讃岐弁

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

讃岐弁(さぬきべん)は、四国の香川県内で使用される日本語の方言四国方言の一種。アクセントは京阪式を基本とする。県内では西と東で若干語彙が異なるため、東讃弁・西讃弁と区別する場合がある。

綾上町(現・綾川町)にて
塩江町(現・高松市)のバス停

目次

[編集] 特徴

[編集] 独自の特徴

四国方言に分類されるが、徳島弁と同様、関西弁に近い傾向がある。それ故、四国方言やその他の西日本方言を聞きなれない人が讃岐弁や徳島弁を聞くと、関西弁であると勘違いする場合がある。

讃岐弁のアクセントは京阪式の一種ではあるが、讃岐式アクセントと呼ばれ、近畿地方や徳島・高知・松山で用いられている主流の京阪式アクセントとは幾つかの相違点が有る。例えば山(やま),花(はな)等の語彙が主流の京阪式アクセントではHL(-L)(括弧内は助詞が接続した場合の発音)と頭高型で発音されるが、讃岐式アクセントではHH(-H)と平板で発音される。これは、平安時代にはLL(-H)と発音されていたこれらの語彙が、主流の京阪式アクセントではHL(-L)型へ、讃岐式ではHH(-H)型へ統合し、異なった方向に変化したためである。讃岐式アクセントは、香川県下の大半で用いられる他、愛媛県の新居浜市以東、徳島県北西部でも用いられている。 なお、観音寺市の伊吹島では、讃岐式アクセントとも主流の京阪式アクセントとも異なり、HH(-D)型(Dは下降調)となっており、従来から有ったHH(-H)型やHL(-L)型との統合をおこしておらず、平安時代の京都アクセントに最も近いアクセントと言われている。また、伊吹島では、平安末期に京都で使用されていたとされる語彙表現が多く保存されている)。

なお、県庁所在地である高松地区は転勤族が多く、完全な東京式アクセント又は完全な京阪式アクセント、もしくはそれらの中間のアクセントを使うものが多く、讃岐式アクセントを使う者は少ないと言われている。

一方で、讃岐弁は他の四国方言と同様、中国方言と共通する表現が多い(これは関西方言の一種播州弁においても同様である)。例えば、「…だから」に当たる「…やけん(東讃弁)/…やきん(西讃弁)」の使用は、岡山や広島で使われる「~じゃけん」「~じゃけぇ」と共通といえる。

全国の他地域同様、東京を中心としたメディアの発達に伴い、若い世代を中心に言葉の東京弁共通語化が進んでいる。特に香川県は支店経済都市である高松市を抱えている為、首都圏からの転勤者や単身赴任者が多く、東京との繋がりが強い。この事がさらに言葉の共通語化に拍車をかけているものと考えられている。
また、古来より瀬戸内海を通した海上交通が盛んであったため、関西方面ほか各地からの影響を常に受けてきた。

地域によって差はあると思われるが、「アウ」などの連母音を嫌う傾向もみられる。この場合、例えば関西では「~ちゃうん?(~じゃないの?)」という言い回しが用いられ、「アウ」はそのまま発音されるが、讃岐弁のそれに対応する表現では連母音が簡略化し、「~ちゃん」や「~ちゃあん」に近い発音となる。前述のような疑問文に更に疑問の意思を強調するために語尾に「な」としばしばつける。(例:何やっとんな?、そうちゃんな?、乗ってくんな?〔乗って行きますか?〕)

他の方言にもあることだが、前後の文から意味を取らないと意味が解らないほど音節が短くなる事がしばしばある。 例)「何言いよん?」→「なにょん?」 「何でそうやって言うん?」→「なんさってゅん?」

また、促・撥音便、とくに促音便が他の地域に比べて発達している。文字で書くと起きてない音便が喋ると起きるということも往々にしてある。「おもしろい」→「おもっしょい」 「殴りあい」→「なぐっりゃい」 「代わりを出す」→「代わっりょ出す」 「にぎやか」→「にんぎゃか・にっぎゃか」 「教える」→「おっせる」 「忘れる」→「わっせる」 「怒られる」→「おんかれる・おっかれる」

