北総開発鉄道7300形電車

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京成3700形電車 > 北総開発鉄道7300形電車・千葉ニュータウン鉄道9800形電車
北総開発鉄道7300形電車
千葉ニュータウン鉄道9800形電車
北総開発鉄道7300形7828編成
(2021年7月 四ツ木駅
基本情報
製造所 東急車輛製造日本車輌製造
主要諸元
編成 8両
軌間 1,435 mm
電気方式 直流1,500V (架空電車線方式
最高運転速度 110 km/h
設計最高速度 120 km/h
起動加速度 3.5 km/h/s
減速度(常用) 4.0 km/h/s
減速度(非常) 4.5 km/h/s
編成定員 1,068(座席436または430)人
車両定員 先頭車126(座席50または47)人
中間車136(座席56)人
車両重量 30t - 34t
編成重量 264t
全長 18,000 mm
全幅 2,760 mm
全高 4,050 mm
車体 ステンレス鋼
台車 SUミンデン式台車
FS-547・FS-047形
主電動機 かご形三相誘導電動機 130kW
駆動方式 TD継手式平行カルダン
WN平行カルダン
歯車比 85:14(6.07)
制御装置 GTO-VVVFインバータ制御
制動装置 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ
保安装置 C-ATS
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北総開発鉄道7300形電車(ほくそうかいはつてつどう7300がたでんしゃ)とは、1991年平成3年)3月31日に運用を開始した北総開発鉄道(2004年7月北総鉄道へ社名変更)の通勤形電車である。

本項では2017年(平成29年)3月21日に営業運転を開始した、千葉ニュータウン鉄道が保有し、北総鉄道が管理する9800形電車(9800がたでんしゃ)、および7300形のリース版である7800形電車(7800がたでんしゃ)についても記述する。

概要

2015年(平成27年)4月現在、8両編成5本の計40両が在籍する。1991年の京成高砂 - 新鎌ヶ谷間(2期線)開業に合わせて自社発注した新造車両2編成は7300番台の車番が付与され、京成電鉄から同社3700形リースを受けて導入した3編成は7800番台の車番が付与されている。後者については7800形と区分して扱われる例も存在する[1]

なお、1994年(平成6年)に全く異なるデザインで登場した住宅・都市整備公団発注の9100形電車(C-Flyer、現・千葉ニュータウン鉄道所有)は、主要機器については本形式とほぼ同一の機構を採用している。

仕様

新造車(7300形)

更新前の7300形7308編成
(2007年8月 印旛車両基地)

京成高砂 - 新鎌ヶ谷間開業時の増備車である。京成3700形1次車の基本設計を踏襲するが、車体の帯色やブレーキシューの形態など細部が異なる部分があるものの、同一設計の軽量ステンレス車体を採用する。

ただし、落成時点では北総開発鉄道が新京成電鉄との相互直通運転を行っていた都合から、自社線内にて使用するIR方式の列車無線のほか、新京成線乗り入れ対応としてSR(空間波)方式の列車無線を装備し、無線切替スイッチを「新京成」側にすることによって限流値(モーターに流す電流の量)を標準の73.3 Aから58.8 Aへ降下する機構を備えていた。これは当時脆弱であった新京成線内の電気設備に適合させるための機構で、これにより新京成線内運用時の起動加速度が2.8 km/h/s(標準3.5 km/h/s)に抑制される仕組みとなっていた[2]

関東地方地下鉄以外の鉄道事業者の車両では、京成3700形と同時に初めて標準採用となるLED車内案内表示器が客用ドアの上部に設置された。

リース車(7800形)

更新前の7300形7808編成
(2007年8月 印旛車両基地)

2003年(平成15年)2月に京成3000形電車 (2代)3001編成の登場により余剰となった3700形3808編成(3808 - 3801)のリースを受け、車両番号の千位を3→7へ改番し、7808編成(7808 - 7801)とし、北総カラーの青帯への変更と車両番号表記プレート・銘板類の交換が施された。京成3808編成は1997年(平成9年)12月に日本車輌製造で落成した編成で京成3700形の4次車に相当し、落成当初から排障器(スカート)が設置されていた点などが北総7308・7318編成とは異なる。

7808編成の運用開始に伴い、京成3150形電車のリース車両だった7050形4両編成2本(7094・7054編成)が京成へ返却され廃車となった。

この編成は前述の通り7800形とも呼称され、自社発注車と区別して扱われることがある。国土交通省への届出や北総鉄道による許認可関係資料などでも、7300型とは別形式の7800形として届けている。

7818編成は7260形7268編成が廃車となったため、代わりに3700形3748編成がリースされた編成である[3]

  • 2020年6月12日に高砂発快特・羽田空港行として運用中、京成電鉄青砥駅構内で脱線事故を起こし、長らく休車の状態になっていたが、2021年6月30日付けで北総鉄道から除籍、6両編成となり京成電鉄へ返却され再び3748編成となった。なお6両化の際、7815号車の京成上野押上パンタグラフが増設され5号車から2号車へと編成組み換えが行われている。脱線事故当該となった7812号車と余剰となった7814号車は編成から外された。

7828編成は、3700形3778編成がリースされた編成である[4]。 なお、7828編成は車番の配置が9808編成と同様となっている。

7838編成は、脱線事故で京成電鉄に返却された7818編成の代わりとして、3700形3768編成がリースされた編成である。

千葉ニュータウン鉄道9800形

千葉ニュータウン鉄道9800形
(2021年7月 八広駅

千葉ニュータウン鉄道9000形の老朽置き換えのため、3700形3738編成がリースされた編成である[5]。帯色は千葉ニュータウン鉄道9200形に準じている。車両の仕様は3700形2次車として製造された7818編成(←3748編成)とほぼ共通(車両製造は東急車輛製造)。

