植え込み型除細動器

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植え込み型除細動器(うえこみがたじょさいどうき、ICD)は、体内植え込み式で、心室頻拍心室細動などの致死的不整脈を止め、心臓の働きを回復する補助人工臓器(医療機器)である。

概要[編集]

ICDとは「Implantable Cardioverter Defibrillator 」の略。

致死的不整脈を予防するものではないが、迅速かつ的確に判断して治療を行うので、患者はいつ突然死を起こすかという恐怖感から解放されるため非常に有効な治療法といえる。 カテーテル・アブレーションなどの根治療法が不可能または難しい患者には、症状を抑えるという点でも有効である。

心臓の状態を常に監視し、脈や治療の履歴を保存する。 これらのデータは定期的な検査の際、外部から専用の機器 (Programmer) で読み取ることができる。

1980年に世界初の植え込みが行われ、日本では1990年に臨床試験が開始され1996年より健康保険が適用となる。

2006年より両心室ペースメーカーCRTとICD機能を備えた心臓再同期療法 (CRT-D) が登場している。

本体はチタン製で、大きさはタバコの箱よりもやや小さいくらいであったが、2011年現在では、ZIPPOライター程度の大きさになっている。通常は左または右の鎖骨の下部の皮下(または大胸筋下)に植え込み、ここから2種類のリード線を肩の静脈から、1本は右心室の奥(ICDリード)、もう1本を右心房の上部(心房リード)に留置する。 手術はどこの病院でも行えるわけではなく、不整脈専門医が常勤しなおかつ心臓血管外科を標榜している施設に限られる。

機能[編集]

治療法の設定には、抗頻拍ペーシングカルディオバージョン除細動、の3つがある。 これらの設定は手術後でも、専用の機器 (Programmer) を植え込み部位に当てるだけで容易に体外から変更することができる。

心室頻拍に対して、心臓ペースメーカーと同じような刺激で頻拍よりも少しだけ速めに電気を送ることで治療を行う。ほとんどの場合、自覚しないうちに治療が終わっている。

抗頻拍ペーシングでも治療ができなかった場合、自己心拍に同期して軽めの電気ショックを与えることで頻拍を止める。突然胸を叩かれたような軽度の不快感がある。

心室細動が起こったとICDが判断したときは最大限のエネルギーを使い電気ショックを出して心室細動を止める。これは胸を蹴られたような感じがするが、意識を失っていることも多く、治療が行われたことに気がつかない場合もある。また除細動直後に心臓が止まるような場合は、心臓ペースメーカーと同じようにペーシングを行う。

注意点[編集]

ICDは、心臓ペースメーカー以上に電磁波影響による誤作動が発生する恐れがあるため、電磁波等への注意をする必要がある。

ICDを植え込むと、身体障害者福祉法により、身体障害者(1級)の認定を受けることができる。

ICDを植え込むことにより、心臓を起因とする突然死は防げても、心室細動などで心停止状態に陥った際に意識を失うことにより、倒れて頭部を強打するなどして、結果として死亡してしまうことがある。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]