1960年イギリスグランプリ

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イギリス 1960年イギリスグランプリ
レース詳細
1960年F1世界選手権全10戦の第7戦
日程 1960年7月16日
正式名称 XIII RAC British Grand Prix
開催地 シルバーストン・サーキット
イギリスの旗 イギリスイングランドの旗 イングランドノーサンプトンシャー州 シルバーストン
コース 恒久的レース施設
コース長 4.711 km (2.927 mi)
レース距離 77周 362.75 km (225.40 mi)
決勝日天候 晴(ドライ)
ポールポジション
ドライバー クーパー-クライマックス
タイム 1:34.6
ファステストラップ
ドライバー イギリスの旗 グラハム・ヒル BRM
タイム 1:34.4 (56周目)
決勝順位
優勝 クーパー-クライマックス
2位 ロータス-クライマックス
3位 ロータス-クライマックス

1960年イギリスグランプリ (1960 British Grand Prix) は、1960年のF1世界選手権第7戦として、1960年7月16日シルバーストン・サーキットで開催された。

レース概要[編集]

本レースはジャック・ブラバムが優勝、ロードレース世界選手権チャンピオンジョン・サーティース(F1デビュー2戦目)が2位、イネス・アイルランドが3位となった。

本レースに出走した24台のうち19台がミッドシップ車となった。依然フロントエンジン車だったのは5台だけで、フェラーリ246の2台、アストンマーティンDBR5の2台、ロータス16(プライベーターによる出走)の1台だった[1]。スタートでブラバムのチームメイトのブルース・マクラーレンが勢いよく飛び出しトップに立ったが[1]、ブラバムが首位を奪い返していく。スタートで出遅れたグラハム・ヒルが55周目にブラバムを抜いてトップに立ったが、残り6周でブレーキが壊れてリタイアに終わった[2]。優勝したブラバムは4連勝、サーティースはチームメイトのジム・クラークと競り合った末に2位入賞を果たした[2]

アストンマーティンは前年型DBR4のエンジンと足回りを中心に改良した新車DBR5を投入したが、前述したフロントエンジンという基本設計がもはや致命傷で、モーリス・トランティニアンは勝者ブラバムから5周遅れの11位にとどまった。アストンマーティンはこの一戦をもってF1から撤退した[3]

エントリーリスト[編集]

チーム No. ドライバー コンストラクター シャシー エンジン
イギリスの旗 クーパー・カー・カンパニー 1 オーストラリアの旗 ジャック・ブラバム クーパー T53 クライマックス FPF 2.5L L4
2 ニュージーランドの旗 ブルース・マクラーレン
3 アメリカ合衆国の旗 チャック・デイ T51
イギリスの旗 R.R.C. ウォーカー・レーシングチーム アメリカ合衆国の旗 ランス・リヴェントロウ 1
イギリスの旗 オーウェン・レーシング・オーガニゼーション 4 イギリスの旗 グラハム・ヒル BRM P48 BRM P25 2.5L L4
5 アメリカ合衆国の旗 ダン・ガーニー
6 スウェーデンの旗 ヨアキム・ボニエ
イギリスの旗 チーム・ロータス 7 イギリスの旗 イネス・アイルランド ロータス 18 クライマックス FPF 2.5L L4
8 イギリスの旗 ジム・クラーク
9 イギリスの旗 ジョン・サーティース
イタリアの旗 スクーデリア・フェラーリ 10 アメリカ合衆国の旗 フィル・ヒル フェラーリ 246 フェラーリ Tipo155 2.4L V6
11 西ドイツの旗 ヴォルフガング・フォン・トリップス
イギリスの旗 ヨーマン・クレジット・レーシングチーム 12 イギリスの旗 トニー・ブルックス クーパー T51 クライマックス FPF 2.5L L4
14 ベルギーの旗 オリビエ・ジャンドビアン
15 イギリスの旗 ヘンリー・テイラー
イタリアの旗 スクーデリア・セントロ・スッド 16 アメリカ合衆国の旗 マステン・グレゴリー クーパー T51 マセラティ 250S 2.5L L4
17 イギリスの旗 イアン・バージェス
イギリスの旗 デヴィッド・ブラウン・コーポレーション 18 イギリスの旗 ロイ・サルヴァドーリ アストンマーティン DBR5 アストンマーティン RB6 2.5L L6
19 フランスの旗 モーリス・トランティニアン
イタリアの旗 スクーデリア・カステロッティ 20 イタリアの旗 ジョルジオ・スカルラッティ 2 クーパー T51 カステロッティ 2.5L L4[4]
21 イタリアの旗 ジーノ・ムナロン
イギリスの旗 ギルビー・エンジニアリング 22 イギリスの旗 キース・グリーン クーパー T45 マセラティ 250S 2.5L L4
イギリスの旗 CTアトキンス 23 イギリスの旗 ジャック・フェアーマン クーパー T51 クライマックス FPF 2.5L L4
イギリスの旗 フレッド・トラック・カーズ 24 ベルギーの旗 ルシアン・ビアンキ クーパー T51 クライマックス FPF 2.5L L4
イギリスの旗 J.B. ネイラー 25 イギリスの旗 ブライアン・ネイラー JBW 59 マセラティ 250S 2.5L L4
イギリスの旗 ロバート・ボドル・リミテッド 26 イギリスの旗 デヴィッド・パイパー ロータス 16 クライマックス FPF 2.5L L4
ソース:[5]
追記
  • タイヤは全車ダンロップ
  • ^1 - リヴェントロウとダイは前戦フランスGPスカラブのマシンに大きなダメージを与えた後、No.3のマシンでエントリーした。予選でダイの方が速かったため、リヴェントロウは撤退した。
  • ^2 - エントリーしたが出場せず