相違点

新造車は京成3700形の1次車と同一仕様、7808編成は4次車、7818・9808編成は2次車、7828・7838編成は3次車であり、それぞれ製造時期が異なることや、リース車は元々京成電鉄の仕様で製造されたため、相違点が存在する。

  • 種別表示器の枠下半分の処理 - 新造車は出っ張り、リース車はフラット。
  • 車内のプレート類などの違い - 新造車は車両番号表記プレートが白地にベージュ文字、7808・7818編成は紺地に白字。禁煙プレートは7808編成が下にリブレ京成広告入りだが、新造車は禁煙表示のみ。
  • 先頭車前面の切抜き文字による車両番号表記 - 自社発注の新造車は北総の制式書体(ヘルベチカ)。リース車の場合、7808編成は改番された千位の“7”のみがヘルベチカに交換され、下3桁は京成の書体を引き続き使用している。
  • リース車は先頭車に車椅子スペースベビーカースペースを備える。新造車も2019年度から2020年度にかけて設置された(京成3700形1次車は現在も未設置)。
  • 床材の模様の違い - 新造車は外側が黄緑色、内側がクリーム色。7808編成はベージュの石目柄。
  • 乗降促進チャイム音 - 新造車は3700形1次車に採用されたチャイムを搭載している。
  • パンタグラフ - 新造車はシングルアーム式に交換されたが、リース車は下枠交差式のままになっているが、現在は新造車同様にシングルアーム式に交換された。

導入後の変化

先頭車正面にロゴマークと側面にスリットデザインが追加された7308編成(2010年6月 東松戸駅

表示装置のLED化

新造車は先頭車正面にある運行番号表示器が落成当初7セグメントマグサイン式であったが、2005年に7308編成が、2006年には7318編成もLED式に交換された。7308編成は2009年(平成21年)2月25日から行先・種別表示器を3色LED式に交換した(後にフルカラーLEDに交換)。7318編成も2011年(平成23年)3月に幕式からフルカラーLED式に交換された。

リース車も2010年(平成22年)5月に行先種別表示が幕式からフルカラーLED式に変更されている。

前面スカートの設置

新造車は、落成当初は京成3700形1次車と同じく排障器(スカート)が設置されていなかった。京成3700形では排障器(スカート)を設置しないで落成した1次車も含めて後年全編成にスカートの設置が行われ、北総車も後にスカートが設置された。

車体帯のデザイン変更

7500形と車体帯デザインを統一するため、2007年に当時在籍していた全編成に「HOK'SO」ロゴマークと、両先頭車側面には航空機ウイングをイメージしたスリットデザインが追加された。このデザインには、京成成田空港線(成田スカイアクセス)の開業により北総鉄道が東京国際空港(羽田空港)と成田国際空港の双方を結ぶという意味が込められている。

パンタグラフの交換

新造車は2015年 - 2016年にパンタグラフを下枠交差式(PT4819-A-M)からシングルアーム式(PT7131-B)に交換した。

前照灯の交換

2020年度に前照灯をハロゲンライトから白色LEDに交換された。(7818編成は交換されずに除籍

編成・機器配置表

 
 
形式 7300形 (8)
M2C
7300形 (7)
M1
7300形 (6)
T
7300形 (5)
M1'
7300形 (4)
M2
7300形 (3)
T
7300形 (2)
M1
7300形 (1)
M2C
製造メーカー 区分
機器配置 CP VVVF DDC VVVF CP DDC VVVF CP
車両番号 7308 7307 7306 7305 7304 7303 7302 7301 東急車輛製造 自社発注車
7318 7317 7316 7315 7314 7313 7312 7311 日本車輌製造
7808
(3808)
7807
(3807)
7806
(3806)
7805
(3805)
7804
(3804)
7803
(3803)
7802
(3802)
7801
(3801)
リース車
( ) 内は京成での番号
7818
(3748)
7817
(3747)
7816
(3746)
7815
(3745)
7814
(3744)
7813
(3743)
7812
(3742)
7811
(3741)
7828
(3778)
7827
(3777)
7826
(3776)
7825
(3775)
7824
(3774)
7823
(3773)
7822
(3772)
7821
(3771)
東急車輛製造
7838
(3768)
7837
(3767)
7836
(3766)
7835
(3765)
7834
(3764)
7833
(3763)
7832
(3762)
7831
(3761)
日本車輌製造
9808
(3738)
9807
(3737)
9806
(3736)
9805
(3735)
9804
(3734)
9803
(3733)
9802
(3732)
9801
(3731)
東急車輛製造
凡例
  • VVVF - 主制御器(1C8M)
  • DDC - 補助電源装置(DC-DCコンバータ)
  • CP - 空気圧縮機

運用区間

脚注

  1. ^ 車両図鑑 - 北総鉄道
  2. ^ 鉄道ファン 1991年5月号 新車ガイド「北総開発鉄道7300形」
  3. ^ 鉄道ファン 2015年8月号(通巻640号)付録
  4. ^ 北総7300形7828編成が営業運転を開始 - 交友社「鉄道ファン」railf.jp 鉄道ニュース 2018年3月1日
  5. ^ 千葉ニュータウン鉄道9800形が営業運転を開始 - 交友社「鉄道ファン」railf.jp 鉄道ニュース 2017年3月22日

関連項目

外部リンク