対艦ミサイル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Anothercat (会話 | 投稿記録) による 2020年12月29日 (火) 16:06個人設定で未設定ならUTC)時点の版であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

ハープーン

対艦ミサイル(たいかんミサイル)は、陸上、艦艇、潜水艦航空機などに装備され、名の通り敵の艦船を破壊するのを目的としたミサイル

概要

発射プラットフォームにより地対艦艦対艦空対艦などに分類される。他のミサイルと比較してシースキマー型の超低空飛行特性が特徴である。

戦術用途の対地ミサイルの一部と艦対空ミサイルの多くは艦船攻撃用途に用いる事も可能であるが、これらは通常、対艦ミサイルとは呼ばない。しかしながらSS.11/12、ヘルファイアスタンダードなど一部のミサイルは専ら対艦用途に装備される場合があり、そのような場合には対艦ミサイルと呼ばれる場合もある。

誘導兵器であり、初期には目視誘導のものもあったが、現代ではレーダーもしくは赤外線による自律誘導を行なうものが主である。艦船を撃破するために比較的炸薬量も多い。歴史的には第二次世界大戦中のバットフリッツXHs293を嚆矢とする。ただし、前者二つは自身の推進装置を持たない、航空機から投下する誘導爆弾であり、厳密には対艦ミサイルとは異なるものであった。Hs293は輸送船攻撃などで戦果をあげ、フリッツXはイタリア海軍戦艦ローマ」を撃沈する戦果を挙げている。日本では帝国陸軍が推進装置を持つ無線誘導式のイ号一型甲無線誘導弾およびイ号一型乙無線誘導弾を開発、後者のイ号一型乙は実用化され量産中であったが空襲の激化により実戦投入には至らなかった。

第二次大戦後は、まず強力な対艦航空戦力を有さなかった東側で開発が進んだ。1950年代にはソ連P-15(SS-N-2)が実用化されている。これが1967年イスラエル海軍駆逐艦エイラート」を撃沈すると、西側諸国でも対艦ミサイルの開発に拍車がかかり、エイラート事件以前からのペンギンなども含めて、1970年代にはハープーンエグゾセなどが実用化された。日本においても、比較的早期から対艦ミサイルの開発を進めており、1980年には80式空対艦誘導弾を採用している。

現在の対艦ミサイルは対空レーダー及び艦対空ミサイルで防御を固める敵艦を撃破すべく、長射程かつ敵艦レーダーの探知高度より低空を飛行する能力が求められ、ターボジェットエンジンを装備し、海面ぎりぎりの低空を巡航飛行することが多い。そのため対艦ミサイルは巡航ミサイルと共通する性質(推進方式・飛行経路など)を持っているといえる。近年では対艦ミサイルを発展させて対地攻撃能力を付与させた装備(Harpoon block IISLAM)も開発されている。

対艦弾道ミサイル

対艦弾道ミサイル(たいかんだんどうミサイル)は、海上の艦船を対象とした準中距離または中距離弾道ミサイルである。速度はマッハ10が推定され、最終段階において艦船に搭載される防御システムではイージス艦搭載のSM-3弾道弾迎撃ミサイル以外に対抗手段が無い[1]

対艦ミサイルの一覧

脚注

  1. ^ Report: Chinese Develop Special "Kill Weapon" to Destroy U.S. Aircraft Carriers, U. S. Naval Institute, March 31, 2009.