泉州弁

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泉州弁(せんしゅうべん)は、大阪府南西部の泉州地域和泉国)で話されている日本語の方言

行政区分と同様に泉北地域と泉南地域に大別され、厳密には堺弁、泉北弁、泉南弁に分類される。泉南弁は和歌山弁阿波弁等との類似点が多く、南近畿方言に属するとする説もある。播州弁と比較されることもある。

文法的特徴[編集]

疑問の終助詞[編集]

泉州弁では疑問の終助詞が「け」(例:いけるけ?)となる。

疑問詞疑問文の場合は「な」や「え/い」を用いる。(例:何すんな!(反語的に用いられやすい)、何するえ?)尚、女優の沢口靖子が「タンスにゴンゴン」のCMに出演する際、市川準監督に「泉州弁でやったら?」と言われた事が切っ掛けで、丸出しの泉州弁でCM出演した。尚、堺弁については、船場言葉の土台になった方言であるため、泉州弁と分離されるケースも多い。

「わ」の融合[編集]

淡路弁その他、多くの方言に見られるが、係助詞や間投助詞の「わ」が先行する語と融合する。また、係助詞の「は」と格助詞の「が」の区別が曖昧で、標準語では「が」と言う所を「は」(もしくは、それが転訛した「や」)という。

例:「はら、まだとい」(春はまだ遠い)/「めしゃまだか」(飯はまだか)

発音的特徴[編集]

「せ」音[編集]

伝統的な西日本方言の特徴のままに、「せ」が「しぇ」と発音される。人によっては「て」が「ちぇ」に近く発音されることもある。しかし、大体70歳を境としてこの発音は聞かれなくなっている。

表現的特徴[編集]

泉北弁[編集]

泉北弁の特徴[編集]

河内弁との共通点が多いとされている。堺市高石では「(それで)ね」に当たる間投助詞がそれぞれ「(ほて)や」「(ほて)よ」となり、異なる。泉南地域では「(ほて)よ」が主に使われる。文法的には「~(し)てやる」に当たる表現が「~したる」、「~(し)てある」にあたる表現が「~したある」もしくは「~したる」となり、大阪弁と変わらない点が泉南方言とよく比較される。

また、「~(なんだ)よ」に当たる表現が「~やけ」もしくは「~やか」となる。

泉北弁(高石)での会話例[編集]

A「けや、ちみたいなあ」(今日は冷たいね/寒いね)
B「せや、零下いたちゅてるで」(そうだね。零下行ったっていうね)
A「そらさっぷいはずや」(それは寒いはずだ)
B「早よ家もって風呂でつくもろ」(早く家に戻って風呂で暖まろう)
A「しもた、家ちゃんとかいでこずや。ほな。」(しまった、家、ちゃんと鍵かけてきてないぞ。じゃあね)

恐らく50歳を境として、このような方言を話せる人が減っている。

堺弁での会話[編集]

A 「昨日の事なんやけどちょい聞いて。」 (昨日のことなんだけどちょっと聞いて)
B 「どないしたん?」 (どうしたの)
A 「パッツンに追いかけられてん」 (パトカーに追いかけられたんだ)
B 「ホンマかいな!そらエグいな」 (本当に それは大変だったね)
A 「ホンマやって!バリエグかったし。」(本当だよ まじ大変だったよ)
B 「サヨか。ほんでどないなってん?」 (そうなんだ。 で、どうなったの)
A 「逃げたけど、ヤバかったわ。」 (逃げたけど、危なかった。)
B 「おつかれやな。」 (大変だったね。)

(今の若者が使う、伝統的な方言とは異なる喋り方)

泉南弁[編集]

泉南弁の特徴[編集]

さらに南和泉方言と中和泉方言に小別され、南へ行くほど和歌山弁の影響が強い。三重弁と共通した方言も存在。

経過や理由の「~なんだよ」が「~やし」または「~やしよ」になる、「て」と「あ」または「や」の音が重なった場合に「ちゃ」になる、間投助詞に「よ」や「よー」を多様するなどの特徴がある。発音に関しては、「えい」の発音が標準語や大阪弁と違い、「えー」とならず、二重母音としてはっきり発音される点が特徴的である。泉佐野市以南に於ける南和泉方言については、「ざじずぜぞ」の発音が「だぢづでど」になる、所謂紀州弁と共通した「ざだら変換」が見られる。

泉南弁での会話例[編集]

母「○○、外出んやったらよー、ニンジンとタマネギ買うてきちゃって!買うてきてくれんやったらよーかんご持って行きよー」(○○、外へ出かけるのならニンジンとタマネギを買ってきて!買いに行ってくれるのなら買い物籠もって行くのよ)
娘「うち、これからツレとこ行くよっていやじょォ。おかんいきよー」(私はこれから友達の家に行くから嫌だよ。お母さんが行きなよ)
母「そーけェ、にくそい子ォやのー。晩ごはんカレー作っちゃろかおもちゃあったのに、もォええわ」(ああそう、かわいらしくない子ね。夕ご飯にカレーを作ってあげようかと思っていたのに、もう知らないわ)
娘「あいしょ、ほんまけ?ほたら楽しみにしてるよってに、作っちゃっちょう」(ええっ本当?じゃあ楽しみにしてるから作ってあげてね(作って頂戴ね))
母「ほんま調子のええ子みぃ。うちでかしこいのは犬だけやしよー」(本当に調子のいい子ねえ。我が家で聞き分けのいいのは犬だけだわ)

ただしこれは相当訛りがきつい会話で、実際の若い世代はもう少し標準大阪弁に近いしゃべり方をする。

泉州弁とマスメディア[編集]

マスコミに於いて、日本各地の方言が紹介され、方言の書物も出版されているが、泉州弁に当たっては、マスコミで報道されたり、書物が出版されることが少ない。

2011年下半期のNHK連続テレビ小説カーネーション』は岸和田市が舞台であるが、方言指導において「関西ことば指導」とは別に「岸和田ことば指導」も設けられ、岸和田市の泉州弁を細かく再現している。また、このドラマの主要キャストには泉州弁話者が多数起用されている(堺市出身の黒谷友香、和泉市出身の田丸麻紀、阪南市出身のほっしゃん。、岸和田市出身の川崎亜沙美など)。

泉州弁を話す有名人[編集]

関連項目[編集]