八戸弁
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八戸弁(はちのへべん)は、青森県八戸市とその周辺で話される日本語の方言。東北方言の南部弁に含まれる。
代表的な助詞・助動詞
代表的な助詞、助動詞を下に掲げる。
~すけ、~すけぇ
この語は南部弁圏で使用される。「~から」(理由)という意味である。この語のルーツは関西地方で用いられる「~さかい」という語が変化したものであるとされている。
例1) 「わぁ、これから映画さ行ぐすけな」 (「俺、今から映画見に行くからね」)
例2) 「9時だすけぇ、出んべ」 (「9時になりましたから、出発しましょう」)
~だじゃ、~じゃ
これは、津軽、下北、南部で共通に使用されるもので、「~だ」という意味である。肯定文や命令するときにも用いられる。より強い口調で表現する場合は「~だじゃ」なども使用される。
例1)肯定 「暇だじゃ。ちぱっと散歩さ行って来るじゃ。」 (「暇だなぁ。少し散歩に行って来るよ」)
例2)命令の場合 「すずかにしろじゃ」 (「静かにしろよ」)
例3)肯定(強い口調) 「わがねーじゃ!」 (「知らないよ!」)
例4)命令の場合(強い口調) 「いい加減にしろじゃ!」 (「いい加減にしろよ」)
~たっきゃ、~だっきゃ
これも、津軽、下北、南部で共通に使用されるもので「~でしょ」という意味である。
例1) 「さっき言ったっきゃな」 (「さっき言ったでしょ」)
~たっけ、~たっきぇ、~たっきゃ
「~したら」という意味である。 中高年層、若年層、で微妙に発音が異なる。
例1) 「朝起きたっけ、喉痛ぇじゃ」(若年層)
「朝起ぎだっきゃぁ、喉痛ぇじゃよ」(中高年層)
(「朝起きたら、喉が痛い」)
~ごった
「~らしい」という意味である。
例1) 「よなが、雨降るごった」 (「今日午後から、雨が降るらしい」)
~たって
「~けれども」「~といっても」という意味である。
例1) 「買い物さ行ぐったって、まま食ってからだっきゃな」 (「買い物に行くけれども、飯食ってからだよ」)
~べ
東北地方・北関東を中心に広い範囲で使用される助動詞である。勧誘と疑問に用いられる。
例1)勧誘文 「早く行ぐべ」 (「早く行こう」)
例2)疑問文 「あいつどごさ行ったべな」 (「あいつはドコに行ったかな」)
~さ
東北地方を中心に広い範囲で使用される。「~に、~へ」と同様である。
例1) 「猫さままけでやれ」 (「猫にエサをあげてやれ)
例2) 「コンビニさ」 (「コンビニへ行ってくるね」)
~ば
津軽、下北、南部で共通に使用されるもので、「~を」と同様である。
例1) 「荷物ばこっちゃさへばって来い」 (「荷物をこちらへ持って来て」)
~さる、~さんない
「書かさる」・「寝らさる」・「押ささる」・「録音ささる」等のように用いる。共通語に直訳した場合「~できる」となるが、厳密には、生物以外の物に対する使役動詞の可能形と、一般の可能形の中間の性質を持つ助動詞である。否定の場合は「~さらない」若しくは「~さんない」となる。仮に、「このペンは書かさらない」という文を共通語に訳した場合「このペンは書けない」となる。しかしそれでは、ペンが書けない理由はペンを使う側にあるのか、それともペンそのものにあるのかが判らない。そこでこの方言を用い「このペンは書かさらない」と表記した場合には、ペンそのものに原因があり(例えばインク詰り等)、書くことが不可能だという意味になる。このようにこの助動詞によって、共通語では表現できないことを判りやすく表現することができる。 この語は津軽・南部・下北、および北海道などでも広く使われている。
例1) 「FAXおぐらさんねーじゃ」 (「(FAX本体側に問題があり)FAXを送れないよ」)
関連項目