因みに、プレーンなうどんの事は大抵「かけ(うどん)」と言い、「素うどん」と言うのは稀。

[編集] 四国方言や関西弁に共通する特徴

  • 名詞の否定(~ではない)の表現。「~と違う」「~ちゃう」などと表現する。
  • 動詞の否定(原則)未然形+「ん/へん」。「食べん」「かまへん」
    • 関西弁と違い、「へん」は「かまへん」など、特定の使用に限定される。
  • 1拍1音節の語が2拍化する。(例)を「カァ」、を「キィ」と発音する(紀伊国も参照)。
  • 「よう」+動詞の否定形で、能力が無くて出来ない意味を示す(古語の「え~ず」)。
  • コピュラ「や」。讃岐弁は他に「だ」「じゃ」があり、これらの三種を方言として全て使う地域は稀で、香川県以外では四国の極一部の地域があるのみである。(例)ほ"だ"きん、あれが屋島"や"って言いよる"じゃ"ろ。
  • 強調の助詞「んや/んじゃ」「のや/ねや」(例)あれが屋島なんや。(「のや/ねや」は否定の強調に使われる場合が多い。関西ではどちらも「ねん」となる。
    • 動詞の過去を示す助詞「た」に「んや」が付いた場合は、「~したんよ」「~したんや」と話す(関西では「~てん」)。
  • 強調の終助詞 「で」(例)あれが高松駅やで。
    • しかし、香川県では「ぜ」が本流であったという見方も有る。例)ここで待っちょるぜ。
  • 強調の終助詞 「が/がな」(例)そんなん知っとるが(関西では「がな」のみ使われる)。
    • 「が」は先述の「で」よりも強い表現。注意を促す際によく使用される。
  • 疑問・反語の終助詞 「かいの(東讃)/かいな(西讃)」(例)この時計めげとんかいの。
  • 終助詞 「わ」(例)あれが屋島やわ。
  • 仮定に「ば」はあまり使わず、「たら」を使う場合が多い(関西では「ば」は全く使用されない)。
  • シク活用の形容詞に否定の助詞「ない」をつける場合、「ク」が消え、直前の母音が長母音化する(但し、地域によっては長母音化しないこともある)。(例)楽しくない→楽しぃない おもしろくない→おもしろぉない(おもっしょぉない) 
  • 「~しとる」(現在完了アスペクト)と「~しよる」(現在進行アスペクト)を区別して会話に用いている(他の四国方言、中国方言播州弁神戸弁と共通)。
    • 例1:「うわ、雪ふっとるでないん!」…発話の時点で雪が降り始めてから時間が経っていることを発話者が意識している場合を表す
    • 例2:「うわ、雪ふんりょる/ふりよる/ふっりょる/ふっぢょる(西部沿岸地域)でないん!」…今まさに雪が降っている状態
    • 例3:「宿題やっとん?」…もう既に宿題が終わっているかどうか質問している
    • 例4:「宿題やんりょん/やりよん/やっりょん/やっぢょん(西部沿岸地域)?」…今まさに宿題をしている最中なのかを質問している(普段から宿題をする習慣があるのか質問している)
  • 前述の通りであるが、西部沿岸地域ではラ行活用動詞の現在進行アスペクトは「~っりょる」ではなく「~っじ(ぢ)ょる」となる。
    • 例:「繰る→繰っじょる/操る→操っじょる/切る→切っじょる/喋る→喋っじょる」
  • 動詞の疑問で「~しとるん?/~しよるん?(~しているの?)」の形となる場合、「る」を抜くことが多い(徳島弁・岡山弁・播州弁・神戸弁と共通)。
    • 例1:何やっとるん?→何やっとん?
    • 例2:宿題やんりょるんか?→宿題やんりょんか? 


