チャンパーノウン定数

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チャンパーノウン定数(チャンパーノウンていすう、: Champernowne constant)は、数学定数のひとつで、0小数点のあとに自然数1 から小さい順に並べた十進小数表示をもつ実数 0.123456789101112… である。名前の由来のデイヴィッド・チャンパーノウン英語版 は、この数が十進正規数であることを示した経済学者である。

数学的性質[編集]

この定数 C10 は単純な形で定められるにも関わらず無理数であり、超越数でもある。C10

 \sum_{n=1}^\infty\frac{\sum_{k=10^{n-1}}^{10^n-1}k10^{-n(k-(10^{n-1}-1))}}{10^{\sum_{k=0}^{n-1}k9\times10^{k-1}}}

と表すこともできる。また、この数の連分数表示は

[0; 8, 9, 1, 149083, 1, 1, 1, 4, 1, 1, 1, 3, 4, 1, 1, 1, 15, K, …] (オンライン整数列大辞典の数列 A030167

とかける。ここで19番目の数 K は166桁の数

4 57540 11139 10310 76483 64662 82429 56118 59960 39397 10457 55500 06620 04393 09026 26592 56314 93795 32077 47128 65631 38641 20937 55035 52094 60718 30899 84575 80146 98631 48833 59214 17830 10987

である。連分数表示においてこのような大きい数があらわれるということはこの連分数を数値計算する際に大きな負荷がかかることになるが、いっぽうでこの19番目の数 K を付け加えた際に近似精度が大きく向上することにもなる。実際、

C10 - [0; 8, 9, 1, 149083, 1, 1, 1, 4, 1, 1, 1, 3, 4, 1, 1, 1, 15] ~ –9 ×10–190
C10 - [0; 8, 9, 1, 149083, 1, 1, 1, 4, 1, 1, 1, 3, 4, 1, 1, 1, 15, K] ~ 3 ×10–356

となり、Kを含めることによって近似精度が 166桁分向上することになる。

1111111111/9000000000 = 0.123456790111… や 10/81 =0.12345679… はチャンパーノウン定数に比較的近い(下線部は循環節)。実際 10/81 は主近似分数の一つ [0; 8, 9, 1] である。

1933年、チャンパーノウンはこの数が十進正規数であることを示した。他の基数に関して正規か否かは分かっていない。

0.4938271564044485256606… は、一見すると何の変哲もない無理数のようだが、これは実際のところチャンパーノウン定数を4倍して得られる数である。このように、規則性がある数に乗法累乗などの演算をほどこすとその規則性が消えて(見えなくなって)しまう。この数も十進正規数であり、すなわち小数部分は統計的な意味で乱数である。元のチャンパーノウン定数よりは乱数として優秀であると考えられるが、簡単な規則で作られる数であるということで、厳密な意味で乱数とは言えない。

プログラミングにおいて、疑似乱数発生器の実装に際して、12345…といった整数値が定数項に使用される例がままあり、チャンパーノウン定数の乱数性を効果的に利用していると言えるだろう。

類似の数[編集]

  • 他の進法で同様の数を考えることができる。例えば、二進法に関するチャンパーノウン定数 C2 は 0.11011100101110111…2 (A030190) であり、十進法で表記すると 0.86224012586805457… (A066716) である。この数は二進正規数である。一般に、r 進法に関するチャンパーノウン定数 Cr は、基数 r に関して正規である。
  • コープランド-エルデシュ定数は 0. の後に素数を小さい方から順に並べた表示をもつ数である。
  • リウヴィル数は、歴史上最初に超越数であることが示された数で、小数第 n ! 位が 1、その他は 0 という小数表示を持つ数である。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  • D. G. Champernowne, The construction of decimals normal in the scale of ten, Journal of the London Mathematical Society, vol. 8 (1933), p. 254-260
  • K. Mahler, Arithmetische Eigenschaften einer Klasse von Dezimalbrüchen, Proc. Konin. Neder. Akad. Wet. Ser. A. 40 (1937), p. 421-428.
  • Rytin, M. Champernowne Constant and Its Continued Fraction Expansion, (1999), http://library.wolfram.com/infocenter/MathSource/2876/