | [32] | |||
| FFG-42 | クラクリング (USS Klakring) |
バス鉄工所 | 1982年2月 | 1983年8月 | 海軍予備役にて就役中 | [33] | |||
| FFG-43 | サッチ (USS Thach) |
トッド造船所, サンペドロ |
1981年3月 | 1983年3月 | 就役中 | [34] | |||
| FFG-44 | ダーウィン (HMAS Darwin ) |
トッド造船所, シアトル |
1981年7月 | 1984年7月, オーストラリア海軍にてFFG-04として就役 | |||||
| FFG-45 | ド・ワート (USS De Wert) |
バス鉄工所 | 1982年6月 | 1983年11月 | 就役中 | [35] | |||
| FFG-46 | レンツ (USS Rentz) |
トッド造船所, サンペドロ |
1982年9月 | 1984年6月 | 就役中 | [36] | |||
| FFG-47 | ニコラス (USS Nicholas) |
バス鉄工所 | 1982年9月 | 1984年3月 | 就役中 | [37] | |||
| FFG-48 | ヴァンデグリフト (USS Vandegrift) |
トッド造船所, シアトル |
1981年10月 | 1984年11月 | 就役中 | [38] | |||
| FFG-49 | ロバート・G・ブラッドレイ (USS Robert G. Bradley) |
バス鉄工所 | 1982年12月 | 1984年6月 | 就役中 | [39] | |||
| FFG-50 | テイラー (USS Taylor) |
1983年5月 | 1984年12月 | 就役中 | [40] | ||||
| FFG-51 | ゲイリー (USS Gary) |
トッド造船所, サンペドロ |
1982年12月 | 1984年11月 | 就役中 | [41] | |||
| FFG-52 | カー (USS Carr) |
トッド造船所, シアトル |
1982年3月 | 1985年7月 | 就役中 | [42] | |||
| FFG-53 | ハウズ (USS Hawes) |
バス鉄工所 | 1983年8月 | 1985年2月 | 2010年12月 | スクラップ待ち | [43] | ||
| FFG-54 | フォード (USS Ford) |
トッド造船所, サンペドロ |
1983年7月 | 1985年6月 | 就役中 | [44] | |||
| FFG-55 | エルロッド (USS Elrod) |
バス鉄工所 | 1983年11月 | 1985年5月 | 就役中 | [45] | |||
| FFG-56 | シンプソン (USS Simpson) |
1984年2月 | 1985年11月 | 海軍予備役にて就役中 | [46] | ||||
| FFG-57 | ルーベン・ジェームズ (USS Reuben James) |
トッド造船所, サンペドロ |
1983年11月 | 1986年3月 | 就役中 | [47] | |||
| FFG-58 | サミュエル・B・ロバーツ (USS Samuel B. Roberts) |
バス鉄工所 | 1984年5月 | 1986年4月 | 就役中 | [48] | |||
| FFG-59 | カウフマン (USS Kauffman) |
1985年4月 | 1987年2月 | 就役中 | [49] | ||||
| FFG-60 | ロドニー・M・デイヴィス (USS Rodney M. Davis) |
トッド造船所, サンペドロ |
1982年10月 | 1987年5月 | 海軍予備役にて就役中 | [50] | |||
| FFG-61 | イングラハム (USS Ingraham) |
1987年3月 | 1989年8月 | 就役中 | [51] | ||||
[編集] アメリカ国外での運用状況
オーストラリア海軍:
詳細は「アデレード級フリゲート」を参照
- 4隻を購入、2隻をライセンス生産し、1980年より運用している。このうち、初期に購入した2隻は退役したものの、残る4隻は、Mk 13 GMLSの改修とMk 41 VLSの追加装備、Mk 92 FCSの改修によってSM-2MRおよびESSMの運用能力を付与するという近代化改修を受けて現役にとどまる予定である。
- アメリカ海軍を退役したジャック・ウィリアムズ (FFG-24)を購入し、1996年よりサバー(Sabha)として運用中。
- アメリカ海軍の退役艦4隻を購入し、1996年より運用中。
- 6隻を取得したいという意向を示しており、2010年8月にもマッキナニー (FFG-8)の引渡しを受ける予定である。[5]
- 2002年と2003年に、アメリカ海軍の退役艦1隻ずつを購入し、運用中。
スペイン海軍:
詳細は「サンタ・マリア級フリゲート」を参照
- 6隻をライセンス生産し、1986年より運用中。これは、SQR-19 TACTASSが輸出された初の例であった。
- アメリカ海軍の退役艦8隻を購入し、1997年より運用中。なお、Mk 41 VLS(8セル)の追加装備、Mk 92 FCSの改修によるESSM運用能力の付与、3次元レーダーの搭載、リンク 16への対応などを含む近代化改修が計画されている。
-
オーストラリア海軍の「シドニー」
Mk.41 VLSを追加搭載した状態 -
F-493 TCG Gelibolu.jpg
トルコ海軍の「グリボル」
[編集] 登場作品
- 映画
- ルーベン・ジェームス(FFG-57 Reuben James)がアメリカ海軍の艦艇として登場。
- 小説
- 『レッド・ストーム作戦発動』(トム・クランシー)
- ルーベン・ジェームス(FFG-57 Reuben James)が主人公の一人の乗艦として登場し、大西洋での護衛作戦などの描写において中心的な役割を担う。
- ゲーム
- オーシア海軍の艦艇として登場。
- 『大戦略シリーズ』
[編集] 脚注
- ^ Mk.13 GMLSは、アメリカ海軍所属艦においては順次撤去中。
- ^ SLQ-32(V)2はESM専用、(V)5はECM機能あり。
- ^ a b 大熊(2006)による。
- ^ Norman Friedman, Arthur David Baker著 "U.S. destroyers" Naval Institute Press, 2004 384ページの記述による。
- ^ Pakistan to get refurbished warship from US ザ・タイムズ・オブ・インディア, October 19, 2008
[編集] 参考文献
- 大熊康之 『軍事システム エンジニアリング』 かや書房、2006年。ISBN 4-906124-63-1。
- 小滝國雄「O.H.ペリー級の抗堪性」、『世界の艦船』第526号、海人社、1997年7月、 82-85頁頁、 共通雑誌コード 1105603071002。
- 野木恵一「O.H.ペリー級のメカニズム」、『世界の艦船』第526号、海人社、1997年7月、 74-81頁頁、 共通雑誌コード 1105603071002。
- 吉原栄一「艦隊のワークホース O.H.ペリー級 その設計思想」、『世界の艦船』第526号、海人社、1997年7月、 70-73頁頁、 共通雑誌コード 1105603071002。
[編集] 関連項目
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||