[編集] 東讃弁・西讃弁・小豆島弁

東讃地域(高松市三木町さぬき市東かがわ市など)と西讃地域(丸亀市多度津町善通寺市観音寺市など)とでは、若干語彙や用法が異なり、東讃地域讃岐弁を東讃弁、西讃地域讃岐弁を西讃弁と言うが、中でも極西部の言い回しは観音寺弁とも呼ばれる。

これを大まかに二分する境界線は丸亀市等を流れる土器川とされる。
また、中讃地域(坂出市綾川町など)ではその中間の方言が使われている。
東讃弁と西讃弁の違いで特徴的なのが、語尾につく「の」と「な」の違いである。
 例) あれはね(共通語)→あれはの(東讃岐弁) / あれはな(西讃岐弁)

小豆島弁は小豆島で使われる方言で東讃弁を基本とするが、語尾に「の」ではなく「な」を使い、香川県内で広く使われる「~やけん」という言い回しは使われない。



主な違い


共通語 東讃弁 西讃弁 小豆島弁
~だから ~やけん/やけに/やから ~やきん/やきに/やから ~やから
~だね ~やの/じゃの/だの ~やな/じゃな ~やな
~なんか ~や/やこし/やこ ~や/やかし/やか ~や/やこし/やこ
~してみなさい ~しまい ~してご/しまい ~しまい
下さい いた つか、つかさい いた
~けれど ~けど/けんど ~けど/けんど/きんど ~けど/けんど

[編集] 分布の境界

県内で使用される方言のため、県境が方言の境界であると言われている。 しかし、岡山県の瀬戸内海沿岸部や島嶼部では、讃岐弁同様の京阪式アクセントが用いられるところもあり(いわゆる岡山弁は讃岐弁と共通の語彙表現はかなり多いものの、東京式アクセントを基調とする)、これらは讃岐弁と大差がない。(但し、讃岐弁自体は地域にもよるが、京阪式アクセントとも東京式アクセントともとり難いいわゆる「讃岐式アクセント」である)

[編集] 表現

[編集] あ - か

  • あおい 青色の/緑色の
  • あかい(明い) 暖色の。明るい。「七時やゆうのにまだ外があかいの。」
  • あかん 駄目だ(いかん)。小豆島弁および小豆島以外の香川の若者言葉。「~せなあかんのぅ」
  • …あげる  動詞の後について、動詞の意味を強める。下品な言葉になる。主に「叩く」系統の意味の動詞に付く。

        「たたっきゃげる」「けっりゃげる」「おがっしゃげる」「ちゃっしゃげる」「きゃっしゃげる」「おごっきゃげる」「しばっきゃげる」「くらっしゃげる」「はっりゃげる」

  • あずる 【動】苦労する。「あずんじょったんなぁ?」「がいにあずったがぁ」
  • あななん あんなもの   「あななんいかんわ。」
  • あほ 馬鹿  「お前あほやのぉ。」
  • あんじゃるい 【形】気持ち悪い、気味悪い
  • いいかげん 【】たくさん。多く。中讃での表現。「これまでした旅の記録調べたら、意外にいいかげん方々行っとったわい」
  • いかさま 【形】ものすごく 「いかさま、おとっちゃまやのぉ」
  • いごく 【動】動く。古い日本語の転訛である。「なんいごっきょん?」
  • いで 【名】道の端などにある細く浅い水路(溝)のこと。上代の言葉に水路の堰の意で「いで」とあり、それに関係か。
  • いぬ 【動】帰る。古語の保存。「ぼちぼちいぬんな?」「そうやなぁ、いのか」
  • いまさっき つい先程やまさに今の意味。「いまさっき帰ったとこじゃが」
  • うれしげな 調子に乗っている、図に乗っている、思いあがっている、というような様子をさすが、讃岐弁独特の感覚であり、完全に同じ使い方が出来る単語というのは標準語には無いと思われる。讃岐弁を知らない人には、単純に嬉しそうという意味ととられがちであるが違う。「うれしげにしとるのぉ」(侮蔑的なニュアンスが強い言葉であり不用意に使うともめ事の発端になるので注意)
  • うまげな・うまたげな 素敵な「うまげな車やのぉ」(西讃方言)
  • えらい 【形】疲れた。しんどい。古語の保存。「えろぅて動けんわ」【副】とても かなり 「えらい遅い車やのう」
  • おがす 【動】(土等を底から)掘り返す。田の端の土を耕す際に「田んぼのへりをおがす」と言う。
  • おがっしゃげる ぶん殴る。「ちゃっしゃげる」→「くらっしゃげる」→「おがっしゃげる」の順に強くなる。

