強盗強姦罪

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
強盗強姦罪
Scale of justice 2.svg
法律・条文 刑法241条
保護法益 性的自由
主体 強盗犯
客体 女子
実行行為 強姦
主観 故意犯
結果 結果犯、侵害犯
実行の着手 強姦の目的をもって、13歳以上の女性に対して暴行又は脅迫に及んだ時点
既遂時期 男性器の一部挿入時点
法定刑 無期又は7年以上の懲役
未遂・予備 未遂罪(234条)
テンプレートを表示

強盗強姦罪(ごうとうごうかんざい)とは、刑法241条に規定された犯罪類型の一つ。強盗犯人が強盗現場で強姦する行為を内容とする。未遂も罰せられる(刑法243条)。

法定刑は無期又は7年以上の懲役であるが、死の結果が生じた場合には刑が加重され(強盗強姦致死罪)、法定刑は死刑又は無期懲役となる。

主な解釈論[編集]

本罪は強盗罪強姦罪との結合犯であるとするのが通説・判例であるが、高裁レベルの裁判例のなかには不真正身分犯と述べるものがある。

主体及び既遂時期[編集]

強盗と強姦が共に既遂の場合は本罪の既遂に、共に未遂の場合は本罪の未遂になることは問題ない。判例・通説は、強盗が未遂で強姦が既遂の場合、本罪は既遂になる(大判大正10年5月13日刑集14巻514頁参照)とし、強盗が既遂で強姦が未遂の場合、本罪は未遂になる(東京高判平成5年12月13日高刑46巻3号312頁参照)としている。

すなわち、本罪の主体である「強盗」には強盗未遂犯も含まれ、強姦行為が既遂に達したときに本罪は既遂となる。

傷害の結果が生じた場合[編集]

強盗強姦致傷罪というものは存在しない。そこで、どの条文が適用されるかについて争いがある。強盗強姦罪の単純一罪であるとする説、強盗強姦罪と強盗致傷罪観念的競合であるとする説、強盗強姦罪と強姦致傷罪の観念的競合であるとする説がある。

下級審ではあるが、強盗強姦罪の一罪のみが成立するが、傷害の事実は重要な量刑の対象であるとした判決がある(東京地判平成元年10月31日判時1363号158頁)。

死の結果につき殺意があった場合[編集]

強盗犯人が女子を強姦し、故意に殺害した場合、どの条文が適用されるかについて争いがある。まず、241条後段に殺意がある場合を含むと考えるか否かに分かれる。

241条後段には殺意がある場合を含むという説によれば、強盗強姦致死罪の単純一罪となる(便宜上A説とする)。含まないという説は更に、強盗強姦罪と強盗殺人罪観念的競合であるとする説(B説とする)、強盗強姦罪殺人罪の観念的競合であるとする説(C説とする)、強盗強姦致死罪と殺人罪の観念的競合であるとする説(D説とする)、強盗殺人罪と強姦罪の観念的競合であるとする説(E説とする)に分かれる。

判例はB説を採っている(大判大正10年5月13日、既出)が、それぞれに問題点がある。A説に対しては、結果的加重犯であるという文言に反していると、B説に対しては、「強盗」の二重評価であると、C説に対しては、強盗強姦致死罪よりも法定刑が軽くなってしまうと、D説に対しては、人の死の二重評価であるという批判がそれぞれされている。

関連項目[編集]

参考文献[編集]