イ号一型甲無線誘導弾

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爆撃機の下部に搭載された誘導弾

イ号一型甲無線誘導弾は、大日本帝国陸軍が開発、試作した空対地誘導弾である。

概要[編集]

誘導弾の研究は1930年代から行われており、日本においても小規模に誘導弾の研究が進められていた。第二次世界大戦の戦況の悪化から、誘導弾の実現に向け研究が促進された。誘導弾の開発計画は陸軍を中心とし、まず800kg爆弾と300kg爆弾を搭載するための二種類の誘導弾を実用化することが決定された。この二種類の誘導弾はそれぞれイ号一型甲無線誘導弾、イ号一型乙無線誘導弾と呼称された。開発と試作は甲が三菱、乙が川崎の担当である。本誘導弾にはキ147の試作番号が与えられた。

開発の指示は昭和19年7月に行われ、エンジン、機体ともに三菱が担当した。試作一号機は昭和19年10月に完成し、11月には10機が完成した。投下試験が行われたが、ジャイロ安定装置の不調、操作用の無線機器の調整に困難があり、実用に至らなかった。

戦術[編集]

陸軍の構想は無線誘導方式の空対艦ミサイルを企図したものである。イ号一型甲は四式重爆撃機への搭載が予定されていた。母機は目標(主として艦船)から10kmから11km離れた地点まで進出し、投下高度700mから1,000mで本誘導弾を投下する。誘導弾は0.5秒後に安全装置を解除、さらに1.5秒後にエンジンに点火し、ロケット推進によって飛行する。投下時の母機の速度は360km/h、誘導弾の激突時の最終速度は550km/hとされた。母機は無線誘導のため目標から4,000mの距離まで接近した。イ号一型甲は海軍の800kg爆弾を搭載した。

この投下方式では、母機は長時間の誘導と目標へのかなりの接近を余儀なくされる。桜花搭載の一式陸上攻撃機による対艦攻撃が十分な戦果をあげられなかったことを考え合わせても、十分な制空権を持たない状況での無線誘導は相当の被害率を出すことが予想された。

構造[編集]

高翼形式に木製の主翼を備えており、胴体は金属製の骨組みにトタン板を張って製造された。胴体の前寄りに主翼を配し、胴体後尾に双尾翼式に垂直尾翼と噴射ノズルを備えるのはイ号一型乙と同様であるが、相違点として主翼の上方に一つの円筒を備えており、主翼にはわずかに上反角がつけられている。

動力には特呂一号三型液体ロケットを使用している。このエンジンは燃料に過酸化水素水を使い、触媒として過マンガン酸ソーダ液を用いた。この二種類の薬液を圧搾空気で燃焼室に送り込み、240kgの推力を75秒間発生させた。

諸元[編集]

※使用単位についてはWikipedia:ウィキプロジェクト 航空/物理単位を参照

全幅 3.60m
全長 5.77m
全高 1.055m
翼面積 3.60m2
翼面荷重 388.88 kg/m2
自重 kg
全備重量 1,400kg
エンジン 特呂一号三型液体ロケット(推力240kg)75秒燃焼
最大速度 550km/h
航続距離 不明
武装 なし
爆装 800kg爆弾 1発
総生産機数 約10機

参考文献[編集]

  • 小川利彦『幻の新鋭機』光人社NF文庫、2003年。ISBN 4-7698-2142-5
  • 橋立伝蔵 監修『日本陸軍機キ番号カタログ』文林堂、1997年。

関連項目[編集]