 類語に「おごっきゃげる」「きゃっしゃげる」「しばっきゃげる」「はっりゃげる」等がある。すべて同様の意味だが、強さのニュアンスに差がある。

  • おかっこまり 正座
  • おきる 【動】腹が膨れる。「腹おきてもぅ食えんわ」「腹、おきたんな?(=「お腹、いっぱいになりましたか?」)
  • おじゅっさん 【】お坊さん。
  • おとっちゃま 【名】臆病者 「いかさま、おとっちゃまやのぉ」
  • おどれ お前 「おどれなめとんか。」
  • おび 魚(幼児語)
  • おぴっぴ うどん(幼児語)
  • おらぶ 【動】叫ぶ。古語の保存。「何おらんびょんな?」
  • おもっしょい  面白い。「この漫画おもっしょいのぅ。」
  • がいな 【】すごい。きつい。 強い。古語の保存。「がいに飛ばすなぁ」「あの人はがいな」。
香川オリーブガイナーズ四国・九州アイランドリーグ)の名称は、この讃岐弁(がいな)が由来している。また、愛媛では「意外な」の意味で使われる。中四国と九州の一部に分布する言葉である。
  • かく 【動】かつぐ。若干の意味の変化はあるが、古語の保存である。「ちょっとそっちかいてつか?」
  • かど 【名】(漠然と)家の外。玄関先。標準語の「表(おもて)」。「かどんとこに、誰かおるで」
  • かまへん(かまん) 構わない。~でも良い。
  • …がん …だけ、…分。「あるがんまんで(あるだけ全部)」「遠足の菓子は三百円がんまでの。」
  • …きん 【】…から。西讃・中讃での表現。「暑いきん、クーラーつけようで」「かかんきんこん、こんきんかかん(〔手紙を〕書かんきん来ん、来んきん書かん=書かないので来ない、来ないので書かない)」
  • く 家。「友達んく遊びに行った(友達の家に遊びに行った)」「うちんくに来るな?(私の家に来ますか?)」極西部では「き」とも言う。
  • くらっしゃげる 殴る。ちゃっしゃげる・くらっしゃげる・おがっしゃげるの順に強くなる。
  • けっこい 【】きれいな。美しい。「あの子いかさまけっこい子やの」「けっこにしてどこ出かけるん」
  • …げな …のような。動詞、形容詞、名詞に付く。これの多用も讃岐弁の特徴である。これに近い表現が古語にも多々見られる。「もうせんげなな。(もうしないみたいですね。)」「え?するげに言いよったで。(え?する様に言っていたよ。)」「あれげなな(あれっぽいね)」
  • …けん 【】…から。東讃での表現。西讃の「…きん」と同意。「明日早いけん、もう寝まい。」
  • ご 下述の「ごんな」の縮まった形。三豊周辺で使われる。
  • ごじゃはげ 無茶苦茶。”ごじゃ”とも「もうごじゃはげじゃわ。」 禿とは無関係だが、県内出身者が県外出身者の禿の人もいる場で言いかけてあせることも。
  • こらえん 【】承知しない。許さない。「…したらこらえんぞー」
  • こんこ たくあん
  • ごんな ~してください。丸亀周辺で使われる。「廻ってごんな、見てごんな。」
  • こんぴらさん  【固名】 金刀比羅宮