結果[編集]

予選[編集]

順位 No. ドライバー コンストラクター タイム グリッド
1 1 オーストラリアの旗 ジャック・ブラバム クーパー-クライマックス 1:34.6 1
2 4 イギリスの旗 グラハム・ヒル BRM 1:35.8 + 1.2 2
3 2 ニュージーランドの旗 ブルース・マクラーレン クーパー-クライマックス 1:36.0 + 1.4 3
4 6 スウェーデンの旗 ヨアキム・ボニエ BRM 1:36.2 + 1.6 4
5 7 イギリスの旗 イネス・アイルランド ロータス-クライマックス 1:36.3 + 1.7 5
6 5 アメリカ合衆国の旗 ダン・ガーニー BRM 1:36.6 + 2.0 6
7 11 西ドイツの旗 ヴォルフガング・フォン・トリップス フェラーリ 1:37.0 + 2.4 7
8 8 イギリスの旗 ジム・クラーク ロータス-クライマックス 1:37.1 + 2.5 8
9 12 イギリスの旗 トニー・ブルックス クーパー-クライマックス 1:37.6 + 3.0 9
10 10 アメリカ合衆国の旗 フィル・ヒル フェラーリ 1:37.8 + 3.2 10
11 9 イギリスの旗 ジョン・サーティース ロータス-クライマックス 1:38.6 + 4.0 11
12 14 ベルギーの旗 オリビエ・ジャンドビアン クーパー-クライマックス 1:39.2 + 4.6 12
13 18 イギリスの旗 ロイ・サルヴァドーリ アストンマーティン 1:39.4 + 4.8 13
14 16 アメリカ合衆国の旗 マステン・グレゴリー クーパー-マセラティ 1:39.8 + 5.2 14
15 23 イギリスの旗 ジャック・フェアーマン クーパー-クライマックス 1:39.9 + 5.3 15
16 15 イギリスの旗 ヘンリー・テイラー クーパー-クライマックス 1:40.0 + 5.4 16
17 24 ベルギーの旗 ルシアン・ビアンキ クーパー-クライマックス 1:40.2 + 5.6 17
18 25 イギリスの旗 ブライアン・ネイラー JBW-マセラティ 1:41.2 + 6.6 18
19 3 アメリカ合衆国の旗 チャック・デイ クーパー-クライマックス 1:42.4 + 7.8 19
20 17 イギリスの旗 イアン・バージェス クーパー-マセラティ 1:42.6 + 8.0 20
21 19 フランスの旗 モーリス・トランティニアン アストンマーティン 1:43.8 + 9.2 21
22 22 イギリスの旗 キース・グリーン クーパー-マセラティ 1:45.8 + 11.2 22
23 3 アメリカ合衆国の旗 ランス・リヴェントロウ 1 クーパー-クライマックス 1:46.4 + 11.8
24 26 イギリスの旗 デヴィッド・パイパー ロータス-クライマックス 2:05.6 + 31.0 23
25 21 イタリアの旗 ジーノ・ムナロン クーパー-カステロッティ No Time 24
ソース:[6][7]
追記
  • ^1 - デイに交代

決勝[編集]

