超越数
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数学における超越数(ちょうえつすう, transcendental number)とは、代数的数でない数、すなわち有理係数の代数方程式
- xn + an-1xn-1 +…+ a0 = 0 (n ≥ 1 かつ各 ai は有理数)
の解とならないような複素数のことである。有理数は一次方程式の解であるから、超越的な実数はすべて無理数になる。超越数論は、超越数について研究する数学の分野で、与えられた数の超越性の判定などが主な問題である。よく知られた超越数にネイピア数(自然対数の底)や円周率があるが、超越性が示されている実数のクラスはほんの僅かであり、与えられた数が超越数であるかどうかを調べるのは難しい問題だとされている[1]。
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[編集] 超越数の性質
- α が代数的数、κ > 2 ならば、
を満たす有理数 p / q は有限個しかない(トゥエ=ジーゲル=ロスの定理)。
- さらに一般に次の定理が成り立つ。α が代数的数、p1, p2, …, pk を素数とし、u, v, w を w > u+v を満たす実数とする。P=P1P2, Q=Q1Q2 とおく。ここでP1, Q1 は p1, p2, ..., pk のみを素因数に持つとする。このとき、

- P2 < Pv,Q2 < Qw
の二つの不等式を満たす有理数 P / Q は有限個しかない(リドゥの定理)。
- a が 0 でも 1 でもなく、かつ b が有理数でないとき、a, b, ab のうち少なくとも一つは超越数である(1934年、ゲルフォント=シュナイダーの定理)。とくに、a, b がさらに代数的数であれば ab は超越数である。
- αk (k=1, 2, ..., n) が0でない代数的数で、その対数が有理数体上線型独立であるとする。このとき、1, log αk (k=1, 2, ..., n) は代数的数全体のなす体上線型独立である(ベーカー、1966年)。
[編集] 例
- リウヴィル数
は超越数である。もっと一般に、2以上の整数 n に対して
は超越数である(ジョゼフ・リウヴィル、1844年)。 - さらに強い結果として、リドゥの定理より、n が 1より大きな整数で、ak が
を満たす整数列ならば
は超越数である。 - リドゥの定理より、正の整数を小さいほうから順番に並べた小数であるチャンパーノウン定数 0.123456789101112… は超越数である。
- ネイピア数 e は超越数である(シャルル・エルミート、1873年)。
- 円周率 π は超越数である(フェルディナント・フォン・リンデマン、1882年)。これによって古代ギリシャ数学以来の難問であった円積問題が否定的に解かれた。
- ゲルフォント=シュナイダーの定理より
、eπ はいずれも超越数である。
[編集] 歴史
1844年のジョゼフ・リウヴィルによって連分数の形で超越数の最初の例が与えられ、さらに1873年にシャルル・エルミートによってeの超越性が示された。ゲオルグ・カントールは1874年に、実数全体の集合が非加算集合である一方で代数的数全体の集合が可算無限集合であることを示すことにより、ほとんどの実数や複素数は超越数であることを示した。1882年にフェルディナント・フォン・リンデマンは任意の代数的数 a に対する ea の超越性を示し、とくにオイラーの公式 eπ i = -1 によって円周率が超越数であることも示した。ヒルベルトの23の問題のうち第 7 の問題「a が 0 でも 1 でもない代数的数で、b が代数的無理数であるとき、ab は超越数であるか」は1934-1935年にゲルフォントとシュナイダーによって肯定的に解決された。
[編集] 脚注
- ^ 例えば、ネイピア数と円周率がともに超越数であることがよく知られているにもかかわらず、それをただ足しただけの π + e すら超越数かどうか分かっていない。
[編集] 参考文献
- 塩川宇賢『無理数と超越数』森北出版、1999年。
- A. Baker, Transcendental Number Theory, Cambridge University Press, 1975, 1990.
- W. M. Schmidt, Diophantine Approximations, Lecture Notes in Math. 785, Springer-Verlag, 1980.
- W. M. Schmidt: Diophantine approximations and diophantine equations, Lecture Notes in Math. 1467. Springer-Verlag, 1991.