[編集] さ - た

  • さいさい たびたび。よく。漢字で書くと「再々」りっぱな標準語ではあるが、他地方では基本的にあまり通じない。「あの人さいさい来よるで」
  • さきおととい 一昨日。「さきおとつい」とも
  • さら 新しいもの。新品。西日本ではよく見られる表現。「このテレビさらやで。」
  • …しい …する人。主に悪い意味で使われる。「お前いらんことしいやな。」
  • …しいまわる …して回る、…ばかりする 「訳分からんことしいまわらんの!」「昔っからげんしゃさんくの子はごじゃしいまわるの」
  • …していた …して下さい。東讃での表現。「それ取っていた」「これいた(これをください)」
  • …してつか …して下さい。西讃での表現。「あれ取ってつか」「これつか(これをください)」
  • …しな …の途中、…の際。略して「…し」とも。「いきしな」=行く途中に。「帰りしな」=帰る途中に。「ちょっと、ついでに」の意味を暗に含む。用例:「帰りしなにパンこぅてきて」=帰る途中に、(ついでに)パンを買ってきて。「立てりしに腰が痛ぉてかなわん」=立てる時に腰が痛くて仕方が無い
  • …しますな …するな、…しないほうがいいよ。「そななことしますな!」「そなんめんどげに言いますな」
  • …かしゃん …(しよう)かな、…だろうか、「…かしら」の転訛 「まだあかいきん畑行こかしゃん(まだ明るいし畑に行こうかな)」「それでえんかしゃんな(それでよいのだろうか)?」
  • しゃんしゃん 手際よく、てきぱき、元気よく、など。「しゃんしゃんしまい」
  • じゅじゅむ にじむ
  • じゅるい【】(地面が)ぬかるんでいる(西讃。伊予弁起源。「地緩い」の転訛か。)
  • しよい やりやすい、しやすい。「こなんしたらしよいで」「そっちのほうがしよいやろ」
  • しょうたれ 見苦しい、締まりがない、だらしがない、体裁が悪い、愚鈍な、など。「あれはいかさましょうたれげなやっちゃの」
  • …じょる …ている。ラ行活用動詞の語尾につけると現在進行形になる。「作んじょる」=作っている。「売んじょる」=売っている。(西讃沿岸部)
  • じょんならん 役に立たない。どうしようもない。手に負えない。「じょんならんやっちゃのぉ(役に立たない奴だなぁ)」「最近暑くてじょんならんわ~。」
  • しんや 新家。分家のこと。
  • すい 酸っぱい。古い日本語の転訛。「この漬け物ちょっとすいんちゃん」
  • すかん 好かない。嫌い。「私納豆すかんのや」「俺あいつのことほんますかん」
  • ずんやり 引き続いて、ずっと、延々と。主にマイナスイメージに使われる。「あいつ、ずんやりあれにはまってすんだわ」
  • たく 煮る。標準語と同じ意味だが、ご飯以外におかずにも用いる「おかずをたく」
  • たる 【動】飽きる。古語の保存。「そのおもちゃもぅたったわ」
  • ちっか 【名】竹輪阿波弁でも使われているが、西讃で多く使われる。
  • ちみきる(爪の先くらいで)つねる。痛さ度合いは「ひにしる」<「ちみきる」
  • ~ちゃう ~じゃない。の意味。否定で用いる。「それ鉛筆ちゃうわ」
  • ちゃっしゃげる 叩くの意味。ちゃっしゃげる・くらっしゃげる・おがっしゃげるの順に強くなる。
  • ~ちゃん ~じゃないの?の意味。否定の疑問で用いる。「お前アホちゃんな?」
  • ちょっとこま 少しの間。「ちっとこま」「ちょっとくま」「ちっとくま」とも「ちょっとこま出てくるわ」
  • つい 似ている、同じ。 似ている度合いは 「つい」<「まっつい」<「まっつくつい」
  • つぶれる 故障する。「さらのテレビつぶれてもうたが。」
  • つめる 挟む。「昨日のぉ、玄関のドアで指つめもうたんやが。」
  • つむ (鋏状の物で)切る。標準語の場合は目的語が枝葉等に限定されるが、讃岐弁の場合はほとんどの場合に使える。「まっちゃえて指つんでもうた。」
  • てがう 【動】からかう、あやす、遊んでやる。「なにあいつのことてがいよんな?」「うちの犬もてごてやって」
  • どくれる 【動】ふくれる。不満げにする。「何どくれとんな?」
  • どせこむ 転落する。「田んぼにどせこんで泥まみれになる」
  • とっしょり お年寄り「お前、とっしょりみたいなの」
  • どっかしゃん どこかしら。どこか。「オモチャがどっかしゃんいった」「あの子やったらさっきどっかしゃん行ったで」
  • どっちゃこっちゃ どうにもこうにも。どうしようも。主に後ろに否定語を伴う。「ここまでごじゃやとどっちゃこっちゃならん」
  • どな どう(どのように) 「どなしよん?」
  • どななんな? 状況とか様子とか調子を確認する質問文。標準語だと「どんな様子(状況/調子)ですか?」
  • 鳥の子紙 模造紙
  • どんどろさん 【名】雷。「どんどろはん」とも。