順位 No. ドライバー コンストラクター 周回数 タイム/リタイア原因 グリッド ポイント
1 1 オーストラリアの旗 ジャック・ブラバム クーパー-クライマックス 77 2:04:24.3 1 8
2 9 イギリスの旗 ジョン・サーティース ロータス-クライマックス 77 + 49.6 11 6
3 7 イギリスの旗 イネス・アイルランド ロータス-クライマックス 77 + 1:29.6 5 4
4 2 ニュージーランドの旗 ブルース・マクラーレン クーパー-クライマックス 76 + 1 Lap 3 3
5 12 イギリスの旗 トニー・ブルックス クーパー-クライマックス 76 + 1 Lap 9 2
6 11 西ドイツの旗 ヴォルフガング・フォン・トリップス フェラーリ 75 + 2 Laps 7 1
7 10 アメリカ合衆国の旗 フィル・ヒル フェラーリ 75 + 2 Laps 10
8 15 イギリスの旗 ヘンリー・テイラー クーパー-クライマックス 74 + 3 Laps 16
9 14 ベルギーの旗 オリビエ・ジャンドビアン クーパー-クライマックス 74 + 3 Laps 12
10 5 アメリカ合衆国の旗 ダン・ガーニー BRM 74 + 3 Laps 6
11 19 フランスの旗 モーリス・トランティニアン アストンマーティン 72 + 5 Laps 21
12 26 イギリスの旗 デヴィッド・パイパー ロータス-クライマックス 72 + 5 Laps 23
13 25 イギリスの旗 ブライアン・ネイラー JBW-マセラティ 72 + 5 Laps 18
14 16 アメリカ合衆国の旗 マステン・グレゴリー クーパー-マセラティ 71 + 6 Laps 14
15 21 イタリアの旗 ジーノ・ムナロン クーパー-カステロッティ 70 + 7 Laps 24
16 8 イギリスの旗 ジム・クラーク ロータス-クライマックス 70 + 7 Laps 8
Ret 4 イギリスの旗 グラハム・ヒル BRM 71 ブレーキ 2
Ret 24 ベルギーの旗 ルシアン・ビアンキ クーパー-クライマックス 62 電気系統 17
Ret 6 スウェーデンの旗 ヨアキム・ボニエ BRM 59 サスペンション 4
Ret 3 アメリカ合衆国の旗 チャック・デイ クーパー-クライマックス 58 オーバーヒート 19
Ret 17 イギリスの旗 イアン・バージェス クーパー-マセラティ 58 エンジン 20
Ret 18 イギリスの旗 ロイ・サルヴァドーリ アストンマーティン 46 ステアリング 13
Ret 23 イギリスの旗 ジャック・フェアーマン クーパー-クライマックス 46 燃料ポンプ 15
Ret 22 イギリスの旗 キース・グリーン クーパー-マセラティ 12 オーバーヒート 22
ソース:[8]
ラップリーダー[9]

第7戦終了時点のランキング[編集]

  • : トップ5のみ表示。ベスト6戦のみがカウントされる。

脚注[編集]

  1. ^ a b (林信次 1999, p. 94-95)
  2. ^ a b (林信次 1999, p. 99)
  3. ^ (林信次 1999, p. 102,108)
  4. ^ ベースはフェラーリ Tipo106(553と555に搭載されていた)。 Engine Castellotti”. statsf1.com. 2018年3月14日閲覧。
  5. ^ Britain 1960 - Race entrants”. statsf1.com. 2018年3月14日閲覧。
  6. ^ Britain 1960 - Qualifications”. statsf1.com. 2018年3月13日閲覧。
  7. ^ Britain 1960 - Starting grid”. statsf1.com. 2018年3月13日閲覧。
  8. ^ 1960 British Grand Prix”. formula1.com. 2014年12月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月20日閲覧。
  9. ^ Britain 1960 - Lap by lap”. statsf1.com. 2018年3月15日閲覧。

参照文献[編集]

  • 林信次『F1全史 1956-1960』ニューズ出版、1999年。ISBN 4-938495-27-9 
  • Motorcycle champion Surtees takes second place”. Grand Prix Racing. 2007年8月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年9月7日閲覧。
  • GRAND PRIX RESULTS: BRITISH GP, 1960”. GrandPrix.com. 2007年9月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年9月7日閲覧。
  • 1960 British GP”. ChicaneF1.com. 2007年9月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年9月7日閲覧。 (レース結果及び統計)

外部リンク[編集]

前戦
1960年フランスグランプリ
FIA F1世界選手権
1960年シーズン
次戦
1960年ポルトガルグランプリ
前回開催
1959年イギリスグランプリ
イギリスの旗 イギリスグランプリ 次回開催
1961年イギリスグランプリ