イスラム共和制

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イスラム共和制(イスラムきょうわせい、: Islamic Republic: جمهورية إسلامية‎)とは、近代から現代にかけての中東およびアフリカイスラム圏に広がる、共和制を布くイスラム国家政体である。

概要

君主ではなく、人民が選出した代表が統治を行う共和制という概念を基調とするが、国法がイスラームの教えに基づく、もしくはシャリーア(イスラーム法)そのものを法として扱うなど、政治にイスラームが深く根付いた体制のことを指す。

イランをはじめとして宗教的非寛容に基づく、信教の自由表現の自由の制限、非ムスリムへの厳しい差別や女性への人権侵害性的少数者などへの迫害が見られる場合もある。

国号にイスラム共和国を掲げる国家とその政体

最初にイスラム共和国を国号に使用したのはパキスタン・イスラム共和国であり、その次にモーリタニア・イスラム共和国国号に「イスラム共和国」を使用した。以前の日本では「回教共和国」という表記もみられた。

このほか、ガンビア共和国は一時期、ガンビア・イスラム共和国を国号としていた[1][2]

イラン・イスラム共和国の場合

イランでは、クルアーン(コーラン)の教えなどから人間の心身に悪影響を与えるとして、ポルノアルコール類を禁止している。

また、イスラム教では男尊女卑を教えている部分と、男女平等を教えている部分がある。現在のイランでは女性の能力は大変重要なものと考えられており、学術分野で労働する女性は数多く、公務員や兵隊として労働に従事する人々もいる。女性の大学への進学率は非常に高く、2006年に大学の入学者数を男女同率にする入学制限が適用されたが、女子学生の増大が原因と考えられる。しかし、同時に女性に対する性的抑圧や服装制限がある。なお、2013年8月、イラン外務省報道官に女性のマルズィーイェ・アフハームが就任した[3]ほか、閣内に複数いる副大統領にエルハーム・アミーンザーデとマアスーメ・エブテカールといった女性を任命するケースもある。

問題点としては、クルアーンでは「ムスリムに、非ムスリムに対しても寛容に接するべき」と教えているが、それはムスリム優位の支配体制の下での、二等市民としての寛容に過ぎない。 一部の差別は法制化された義務となっており、例えばキリスト教徒・ユダヤ教徒・ゾロアスター教徒には大統領・国会議員の立候補資格が原則認められておらず(ただし国会には少数宗教信者への割り当て議席がごく少数存在する)、イスラーム法に基づく非ムスリムや性的少数者同性愛者などのLGBT)への差別がある。バハーイー教徒、イスラム教の棄教者、無神論者などは国内での生活自体が認められておらず、発覚・逮捕されて体制側に改宗や帰教を促されたのちも自分の信念を捨てなかった場合、死刑となる可能性がある(特に男性の棄教は原則死刑である)。同性愛者などの性的少数者の権利(参照: 英語版は認められていない。

脚注

関連項目