[編集] な - は

  • …な 語尾について疑問の意を表す。「濡れよるの、傘ん乗ってくんな?」=塗れていますね、傘に入って行きますか? 讃岐弁では「な」は疑問、禁止(…しますな、間違えな(間違えるな))、詠嘆(…やな、西讃)、感動詞(なぁ、西讃)等多くの意味が有り、非讃岐弁話者が讃岐弁を聞く際の大きなハードルとなることもある。
  • 何がでっきょんな 時候のあいさつ。そのままの意味である「何を作っているのですか?/何をしているのですか?」という質問文で用いることもある。
植松おさみアナウンサーが「ズームイン!!朝!」でキャスターを務めていた頃、地元の人にインタビューする時の第一声は必ずこの言葉だった。
  • なんちゃでっきょらん 時候のあいさつとして「何がでっきょんな」と聞かれた場合の定型的な返答句。そのままの意味は「(別に)何もしていません」。
  • なんしょん 何をしているのという意味。さらに疑問の意を込めて「なんしょんな」とも。
  • 何とかー!(なんとか!) 何だって!? 驚きを表す。地域によっては「何とな!」になる。麺通団著『恐るべきさぬきうどん』の香川県外読者が寄せた「本文中の不可解な方言」の一つ。
  • なし 無く  「全部なし(ん)なってもうた」
  • なに【名】あれ。あのもの。(第一音節に高アクセント)(例:あの、なにがもうなかったやろ?(あのう、あれがもう足りなくなっていたでしょう?))
  • …なんだ …なかった 否定の過去形。 「知らなんだ」
  • …なんちゃ 何にも 「なんちゃ無いやん。」
  • なんな 声をかけられた時の返答。標準語の「なにか御用ですか?」に相当。
  • なんなんな 何なのですか。「なぁ、あななんはなんなんな?(ねぇ、ああいうのって何なのですか?)」
  • なんぼ いくら(数)物の数を聞くときに使用される。  「テストなんぼやったん?」「なんぼなんでもそれは・・」「こりばでなんぼいや(これだけで幾らですか)」
  • …なんや …なの。「なんじゃ」とも。 「私、抹茶が好きなんや」
  • なんや(じゃ)…  何だか… 「なんやほっこげなのぅ」
  • ねき 側・近く   「駅のねきのうどん屋」
  • ねぶる 舐める、舐め回す。古語の保存。「そなんねぶりまわりますな(=そんなに舐め回してはいけませんよ)」「飴ちゃんでもねぶっじょりな(=飴でも舐めておきなさい)」
  • はがい はがゆい。むかつく。 「あいつは、はがいなあ。」「てれる前に西瓜カラスに食われてよいよはがい。」 状況によって、ニュアンスが異なる。
  • はじかい ちくちく、むずむずする様子。「痒い」とはニュアンスが違う。「このセーター、ウールやきん、はじかいわ」「藁の上に横になってみたけど、はじかかった」
  • はみ 【名】(1)まむし、毒蛇。(2)家畜のエサ。
  • はみご 仲間外れ 若者言葉として「はみり」「はみっ子」もある。「この子ばぁはみごにせんと仲間にはめたってつか」
  • はみる 仲間外れになる。香川の若者言葉。
  • ばんげ 夜。夕飯後くらいの時間。「ばんげに来まい(=今晩いらっしゃい)」
  • ぴっぴ 【名】うどんの赤ちゃん言葉。東讃では「つっつ」とも。
  • ひしてがい【名】一日交替。「晴れと雨とがひしてがいじゃ」
  • ひど (主に後に否定語を伴って)大して、ほとんど。「なんしたってひどかわらんわ」「ひどおもっしょもないきんかしゃん、言われんな」
  • ひにしる(指の腹で)つねる。痛さ度合いは「ひにしる」<「ちみきる」
  • ひろげさがす 散らかしている
  • ぶいぶい コガネムシ。「ぶいぶい使うて魚釣るんや。」
  • ふが悪い 体裁が悪い。格好が悪い。「ふうが悪い」とも「ぞろげにしてからによいよふが悪いわ。」
  • ぶる 【動】漏れる。 「水が堰からぶっじょるが」
  • ベエスケ 大型のあなご。
  • へらこい 【形】ずるい。「ずべらこい」とも。「あんた、へらこいわ!」/「小才が利く」の意味で、讃岐人(時に阿波人)気質を示す表現としても用いられる。
  • ぼしこむ 押し込む。
  • ぼてこむ 落ちる。どせこむとほぼ同義だが若干意味が軽い。「こないだいでにぼてこんでケガしたんじゃが」
  • ほっこ 【名】ばか、あほ。強めて「ほっこたれ」とも。「あんたがいにほっこやのう」
  • ほんどり 本当に 「ほんどりよん?」
  • ほんに 本当に 「ほんによん?」
  • ほんま 本当 「ほんまによん?」

[編集] ま - や

  • …まい …しなさい/…してみてください。強く発音すると前者、やさしく言うと後者の意味になる。「食べまい」
  • まける 【動】こぼれる。「汁がまけよるが」
  • まけまけいっぱい 【形】(器に入れた水などが)こぼれそうなほど、いっぱいに入っている様子。単に「まけまけ」とも。また、用を足すことを我慢していて限界の時にも使われる。「ちょっと水入れすぎた。まけまけいっぱいやわ。」「一時間以上我慢しょおるきんもうまけまけじゃ。」
  • まちごうとる(まっちゃいよる) 間違えている。因みに「まっちゃえとる」が本来の讃岐弁。「それ、まちごうとるで。」
  • まっちゃう 間違える。 「まっちゃうこともあるわ。」
  • まっつい とても似ている、同じ。 似ている度合いは 「つい」<「まっつい」<「まっつくつい」(注)実質「つい」は使いません。
  • まっつくつい ものすごく似ている、同じ。「まっついつい」とも。似ている度合いは 「つい」<「まっつい」<「まっつくつい」
  • …まへ =…まい。この変化から「まい」が「給え(い)」の変化であると推測できる。「そななもん我がでにしまへ。(そんなこと自分でしなさいよ。)」
  • まるた まるごと。そのまま全部。「お向かいがこっこまるたでくれたが。(お向かいさんがたくあんをまるごとくれたよ)」
  • まんで 全部。「泥棒にやられて、まんで持っていかれた」
  • まんでがん 全部。非常に意味が広い言葉で、最大限の意味を持つ。「まんで」に比べて有る「だけ」全部、と言う意味が強い。「まんでがん遊んでえろおてえろおて(全力で遊んでつかれてて、つかれてて)」「まんでがん走った(全部走った/全速力で走った)」
  • …みい …みろ。(命令) 「走ってみい」
  • むつごい 【形】あぶらっこい。くどい。食べ物以外にも用いる。「天かす入れすぎてむつごいが」「この絵むつごいわ。」感覚としては、たくさんケーキを食べたあとに再びケーキを見たときの感情。
  • めぐ、めいだ 【動】(1)壊す。「あんたはよう物めぐ子やのぉ」「まためいだんか?」 (2)両替する。「この千円、百円にめいでいた」
  • めげる 「つぶれる」に同じ。
  • めんて おでこ
  • もうた (1)貰った。「お土産もうたん?」 (2)しまった。「テレビつぶしてもうた」
  • もっかい もう一回
  • もろた 「もうた」(1)に同じ。
  • …や …なんか。「姉ちゃんやどっか行ってしまえ!」
  • …やかし …なんか。…なんて。 「…や」と意味は同じだが限定の意味の強調の度合いがより強い。「私やかしなぁ、昨日熱が40度もあったんで。(私なんてね、昨日熱が40度もあったのよ。)」
  • …やないんな 関西弁の「…やん」の原型にあたる。近代の関西弁の影響で入ってきた。讃岐弁では、「ない」は「で」で受ける(例:それは犬でない)ため、讃岐弁では「でないんな(でん)」が正しいといえる。「やん」は戦後、女性語として使われ始めたらしい。「まえまえから言よるやないんな!」
  • やむ 【動】湿気(しけ)る。湿気(しっけ)るの意味では無い。「そのお菓子やんどるが」
  • …ゆうとる(ゆっとる) ~言っている(現在完了) 「あの人何ゆうとん?」
  • …よぉる(ゆーよる) ~言っている(現在進行) 「何よぉるんかサッパリ分からん」
  • よっけ(ようけ) 【副】たくさん。 「人がよっけおんのぉ」
  • …よん(…ゆん) ~言っているんだ。 「お前によんや。」「ほなけん、お前のことやとよん。」

[編集] ら - わ

  • わが 自分自身。「わがの都合ばっかり言わんと、わがの事はわがでせんか (自分の都合ばっかり言わないで、自分の事は自分でしなさい) 」
  • わがでに 自分で。
  • わや =ごじゃ。無茶苦茶。香川県では「ごじゃ」の存在も有ってか影は薄い。「台風で家が、わやなってもうたわ。」
  • わやくちゃ =ごじゃはげ。無茶苦茶をさらに強く言った言葉。「お前の髪型わやくちゃやな。」

[編集]

[編集] 関西弁との区別

前者が関西弁、後者が讃岐弁である。

  • 「~へん」(否定) → 「~ん」
  • 「~てん」(「ねん」の過去) → 「~たんや(じゃ)」「~したんよ」

但し、関西方面からの転勤者が多い地域では、関西弁に影響されて上記の違いが無くなってきている場合がある。

  • 関西弁化した例(「」内は現在讃岐の若者が使う言葉( )内は本来の讃岐弁【】内は共通語)
    • 「~やん」(~でん)【~じゃないか】
    • 「あかん」(いかん)【ダメだ】
    • 「なんでやねん」(なんでなんな・なんしにな)【何故なんだ】(「~ねん」という表現はそれほど広まってはいないものの、「なんでやねん」に限定しては使う若者が多い)

   

共通語 讃岐弁 関西標準
~だ ~や・だ・じゃ ~や
~なんだ ~なんや(じゃ)
~なんよ
~やねん
~している ~しょうる・~しとる ~しよる・~しとる
~してる
駄目だ いかん・あかん あかん
バカ(馬鹿) ホッコ アホ
疲れた
気分が悪い
えらい えらい
しんどい
おもしろい おもっしょい おもろい
~かな? ~かいの? ~かいな?
~から(~だから) ~けん・~きん ~から
~さかい・~よって
~じゃない(否定) ~ちゃう
~と違う
~じゃないの? ~ちゃん? ~ちゃうん?
~ちゃう?
どう(どのように) どな どない
言っている ゆうとる・よおる ゆうとる・いいよる
ゆうてる
してみろ してみい・してんまい
したれ・してんま
してご・してごんな
してみい
たくさん よっけ・ようけ よっけ・ようけ
ぎょうさん・ようさん
~してしまう ~してしまう ~してまう
~してしまった ~してもうた
~してしもた
間違っている まっちゃっとる・まっちゃいよる まちごうとる・まちがいよる
まちがえてる・ちごとる
本当に ほんま・ほんに
ほん・ほんどり
ほんま
いくつ なんぼ

[編集] 関連項目

ヒロインの瀬戸燦は西讃方面の讃岐弁でしゃべっている。

[編集] その他

  • 芦原すなおの小説「青春デンデケデケデケ」(香川県西部の観音寺市が舞台)は、ほぼ全編讃岐弁(西讃弁)で書かれているが、映画版においてはどうしても東京出身の役者陣のアクセントやイントネーションが京阪式には成っておらず、京阪式アクセントに近い讃岐弁(西讃弁)を知っている人々や地元観音寺市の人々が聞けば相当違和感がある。
    ただし、出演している関西地区出身の役者陣は元々京阪式アクセントの為、そのまま関西弁としてはパーフェクトなアクセント、イントネーションとなっているが、西讃弁の独特のイントネーションは再現しきれていない部分もある。
  • 西日本放送の植松おさみアナウンサー(当時)が「ズームイン!!朝!」で香川担当キャスターを務めていた当時、讃岐弁でインタビューをしていた。また後輩となる山口喜久一郎アナウンサーは、RNC公式ブログにおいて讃岐弁まじりの関西弁を多用している。
  • 映画「UDON」(舞台設定は丸亀周辺)に於いて役者が「おもろい」を連発するシーンがあるが、西讃の人が「おもろい」と言うことは少なく、「おもっしょい」を多用する。他にも「やるから」等の多くの方言的違和感が存在する。関西地区出身の役者が讃岐弁を喋るシーンがあるが、京阪式アクセントと讃岐式アクセントの違和感は拭い切れない。

[編集] 外部リンク

他の言語